著者
小林 健彦 KOBAYASHI Takehiko
出版者
新潟産業大学附属東アジア経済文化研究所
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.41, pp.41-48, 2013-02

豊臣秀吉は、天正18年(1590)7月に小田原の北条氏を滅亡させ、その後徳川家康を関東へ移封したのを始めとして、大規模な移封や除封を行なった。彼は天皇家の持つ伝統的な権威を背景として惣無事(令)をも布告し、この段階を経て、最早関白としての軍を率いる秀吉に正面から戦いを挑む勢力は、少なく共、日本国内には存在しなくなっていたのである。そして、その直後から彼の眼は既に海外に向けられていた。翌年9月には朝鮮征討を下令し、朝鮮側が秀吉に依って要請された「征明嚮導」を拒否したことを一つの口実として、同20年3月には16万人、9軍編成からなる関白の軍が韓半島へと投入された。しかし、こうした軍事的な行動とは裏腹に秀吉に依る対東アジア政策には不明な点も多い。本稿では、彼の発給した外交文書等に関わる様式や内容の分析、そして再検討を通して、彼の目指していた明国を頂点とする東アジア的秩序の再構築構想に就いて検討を加えた。
著者
川村 欣也 小林 良正 高橋 和明 早田 謙一 住吉 信一 川田 一仁 高橋 百合美 牧野 さつき 則武 秀尚 中村 浩淑 安倍 夏生 新井 雅裕
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.418-424, 2010 (Released:2010-09-02)
参考文献数
15
被引用文献数
7 11

シカ及びイノシシの生食により感染したと思われるE型急性肝炎3例を経験したので報告する.症例1,2は71歳と48歳の男性で発症の約2カ月前に,偶然同一飲食店で別々にイノシシの肝を生食していた.症例3は69歳の男性で,発症の2カ月前から息子が狩猟で捕獲した複数頭のシカ生肉を頻回に自宅で調理し摂取していた.3症例とも入院時,肝逸脱酵素は著明に上昇していたが補液や安静で改善した.3症例の病初期血清におけるIgM-HEV抗体,IgG-HEV抗体,HEV-RNAが陽性でHEV genotypeは4型,塩基配列は相互に99.8%以上一致した.愛知県のヒト及びイノシシから分離されている「4型HEV愛知株」との間にも98.5%-99.8%の一致率を示し,北海道に蔓延するgenotype 4とは明らかに別系統であることが注目された.
著者
小沼 洋治 林 美智子 林 裕晃 西原 貞光
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.277-282, 2012-03-20 (Released:2012-03-24)
参考文献数
12
被引用文献数
4

We tried to remove contamination of radioisotope (RI) for an X-ray detector (photostimulable phosphor plate; IP) and verified that our procedure suggested by Nishihara et al. was effective for decontamination. The procedure was as follows. First, the IP was kept for approximately twelve hours, and then it was processed [image (A)] as well as a clinical processing mode. Second, using a wet-type chemical wiper, we scavenged the IP to remove the adhered RI on its surface. Then, once again, the IP was kept for approximately fifteen hours and processed [image (B)] in order to check an effect of decontamination. Finally, the two images of (A) and (B) were analyzed using ImageJ, which can be downloaded as a free software, and a percentage of removal was calculated. The procedure was applied to two IPs using the FCR 5501 plus. In the present case, the percentage of removal was approximately 96%. The removed radioisotopes in the chemical wipers were analyzed by Ge detector. Then, 134Cs and 137Cs were found with activities of 2.9 4.3 Bq and 3.5 5.2 Bq, respectively. For three months after that, we cannot see black spots on the IPs owing to the contamination of the RI and there are no defects caused by decontamination using a wet-type chemical wiper.
著者
中島 誠 中木原 由佳 高橋 武士 野間口 寛 寺師 守彦 林 秀樹 杉山 正
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.13-21, 2016 (Released:2016-06-13)
参考文献数
19

Objective: We have used therapeutic drug monitoring (TDM) analysis software to set the initial dose of vancomycin in our hospital.  In contrast, the TDM guideline, in which the initial dose of vancomycin per body weight was set, was published in 2012.  We looked forward with utilizing the TDM guideline in the clinical setting, after which we conducted multiple surveys to determine the important points of the TDM guideline.Methods: We surveyed patients treated with vancomycin, in whom the initial dose was set using the TDM analysis software and the concordance rate between the vancomycin dose set with the software and that set with the TDM guideline.Results: The concordance rate of vancomycin dose was 42.1%.  The mean age of the high-dose group (vancomycin dose higher than that recommended by the TDM guideline), was younger than that of the recommended-dose group.  Additionally, the mean body weight of the high-dose group was significantly lower than that of the recommended-dose group.  The corrected creatinine clearance of the low-dose group was significantly lower than that of the recommended-dose group.Conclusion: Our results suggest that when the initial dose is set after referring the TDM guideline in patients who are not very high age, and having low body weight and decreased renal function, the dose may differ from the dose set by using TDM analysis software.  In addition, since the recommended dose per body weight is a range and not a single value, setting the dose appropriate to target trough concentration is necessary.
著者
堀井 洋 林 正治 堀井 美里 上田 啓未 山地 一禎 高田 良宏
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.217-220, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

古文書や科学実験機器など所謂”博物資料”に関しては,将来に向けた保存・継承 とともに広く社会における活用や普及が求められている.発表者らは,これまで 明治・大正期の科学実験機器資料や教育掛図資料に関する博物資料情報をリポジトリ公開し,それらに対してデジタルオブジェクト識別子(DOI: Digital Object Identifier)を付与する試みを実施してきた.本発表では,その概要を紹介するとともに,社会における活用など今後の展望について述べる.
著者
宮田 仁 大隅 紀和 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.3-13, 1997

Logoによるプログラミングの学習で伸長した問題解決能力が, プログラミング以外の他の状況に転移するかという問題を, 指導方法との関係で分析した. その結果, 間題解決のプロセスを重視したアプローチでプログラミングを指導した場合, 間題解決能力の転移が起こりやすいことが「ハノイの塔問題」という解析的課題において実証された. プロセスを重視したアプローチでは, (1)構造化されたワークシート, (2)メタ認知を促進する教育的介入方法, (3)社会的状況場面で学習者がリフレクト(内省)できる学習環境の準備が必要であり, 具体的方法としてメタ認知促進カード(Metacognitive Prompt Card)をペア学習で使用した.
著者
明石 孝也 南口 誠 林 重成 清野 肇 上田 光敏
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

酸化ジルコニウムを分散させたアルミニウム中間層を用いた液相酸化接合によって、固体酸化物燃料電池構成部材のイットリア安定化ジルコニアとステンレス合金の間に酸化アルミニウムと酸化ジルコニウムの複合層を生成させることで,高い酸素ガスシール性と優れた耐熱サイクル性を有するシールを形成することに成功した。また、酸化ニッケルを分散させたアルミニウム中間層を用いた液相酸化接合によっても接合部の耐熱サイクル性を向上させた。
著者
林 重成 坂口 紀史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

Ni-低Al合金上への金属コーティング(最大100nm厚)によるAl_2O_3スケール形成の臨界Al濃度の低減について検討し、Ptコーティングと熱処理との組み合わせにより、最小臨界Al濃度は14at%まで低減できた。一方、他の金属コーティングでは顕著な効果が得られなかった。Ptコーティング材では、熱処理後にAlのアップヒル拡散が確認され、これが低Al合金上へのAl_2O_3形成を促進したと考えられる。

6 0 0 0 OA 柳生旅日記

著者
桃川燕林 講演
出版者
日吉堂
巻号頁・発行日
1894
著者
中村 妙子 奥田 眞紀子 松本 しのぶ 栗林 千幸
出版者
奈良佐保短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13485911)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.35-43, 2006

自然や季節感を大切にしてきた高齢者は,生活空間の中で季節感を感じることでイメージが広がり,より心地よさを感じると思われる.その季節感は,季節の物だけでなく,色によっても演出することができるのではないかと考え,季節感と色の関係を系統的な色票を用いて検討した.カラーサンプルとして,日本色彩研究所の新配色カード 199cを使用し,ランダムに並べ替えた色票を光源ボックスの中に入れ,20歳前後の学生20名に,"春","夏","秋","冬","感じない"のいずれかに評価してもらった.その結果,春はピンク系が,夏は青系が,秋は茶系が,冬は,彩度の低い色が上位を占めた.季節のイメージを調べると,春は桜,夏は海,秋は紅葉,冬は雪が,突出して選ばれ,季節に代表される自然が,季節の色に最も大きな影響力を及ぼしていた.逆に言えば,季節の色からそれらの事がイメージできると考えられるその結果,季節に代表される自然が,季節の色に最も大きな影響力を及ぼしていた.季節の色を,色相,トーン別に分析すると,以下のように季節ごとに明らかな傾向が見られた.春・・・色相:ピンク系,黄緑系,緑系,トーン:light,bright,pale夏・・・色相:青,青紫系,トーン:vivid, bright秋・・・色相:暖色系,トーンは,dark,deep, dul, soft冬・・・色相:青紫系,紫系,トーン:dark grayish,grayish, light grayish施設内で,季節ごとに季節感のある色彩を用いることにより,色から自然へのイメージが広がり,心地よい空間が演出でき,利用者への心理的効果は大きいものと考える.
著者
吉村 貴克 徳田 恵一 益子 貴史 小林 隆夫 北村 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.8, pp.1565-1571, 2004-08-01
被引用文献数
4

本論文は,HMMに基づいた音声合成システムに混合励振源モデルを導入することにより,合成音声の品質向上を図ることを目的とする.我々はこれまでに,メルケプストラム,基本周波数,継続長をHMMの枠組みでモデル化し,HMMからこれらの音声パラメータを出力することによって音声を合成するテキスト音声合成システムを提案した.このシステムでは,合成フィルタ(MLSAフィルタ)を励振する際の励振源モデルとして,有声区間,無声区間でそれぞれパルス列と白色雑音を切り換える単純なモデルを用いている.このような励振源を用いる場合,有声摩擦音のように周期成分と非周期成分をともにもつ音声を合成することができず,合成音声の品質を劣化させる原因となる.そこで本論文では,パルス列と白色雑音を混合する混合励振源モデルを用いることにより高品質な音声を実現している狭帯域音声符号化手法MELPの混合励振源モデルを導入する.この混合励振源モデルは,狭帯域音声符号化だけでなく,広帯域音声符号化へも応用されていることから,音声合成においても有効性が期待される.更に,多くの音声符号化手法で用いられているポストフィルタを導入し,合成音声の品質を向上を図る.また主観評価実験により,本システムにおける混合励振源モデルとポストフィルタの有効性を示す.
著者
野寺 綾 唐沢 かおり 沼崎 誠 高林 久美子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.195-201, 2007

The purpose of this study is to examine the promoting effect of a fear of death on the activation of gender role stereotypes. Terror management theory proposes that when mortality is salient, people heighten the tendency to support their cultural worldview. Since stereotypes are considered to represent cultural worldview, a fear of death should increase the responses consistent with the stereotype. In this study, the activation of stereotypes regarding gender roles (e.g., "Housekeeping is a job for women.") was measured with an Implicit Association Test (IAT). Participants were 48 male undergraduate and graduate students. The results showed that the participants who completed the questionnaire implying mortality had a larger IAT effect than those who completed the questionnaire unrelated to mortality, and that death-related anxiety led to the activation of gender role stereotypes. It is claimed that terror management theory has theoretical value for studies on stereotype activation, as well as a function in justifying a system such as gender role in stereotype activation.
著者
松本 啓吾 武野 計二 大島 義人 小林 真
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.48-54, 2015-01-20 (Released:2015-01-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

福島第一原子力発電所事故による放射性物質汚染地域の有効活用のため,草本系エネルギー作物であるエリアンサスを栽培し,ガス化発電するシステムを想定した基礎検討として,ガス化炉を模擬した管型試験炉を用いた基礎試験および平衡計算結果をもとに,放射性物質で最も危険性が憂慮されるCsの各機器への移行について評価した.エリアンサスを用いた管型試験炉による基礎試験の結果,電気炉後流の冷却過程におけるCs回収率は,ガス化時に近い熱分解条件では0.4%以下となり,燃焼条件(10%以上)に比べて非常に低いことが示された.この理由を平衡計算により考察した結果,燃焼条件では低温でも高分圧で存在するCsNO3が熱分解条件では生成しないためであることが示された.また,マスヒートバランス検討をもとに放射性物質の気相中への飛散や排水中への混合を極力低減したガス化システムを提案し,平坦農地を確保可能な福島県浪江町の居住制限区域を例としてケーススタディを実施した結果,ガス化プロセスが放射性物質汚染地域活用の有効な手段のひとつであることが示された.
著者
畑林 一太郎 新井 紀子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.511-515, 2011-12-01
参考文献数
4

学校教育法施行規則等の省令改正を背景に,研究機関毎での研究者総覧構築のニーズが高まっている。研究者向けサイエンス基盤サービスResearchmapには,外部システムに対してデータ提供する機能が用意されている。この機能を利用することで,各研究機関は機関毎の研究者総覧を低コストかつ,短期間で公開することが可能になった。また,研究者は自身の研究活動における情報を高品質でかつ,長期間にわたって安定的に公開することが可能になった。本論文では,同機能を使った研究機関の研究者総覧をクラウド上に構築した際のメリットを提示する。