著者
笠岡 成光 田中 栄治 阪田 祐作 内藤 龍之介
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.12, pp.2267-2274, 1987-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

フェノール樹脂系繊維状活性炭(ACF)の細孔特性ならびに分子ふるい吸着特性を明らかにし,種々の吸着質分子に適応するACFの至適な製造法確立の資とするために,重合度の大きく異なる(平均分子量:106~90万)8種のポリエチレングリコール(PEG)'の水溶液における吸着等温線(25℃)を測定した。ACFは賦活度の異なる9種を用い,また比較のために5種のヤシ殻系粒状活性炭(ACG)にっいても同様に検討した。ACFは,約4nm径以下のミクロ孔領域にのみ先鋭な単峰型細孔分布をもち,ACGは,ミクロ孔以外にトランジショナル孔およびマクロ轟の幅広い分布をもっている。これらの活性炭への特殊な分子構造をとりうるPEGの水溶液での吸着を試み,,各PEGの分子量と吸着可能な活性炭の細孔径との関係を検討し,分子ふるい吸着効果の顕著に現われる臨界細孔径(最小細孔径)と臨界賦活収率を評価した。得られたおもな結果おまび知見は,つぎのとおりである。,(1)PEGの活性炭への吸着は,ACGに対しても約4nm径以下のミクロ孔に対してのみ起こり,吸着形態は直鎖らせん状の結晶に近いと推定される。(2)活性炭に吸着されうるPEGの臨界分子寸法は,その短軸径によって決まり,約0.4nmである。また,'PEGの吸着可能な活性炭の臨界細孔径は分子量に無関係に約1.8nmである。
著者
浜田 純一郎 高瀬 勝巳 藤井 康成 乾 浩明 小林 勉 後藤 昌史 塩崎 浩之 畑 幸彦 田中 栄 林田 賢治 森澤 豊 森原 徹 山本 宣幸
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.122-126, 2021 (Released:2021-08-30)
参考文献数
9

凍結肩について,AAOSの定義と分類やISAKOSの提言があり混乱がある.そこで会員に対し凍結肩のアンケート調査をおこなった.その結果,AAOSの一次性凍結肩の定義,一次性・二次性凍結肩の分類に同意する会員はそれぞれ63%,53%であった.原因不明の拘縮肩の診断名は凍結肩31%,拘縮肩22%,肩関節周囲炎16%,五十肩16%と多くの病名が使われていた.調査結果から凍結肩と拘縮肩の定義の曖昧さとAAOSの定義や分類への同意率が低いことがわかった.英語論文100編を調査するとadhesive capsulitisが45%,frozen shoulderが41%であり欧米ではこの2病名を主に使っていた.拘縮肩と凍結肩の定義を明確化するため学術委員会では,可動域制限があれば拘縮肩とし,そのうち原因不明な拘縮肩のみを凍結肩,原因の明らかな拘縮肩を二次性拘縮肩とするISAKOSの提言を採用した.
著者
内山 茂 田中 栄爾 田中 千尋 黒木 秀一 川畑 喜照 盛口 満 金城 典子
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会50周年記念大会
巻号頁・発行日
pp.18, 2006 (Released:2007-06-05)

1999年から2005年にかけて,宮崎県内及び鹿児島県内の数箇所で,森林生のエサキクチキゴキブリSalganea esakiiに生じた冬虫夏草(仮称ヒュウガゴキブリタケ)を採集して形態学的観察及び分子系統学的検討を行った. 本種の子実体は宿主の腹部から1-2本生じ、根棒状から太針状、長さ11-70mm、太さ1.3-5mm、全体が淡褐色から褐色.先端はやや尖り,ビロード状の不捻部となる.子のう殻は卵形、325-370×100-140μm、子実体の中間部では埋生し,明褐色の捻果部を形成する.子のうは,長さ150-200×10-11μm.子のう胞子は,細長い紡錘状,72-100×2.8-3.6μm, 8細胞,二次胞子に分裂しない。不稔部表面にHirsutella様のアナモルフを疎らに形成する。分生子はレンズ状,淡褐色,7-7.2×5μm.分生子形成細胞はペン先状,先端は細長く尖り,4-6×1-1.5μm,基部で折れ曲がる. 本種の子実体及び子のう胞子を発芽させて得られた培養株を用いて,rDNAのITS領域と26Sサブユニット D1/D2領域の塩基配列に基づく分子系統学的解析の結果,本種は独自のクラスターを形成した. ゴキブリ目昆虫を宿主とするCordeceps属菌としてはセイロン島(スリランカ)で採集された標本に基づいてPetchがCordyceps blattaeを1924年に報告している.両者は子のう胞子の形態から,共にOphiocordyceps亜属に属するが,本種はC.blattaeと比べると子実体,子のう殻,子のう,子のう胞子などの大きさが明らかに異なるため,新種とするのが妥当と考えている。
著者
大野 勉 小田 隆晴 田中 栄一 酒井 安子
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.451-455, 1996-11-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1

子宮脱や子宮下垂は, 骨盤底筋群のが筋力低下や各靱帯組織の弛緩延長が原因と言われているが, これに対する治療法は, ほとんどが手術療法である。保存的治療法としては, ペッサリーリングと漢方薬が知られているが, 漢方薬の中では, 升堤作用を有する補中益気湯が主に使われている。今回38例の子宮脱・子宮下垂に対して補中益気湯を投与しその効果をみた。自覚症状が改善したのは39%で, 改善までの期間は2週間から4ヵ目であった。そのうち72%は膣内1/2ないし腔内3/4下降例であった。また40%が内服継続中であり, 53%が途中で来院を中止していた。自覚症状が悪化したのは16%で, このうち83%が手術し, 残りは来院を中止している。残り44%は不変例であった。他覚所見に対してはほとんどが不変であった。主に子宮下垂に対しては補中益気湯は有用であると思われた。
著者
塩見 一雄 田中 栄治 熊谷 純智 山中 英明 菊池 武昭 河端 俊治
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.341-347, 1984-02-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
1
被引用文献数
6 7

It is said that, during the thawing of frozen puffer fish, muscle becomes toxic due to the migration of toxin (tetrodotoxin) from toxic viscera and skin. In this study, the extent of toxification of muscle after thawing at 4°C was examined using slowly or quickly frozen puffer fish Fugu niphobles. No significant difference in the extent of toxification of muscle was observed between slowly frozen specimens and quickly frozen ones. The muscle of most specimens was found to be toxic (up to 58 MU/g) even immediately after the first thawing. The migration of toxin into muscle from toxic tissues progressed gradually with the time elapsed after thawing; several specimens showed a strong toxicity of more than 100 MU/g after 24 and 48 h from the end point of thawing. The toxicity of muscle at the second thawing was failry low as compared with that at the first thawing probably because of the difference of muscle parts used for toxicity test. In the case of half-thawed specimens, the toxin did not migrate into muscle from toxic tissues.
著者
宮崎 哲夫 田中 栄治 古城 則道
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.167-168, 1996-09-04
被引用文献数
4

最近、パソコンやネットワークの普及により、電子化された情報が大量に出回ってきている。現状ではこれらの情報は整理されているとは言い難い状態にある。このような未整理な情報源から何かの知識を取得したい場合、見当違いの方面を探索してしまい、目的である知識になかなか到達することができないことが多い。そこで、電子化された情報の効率的な検索支援のために、何らかの方法による整理・分類機能が必要になる。文書の自動分類には、文書に出現する単語パターンの類似性に基づく方法がある。通常は単語間の関係を考慮せずに、単語を含むか含まないかなどの情報のみで分類していることが多い。そこで本稿では、単語間の関連を考慮した文書分類のために、単語の共起関係データに対する主成分分析に基づく意味空間の生成、および、文書を意味空間へマッピングする方法について述べる。
著者
川口 航平 山神 良太 河野 賢一 鹿毛 智文 村上 亮 武冨 修治 田中 栄 乾 洋
出版者
日本関節病学会
雑誌
日本関節病学会誌 (ISSN:18832873)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.54-60, 2023 (Released:2023-07-31)
参考文献数
27

はじめに:人工膝関節手術に対しての術後患者立脚型評価が標準化しているが,術後患者立脚型評価には術前の心理的因子が影響すると報告されている。しかしTKA,UKAにおいての術前の心理的因子の違いや術後患者立脚型評価に与える影響の違いなどは明らかではない。本研究の目的はTKAとUKAにおける術前の心理的因子の違いとその心理的因子が術後臨床成績に与える影響の違いを明らかにすることである。方法:2018年10月から2021年3月に当科にて人工膝関節手術を行った症例で,術後1年以上の臨床成績の評価が可能であったTKA192膝とUKA43膝を対象とした。術前心理的因子は痛みに対する中枢性感作の評価スコアであるCSIと破局的思考の評価スコアであるPCSにて評価した。術後患者立脚型評価として術後1年でのKOOS,New Knee Society Scoreを使用した。TKAとUKAでの術前心理的因子の違いと術前心理的因子と術後患者立脚型評価の関連の違いを評価し2群で比較した。結果:術前心理的因子であるCSIはTKA群23.5,UKA群21.5,PCSはTKA群27.3,UKA群26.1とともに両群で有意差はなかった。CSIと術後患者立脚型評価の関係は,TKA群では術後患者立脚型評価のすべての項目で負の相関を示したが,UKA群ではすべての項目と相関がなかった。PCSと術後患者立脚型評価の関係では,TKA群では立脚型評価のすべての項目で負の相関を示したが,UKA群ではKOOSのADLとNew Knee Society Scoreの満足度の項目のみ負の相関を示した。結論:TKAとUKAにおいては術前心理的因子(中枢性感作,破局的思考)には差がなかった。しかしTKAとUKAにおける術前心理的因子(中枢性感作,破局的思考)が術後患者立脚型評価に与える影響の程度は異なっていた。
著者
竹内 伸行 田中 栄里 桑原 岳哉 臼田 滋
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.53-61, 2006-04-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
45
被引用文献数
3

Modified Tardieu Scale(MTS)は,関節可動域(Range of Motion ; ROM)と筋の反応の質(Quality of Muscle Reaction ; QMR)を測定する痙縮評価指標で,測定肢位と筋の伸張速度が規定されている特長がある。欧米ではMTSを用いた研究報告は多いが,信頼性や臨床的有用性を検討した報告は散見される程度である。国内ではMTSを用いた報告は見当たらない。今回,脳血管障害片麻痺患者の麻痺側足関節底屈筋を対象に,①ROMとQMRの検者内,検者間信頼性(n = 13),②筋をゆっくり伸張した時のQMRと速く伸張した時のQMRの関連性(n = 28),③QMRとModified Ashworth Scale(MAS)の関連性(n = 30)の検討を行った。本研究の目的は,これらの結果からMTSの臨床的有用性を検討することである。測定肢位は背臥位で,膝伸展位と膝屈曲位とし,足関節底屈筋を他動的に伸張して測定した。筋の伸張速度は,MTSの規定速度であるV1(できるだけゆっくり)とV3(できるだけ速く)を用いた。結果,①ROMの信頼性は,検者内,検者間共にICC = 0.98〜0.99,QMRの信頼性は検者内がκ = 0.73〜1.00,検者間がκ = 0.71〜1.00であり,高い信頼性を認めた。②V1のQMRとV3のQMRの関連性は,膝伸展位は弱い正の相関に止まり(rs = 0.39),膝屈曲位は相関を認めなかった(rs = 0.08)。③V1のQMRとMASの関連性は両肢位共に強い正の相関(rs = 0.89〜0.90)を認めたが,V3のQMRとMASの関連性は両肢位共に弱い正の相関(rs = 0.34〜0.38)に止まった。本研究結果では,MTSの高い検者内,検者間信頼性を認めた。さらにQMRは伸張速度を変えることで非反射性要素と反射性要素を考慮した評価が可能と考えられた。MTSは,痙縮評価指標として臨床的有用性が高いと示唆された。
著者
田中 栄一
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.173-179, 2006-03-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
6

進行したステージの筋ジストロフィーでは, 運動機能障害が重度なために, 身の回りのことや, 趣味活動への参加が少なくなっていく.作業療法では, 患者が求める活動に必要な運動と環境要素を分析し, 活動に挑戦し易い環境調整を支援する. また, 作業療法士は, 環境への適応を促す過程を通して, 患者の興味を掘りおこし, 患者自身の問題解決能力を育む.
著者
金 明哲 徳田 尚之 村上 征勝 田中 栄一
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.49-65, 1992-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
24

中国語の音声認識の機械処理を進める上で,中国語の計量的な性質を把握することは不可欠である.本論文ではSuen(1986)が中国語の高頻度単語として提唱している6,321語を用いて,中国語の音声認識を行う上で必要となるその音声学的性質について以下の項目にわたる計量分析を試みた.(1)声母,韻母,音素,声調の出現頻度(2)音節,音素を単位とした単語長 (3)音素を単位としたエントロピー,1次条件付きエントロピーおよび2次条件付きエントロピー (4)声母,韻母,音素を単位とした近距離単語数および声調,品詞が近距離単語数に与える影響 (5)声母,韻母,音素を単位とした置換対.その結果,例えば,声調や品詞情報が既知の場合でも一漢字単語では音素を単位としたレーベンシュタイン距離1の単語数は1単語あたり10.38語にものぼり,機械的な音声認識において単語単位での誤り訂正は極めて難しいが,二漢字単語では同じレーベンシュタイン距離1単語数は声調や品詞情報を考慮しなくとも1単語あたり平均約3語で,声調,品詞情報が既知であると1単語あたり0.26語まで減少するため,声調,品詞情報などを有効に利用することにより単語単位の誤り訂正が十分可能であると考えられるなど,今後中国語の音声認識などの機械処理を進める上で有益な幾つかの結果を得た.
著者
片桐 渉 小林 正治 佐々木 朗 須佐美 隆史 須田 直人 田中 栄二 近津 大地 冨永 和宏 森山 啓司 山城 隆 齋藤 功 高橋 哲
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.213-225, 2020 (Released:2020-09-11)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

The Japanese Society for Jaw Deformities performed a nationwide survey from 2006 to 2007 and the results were reported in 2008. In the last 10 years, new surgical procedures and medical devices have been developed and brought major changes to surgical orthodontic treatment. Accordingly, we need to assess the current status of surgical orthodontic treatment.A nationwide survey of surgical orthodontic treatment between April 2017 and March 2018 was carried out and 99 surgical facilities and 64 orthodontic facilities were enrolled in the survey. The number of patients who received orthognathic surgery was 3,405, about 69% of whom were diagnosed with mandibular protrusion. Before the surgery, 3D-simulation was performed for about 40% of patients at both surgical and orthodontic facilities. Computer-aided design and computer-aided manufacturing (CAD/CAM) wafers were used at 12.1% of surgical facilities and at 17.7% of orthodontic facilities. Sagittal split ramus osteotomy (SSRO) was performed in 2,768 patients (85.5%) and Le FortⅠosteotomy in 1,829 patients (56.5%). Blood loss during the surgery was reduced compared with that in the previous survey. Autologous blood transfusion tended to be performed in cases as necessary such as surgery for maxilla and anemia of the patient. Duration of intermaxillary fixation and hospital stay were also shortened. This survey revealed the current status of surgical orthodontic treatment in Japan in comparison with the previous survey.
著者
田中 栄 馬渡 晃
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.395, pp.10-13, 2008-03

ここ数十年間、一貫して下がり続けてきた日本の食料自給率は、2006年度には台風などの天候不順もあり、ついに39%にまで低下した。これは先進国中、最も低い水準である。 右ページのグラフを見てほしい。米国やフランスなどの農業大国は、自給率は100%以上。自国でまかなう以上の農産物を作り、それをさかんに輸出している。
著者
小口 悟寛 袖山 健 清澤 研道 古田 精市 野村 洋 小口 寿夫 宮坂 誠 矢崎 国彦 笠原 寛 床尾 万寿雄 小岩井 俊彦 徳永 真一 田中 栄司
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.689-693, 1993

透析業務中の針刺傷事故で, HCV抗体陽性の透析患者血に暴露した後, C型急性肝炎を発症し, その後慢性肝炎へ進展したの2症例を経験した. 2例とも, HCV抗体陽性で肝機能が正常の透析患者に使用した注射針を誤って手掌に穿刺した. 1例は針事故後1か月後より全身倦怠感の出現とともにトランスアミナーゼの上昇を認め, 6か月後にはHCV抗体が陽性となった. 他の1例は特に自覚症状の出現はなく, 針事故後4か月目にトランスアミナーゼの上昇を認め, 6か月後にHCV抗体が陽性となった. 2例とも, 肝機能の悪化と改善を繰り返し, 針事故後, 9か月目と15か月目の肝生検による肝組織学的検査では, chronic persistent hepatitisの所見を示した. 2例ともにβ-インターフェロンの投与によりトランスアミナーゼは正常化した.
著者
芦田 貴司 小野 圭昭 田中 栄士 上杉 直斗 村岡 正規 小正 裕
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.123-133, 2010

<p>【目的】近年,誤飲・誤嚥事故を目的として嚥下機能の解明,摂食・嚥下障害原疾患の予防および治療法の確立等の研究がおこなわれているが未だ十分ではなく,摂食・嚥下障害をもつ患者や高齢者では日々誤飲・誤嚥事故のリスクに直面している.そこで,阪神地区を調査対象として,市消防本部への調査を実施して誤飲,誤嚥事故の実態を明らかにし,その調査結果を詳細に分析することにより窒息事故を回避する一助とすることを考えた.市消防本部への調査を実施し,3 カ年の全救急業務の中から誤飲・誤嚥に関する事案を抽出して,その内容を検討した.</p><p>【方法】都市圏のベッドタウンのひとつである阪神地区を対象に,平成16 年から18 年までの3 カ年に各市の消防局・消防本部に救急要請があった全救急事故のうち,一般負傷の中から,誤飲・誤嚥に関するすべての事案を抽出し分析をおこなった.調査内容は,①性別,②年齢,③傷病程度,④覚知時刻,⑤事故概要,である.</p><p>回収したデータをもとに誤飲,誤嚥とその他の3 群に分類した.この調査は,平成19 年2 月におこなった.</p><p>【結果】今回の調査対象とした地域の救急車要請件数は年平均261.7 件であった.そのうち,誤飲件数の割合は年平均15.8%,誤嚥件数の割合は年平均75.5%,その他の割合は年平均8.7% であった.</p><p>誤嚥件数では,男女間に有意な差が認められた.年齢別発生件数では,誤飲は若年層に多く,誤嚥は後期高齢者でもっとも多かった.傷病程度は誤飲,誤嚥事故とも軽症がもっとも多かった.しかし,誤嚥事故の中には,誤飲事故ではみられなかった重症や死亡例が認められた.覚知時刻は,誤飲事故のもっとも多く発生したのは20 時台で,誤嚥事故は12 時台であった.原因物質は,誤飲事故でもっとも多かったのは薬品で,誤嚥事故ではパンであった.</p><p>【考察】それぞれの食事形態や食べ物の特性を理解して食べることは,窒息を防止する効果的な方法である.また,家族との同居の場合には,家族に救急システムの指導をおこなうことや,窒息を解除する方法を指導するなどの啓発活動の重要性が示唆された.</p>
著者
田中 栄一
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 = Journal of Tokyo Women's Medical University (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.187-201, 2015-12

関節リウマチ(Rheumatoid arthritis:RA)治療は生物学的製剤の出現に伴いこの10年間で大きく進歩した。生物学的製剤は遺伝子組み換え技術を応用して、特定の標的分子を特異的に認識する抗体や受容体を改変した医薬品である。RAの病態を増悪させているtumor necrosis factorやinterleukin-6などの特定のサイトカインや、リンパ球活性化に関連する分子と結合し、その作用を減弱または消失させる働きを有する。本邦では、2003年にインフリキシマブが発売されて以来、RAに対する生物学的製剤としてはバイオシミラーの1製剤を含めると現在8種類の製剤が承認され使用可能である。いずれの生物学的製剤もRA患者の臨床症状の改善、骨関節破壊の進行防止、身体機能の改善などの作用を有し、より"寛解"が現実的な治療目標として認識されるようになった。しかしながら一方で、生物学的製剤には、感染増加などの安全性の問題、使用すべき適応となる患者の選択、高額な薬剤費、必ずしも大多数の患者が十分な効果を得ているわけではないこと、使用しているうちに当初は認められていた効果が減弱してくる二次的な効果減弱、いつまで継続的な投与が必要なのか、生物学的製剤の中止は可能かなどいくつかの問題点も残されており、今後、これらの問題点が明らかにされることが望まれる。
著者
芦田 貴司 小野 圭昭 田中 栄士 上杉 直斗 村岡 正規 小正 裕
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.123-133, 2010-08-31 (Released:2020-06-26)
参考文献数
28

【目的】近年,誤飲・誤嚥事故を目的として嚥下機能の解明,摂食・嚥下障害原疾患の予防および治療法の確立等の研究がおこなわれているが未だ十分ではなく,摂食・嚥下障害をもつ患者や高齢者では日々誤飲・誤嚥事故のリスクに直面している.そこで,阪神地区を調査対象として,市消防本部への調査を実施して誤飲,誤嚥事故の実態を明らかにし,その調査結果を詳細に分析することにより窒息事故を回避する一助とすることを考えた.市消防本部への調査を実施し,3 カ年の全救急業務の中から誤飲・誤嚥に関する事案を抽出して,その内容を検討した.【方法】都市圏のベッドタウンのひとつである阪神地区を対象に,平成16 年から18 年までの3 カ年に各市の消防局・消防本部に救急要請があった全救急事故のうち,一般負傷の中から,誤飲・誤嚥に関するすべての事案を抽出し分析をおこなった.調査内容は,①性別,②年齢,③傷病程度,④覚知時刻,⑤事故概要,である.回収したデータをもとに誤飲,誤嚥とその他の3 群に分類した.この調査は,平成19 年2 月におこなった.【結果】今回の調査対象とした地域の救急車要請件数は年平均261.7 件であった.そのうち,誤飲件数の割合は年平均15.8%,誤嚥件数の割合は年平均75.5%,その他の割合は年平均8.7% であった.誤嚥件数では,男女間に有意な差が認められた.年齢別発生件数では,誤飲は若年層に多く,誤嚥は後期高齢者でもっとも多かった.傷病程度は誤飲,誤嚥事故とも軽症がもっとも多かった.しかし,誤嚥事故の中には,誤飲事故ではみられなかった重症や死亡例が認められた.覚知時刻は,誤飲事故のもっとも多く発生したのは20 時台で,誤嚥事故は12 時台であった.原因物質は,誤飲事故でもっとも多かったのは薬品で,誤嚥事故ではパンであった.【考察】それぞれの食事形態や食べ物の特性を理解して食べることは,窒息を防止する効果的な方法である.また,家族との同居の場合には,家族に救急システムの指導をおこなうことや,窒息を解除する方法を指導するなどの啓発活動の重要性が示唆された.
著者
田中 栄爾 田中 千尋 柴田 昌三
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.jjom.H20-06, 2009-05-01 (Released:2018-03-30)
参考文献数
6

日本国内のタケ・ササ類に発生する「てんぐ巣」症状 について,Aciculosporium take,Heteroepichloë sasae,Ustilago shiraiana の菌類による病徴の特徴を解説した. さらに開花現象や老齢化などの自然現象によって起きる 「てんぐ巣様症状」との違いを解説した.
著者
鈴木 克洋 露口 一成 松本 久子 新実 彰男 田中 栄作 村山 尚子 網谷 良一 久世 文幸
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.187-192, 1997-04-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
10

Fifty six clinical isolates of Mycobacterium tuberculosis were tested for drug susceptibility in Mycobacteria Growth Indicator Tube (MGIT) containing 0.1μg/ml of INH, 1.0μg/ml of RFP, 3.5μg/ml of EB and 0.8μg/ml of SM. These results were compared with those obtained by testing the same M.tuberculosis isolates by the absolute concentration method using 1% Ogawa egg slant containing 0.1μg/ml of INH, 10μg/ml of REP, 2.5μg/ml of EB and 20μg/ml of SM. Fifty six isolates consisted of 18 pansensitive strains, 27 multidrug resistant strains and 11 single drug resistant strains. The results for individual drugs showed excellent agreement between the MGIT and the Ogawa methods, and overall agreement rate of the two methods were 96.4%. The results were just the same for all drugs in 48 out of 56 strains studied. The drug resistance could be observed much earlier by the MGIT method (mean 5.9 days) than by the Ogawa method (more than 21 days). In conclusion, the MGIT system could be a promising new drug susceptibility test which might become available in Japan replacing the Ogawa method.

1 0 0 0 OA 近代劇精通

著者
田中栄三 著
出版者
籾山書店
巻号頁・発行日
1913