著者
大村 知子 山内 幸恵 平林 優子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.393-402, 2008 (Released:2010-07-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

人体の動作により衣服にはひきつれやだぶつきといった着くずれが生じる.本研究では,姿勢変化の過程における人体とパンツの軌跡を三次元動作解析システムにより捉え,動作により人体とパンツがずれるプロセスの解明を試みた.また,ずれの量や方向についてパンツ別,被験者別,動作別に比較を行った.主な結果は次のとおりである.(1)ずれの量は開口部で大きく,ずれは皮膚の伸展の大きい部位に向かって生じた.(2)ずれはアンクルラインやニーラインなど衣服にゆとりが多い部位で先に生じ、それからウエストラインなど衣服のゆとりが少ない部位で徐々に生じる傾向にあった.また,ずれは水平方向や横方向へ先に生じ,その後に垂直方向に生じる傾向にあった.(3)股上が浅く,ゆとりの大きいパンツは,後ウエストラインにおいて下方へのずれの量が大きかった.立位から蹲踞への動作では立位から椅座への動作よりウエストラインにおいて後方へのずれの量が大きかった.また,ずれの量や方向は被験者の着衣の仕方や好みに影響を受けた.
著者
中井 靖 青木 勝也 松本 吉弘 篠原 雅岳 影林 頼明 三馬 省二
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.983-986, 2013-11-20

症例:44歳,男性。外尿道口より陰茎陰囊境界部までの尿道腹側をカミソリで鋭的に完全切開され,近医で尿道単純縫合を受けたが,尿道は完全哆開した。以後,無治療であったが,13年後,再婚を転機に尿道再建術を希望して当科を受診した。尿道粘膜は再建に使用可能と判断し,尿道下裂に準じてThiersch法により一期的尿道形成術を施行した。留置カテーテル抜去後,立位排尿が可能となった。外傷性前部尿道損傷の原因として,尿道カテーテルによる損傷や尿道異物による尿道皮膚瘻などの報告はあるが,われわれが調べた限りでは,自験例のように意図的に広範囲に縦切開された尿道に対して尿道形成術を施行した報告はなかった。
著者
丹野 治門 倉林 利行 張 暁晶 伊山 宗吉 安達 悠 岩田 真治 切貫 弘之
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.3_121-3_147, 2017-07-25 (Released:2017-08-09)

テスト設計を効率よく行うために必要となるテスト入力値生成技術に関する調査を行った.ソフトウェア工学分野とソフトウェアテスト分野における5つの主要会議 (ICSE,FSE,ASE,ISSTA,ICST)の過去約10年分の研究論文を調査対象とした.本論文では,これらの手法を目的別に整理したうえで,それぞれの手法の概要を紹介する.
著者
林 嵩文
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科内『法学政治学論究』刊行会
雑誌
法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.123, pp.127-158, 2019

一 序二 「真の政治の精神」とドイツ国制の問題 (一) 諸侯同盟とアトランティスの物語 (二) 諸侯の集権化とレガーリエン三 アナーキーとしての封建制 (一) モンテスキューの封建制論 (二) ロバートソンとフィランジエーリの封建制理解四 自由の秩序としての封建制 (一) 封地の定義 (二) 反事実的モデルとしての封建制五 結語
著者
林 誠二 村上 正吾 徐 開欽 渡辺 正孝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地球環境シンポジウム講演論文集 (ISSN:18848419)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.79-86, 2004-08-02 (Released:2011-06-27)
参考文献数
9

To evaluate the protection effect of the Three Gorges Dam Project (TGP) on the flood in the middle region of the Changjiang River basin, we applied the integrated watershed hydrological model using gauged daily precipitation data of 1998 when the second largest flood occurred in the basin in the last century. From the results simulated by applying the discharge volume controlled by each upper limitation value from 40, 000 m3/s to 60, 000 m3/s, we could not find the clear effect on the reduction of the water level during flood period not only in the Dongting Lake but also in the Changjiang mainstream in the cases that the upper limitation discharge value were over 50, 000 m3/s. In the case that the upper limitation value was 40, 000m3/s, although the flood protection effect was clearly exerted in both the mainstream and the lake, the simulated storage volume of TGP remarkably exceeded the total flood control volume (221.5×108 m3) at the peak of inflow to TGP. These results suggested that TGP flood control ability does not efficiently work for the decrease of flood damage in the middle region of the Changjiang basin in case of the occurrence of 1998 type flood phenomena.
著者
松林 達史 幸島 匡宏 林 亜紀 澤田 宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.713-720, 2015-11-01 (Released:2015-10-27)
参考文献数
22
被引用文献数
6 7

In marketing science field, modeling of purchase behavior and analysis of brand choice are important research tasks. This paper presents a method that enables such analysis by time-series pattern extraction based on Non-negative Tensor Factorization (NTF). The development of the scanning devices and electronic payments (e.g. online shopping, mobile-phone wallet and electronic money) has led to the accumulation of more detailed POS data including the information about purchase shop, amount of payment, time, location and so on and it brings possibilities for more deep understanding of purchasing behaviors. On the other hand, due to the increase of the number of attributes, it is still difficult to effectively and efficiently handle large feature quantities. In this paper, we consider feature quantities as high-order tensor. Then, using NTF for simultaneous decomposition of multiple attributes, we show analytic effectiveness of pattern factorization for real Beer Item/Brand purchase data. By applying NTF considering three axes: USER-ID × TIME-STAMP × ITEM-ID,we find several temporal tendencies depending on the season.In addition, by focusing on the purchase-pattern correlations between beer items and brands, we find that the tendencies of brand choice strategies appear on the graph drawing results.
著者
林 貴啓
出版者
日本トランスパーソナル心理学/精神医学会
雑誌
トランスパーソナル心理学/精神医学 (ISSN:13454501)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.70-76, 2008

本論考は、『物質と記憶』『創造的進化』などで知られるH. ベ ルクソンを「スピリチュアリティの哲学者」として再評価するこ とを目的とする。スピリチュアリティの立場の妨げの一つは、そ の志向が現代社会で支配的な世界観―機械論的世界観、自然科学 的実証主義―と衝突することである。ベルクソンの創造的持続の 哲学は、こうした近代主義的世界観を乗り越える道を今なお示唆 しうる。さらに分析的知性・言語とは別のしかたで創造的なリア リティに触れる「直観」という道を示した認識論は、決して反知 性主義ではなく、既存の知の枠組みを打破し、より高次なリアリ ティを開示するものであり、確かな方法論に裏打ちされている。
著者
中林 雅士
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.317-323, 2011-08-01 (Released:2017-04-20)
参考文献数
5

大学財政規模が縮小する中,図書館運営予算も削減を余儀なくされている。加えて,大学間の競争は激しさを増しており,図書館はこのような環境変化の中で,自らのミッションを堅持しつつも,新たな環境に適応する必要に迫られている。直近の課題の1つは,図書館運営費の安定確保である。図書館を取り巻く多くのステークホルダーに対する社会的責務を果たすためには,財政問題を避けては通れない。本稿では,図書館運営費の安定確保について,図書館と国庫助成,図書費,業務委託費を取り上げつつ考察する。
著者
若林 真衣子
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部保健福祉学科
雑誌
保健福祉学研究 = Journal of health and social services (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.27-35, 2016-03-31

アルコール依存症(以下、ア症)者への支援は,飲酒のコントロールを取り戻す「治癒」を目指すのではなく,断酒を継続しながら社会生活を続けていく「回復」を目指すためのものであり,ア症者の自助グループ(以下、SHG)では「仲間とともに行われる自己との向き合い」を通して行われる.本研究では,「回復」過程での変化の対象として自己意識(公的自己意識〔他者の目に映った自分自身への意識〕・私的自己意識〔自分自身の内省よりとらえた自己意識〕からなる)を取り上げた.自己意識に関する項目と属性に関する項目で構成した質問紙調査を,ア症専門治療機関のア症患者94名,ア症SHG会員280名の計374名に対し行った.その結果断酒期間が長くなるにつれ,公的自己意識が下がり, 再飲酒リスクが高いほど,公的自己意識が高くなる傾向がみられた.ア症者の回復には自己意識,特に公的自己意識の低減が関係している可能性が示唆された.

6 0 0 0 OA 牛込区名鑑

著者
小林徳十郎 編
出版者
自治めざまし新報社
巻号頁・発行日
vol.大正15年版, 1925
著者
林 俊春 内海 文枝 高橋 令治 藤原 公策
出版者
日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.197-210, 1980
被引用文献数
1 13

臨床および病理学的に非滲出型の伝染性腹膜炎(FIP)と診断されたネコ7例について病理組織学的に検索した. 病理組織学的変化は滲出型と同じで, 主として腎, 肝, 腸間膜リンパ節, 肺, 脳, 眼に見られる血管炎および壊死をともなう肉芽腫性炎であった. 非惨出型自然例のうち1例の腎由来の材料を接種された12例の仔ネコには, 滲出型(10例), 非滲出型(2例)の両型が発現した. 自然例および伝達例の観察から, 壊死病変に先行して初期には大単核細胞におけるウイルス増殖が注目された.
著者
薄 培林
出版者
関西大学東西学術研究所
雑誌
関西大学東西学術研究所紀要 (ISSN:02878151)
巻号頁・発行日
no.47, pp.207-224, 2014-04

In the late nineteenth century, the international order in East Asia was undergoing a transition from tradition to modernity. Relations among the nations in the region were being radically transformed. In the 1870s, confrontation between the Japanese and Chinese governments regarding sovereignty over the Ryukyu Islands was aggravated. In the midst of these difficulties, the late-Qing intellectual Wang Tao (王韜) was invited by Japanese scholars of Chinese literature and culture to Japan, where he made the acquaintance of many Japanese intellectuals of the period. Wang Tao's visit took place immediately after the Meiji government had carried out the "Ryukyu shobun" (policies that eventuated in the annexation of the Ryukyus by Japan as Okinawa Prefecture), a time when tensions between China and Japan had reached a new level. This paper focuses on the issue of the Ryukyus as a source of conflict between Japan and China in the 1870s and 1880s. It analyzes the related writings by Wang Tao and his Japanese acquaintances such as Nakamura Masanao (中村正直), Shigeno Yasutsugu (重野安繹), and Oka Senjin (岡千仞). It examines the question of how Japanese and Chinese intellectuals perceived the international status and identity of the Ryukyus in the rapidly changing East Asian international order, and how they associated the Ryukyu issue with Sino-Japanese relations at the present and the triangular relations of China, Japan and the Ryukyus in the future. At the same time, this paper will highlight the contradictions between the perceptions of these intellectuals concerning the Ryukyu issue and their proposals to "Develop Asia" (興亜), and analyze the nature of the intellectual shift toward modernity manifested in the perceptions of international relations and global politics by the Chinese and Japanese intellectuals of this period.
著者
小林 道彦 森 靖夫 瀧井 一博 西田 敏宏 奈良岡 聰智 松本 浩延
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、山県有朋および山県系官僚閥に関する内外史料の収集と整理・分析を通じて、新版『山県有朋意見書』を編集・公刊し、「日本の近代」の再検討を行おうとするものである。底本には大山梓編『山県有朋意見書』(原書房、1966年刊行、以下「大山本」と略称)を用いる。大山本は日本近代史研究などの学問分野における最も基本的な「データベース」として、長年多くの研究者に利用され、多大なる学問的恩恵をもたらしてきた。本研究は爾後半世紀あまりにわたって関係諸機関によって、収集・公開されてきた史料を中心に、新たな史料の探索にも注力しつつ、それらを整理・統合した新版『山県有朋意見書』を公刊することを目的とするものである。2年度目にあたる本年度は、研究実施計画に沿って着実に研究実績を積み重ねることができた。その概要は以下の通りである。①大山本に掲載されている意見書の典拠確認・史料原本の複写作業はほぼ完了した。ただし、10点あまりは典拠不明である。②『公爵山県有朋伝』『明治天皇紀』『明治天皇御伝記史料・明治軍事史』『陸軍省沿革史』等の刊本からの、関連箇所の複写とデータ入力作業は完了した。上記作業に関しては、松本浩延(同志社大学法学研究科博士後期課程)、徳重伸(同博士前期課程)、井本莞司(同博士前期課程)を研究協力者として作業を行った。③前年度に引き続き、大山本に収録されていない意見書の探索を、国立国会図書館憲政資料室、防衛省防衛研究所図書館、国立公文書館、奥州市立後藤新平記念館、憲政記念館、山口県文書館などで進めており、43点あまりの未刊行の新出意見書を見つけ出すことができた。また、海外での史料調査も適宜実施した。④以上の史料リストを全部統合した「統合リスト」を作成し、それを元に出版社(千倉書房)との出版交渉を行った。