著者
実森 正子
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.37-45, 2009 (Released:2009-07-28)
参考文献数
51

Dogs have shared a common environment and similar selective pressures with humans through the time of domestication. About 60 years ago, Lorenz (1949) proposed that in many ways dogs are possibly more human-like than any other animals, including nonhuman primates. Only recently, however, scientific studies have evinced the specialized social skills of dogs. The relationships between humans and domestic dogs have deepened and changed, which highlighted or rather increased practical and ethical problems on the relationship between these two species. Some dogs are considered as members of the family, while some others are ill-treated and abandoned due to their behavior problems. In an attempt to examine how animal psychology can contribute to the dog-human relationship in modern society, this article reviews the application of behavior technology to behavior problems of dogs, the problems arising from the massive disparities in the treatment of dogs, and the view and traditional attitude towards animals in the theories of animal ethics.
著者
神楽岡 澄 大森 正子 高尾 良子 山田 万里 室井 雅子 長嶺 路子 深澤 啓治 永井 恵 和田 雅子 星野 斉之 吉山 崇 前田 秀雄 石川 信克
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.611-620, 2008-08-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
27
被引用文献数
1

〔目的〕結核対策事業の展開を軸にDOTS事業成績を評価し,都市結核対策のあり方を検討する。〔方法〕ハイリスク者結核検診の受診率と患者発見率の推移を検証した。DOTS拡大の前後で,治療成績を比較するとともに,再治療率と薬剤耐性率の推移を検討した。〔結果〕新宿区の結核罹患率(2006年)は人口10万対425までに低下したが,全国の罹患率と比較すると依然2倍以上の高さである。日本語学校検診およびホームレス検診からの患者発見率はともに有意に低下していた。治療成績のうち脱落率は,DOTS実施前には17.9%(1998~99年)と高かったが,65%(2002~04年)に減少した。再治療率は2000~06年にかけて23.0%から7.8%へ,年平均17.2%の減少(p<0.001)を示した。多剤耐性率は2000~02年から2003~06年にかけて1.6%から0.2%(p=0.042)へ,その他の耐性率は12.0%から9.7%(p=0.298)へ低下した。〔考察〕ハイリスク者結核検診による患者の早期発見・早期治療に加えて,地域の関係者と連携を図りながらライフスタイルに合った様々な服薬の支援方法を開発し,患者自身が選択できるDOTS方式を推進した。その結果,脱落率,再発率の低下につながったと考えられる。耐性率の低下の要因については,感染ルートの検証も含めてさらに検討する必要があろう。
著者
実森 正子
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.7-18, 2013 (Released:2013-07-31)
参考文献数
46

The field of animal learning and behavior has a long history and continues to contribute in important ways to the understanding of cognitive processes in different animal species as compared to human beings. Animals have considerable flexibility to optimize their behaviors in solving particular problems as well as coping with ever-changing circumstances. Research on learning mechanisms from a comparative perspective may deepen our understanding of functional significance of cognitive behaviors of both human and nonhuman species. Examples are taken from studies of list memory, categorization, formation and expansion of equivalence relations among physically different stimuli, and visual search for category.
著者
伊藤 邦彦 和田 雅子 吉山 崇 大森 正子 尾形 英雄
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.461-467, 2004-08-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
9

[目的] 化学療法による治癒ないし中断後再発例の耐性率を調査し, 獲得耐性のrisk factorを分析する。 [方法] chart review。 [対象] 1993年~2003年に複十字病院で再発結核の治療を開始した, 前回感受性ないし耐性不明例。 [結果] 分析対象再発例 (N=200) での耐性率 (主要4剤/any) は16.5%で初回耐性率 (11.1%) よりも有意に高かった。再発時耐性率は前回治療方式および前回治療時の耐性判明状況に大きく影響され, 前回感受性例での耐性率 (any) は4.3%で初回例よりも低かったが統計的有意差はなかった。再発時獲得耐性の有意なrisk factorは不規則内服を含めて患者側の因子は見出せなかった。 [考察と結論] 再発結核の治療にあたっては前回治療方式や菌検査情報把握が必要である。再発時獲得耐性のrisk factorの検討からは医療者側のmiss managementがその主因を占める可能性も推測され, 今後これを強力に指導し得るような結核対策上のシステムが必要とされる可能性が示唆された。
著者
樫原 正澄 赤井 洋子 石川 友美 伊藤 佳代子 佐保 庚生 辰己 住子 森 正子
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.403-460, 2022-03-10

第2次世界大戦以降における大阪府内学校給食の変遷について考察を加えた。それを踏まえ、今後の課題を解決するための視点について論述した。第1としては、「学校給食法」の趣旨に基づいて、学校給食を子どもの成長に資するものとするように、関係者は努めることである。第2としては、学校給食の調理業務の民間委託によって、調理現場において起こっている変化について正確に把握して、必要な対策を講じることである。第3としては、学校給食を考える主体の形成である。
著者
木下 節子 大森 正子 塚本 和秀 大塚 五郎 益子 まり 藤生 道子 高橋 司 星野 斉之
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.749-757, 2007-10-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
23

〔目的〕都市における結核発病の実態を報告し,今日の都市結核対策を検討する。〔方法〕症例研究を中心に行った。各症例の社会背景と結核菌DNA指紋分析を加えた菌情報により感染経路を調査した。〔結果〕2005年2月よりの1年5カ月の間に,川崎市川崎駅周辺の約500m四方の地域で9例の結核発病を確認した。9症例は16~55歳の比較的若い年齢層で,3例はホームレスであった。接触者健診の過程で,すべての症例が川崎駅周辺を生活活動圏としており,ネットカフェ等での関連が推測された。9例中7例はSM耐性菌であり,そのうち5例はDNA指紋分析により同一パターンを呈した。〔考察〕本事例はネットカフェ等の不特定多数利用施設を中心とした感染と考えられた。都市にはこのような施設が多く,若年者層とともにホームレス等の社会的弱者も利用する。結核未感染の若年者層と結核ハイリスク層とが閉鎖的空間を長時間共有する環境は,いったん結核菌の喀出があれば,容易に感染が起こりうることを示唆した。結核の都市偏在にはこのような社会環境も影響しており,それらを加味した総合的対策が求められる。
著者
吉川 一輝 大橋 拓実 小嶌 健仁 本多 悠真 石尾 広武 高田 真澄 大森 正子 宮尾 克
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.12-18, 2016 (Released:2016-01-30)
参考文献数
22

Objectives: Recent advances in three-dimensional (3D) display technology have contributed significantly to society, particularly in the increasing use of stereoscopic characters. For example, 3D text information is utilized in digital signage. However, research on 3D characters is limited and discussion on the safety and comfort of 3D technology is lacking. According to the 3D Consortium Safety Guidelines in Japan, a comfortable visual parallax with 3D images is less than ±1.0°. However, 3D text must be shown in front of its associated content in order for it to be displayed simultaneously with that content. Methods: We carried out an experiments to verify the permissive limits of cognition in subjects regarding the parallax of 3D images. In the experiment, 94 subjects aged 18 to 81 viewed a 3D flat Maltess cross image having no depth and projected outward from a screen at a large parallax of 1.0° to 6.0°. Results: Eighty-six percent of the subjects recognized the 3D flat image even when it protruded at a 2.0° parallax. These subjects viewed the image comfortably and without visual problems. Conclusions: This study concludes that people can cognitively recognize a 3D telop at a 2.0° parallax without feeling fatigued.
著者
大森 正子 和田 雅子 吉山 崇 内村 和広
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.435-442, 2003-06-15
参考文献数
19
被引用文献数
6

老人保健施設における結核の早期発見方策を検討する目的で, 1都4県358の老人保健施設にアンケート調査を実施し, 169 (47.2%) から回答を得た. 施設は併設病院あり36.1%, 診療所あり12.4%, どちらもなし51.5%で, 平均年齢は入所者83.2歳, 通所者79.6歳, 平均利用期間は入所者7ヵ月, 通所者13ヵ月だった. 施設利用時に胸部X線検査を実施していた施設は入所者42.6%, 通所者23.7%, 利用期間中に結核検診を実施していた施設は入所者45.6%, 通所者15.4%だった. 職員への定期結核検診は94.7%の施設で実施していた. 入所者の食欲低下や全身倦怠といった症状は, 67.5%の施設で毎日点検していると答えたが, 呼吸器症状は18.9%と少なかった. 2週間以上続く呼吸器症状で病院を受診させる際, 入所者では93.5%の施設が文書を持たせ, 63.9%が胸部X線と喀痰検査を依頼すると答えたが, 通所者では医療機関受診を勧めるだけで特に症状を説明する文書を持たせず結果を確認することもしないと答えた. 結核患者発生率は, 施設利用者10万対104.6で, 調査地域の一般住民 (同年齢) の結核発生率よりやや高かったが有意の差は見られなかった. 老人保健施設は医療機関とみなされ結核予防法で健診の対象にはなっていない. 法的措置の基に効果的な患者発見方策を確立する必要がある.
著者
関口 勝夫 牛谷 智一 実森 正子
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.95-105, 2011 (Released:2011-07-15)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

Two experiments investigated the processing of global and local information by pigeons. In Experiment 1, pigeons were trained to discriminate four hierarchical stimuli composed of two letters at global level and two other letters at local level. Color frames predicted the level to be tested in the subsequent two-alternative forced-choice test. The pigeons learned to discriminate the global/local compound stimuli and then showed successful transfer to the stimuli composed of novel letters that were irrelevant to the subsequent test. In Experiment 2, new pigeons were trained with the stimuli that had relevant letters only at one level. The local-relevant and global-relevant stimuli appeared in alternating daily sessions, so that the daily context allowed attention to be directed to the appropriate level. Performances on probe trials for the familiar training stimuli and novel global/local compound stimuli were compared under the context-consistent and context-inconsistent conditions. The tests revealed a cognitive precedence for local information of the compound stimuli.
著者
大森 正子 和田 雅子 西井 研治 中園 智昭 増山 英則 吉山 崇 稲葉 恵子 伊藤 邦彦 内村 和広 三枝 美穂子 御手洗 聡 木村 もりよ 下内 昭
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.647-658, 2002-10-15
参考文献数
15
被引用文献数
4

検診成績を利用し中高年齢者の結核発病予防の方法論と実行可能性を検討した。対象は50~79歳男女, 胸部X線で1年以上変化のない陳旧性結核に合致する陰影があった者 (440名) のうち, 住所の提供, 研究への同意, 事前の諸検査で問題のなかった29名となった。治験対象者を無作為に6カ月のINH服薬群 (14名), 経過観察のみの非服薬群 (15名) に分けた。服薬中副反応を訴えた者は6名 (42.9%), うち治療開始後2週以内に胃腸症状を訴えた2名 (14.3%) は肝酵素値に異常はみられなかったが服薬を中止した。副反応を訴えなかった者でも2名に肝酵素の上昇が認められた。その異常は服薬開始2カ月後から出現し, 長く継続した者でも服薬終了後には正常値に戻った。これまで追跡不能は3名, 1名は服薬終了時X線上活動性結核と診断, 1名は8カ月目に乳癌が再発, 1名は2.5年目に肺腺癌と診断。この他4例で陰影拡大が疑われたが結核発病は確認されていない。副反応, 偶然の事故等がかなり高率であり, 本事業を集団的に推進するには, 副作用の頻度とそれを上回る有効性を確認するより大規模な調査が必要である。それまでは個別の臨床ベースでの実施で対応し, 高齢者対策としては早期発見・治療に重点を置くべきだろう。
著者
鹿住 祐子 板垣 信則 大森 正子 和田 雅子 星野 斉之 御手洗 聡 菅原 勇 石川 信克 森 亨
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.891-896, 2007-12-15
参考文献数
16
被引用文献数
3

〔目的〕平成12年度(2000年)結核緊急実態調査時の慢性排菌患者におけるMDR-TBとXDRTBの頻度を調べる。〔対象および方法〕平成12年度結核緊急実態調査時の慢性排菌者1234例における結核菌434株を用いて薬剤感受性試験(小川培地使用の比率法,MGIT法,プロスミックNTM)を行い,MDR-TBとXDR-TBを決定した。被検株の条件は,1999年末現在保健所に登録されている結核患者のうち1999年の1年間に菌陽性であり,1998年1月1日以前に登録された患者とした。少なくとも登録されてから2年以上経過し,培養陽性だった患者である。〔結果・考察〕薬剤感受性試験が実施された434株のうちINHとRFPに耐性でMDR-TBと判定された株は321株(74.0%),そのうちの180株(56.1%)がLVFX耐性,かつ,KMあるいはAMKのどちらか(または両方)に耐性のXDR-TBであった。MDR-TB321名のうち,初回登録患者が165名,再登録患者は143名,不明が13名であった。XDR-TB180名の内訳は初回登録患者が95名,再登録患者は78名,不明は7名であった。初回登録患者では1990年代がMDR-TB94名(57.0%)とXDR-TB49名(51.6%)ともに半数以上をしめ,再登録患者では1960年代と70年代がMDR-TB62名(43.4%)とXDR-TB41名(52.6%)であった。日本で使用の少ないAMKの耐性頻度が高率だったのはAMKの使用によるものかSM・KMの交差耐性か解明できなかったが交差耐性を否定できない。
著者
坂上 貴之 山本 淳一 実森 正子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.395-411, 1994-12-20 (Released:2010-07-16)
参考文献数
145
被引用文献数
1

As the opportunity to contact with related areas has increased, the study of the experimental analysis of behavior has experienced revolutionary changes. Some of the most active and important areas-studies of choice, comparative cognition, and human language-are reviewed to acquaint readers. Studies of CHOICE have linked to the molar theories of behavioral economics and behavioral ecology, which promoted research of choice by animals under uncertainty conditions. Further approach has been made to integrate the molar and molecular analyses on the basis of the ideas of behavior dynamics. COMPARATIVE COGNITION is a part of a larger field including cognitive science, behavioral neuroscience, and biological science. Recent developments, aided with a comparative perspective, made significant contributions to our understanding of the phylogeny and ontogeny of cognition. Advances in analysis of human behavior provided tools to study behavioral aspects of semantics, syntax, and pragmatics of HUMAN LANGUAGE. Using the paradigm of stimulus equivalence, the emergence of stimulus relations, stimulus-stimulus networks, hierarchical structure of verbal behavior, and other language-related behaviors have been investigated.
著者
実森 正子
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
pp.62.2.1, (Released:2012-12-16)
参考文献数
46

The field of animal learning and behavior has a long history and continues to contribute in important ways to the understanding of cognitive processes in different animal species as compared to human beings. Animals have considerable flexibility to optimize their behaviors in solving particular problems as well as coping with ever-changing circumstances. Research on learning mechanisms from a comparative perspective may deepen our understanding of functional significance of cognitive behaviors of both human and nonhuman species. Examples are taken from studies of list memory, categorization, formation and expansion of equivalence relations among physically different stimuli, and visual search for category.
著者
大森 正子 和田 雅子 内村 和広 西井 研治 白井 義修 青木 正和
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.329-339, 2002-04-15
参考文献数
39
被引用文献数
4

25歳以上の成人の60.3%, 人数にして5, 400万人が毎年定期の集団検診 (結核検診) を受診していると推計された。しかしながら定期集団検診による結核患者発見率は著しく低下し, 1998年には学校健診で受診者1, 000人対0.03, 職場健診で0.06, 住民健診で0.16までになった。ただし新登録中定期健診発見割合は過去10年ほぼ一定で, 1998年は12.8%であった。年齢別では20~30歳代で定期健診発見割合が大きく25.7%であり, 多くは職場健診からの発見であった。なお検診発見患者で排菌が確認されたのは35.1%であったが, この割合は高齢者でより大きかった。<BR>結核予防会で実施した40歳以上の住民健診成績から1名の結核患者の発見に要するコストは, 全体で440万円, 男で230万円, 女で840万円, 40歳代で730万円, 80歳以上では180万円と試算された。また罹患率人口10万対30の地域では400万円, 罹患率20では670万円と推計された。結核患者を2ヵ月入院, 4ヵ月外来で治療した場合, 治療費は約90万円と見積もられているので, 60歳未満の一般住民や罹患率50未満の地域では, 経費・効果の点で現行の結核検診は必ずしも効果的とは言いがたくなっている。しかしながら定期の結核検診のあり方については発見率やコストの他に発見患者の特性, 公共保健サービス, 国民の意思等も含めて検討する必要があるだろう。
著者
木下 節子 大森 正子 塚本 和秀 大塚 吾郎 益子 まり 藤生 道子 高橋 司 星野 斉之
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.749-757, 2007-10-15
参考文献数
23
被引用文献数
7

〔目的〕都市における結核発病の実態を報告し,今日の都市結核対策を検討する。〔方法〕症例研究を中心に行った。各症例の社会背景と結核菌DNA指紋分析を加えた菌情報により感染経路を調査した。〔結果〕2005年2月よりの1年5カ月の間に,川崎市川崎駅周辺の約500m四方の地域で9例の結核発病を確認した。9症例は16~55歳の比較的若い年齢層で,3例はホームレスであった。接触者健診の過程で,すべての症例が川崎駅周辺を生活活動圏としており,ネットカフェ等での関連が推測された。9例中7例はSM耐性菌であり,そのうち5例はDNA指紋分析により同一パターンを呈した。〔考察〕本事例はネットカフェ等の不特定多数利用施設を中心とした感染と考えられた。都市にはこのような施設が多く,若年者層とともにホームレス等の社会的弱者も利用する。結核未感染の若年者層と結核ハイリスク層とが閉鎖的空間を長時間共有する環境は,いったん結核菌の喀出があれば,容易に感染が起こりうることを示唆した。結核の都市偏在にはこのような社会環境も影響しており,それらを加味した総合的対策が求められる。
著者
大森 正子 橋本 令子 加藤 雪枝
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.50-63, 2002
参考文献数
27
被引用文献数
14

本研究では、色彩刺激が、心理と生理に及ぼす効果について明らかにすることを目的とした。色相・明度・彩度と面積の違う合計60試料を作成し、光色刺激による、自律・中枢神経活動を評価するための指標として、心拍変動と脳波の測定行った。心理評価として、SD法による因子分析を行った。実験の結果、以下のような知見が得られた。・開眼状態であっても、α波含有量が後頭部位において顕著に喚起されていた。・小さい面積条件では、光色刺激のCuv^★が、高値になるほど、心理評価の「活動性因子」を高め、α波含有量を抑制することが示喚された。・大きい面積条件では、光色刺激のHuv°が、高値になると後頭部位において、α波含有量を喚起することが示喚された。・感情や情操に関わりのある、前頭部位において、純色、低彩度の光色刺激で、色相のG-P系で、α波成分に1/fゆらぎがみられた。副交感神経活動側に傾いていて、1/fゆらぎを示している光色刺激は、大きい面積条件では、純色赤(5R5/14)・青紫(5PB4/12)、小さい面積条件では、純色黄赤(5YR7/14)・高明度青(5B8/5)であった。生体が安静状態であり、快適に感じているということが、示喚される。・交感神経活動側に傾いていて、1/fゆらぎを示している光色刺激は、生体がよい意味で興奮状態であり、快適に感じているということが示喚された。
著者
大森 正子 橋本 令子 加藤 雪枝
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.50-63, 2002-06-01
被引用文献数
14

本研究では、色彩刺激が、心理と生理に及ぼす効果について明らかにすることを目的とした。色相・明度・彩度と面積の違う合計60試料を作成し、光色刺激による、自律・中枢神経活動を評価するための指標として、心拍変動と脳波の測定行った。心理評価として、SD法による因子分析を行った。実験の結果、以下のような知見が得られた。・開眼状態であっても、α波含有量が後頭部位において顕著に喚起されていた。・小さい面積条件では、光色刺激のCuv^★が、高値になるほど、心理評価の「活動性因子」を高め、α波含有量を抑制することが示喚された。・大きい面積条件では、光色刺激のHuv°が、高値になると後頭部位において、α波含有量を喚起することが示喚された。・感情や情操に関わりのある、前頭部位において、純色、低彩度の光色刺激で、色相のG-P系で、α波成分に1/fゆらぎがみられた。副交感神経活動側に傾いていて、1/fゆらぎを示している光色刺激は、大きい面積条件では、純色赤(5R5/14)・青紫(5PB4/12)、小さい面積条件では、純色黄赤(5YR7/14)・高明度青(5B8/5)であった。生体が安静状態であり、快適に感じているということが、示喚される。・交感神経活動側に傾いていて、1/fゆらぎを示している光色刺激は、生体がよい意味で興奮状態であり、快適に感じているということが示喚された。
著者
高田 宗樹 宮尾 克 大森 正子 渡辺 智之 蛭田 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.653, pp.25-32, 2002-02-15
被引用文献数
4

ジェットコースター乗車時の3次元動画映像を立位姿勢の健常な被験者に対して、音響の有無などいくつかの条件のもとに与え、重心動揺検査を同時に行った。本論では2次元重心動揺時系列を用い、音響付き立体画像の複合現実感に関する評価を行う方法論を提示する。この画像を知覚情報として持つ被験者の動揺図にはカスプ型運動成分の増加が認められたため、加速度ベクトルを解析に用いた。このベクトルの大きさがある閾値より大きい部分列を構成することにより、この運動成分を抽出することができる。この運動パターンの出現頻度が高い時間における被験者の視覚情報となった画像のコマを対応させて、与えた3次元立体画像のリアリティーについて評価を行った。
著者
大森 正子 星野 斉之 山内 祐子 内村 和広
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.85-93, 2007
被引用文献数
9

〔目的〕結核患者の発生を職場という視点で分析し,職業別に患者発見の動向を明らかにすること,特に看護師については罹患率を推計すること。〔資料と方法〕結核発生動向調査年報,国勢調査年の職業別人口を用いた。職業別に患者の発見方法の変化を比較し,看護師と教員・医師の罹患率を男女別に推計した。〔結果〕看護師等では新登録中職場健診発見割合が年々拡大し,2004年は40.4%になった(医療機関発見割合は43.9%)。また看護師等では家族以外の接触者検診で発見される割合が1995年以降急速に拡大し,2000年以降は6~9%になった。1987年から2004年にかけて新登録者は5.6万人から3.0万人へ47.4%の減少をみたが,看護師等は490人から574人へ17。1%の増加となった。18年の間,看護師の罹患率は横ばい状態で,2004年の罹患率は,女で10万対46.3,男で825と推計された。その他の職業の20~59歳の罹患率と比較した相対危険度は,女で4.3(95%CI:3.9~4.8),男で3.8(95%CI:2.8~5.2)となった。一方,教員・医師の相対危険度は男女とも1以下であった。〔考察〕相対危険度から看護師の結核の約80%は職業起因と推察され,看護師の働く場である医療機関あるいは高齢者施設等においては,職場健診も含めて院内(施設内)感染対策の充実と徹底を期待する。