著者
梶木 尚美 藤井 聡子 森田 浩司
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.43, pp.1-17, 2010-12-22

新学習指導要領では、地歴科の各科目を他の二科目と関連付けながら教えるようにと指示している。本校地歴科では、日本史・世界史・地理の教員が大黒屋光太夫をテーマに共同研究をすすめ、教材作成と授業実践を行った。またデジタル化の進みにくい歴史の授業でデジタル教材の作成とプロジェクターを用いた授業展開の可能性を探った。
著者
滝沢 直樹 森田 浩庸 滝沢 久美子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.C0267, 2007

【はじめに】<BR> 若い男性にとって性行為は、重要なQOLの一つと考えられる。今回、膝関節拘縮により性行為時の体位が制限されていた症例が、2年以上の理学療法を行い正常位・後背位が可能になったのでここに報告する。<BR>【症例紹介】<BR> 35歳、男性、左下腿骨骨折(GASTILOIII-C)。2002年12月仕事中建設重機に挟まれ受傷、10ヶ月間創外固定にて膝完全伸展位をとり、その間、前傾骨筋切除、皮膚移植、足関節固定術を受けた。2004年2月関節受動術を受けた。<BR>【経過】<BR> 2004年4月より当院外来リハ開始、膝関節屈曲60°であった。2004年5月に「性行為時に、正常位ができずに困っている」という訴えを受け、体位獲得のための関節可動域運動(以下ROMex)中心の理学療法を開始した。動作練習として、四つ這い位にて膝を固定し骨盤を前後傾させるClosed Kinetic Chainを行った。2004年11月膝関節90°まで改善したが膝関節の違和感(筋の張り)の訴えがあり正常位での性行為ができなかった。そこでROMexに加え、軟部組織へのアプローチと筋活動をより増加させるために、膝立ち位での動作練習も行った。2005年3月には、膝関節屈曲100°となり軟部組織の柔軟性も向上し、性行為時の膝の違和感は減少した。2005年5月から仕事を始めるようになり、運動量が増加、軟部組織の柔軟性も明らかに向上していった。練習開始から14ヶ月後の2005年7月末、膝関節屈曲100°、正常位での性行為が可能になった。さらにROMex、軟部組織へのアプローチ、動作練習を継続し13ヵ月後、2006年8月中旬には、後背位にての動作も可能になった。この間膝関節屈曲100°で変化は無かった。<BR>【考察とまとめ】<BR> 性行為時の動作獲得のためには、関節可動域の改善は当然であるが、スムースな動きを出す筋活動も求められた。本症例では社会復帰の結果、活動量の増加し、筋活動も増していったことが目標の達成のための大きな要因となったとも考えている。<BR>この症例にとって12ヶ月以降関節の可動域に変化は無かったが、性行為時の動作を再学習するためには、27ヶ月のアプローチは必要であった。<BR>今回の症例のように、青年層が重症外傷によって膝に障害が残るケースもある。このような場合、性行為などのQOLを考慮したサービス提供も考えていく必要がある。<BR><BR>【謝辞】<BR>本症例には、発表に際し内容、個人特定されないよう配慮する旨を説明し、快諾を頂いたことに感謝します。
著者
佐藤 嘉一 中川 勝雄 森田 浩平 池内 靖子 木田 融男 佐々木 嬉代三 奥川 桜豊彦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究は国内外の社会移動に注目し、(1)移住の動機・誘因、(2)移住後の生活実態、(3)UターンやJターン現象にみられる「帰郷意識」、(4)移住に伴うアイデンテイテイ問題などの実証的研究によって、社会移動についての社会学的分析を試みたものである。具体的には、戦前・戦後を通じて海外や本土に大量の移民・出稼ぎ者を供給してきた沖縄県の北部地域である今帰仁村を対象地域に選定し、現地の移住体験者と移住先の今帰仁村出身者についての綿密な聞き取り調査を実施した。本研究によって明らかにされたことは、次のような諸点である。第1に、移住の誘因としては後進的農業地域ゆえの現地での雇用機会の少なさがあるにしても、個人レベルに立ち入ってみると大きな夢や高い理想の実現をめざそうとする気概をもって出て行く者も少なからず存在した。第2に、移住の経路として先行する移住者の親戚・知人を頼る「呼び寄せ」を経由する者が大半である。第3に、にもかかわらず多くの移住者は沖縄文化と異質の異郷にあってさまざまな苦労を体験することで、ある者は移住先で郷友会に入り沖縄文化を享受し、ある者は再び帰郷している。その結果、母村と各地の郷友会の濃密な社会的ネットワークが形成される。第4に、この社会的ネットワークが母村を支え人口増、農業振興など本土農村と異なる様相がみられる。第5に、移住先で郷友会に組織されなかった者のなかには、異郷に適応できず社会的転落を余儀なくされる事例があり、また沖縄本島においてもハンセン病患者に対するような深刻な差別があったことも看過できない。第6に、移住者一世によって形成されてきた社会的ネットワークは近年世代交代の局面を迎えており、一世から二世・三世への継承のありかたが課題となっている。
著者
森田 浩之
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-48, 2012

本稿は、東日本大震災後にメディアに表れたスポーツにからむ「物語(ナラティブ)」を検証し、その功罪を検討する。<br> 「未曾有の国難」に沈む日本と被災地を、スポーツとトップアスリートが元気づける──そうした動きと思想は、まずヨーロッパでプレイするサッカー選手3人が出演するACジャパンの公共CMにみられた。「日本の強さは団結力です」「日本がひとつのチームなんです」という選手たちのせりふは何げないものに聞こえるが、そこには日本のメディアスポーツが語りつづけてきた物語が詰まっていた。<br> メディアが大震災と最も強く結びつけた大ニュースが、「なでしこジャパン」の愛称で知られるサッカー日本女子代表のワールドカップ優勝だった。ひとつは国家的悲劇であり、もうひとつは国民的慶事と、対照的にみえるふたつの出来事が、メディアによって強く接合された。なでしこジャパンは被災地から「元気」をもらったとされ、なでしこが世界一になったことで被災地も「元気」をもらったとされた。それらの物語はどのメディアをとっても均質的、類型的であり、東北出身の選手や東京電力に勤務したことのある選手には特別な役回りを担わせていた。しかもメディアが意図したかどうかにかかわらず、「あきらめない心」や「粘り強さ」といったなでしこジャパンの特徴とされるものは、3.11後の「日本人」に求められる心性と重なっていた。<br> このような均一化された物語の過剰は、「絆」ということばが3.11後のキーワードになることに加担した。被災地との「絆」がつねにあるかのように語られることで、現実には存在する非・被災地との分断が覆い隠されるおそれもある。
著者
森田 浩介
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.698-707, 2005-09-05
被引用文献数
2

我々は, 独立行政法人理化学研究所の重イオン線形加速器からの^<70>Znビームを^<209>Bi標的に照射し, ビーム核と標的核との完全融合反応によって合成される, 原子番号113, 原子質量数278の原子核^<278>113の崩壊を観測することに成功しました.ビームやその他実験にとってバックグラウンドとなる粒子から分離された目的の核は, 半導体検出器に打ち込まれ, そこで4回の連続したα崩壊をした後, 自発核分裂を起こして崩壊しました.4回目のα崩壊の崩壊エネルギーと崩壊時間, それに引き続いて起こった自発核分裂の現象と崩壊時間は, 既知の崩壊連鎖である^<266>Bh(原子番号107)→^<262>Db(原子番号105)のものと矛盾がなく, これらの崩壊に先立って起こった3回の連続したα崩壊は^<278>113→^<274>Rg(原子番号111)→^<270>Mt(原子番号109)→という, これまでに報告されていない新同位体の崩壊であると結論づけました.観測された原子数はわずか1ですが, 保守的な言い方をすれば, 今回合成された^<278>113は, 実験的に原子番号と質量数を決定されたものとしては, 原子番号, 原子質量数ともに最大のものであり, 新元素の発見の可能性があると考えています.
著者
森田 浩之
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-48, 2012-03-25 (Released:2016-09-06)
参考文献数
14

本稿は、東日本大震災後にメディアに表れたスポーツにからむ「物語(ナラティブ)」を検証し、その功罪を検討する。 「未曾有の国難」に沈む日本と被災地を、スポーツとトップアスリートが元気づける──そうした動きと思想は、まずヨーロッパでプレイするサッカー選手3人が出演するACジャパンの公共CMにみられた。「日本の強さは団結力です」「日本がひとつのチームなんです」という選手たちのせりふは何げないものに聞こえるが、そこには日本のメディアスポーツが語りつづけてきた物語が詰まっていた。 メディアが大震災と最も強く結びつけた大ニュースが、「なでしこジャパン」の愛称で知られるサッカー日本女子代表のワールドカップ優勝だった。ひとつは国家的悲劇であり、もうひとつは国民的慶事と、対照的にみえるふたつの出来事が、メディアによって強く接合された。なでしこジャパンは被災地から「元気」をもらったとされ、なでしこが世界一になったことで被災地も「元気」をもらったとされた。それらの物語はどのメディアをとっても均質的、類型的であり、東北出身の選手や東京電力に勤務したことのある選手には特別な役回りを担わせていた。しかもメディアが意図したかどうかにかかわらず、「あきらめない心」や「粘り強さ」といったなでしこジャパンの特徴とされるものは、3.11後の「日本人」に求められる心性と重なっていた。 このような均一化された物語の過剰は、「絆」ということばが3.11後のキーワードになることに加担した。被災地との「絆」がつねにあるかのように語られることで、現実には存在する非・被災地との分断が覆い隠されるおそれもある。
著者
牧 孝 中野 正博 隼田 和明 森田 浩介
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.19-51, 1980

バナジウム(<sup>51</sup>V)による陽子の弾性・非弾性散乱の実験を, 陽子エネルギー5.700-5.962 MeVで行った. 励起関数については, 測定角度90°, 105°, 118°, 135°, 150°, 163°の6点を入射陽子エネルギーのステップ2 keVで測り, <sup>51</sup>Vの基底状態から第4励起状態までの陽子グループの励起関数を得た. 角度分布は50 keVステップで測定した. 得られた散乱断面積は陽子の入射エネルギーによって大きなゆらぎ現象を現わしている. 解析は統計理論に基づいて行った. エネルギー相関, 角度相関, チャンネル間相関, 確率分布, 分散の解析から平均準位巾 <i>&Gamma;</i> は2.0 keV, 複合核の寿命 <i>&tau;</i> は3.3×10<sup>-19</sup>秒, 核半径係数r<sub>o</sub>は1.1.8×10<sup>-13</sup>cm, 有効チャンネル数N<sub>eff</sub>は5-25, が導けた. 核反応機構は統計理論, Hauser-Feshbachの複合核理論や光学模型による計算, および角度分布の解析から, 断面積のうち直接反応過程からの寄与の割合が(p, p<sub>o</sub>)反応では90-95%, (p, p<sub>1</sub>), (p, p<sub>2</sub>)反応では60-80%, (p, p<sub>3</sub>), (p, p<sub>4</sub>) 反応では<u>~</u>0%であることが分った.
著者
谷村 眞治 王 虎 森田 浩章 海津 浩一 山崎 勝広 三村 耕司
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.61, no.586, pp.1344-1348, 1995-06-25 (Released:2008-02-21)
参考文献数
6

The existence of critical impact velocity has been confirmed in experiments in which a sheet was perforated by a flying projectile. The experiments were performed to measure the values of parameters relevant to the normal impact of the cylinder against the sheets. By examining the relationship between the diameter of blanks and impact velocity, the phenomenon of the critical impact velocity was confirmed. The theoretical approach was also presented, for the same conditions as in the case of simple wave propagation, as in the Karman-Duwez solution. The comparison between theoretical examination and experimental results was also discussed.
著者
森 昭裕 梶田 和男 山北 宜由 森田 浩之 村井 敏博 安田 圭吾 杉浦 正彦 三浦 清
出版者
一般社団法人 日本内分泌学会
雑誌
日本内分泌学会雑誌 (ISSN:00290661)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.1147-1161, 1991-10-20 (Released:2012-09-24)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

Recently several types of anti-pituitary-antibodies (APA) have been found in patients with pituitary disorders including hypopituitarism and diabetes incipidus, and in postpartum women. However, the pathophysiological role(s) of APA still remains unknown. In order to elucidate the clinical significance of APA, longitudinal follow-up and family study of APA in patients with hypopituitarism were performed.APA in serum was examined in a total of 11 patients with various types of hypopituitarism (7 of isolated ACTH deficiency, 1 of partial hypopituitarism, 3 of Sheehan's syndrome, 6 males and 5 females). Chronic thyroiditis was associated in 3 out of 7 patients with isolated ACTH deficiency, and empty sella was found in each one patient with isolated ACTH deficiency and partial hypopituitarism, and in 3 patients with Sheehan's syndrome. APA was examined on 2 or 3 occasions at more than a 6 month interval (longitudinal study). In 5 patients, their 16 family members were examined for the presence of APA, and pituitary functions were evaluated in 3 out of 7 family members with positive APA (family study). For pituitary function tests, arginine infusion test, TRH, LH-RH or CRH test and insulin tolerance test were performed. APA reacting to rat pituitary cytoplasmic antigens (pituitary cell antibodies: PCA) and APA reacting to rat GH3 cells and/or mouse AtT20 cells surface antigens (pituitary cell surface antibodies: PCSA) were assayed with indirect immunofluorescence method.At the initial examination, 6 out of 11 patients (55%) showed positive APA. Thepatients were divided into 3 subgroups according to the longitudinal study: the group with disappearance of initially positive APA (3 patients), the group with altered titers or types of initially positive APA (3 patients), and the group with sustained initially negative APA (4 patients). No effects of replacement therapy on the alterations of APA were observed.In 16 family members of 5 patients (each 1 with partial hypopituitarism and isolated ACTH deficiency syndrome, and 3 with Sheehan's syndrome), APA in their sera were investigated. Seven out of 16 members (44%) showed positive APA. Among 6 first-degree relatives of 16 family members, both or either one of APA and PCSA were positive in 4 (67%). Out of 10 of their second- or third-degree relatives, 3 (30%) were positive for PCA or PCSA. All of 3 relatives with positive APA studied showed mild pituitary hypofunction without any clinical manifestations.These results suggest the possibility that autoimmune mechanism-induced hypofunction as well as hereditary background might participate in the pathogenesis of some hypopituitarism, and that APA might have a causative role in such disorders.
著者
森田 浩介
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.698-707, 2005-09-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
23

我々は, 独立行政法人理化学研究所の重イオン線形加速器からの70Znビームを209Bi標的に照射し, ビーム核と標的核との完全融合反応によって合成される, 原子番号113, 原子質量数278の原子核278113の崩壊を観測することに成功しました.ビームやその他実験にとってバックグラウンドとなる粒子から分離された目的の核は, 半導体検出器に打ち込まれ, そこで4回の連続したα崩壊をした後, 自発核分裂を起こして崩壊しました.4回目のα崩壊の崩壊エネルギーと崩壊時間, それに引き続いて起こった自発核分裂の現象と崩壊時間は, 既知の崩壊連鎖である266Bh(原子番号107)→262Db(原子番号105)のものと矛盾がなく, これらの崩壊に先立って起こった3回の連続したα崩壊は278113→274Rg(原子番号111)→270Mt(原子番号109)→という, これまでに報告されていない新同位体の崩壊であると結論づけました.観測された原子数はわずか1ですが, 保守的な言い方をすれば, 今回合成された278113は, 実験的に原子番号と質量数を決定されたものとしては, 原子番号, 原子質量数ともに最大のものであり, 新元素の発見の可能性があると考えています.
著者
磯野 啓之介 森田 浩智 星野 尋志 片倉 健男 渡辺 尚美 鈴木 利昭 太田 和夫
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.115-118, 1985

現在、CAPD療法における最も大き左問題として、腹膜炎がある。我々は灌流液バツグの交換操作ミスによる腹膜炎を減少させるため、火炎滅菌を用いたジヨイント方式(FLAMELOK®)を開発し臨床を行つてきた。第四回のISAOのシンポジウムにおける太田らの発表によれは、腹膜炎の発生率は非常に低かつた。しかし、セラミツクスジヨイントについて破損や閉塞左どの点を指摘された。そこでセラミツクスジヨイントの材質を改良し、耐久性・安全性の面から従来のものと比較検討をした。耐熱性, 強度などの物性は従来より向上し、滅菌性能については同等か、やや優る結果を示した。また灌流液に与える交換操作の影響として、ブドウ糖の熱分解生成物である5-ヒドロキシメチルフルフラールの定量を行つたが、濃度の変動はほとんどなかつた。以上のことからFLAMELOK®システムの安全性はさらに向上したものと考えられる。
著者
森田 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1515-1522, 1999-08-25
被引用文献数
7 6

近年, 環境問題の対策として電子通信機器用電源に対して省電力や低ノイズの重要性が指摘されている. 本論文では, これらを満足するソフトスイッチング電源を実現できたので報告する. 製作した電源のノイズレベルは公的に決められているCISPRのClass-Bの伝導ノイズ規制値よりも更に30dBも低く, 輻射(ふくしゃ)ノイズも非常に低い. また低ノイズスイッチング電源を製作するときに増加しがちな漏洩(ろうえい)電流も0.2mA以下に抑えることができ, 更に電力効率も今までの方式に比べて5%程度良好になった. 回路方式は, ハーフブリッジ方式で構成され, ソフトスイッチングで動作し, メイン回路の部品点数も非常に少ない. またトランスは漏洩インダクタンスを利用できるので, 1次2次間の巻線を分離して巻くことが可能で, 1次2次間の浮遊容量を非常に小さくすることができた. このためノイズが発生しても発生したノイズが外部に伝わりにくいという特徴をもっており, 超低ノイズスイッチング電源に特に適している. 特に, ここでは, この超低ノイズ電源の動作原理, 動作解析, 発振周波数特性, 効率特性, ノイズデータ等を紹介するとともにノイズ発生のメカニズムとその低減法について説明する.
著者
森田 浩司
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.41, pp.71-81, 2008-10-20

本稿は、鹿児島県指宿市山川において、石敢當に関する現地調査を2度にわたって行い、その分布状況や特徴を明らかとしたものである。石敢當とは、中国起原の魔除けの石で、T字路の突き当たりやL字路の突き当たり、そして少しずれた四差路などに設置され、邪悪な霊が直進して家屋内に進入してこないように、石の霊力で防ぎ鎮めようとするものである。そのような風習は、琉球から伝播してきたものであり、鹿児島がまだ薩摩として琉球と交易をはじめた頃に、その風習がはいってきたと思われる。そして、山川は薩摩藩と琉球との貿易の拠点であったため、その琉球文化の風習が直接入り込んでくる可能性が最も高い地域であった。だからこそ、現在人口約11000人で面積37.18Km^2(旧山川町)と小さな町ではあるが、歴史的にかつ地理的、また民俗学的にも、山川は石敢當の調査・検討する価値がある地域である。