著者
小林 三世治
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.237-244, 2004-09-17

保険契約者(被保険者)である訴外人が,高度障害を負っていないにもかかわらず負ったとして,被告(医師)が作成した内容虚偽の障害診断書を原告(保険会社)宛に提出し,高度障害保険金を請求し,同保険金を詐取した。この診断書を作成・交付した被告が,訴外人が高度障害を負っていないことを認識しながら,原告宛の虚偽の内容の障害診断書を作成・交付したことは,保険金詐取の幇助に当たるとして,保険金相当額につき損害賠償責任を認めた。
著者
小栁 香織 窪田 敏夫 小林 大介 木原 太郎 吉田 武夫 三井所 尊正 斎藤 友亮 打越 英恵 髙木 淳一 瀬尾 隆 島添 隆雄
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.11, pp.1215-1221, 2013 (Released:2013-11-01)
参考文献数
16
被引用文献数
6 17

Pharmacists, being compensated through the new dispensing fee, are required to educate patients on their adhesion to the use of prescribed drugs, and to inventory the levels of leftover drugs in outpatients. Recently, Fukuoka City Pharmaceutical Association started a campaign for regulating leftover drugs (Setsuyaku Bag Campaign). Thirty-one pharmacies joined the campaign. Pharmacists distributed convenience bags, called ‘SETSUYAKU-BAG.’ The patients put their leftover drugs in the bags and brought them to community pharmacies. The pharmacists inventoried the returned drugs and reported their results to the doctors. The doctors adjusted the prescriptions accordingly. We counted and analyzed old and new inventories. The number of leftover drugs was 252, for a total value was ¥839655. Cost of leftover drug prescriptions could be reduced by ¥702695, and the value of drugs thrown away was ¥94801. In total, we could reduce the amount of leftover drugs by 83.7%. The cost of leftover drug for one dose package (ODP) is higher than that for non-ODP. However, there were no significant differences in results per age, sex, number and kinds of drugs, prescription days and premium contribution rate. These results suggest that prescription regulation by inventory of leftover drugs in community pharmacies could significantly reduce overall medical expenses. Further studies are necessary in order to account for patients’ health, and to establish more efficient patient education to raise outpatients’ adherence to the new programs.
著者
金野 尚武 木村 茉穂 奥澤 里奈 中村 泰隆 池 正和 林 徳子 小原 あゆみ 坂本 裕一 羽生 直人
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.157-164, 2016 (Released:2016-08-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3

木材腐朽性食用きのこ類の菌床栽培において,大量の廃菌床が発生している。廃菌床には腐朽木材が含まれているが現在のところ有効な活用方法がない。成分分析の結果,シイタケ栽培後の廃菌床には25.4%のセルロースが主要成分として含まれていた。そこで本研究では,シイタケ廃菌床にTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル)触媒酸化を適用することで,セルロースナノファイバーを調製した。廃菌床(1g)を,3つの次亜塩素酸ナトリウム添加量条件下(20,40,80mmol)において,触媒量のTEMPO と臭化ナトリウムと共に酸化処理した。TEMPO 触媒酸化反応後,水不溶性画分を水中で懸濁させ,超音波処理によりセルロースナノファイバーを個々に分散させた。透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行ったところ,これらセルロースナノファイバーは幅2~3nm,長さ数μmであった。得られたセルロースナノファイバー分散液をキャストすることで透明なフィルムを作製した。セルロースナノファイバーフィルムの収率は次亜塩素酸ナトリウム添加量80mmol 条件下において最も高く,廃菌床1gに対して0.18gであった。また,廃菌床中に含まれるセルロースに対しての収率を算出したところ,71%であった。
著者
平林 美理
出版者
早稲田大学史学会
雑誌
史觀 (ISSN:03869350)
巻号頁・発行日
no.172, pp.44-64, 2015-03-25
著者
古林 清一
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-16, 1991-09-30 (Released:2010-03-12)

Rashid Rida (1865-1935) is famous as a leader of Salafiyya Movement and the editor of his journal, al-Manar. In this paper, I have attempted to elucidate his view on jama'a. Ride expected Muslim's group called jama'a as true leaders of Islamic Community (umma). Jama'a is defined by him as ulu al-amr (possesors of authority), ahl al-hall wa'l-'aqd (electors of caliph) and ahl al-ijma' al-muta' (people whose consensus is considered as compulsive to umma).Then I examined Ride's efforts to form organizations for his Islamic Reform Movement. These efforts are represented in his plans for Jam'iyya al-da'wa wa'l-irshad (Society of Propaganda and Guidance) and Hizb al-islah al-islami al-mu'tadil (Moderate Islamic Reform Party).
著者
森田 悠樹 橋本 剛 小林 康幸
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2010論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.12, pp.36-41, 2010-11-12

コンピュータゲームプレイヤの研究ではゲームの解明も盛んに行われており,近年ではチェッカーが解かれて大きな話題となった.次のターゲットはオセロが有力である.証明数系の探索がオセロにも有効で特にWPNSが良い結果を出すことが報告されている.本稿では単純な2種類のαβ探索とWPNSの比較実験を行った.パブリックドローと呼ばれる定石から作った残り19から25石の難解な局面を使っている.その結果,ソートを行わないαβ探索の性能はかなり落ちるものの子ノードの数でソートしたαβ探索はWPNSと同等の性能を出すことが示された.またWPNSの探索における弱証明数計算の占める割合のデータを示した.それによりオセロ完全探索に向けた今後のより難解な局面の探索でWPNSなど証明数系探索が主役になりにくいことが予想された.また新たに分枝数を閾値とするαβ法を提案し実験を行った.
著者
林 衛
出版者
オーム社
雑誌
メディカルバイオ (ISSN:18819354)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.73-78, 2011-03

日本動脈硬化学会による「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007 年版」は,政府による生活習慣病対策の要とされている。「高コレステロール値は避けねばならない」という「常識」とその根拠が集約されているはずのこのガイドラインに対し,2010年9月,日本脂質栄養学会が「ノー」を突きつけた。指摘によれば,「まちがい」は動脈硬化コレステロール原因説「確定」の時期までさかのぼる。
著者
島田 能史 松尾 仁之 小林 孝
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.17-20, 2004-01-10
被引用文献数
5

症例は60歳女性.右乳癌の診断にて入院した.手術当日グリセリン浣腸施行中に強い疼痛を訴え,その後も強い肛門部痛と嘔吐が持続した.臀部は腫脹し,肛門内から少量の出血を認めた.直腸診で直腸粘膜の欠損を触知し,浣腸時の直腸穿孔およびグリセリン液の管腔外注入が考えられた.浣腸後から自尿は無く,約10時間後の導尿では少量の血尿が得られた.補液と強制利尿にも反応無く,翌日急性腎不全と診断し,血液透析を開始した.計3回の血液透析で,腎機能は利尿期を経て約2週間後に正常に回復した.臀部の発赤,腫脹も受傷10日目には自然に消失し,直腸周囲での膿瘍形成も無かった.本症例は高濃度のグリセリン液が血中に入ったことにより,赤血球の膜障害と溶血が起こり,急性腎不全を引き起こしたと考えられた.以前より高濃度のグリセリンが血中に入ると溶血を起こすことは広く知られている.グリセリンが溶血を起こす機序については,赤血球の膜障害による高度の溶血が原因として推測されている.溶血が起こると大量の遊離ヘモグロビンが発生し,尿細管上皮内に再吸収されヘムとグロビンに分解される.ヘムは細胞毒として作用するため腎不全が発生するとされている.腎不全発生を予防するためには,遊離ヘモグロビンの除去が重要とされる.遊離ヘモグロビンは大分子物質であるため,その除去には血漿交換が有効と考えられている.また,遊離ヘモグロビンと結合し肝臓に運び処理するハプトグロビン投与も有効とされている.グリセリン浣腸時に患者が疼痛や気分不快および強い疼痛等を訴えた場合には,浣腸による直腸粘膜の損傷や穿孔の可能性がある.さらに腸管外へのグリセリン液注入は溶血から急性腎不全を発症する場合もあり,注意深い観察と迅速な対応が必要である.
著者
小林 良彰
出版者
日本法政学会
雑誌
日本法政学会法政論叢 (ISSN:03865266)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-10, 1992-05-20

The issue on the political reforms has become more and more as a critical issue. The report which was issued by the 8th Electoral System Research Council on April 1990 was agreed by the LDP but in failed to pass the Diet. In this current situation, it is natural that the title "The Problems Related to the Political Reforms" was discussed at the symposium of the Japan Association of Legal and Political Science, 1991. We all admit the significance of the report issued by the Council which consists solely by non-politicians, however;we are also aware that the Council is also an advisory body of the Premier and the report is far from satisfactory. As our objectives being proposals of the new ideas which supplement current reform plans, this year's reports given at the symposium was very meaningful to the all members. The three reports, "The Correcting of the Representative Values" by Prof. Aminaka; "The Political Reforms and Electoral System" by Prof. Iwagami; and "The History of British Effors in Purifying the Political Funds" by Prof. Tomisaki all introduced the systems taken in the other countries to point out the weak points of the current plans. When we discuss the political reforms, it can be discussed on three main areas; the representative value, the electoral systems and the political funds. Although these three areas include wide range of technical problems, the things we must be aware of are the importance of the idea which the reforms are based on the importance of the Japanese culture when systems are considered. In otherwords, the reforms must be done under a posture which askes for whom and why the reforms have to be done otherwise the reforms could end up only as very superficial ones that are filled with politician's compromises. The three reports given at the symposium all cited other countries systems but it is naive for us to think they will work for Japan also. It is very dangerous to discuss the system without considering cultural differences. There is a need for us to introduce a system that best suits Japan. The issue on the political reforms is very difficult indeed. It doesn't only includes highly technical problmes but also many others. The current reform plans are far from satisfactory because they emphasize too much of the technical problems. We need to think more about our ideals and cultures. The technique is the way to achieve our goal and not the goal itself. If the current reform plans are to become really for our citizens, they need to be improved. As member of our Association, we all need further study on this issue as well as keeping a close eye on the plans.
著者
平博順 藤田早苗 小林哲生
雑誌
平成24年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012-09-14

本発表では、幼児の言語発達に影響を及ぼす可能性のある言語入力のひとつとして絵本に注目し、ひらがな解析に頑健な形態素解析器を用いて、絵本テキスト中に高頻度に出現する語彙の観点から分析を行う。
著者
松田 繁樹 林 輝昭 葦苅 豊 志賀 芳則 柏岡 秀紀 安田 圭志 大熊 英男 内山 将夫 隅田 英一郎 河井 恒 中村 哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.10, pp.2549-2561, 2013-10-01

本論文では,独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が開発した世界初のスマートフォン用多言語音声翻訳アプリケーション"VoiceTra"を用いた大規模実証実験に関して,VoiceTraシステムの概要,クライアントサーバ間の通信プロトコル,本システムで用いられた多言語音声認識,多言語翻訳,多言語音声合成の詳細を述べる.また,本実証実験中に収集された約1000万の実利用音声データの一部について,聴取による利用形態の分析,更に,実験期間中に行った音声認識用音響モデル,言語モデルの教師無し適応,言語翻訳用辞書の追加に対する音声認識,音声翻訳性能の改善について述べる.
著者
小林 薫
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
pp.JJMU.R.78, (Released:2016-04-04)
参考文献数
20

甲状腺の偶発腫瘤(腫瘍)の発見が増加しつつある.有病率がかなり高いものであり,超音波,CT,MR,PET検査,胸部レントゲン撮影,頸動脈エコーの施行時に甲状腺の腫瘍が偶発的にみつかっている.甲状腺腫瘤に対して良性悪性の鑑別が最重要であり,超音波診断基準を適用して超音波の診断を行う.次に細胞診施行の適応を考慮する.超音波診断において,良性でかつ小さい結節は細胞診を省略して,そのまま経過観察にする.それ以外は細胞診を施行する.その上で手術か経過観察かを決定する.超音波検査では悪性腫瘍,とくに乳頭癌を見逃さないことが重要である.乳頭癌の大部分は典型的画像を示すので診断は容易である.乳頭癌と診断されるときは頸部リンパ節転移の検出が必要である.微小乳頭癌がみつかる機会が増えている.それを高リスクと低リスクに分類し,低リスクの微小乳頭癌は手術を行わず経過観察を推奨しており,その結果は十分に満足できるものである.良性腫瘍の大部分は手術を行わず経過観察にする.一部に手術適応がありうる.一般病院の対応としてはどの時点で専門の施設に紹介するべきかを決定する必要がある.
著者
小菅 啓子 井上 和子 富田 弘美 杉山 真理 小林 茂雄
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.640-651, 1993-12-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
10

下着と上着の着用意識の関係, 並びに, 下着・上着の着用意識と社会心理的特性との関係を検討することを目的とし, 学生・OL・母親を対象に質問紙法により調査を行った.主な結果は次の通りである.(1) 下着・上着の着用意識について, それぞれ, 因子分析を行い各々8因子を抽出した.下着の因子は, コーディネイト志向, デザイン性, 規範意識, 機能性, 習慣性, 趣味嗜好性, 経済性, 着用感である.上着の因子は, ファッション志向, 多様嗜好, 心理安定感, 自己顕示, 個性化, 経済性, 外観性, 素材意識である.(2) 抽出された下着及び上着の着用意識の各因子間の相関を, 正準相関分析により解析した.下着の経済性の因子は, 上着の経済性, 多様嗜好性の因子との間に関連があり, 更に下着のコーディネイト志向の因子は, 上着の自己顕示, ファッション志向, 心理安定感, 素材意識との間に関連がある.(3) 下着・上着の着用意識と社会心理的特性の関係は, 双方の着用意識について, 自己顕示欲と好奇心との間に相関の有意性が認められた.(4) 被験者群の違いは, 下着の着用意識において, 母親は実用性, 学生は経済性を重視する傾向にあり, 上着の着用意識においては, 学生・OLは服装によって心理安定感を得, 母親は経済性や素材意識などの機能面を重視していることが認められた.更に, 社会心理的特性については, 学生は同調と情報欲求, OLは自己顕示欲, 母親は同調の各特性と, 下着の着用意識との間に相関の有意性が多く認められた.
著者
後山 尚久 萩原 暢子 中野 未知子 小林 喜美代 石原 多恵 福永 知子 藤原 祥子
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.688-693, 2015 (Released:2015-06-29)
参考文献数
16

目的:我が国の子宮頸がん検診率の低迷の要因を明らかにする目的で,子宮頸がん検診の受診行動に関する意識調査を実施した.方法:対象は2011年度に当施設で対策型子宮頸がん検診を受けた20~30歳代の638例,および2010年1月より2014年3月までに当施設で子宮頸がん予防ワクチンの任意接種を終了した116例であり,子宮頸がん検診に関する意識調査を自己記入式アンケートにて実施した.結果:20~30歳代の女性の子宮頸がん検診を受けなかった理由の75.1%は「なんとなく,きっかけがない」であり,「自分には無縁」が28.7%にみられた.今回検診を受けた理由の69.4%は「子宮頸がん検診クーポンの送付」であった.このことは,子宮頸がん検診の意義の伝達の徹底の必要性と何らかのきっかけの提供が検診への行動化に繋がることを示している.また,理想とする検診間隔として毎年とする意見が60.5%を占めていたが,実際には毎年および隔年の受診がそれぞれ16%であった.これに対して,予防ワクチンの存在を知り,それを実際に接種した女性の92.5%に今後の検診継続意欲が認められた.結論:検診行動の国際レベルへのシフトは,子宮頸がん検診の認知度の向上とともに,子宮頸がんは予防できるがんであるという,疾患を理解したうえでのきっかけの提供による行動化の推進にあることが推測された.