著者
元山 宏行 榎本 大 安田 隆弘 藤井 英樹 小林 佐和子 岩井 秀司 森川 浩安 武田 正 田守 昭博 坂口 浩樹 河田 則文
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.105, no.8, pp.1234-1239, 2008 (Released:2008-08-05)
参考文献数
16
被引用文献数
4

症例は37歳の女性.肥満症に対し薬局で購入した防風通聖散を約1カ月間服用していた.服用開始から約2カ月後に黄疸を主訴に来院し,肝機能異常を認め入院となった.肝生検では門脈域と小葉内に炎症細胞浸潤を認めたが線維化は乏しく急性肝炎と診断した.防風通聖散についてリンパ球刺激試験は陽性であり,成分別ではトウキ,センキュウ,ハッカが陽性であった.DDW-J2004のスコアリングにより薬物性肝障害と診断した.
著者
望月 勉 芳山 充晴 武田 正之 中込 宙史
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

下部尿路機能異常についてTRPチャネルの関与を解明すべく、各種ノックアウトマウスを用い、様々な角度から検証を行った。排尿代謝ケージシステムを用いた実験ではTRPV4ノックアウトマウスは頻尿を呈することが明らかとなった。また除脳を施した膀胱内圧測定では野生型マウスと比べnon-voiding contraction(不随意収縮)の回数が多いことが判明した。以上の結果より、TRPチャネルは下部尿路機能、とりわけ蓄尿機能の維持に重要な働きをなしていることが示唆された。各種TRPチャネルのコントロールが今後の過活動膀胱の治療のターゲットとして期待される。
著者
武田 正則
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.17-28, 2012-03-30

学校教育をめぐる状況は大きく変化し,学校のみで教育課題全体を解決していくことには限りがある.そのため,学校・家庭・地域等の連携と協働が従来に増して求められ,教育目標の達成のために「協働の仕組みづくり」が課題となっている.本稿では「協働の仕組みづくり」を念頭に置き,子どもらに授業を通じて「参画と協働」を理解させるために参画型協働学習に焦点をあて,学習ファシリテーションの理論的背景を究明する.その方法として,知識創造・参画・協働に関する理論から場の形態(個人知・集団知・組織知),場の能力(知力・参力・協力),場の拡大(情報通信技術による参入)を考察した.結論として,学習ファシリテーションとは問題解決のためのマネジメントデザインと協働促進のためのコミュニケーションデザインの両面を担う学習方法であること,その指導においては5つのファシリテーションスキル(学びの場のデザイン・対人関係・構造化・合意形成・情報共有化)が必要になることを明らかにした.
著者
座光寺 秀典 宮本 達也 神家満 学 犬塚 秀康 土田 孝之 荒木 勇雄 武田 正之
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.29-33, 2010-01-20
被引用文献数
2

われわれはロタウィルス胃腸炎後に両側尿管結石による急性腎不全となった2幼児例を経験した.症例は2歳4ヵ月の男児と1歳1ヵ月の男児.4〜5日続く下痢,嘔吐に引き続いて無尿となったため当院を受診した.便中ロタウィルス抗原陽性で腹部超音波検査と腹部CTで軽度水腎症と両側尿管結石を認めたため,ロタウィルス胃腸炎後の尿管結石嵌頓による腎後性腎不全と診断した.直ちに経皮的腎瘻を造設し,数日で腎機能は正常化した.尿アルカリ化を行い腎瘻カテーテルから砂状の結石の排出を認めた,結石分析の結果酸性尿酸アンモニウムであった.酸性尿酸アンモニウム結石は先進国ではまれであるが,近年ロタウィルス胃腸炎後の両側尿路結石による急性腎不全の報告が散見される.これまでロタウィルス感染後の急性腎不全の主因は持続する脱水症と考えられていたが,本例のような尿管結石による腎後性の要因も考慮すべきであると思われた.
著者
座光寺 秀典 宮本 達也 神家満 学 犬塚 秀康 土田 孝之 荒木 勇雄 武田 正之
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.29-33, 2010 (Released:2012-03-16)
参考文献数
8
被引用文献数
1

われわれはロタウィルス胃腸炎後に両側尿管結石による急性腎不全となった2幼児例を経験した.症例は2歳4カ月の男児と1歳1カ月の男児.4~5日続く下痢,嘔吐に引き続いて無尿となったため当院を受診した.便中ロタウィルス抗原陽性で腹部超音波検査と腹部CTで軽度水腎症と両側尿管結石を認めたため,ロタウィルス胃腸炎後の尿管結石嵌頓による腎後性腎不全と診断した.直ちに経皮的腎瘻を造設し,数日で腎機能は正常化した.尿アルカリ化を行い腎瘻カテーテルから砂状の結石の排出を認めた.結石分析の結果酸性尿酸アンモニウムであった.酸性尿酸アンモニウム結石は先進国ではまれであるが,近年ロタウィルス胃腸炎後の両側尿路結石による急性腎不全の報告が散見される.これまでロタウィルス感染後の急性腎不全の主因は持続する脱水症と考えられていたが,本例のような尿管結石による腎後性の要因も考慮すべきであると思われた.
著者
武田 正倫 橋本 惇 太田 秀
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series A, Zoology (ISSN:03852423)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.159-172, 2000-12
被引用文献数
1

A new bythograeid crab named Austinograea yunohana is described on the specimens from some hydrothermal vents along volcanic front of the eastern edge of the Philippine Sea Plate, off central Japan, as the ninth of the family Bythograeidae Williams, 1980,and the third of the genus Austinograea Hessler et Martin, 1989. The new species is most closely related to A. alayseae Guinot from the South Pacific, but remarkably different in having the filiform second male pleopod nearly as long as the first.
著者
駒井 智幸 武田 正倫
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.71-144, 2006
被引用文献数
2

国立科学博物館調査プロジェクト「相模灘およびその沿岸地域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明」の調査結果とりまとめにあたり,東京湾を含む相模灘海域より記録されるホンヤドカリ科ヤドカリ類のレビューを行った.本海域のヤドカリ相は本邦海域中でも最も調査が進んでおり,知見の蓄積が多い.特に,三宅(1978)によるモノグラフ「相模湾産異尾類」は,生物学御研究所に所蔵されていた相模湾産の材料を主に扱ったもので,相模湾だけでなく東アジア海域のヤドカリ類を研究する上での基礎資料として参照されてきた.しかし,近年の研究によりヤドカリ類の再検討が進められてきた結果,属レベルでの再編成,新種記載や既知種の再記載が活発に行われてきた.さらに既往の文献における多くの誤同定や分類学的混乱の存在が指摘され,改訂されてきた.本研究は,近年の分類学的知見を十分に反映した相模灘海域産ホンヤドカリ科のチェックリストを作成することを第1の目的とした.また,いくつかの種について,分類学的に不明確な点,あるいは問題点の解決を試みた.Catapagurus misakiensis Terao,1914は相模湾沖の瀬から採集された雄標本1個体に基づき記載された分類群であるが,分類学的な位置が不明確なままとされていた.三宅(1978)では明確な根拠は与えられていないが,Cestopagurus属として扱われている.本研究では,失われたと考えられるホロタイプが奇形個体であったと考え,タイプ産地にごく近い相模灘沖ノ山堆産の雄標本をネオタイプに指定した.ネオタイプ標本は,右精管の形態をのぞき寺尾(1914)の原記載によく一致し,さらにCatapagurus japonicus Yokoya,1933にも一致する.両分類群が同種である可能性はこれまでにも指摘されており(Asakura,2001),本研究の処置によりC.japonicusはC. misakiensisの主観シノニムとなる.和名は従来どおりミサキヤドカリを適用する.ジンゴロウヤドカリは,最近の研究により新しい属に移された(McLaughlin&Asakura,2004).しかし,当初提唱された属名Dofleiniaは刺胞動物のスナギンチャク属のホモニムであったため,置換名PagurodofleiniaがAsakura (2005)により提唱された.本研究により,McLaughlin and Asakura (2004)およびAsakura(2005)による属の標徴には誤りと考えられる点がいくつかあることが判明したので,修正を加えた属の標徴を与えた.カイガラカツギ属の2種(Porcellanopagurus japonicusカイガラカツギ,P. nihonkaiensisマルミカイガラカツギ)は相模灘海域から記録されていたが,形態に関する記載情報が十分でなく種の特徴に不明確な点が多かったので,再記載を行った.カイガラカツギは南半球産のP. tridentatusに酷似することが判明し,両分類群が同種か別種かの決定には今後の検討を要する.今回の研究で,以下の5種が相模灘海域から新たに記録された.いずれも本邦海域からは既に記録のあるものであるが,和名のないものについては新たに和名を提唱した:Anapagrides aequalisトリシマヒナヤドカリ,Decaphyllus spinicornisサツマヤドカリ,Nematopagurus kosiensisシンヨウイトヒキヤドカリ,Pagurus nigrofasciaヨモギホンヤドカリ,Solitariopagurus tuerkayiオニカイガラカツギ(新称).また,本邦周辺海域より記録されている属について同定を目的とした検索表を付した.本科ヤドカリ類では,雄の精管の発達や雌の有対腹肢の有無など性的に変異の生じる形質を重要な識別形質として用いるが,雄雌どちらかが標本に欠けていると同定が困難なことがある.その困難をできるだけ回避するために雌雄分けた検索表を作成した.さらに,これまで和名の提唱されていなかった以下の種について,新たに和名を提唱する:Bathypaguropsis carinatusケショウクロシオヤドカリ(新称),Bathypaguropsis forestiサガミクロシオヤドカリ(新称),Nematopagurus australisツメナガイトヒキヤドカリ(新称),N. richeriツブイトヒキヤドカリ(新称),Pagurus imafukuiイマフクツノガイホンヤドカリ(新称),Pagurus nipponensisシマハダカホンヤドカリ(新称),Pagurus similisヤマブキホンヤドカリ(新称).相模灘産種の生物地理学的観点からの組成であるが,東アジア固有要素が卓越していることが明らかであり,これは海域の地理的な位置からしても驚くべきことではない.また,寒流の親潮から派生した冷水が近隣の房総半島沿岸まで至り,動物相の形成に大きな影響を与えているが,相模灘海域では冷水域に主分布域を持つ種は1種のみであり,特に北太平洋に分布の中心を持つ種が欠如する.一方,黒潮の影響の強い伊豆大島や房総半島南部では熱帯・亜熱帯に起原を持つと考えられる種が潮下帯以深の浅海帯に多く出現し,特に伊豆大島ではその傾向が顕著である.また,相模灘海域のみから記録される種がいくつか存在するが,その多くは最近記載されたもので実際の分布については不明な点が多く,海域の固有種が存在するかどうかは現時点では不明である.
著者
大原 嶺 松澤 智史 武田 正之
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.115-116, 2019-02-28

ユーモアの理解は人間の高度な知的活動である.近年のAI技術の発展は著しいが,ユーモア関連での成果は比較的少ない.本研究では,ユーモア分野の中でもパターンが定型化されているなぞかけに着目する.なぞかけを生成するためにはお題に対する音韻類似語と関連語を抽出する必要があるが,音韻類似後の抽出部分には同音異義語辞書を,関連後の抽出部分にはWord2Vecの学習モデルを用いた.その結果,従来のシステムに比べてより豊富な語彙を持ち,幅広いお題に対応することのできるなぞかけ支援システムを構築した.
著者
武田 正倫 須賀 秀夫
出版者
一般社団法人 日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:24330108)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.43-46a, 1979 (Released:2017-09-08)
被引用文献数
5

A peculiar feeding habit of opening mollusk shells was observed in Calappa gallus capellonis LAURIE in the field (Murote Bay faced to the Bungo Channel) and in the laboratory (Ehime University). It is sure that the box crabs can skillfully open the shells by using the tubercles of the right chela and thus feed on the soft parts or hermit crabs. The shell-opening mechanism observed is not basically different from the result reported by SHOUP (1968). When there are no shells in the surrounding, the box crabs take the other foods.
著者
小林 史枝 武田 正則 佐藤 正暢 山下 好史 杉山 賢司 森田 雅教
出版者
The Japanese Society of Extra-Corporeal Technology in Medicine
雑誌
体外循環技術 (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.59-63, 1997

近年の膜型人工肺は,ハードシェルめ静脈貯血槽との一体型が多く,簡素化されている。しかし,最低貯血量の必要性などにより,人工心肺回路の充填量軽減には限界がある。そこで我々は,低充填量を目的に,静脈血液が貯血槽を経ない遠心ポンプと落差の併用脱血方式の回路を試作し,臨床使用した。脱血回路は,貯血槽から遠心ポンプへの回路の中間へ接続し,主な静脈血は直接遠心ポンプへ流入し,灌流量以外の静脈血は貯血槽の流出口から自然落差により逆流し貯血する。灌流量が不足の場合は,貯血槽から補う方式とした。また,脱血回路にはエアーフィルタを装着し,遠心ポンプへの空気混入を回避した。エアーフィルタは100μmに織ったポリエステルのスクリリーンタイプで,充填量が40mlのものを使用した。このフィルタの性能試験を牛血(Ht=20%)で1分間5mlの空気を4回注入し,フィルタの出口で気泡を検知した結果,40μm以上の気泡は18個で,その内17個が60μm以内で,1個だけ70μmが検知された。この微小気泡は,人工肺出口でも同量が検知されたが,遠心ポンプの拍出には影響なく,最終的には動脈フィルタにおいて全て遮断された。試作回路は充填液量が1,000mlと少なく,脱血回路への空気混入は,エアーフィルタで除去され,弁疾患などの開心術症例にも支障なく使用でき,有用な人工心肺回路であった。
著者
武田 正倫
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.135-"184-2", 1989

昭和年63年 (1988) 7月, 国立科学博物館の「奄美大島周辺地域の自然史科学的総合研究」の一環として, 奄美大島と加計呂麻島間の大島海峡においてドレッジを用いた底生生物調査が行われた。調査地点は水深15m から 70m にわたる合計27地点で (Fig.1), 得られた力ニ類は10科32属42種に分類された。また, 真珠養殖のために浅海に懸垂したマベの貝殻から掻き落とした付着生物の間から見い出されたカニ類は5科8属12種に分類され, マベの外套腔からカクレガニ科の1種が得られた。その他, プロカメラマンの楚山勇氏がスクーバ潜水中に採集したカニ類(8科18属18種), 昭和45年 (1970年) に鹿児島大学水産学部の学生がドレッジを用いて採集したカニ類(7科16属19種)も含めた。すべてのカニ類は合計14科57属81種であるが, Table 1 に示したように, それぞれのコレクションの間で重複している種が少ないことが特筆される。国立科学博物館と鹿児島大学の採集方法はともにドレッジであるが, 前者の42種と後者の19種とに共通しているのはコブシガニ科3種, ヒシガニ科1種, オウギガニ科1種, ケブカガニ科2種の合計7種にすぎない。これは″ドレッジ″とはいっても器具の形と大きさの違いによるためなのか, あるいは採集地点の海底の状態によるためなのか, カニ類の種構成だけからでは説明が難しい。一方, スクーバ潜水によって得られた18種とマベの付着生物中から得られた12種に共通するのはコブシガニ科の1種にすぎず, また, ドレッジによって得られた種と共通するのもオウギガニ科の1種とサンゴガニ科の1種にすぎない。これは, それぞれの生息環境が異なるほか, 採集方法の違いが主因と考えられる。すなわち, スクーバ潜水によって得られた種は主として岩礁性で, 目につきやすい大型種か, 小型種であっても比較的動きのある種からなっているのに対し, マベの貝殻から得られた種は付着生物の間に潜り込む習性をもつ小型種で構成されている。スクーバ潜水による採集品とドレッジによる採集品にはもっと多くの共通種が期待されるが, 前者には小型種の採集に, 後者では複雑な海底での採集に限界があることから, 採集方法としては両者は互いに補完すべきものである。記録された合計81種には2新種が含まれている。オウギガニ科の Miersiella cavifrons sp. nov. の近縁種は相模湾, インド洋東部のクリスマス島, オーストラリア東部のニューサウスウェールズ州から知られている M.haswelli (MIERS) のみである。一方, エンコウガニ科の Psopheticus megalops sp. nov. の所属にはやや疑問があるが, この属には日本からインドまで分布するナキエンコウガニ P.stridulans WOOD-MASON, 台湾の高雄とビルマ(ミャンマー)のマルタバン湾から記録されているモンツキエンコウガニ P.insignisALCOCK, 日本とフィリピンに産するウスベニエンコウガニ P.hughi RATHBUN およびニューカレドニアから記載された P.vocans GUINOT の4種が知られている。日本新記録種は Table 1 の各種名の前に星印を付して示してあり, カイカムリ科1種, コブシガニ科3種, ヤワラガニ科1種, クモガニ科5種, ヒシガニ科3種, ワタリガニ科2種, オウギガニ科2種, ケブカガニ科2種, エンコウガニ科3種, カクレガニ科1種の合計10科23種に達する。新記録種はいずれも, 従来, フィリピンやミロネシア, マレー諸島などから知られている南方系種である。これほど多くの日本新記録種が見い出されたということは奄美大島の浅海域の調査がほとんど行われていなかったことを示している, 海峡内だけでなく外海に面したサンゴ礁域の浅海の調査が行われれば, さらに多くの種が追加されるものと思われる。また, 従来, 琉球列島南部からのみ記録されていたカニ12種が採集された。それらはコブシガニ科1種, クモガニ科1種, ワタリガニ科2種, オウギガニ科5種, ケブカガニ科1種, サンゴガニ科1種, サンゴヤドリガニ科1種で, 日本新記録種ではないが, いずれも分布の北限が奄美大島まで広がったことになる。一方, 本州中部から九州沿岸にのみ分布するとされていた日本固有の3種, コブシガニ科のゴカクウスヘリコブシガニ Cryptocnemus pentagonus とロッカクコブシガニ Nursia japonica, エンコウガニ科のモールスガニ Xenophthalmodes morsei が今回の調査で採集された。これらはいずれも小型種であるが, 形態的に特徴があるため同定に問題はない。分布の南限が奄美大島まで広がったことになるが, 従来のフィリピンやインドネシア海域の広範な調査において記録されていないことから, 奄美大島よりさらに南方海域に分布している可能性は低い。
著者
黄 娟娟 武田 正倫
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.11-18, 1986

イワガニ科のオオヒライソガニVaruna litterata(FABRICIUS)はインド西太平洋海域の汽水,淡水域に広く分布しているが,流木などについて沖合を漂流していることもある.同属には他にザンジバル産のV.tomentosa PFEFFERが知られているが,1889年の原記載以後,記録されていない.台湾産の標本を調査したところ,典型的なオオヒライソガニに加えて,明らかな別種が存在することが判明した.本論文でこの種をV.yuiの名で記載したが,最も著しい相違は雄の第1腹肢の形態である.オオヒライソガニの第1腹肢は先端が丸い完縁であるのに対し,新種では深く切れ込んでいる.その他,甲域の状態,腹部の形態,歩脚の長さなどもわずかに異なる.なお,フィリピン産の標本中にも新種に同定できるものがあり,新種もオオヒライソガニと同様にインド西太平海域沿岸部に広く分布している可能性がある.
著者
古川 忠延 松澤 智史 松尾 豊 内山 幸樹 武田 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.7, pp.1258-1266, 2005-07-01
被引用文献数
2

最近注目を集めているWeblog(以下Blog)では, ブックマーク(ユーザが自身のBlogページ内からリンクしているお気に入りのBlog)やコメント, トラックバックなどによりBlog同士の関係性を把握することができる.このようなBlogのつながりは全体としてBlogネットワークを構成し, ユーザへの情報推薦に有用な情報源であると考えられる.本論文では, Blogネットワークにおいて, ユーザがどのようなページを頻繁に閲覧しているのかを, Blog間の関係性に着目して分析し, その把握を試みた.機械学習アルゴリズムを用いてユーザが閲覧する要因を分析した結果, Blogネットワークにおいてはブックマークを経由しての閲覧が大きな割合を占めていることが分かった.また, ユーザが閲覧している先のBlog運営者がコメントやトラックバックといったアクションを起こしている先のBlogも, ユーザにとって興味深いBlogとなっている可能性が高いことを裏づけるデータを得ることができた.
著者
Galil Bella 武田 正倫
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series A, Zoology (ISSN:03852423)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.67-90, 1988-06

Four new xanthoid genera, Gorgonariana, Lentilumnus, Xlumnus and Serenolumnus are established for the species formerly assigned to Glabropilumnus BALSS. Descriptions and illustrations are given for the five remaining species of Glabropilumnus. The various synonymies are discussed and a key is provided.
著者
武田 正則
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.26, pp.218-221, 2010-08-21

グループワークによる参画学習では様々なアクティビティが用いられている。本研究ではオブジェクト指向プログラミングとファシリテーション技法の共通性を探るために目標を「問題解決(プロセス)」,活動を「知識創造技法による作図作業(プロダクト)」とした参画学習のためのアクティビティ・プログラムを開発する.本発表では,このプログラミングにより構築した「ロジックツリー学習モデル」を提示し,学習および校内教員研修において実践する.