著者
中西 洋喜 加藤 治久 渡辺 敏暢 石上 玄也 西牧 洋一 丸木 武志 吉田 和哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.654, pp.45-51, 2002-02-15

流星は,彗星を起源とする塵が大気圏に突入して発光する現象であり,この塵には生命の起源となった有機物が含まれている可能性が示唆されている.本論文では,しし座流星群をはじめとする様々な流星群を,大気圏外から観測を行い,イメージおよび分光データを取得する小型衛星,LEOLEO(Leonid-Meteor Observer in Low Earth Orbit)-IIを提案する.本衛星には,I.I. CCDカメラ及び分光器が搭載される.これにより地上からでは大気の影響で観測が極めて困難であった,流星の紫外線領域での分光観測が可能となり,これまで得ることができなかった貴重なデータを得ることが期待できる.
著者
田口 真 吉田 和哉 中西 洋喜 高橋 幸弘 坂野井 健
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

惑星大気・プラズマの光学的リモートセンシングを目的とした気球搭載望遠鏡システムを開発した。アルミ角材で構成されるゴンドラを設計・製作した。望遠鏡、太陽電池パネル、PC及び高圧電源を収納する気密容器、ジャイロ(CMG)を収納する防水容器、デカップリング機構がゴンドラに取り付けられる。CMGとデカップリング機構の制御によって、目標精度である約0.2°でゴンドラの姿勢を制御できることが確認された。望遠鏡の光路を波長帯で分け、中心波長400nm及び900nmのバンドパスフィルターを通して別々のCCDビデオカメラで撮像する。経緯台制御によって星像を約0.01°の精度で追尾できることを実験で確認した。望遠鏡視野に天体を捉えたのちは、星像位置検出用光電子増倍管からの出力をフィードバックして2軸可動ミラーマウントを制御することで、星像を視野中心に安定化できることを確認した。追尾性能向上のため、サンセンサーの視野をやや広くし、ガイド鏡の視野をやや狭くする改良を施した。ゴンドラ重量は約300kgとなった。電源は太陽電池から約250Wを供給するが、ニッケル水素充電池でノミナル消費電力を2時間まで供給することが可能である。ニッケル水素充電池の低温特性を測定し、性能に問題ないことを確認した。太陽電池と組み合わせた充放電回路を設計・製作した。熱真空試験を実施し、成層圏環境下で問題なく動作することを確認した。将来、北極で本格的な実験を実施するための調査として、ESRANGEの気球実験担当者と打ち合わせた。10月には実際にスウェーデン・キルナにある気球実験フィールドを視察した。これまでの開発成果を国際学会や国内学会・シンポジウムで発表した。また成果をまとめてAdv.Geosci.誌に投稿し受理された。
著者
奥村 治彦 内田 龍男 金子 節夫 下平 美文 内池 平樹 服部 励治 中西 洋一郎 山崎 映一 中本 正幸
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J92-C, no.8, pp.433-453, 2009-08-01

2002年には,金額ベースでは,FPD全体の市場がCRT市場を超え,特に成長が著しくFPDの活躍の場である携帯電話を中心としたモバイル市場はもとより,最近になって,CRTの最大市場であるテレビ受像機市場でも逆転現象が発生するまでにFPD市場が急成長してきた.このような中,本論文では,中心的な役割を果たしてきたCRTと,その主役を引き継ぐFPD(LCD,PDP,EL,FEDに分類)について,ここ40年のそれぞれの技術進化を振り返り,将来を展望する.
著者
前島 正義 中西 洋一
出版者
名古屋大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

本研究は,新規プロトンポンプとしての液胞型H^+-ピロホスファターゼ(H^+-PPase)に焦点をあて,その分子構造と酵素機能の作動機構を解明し,分子構築と反応機能に関する明確なモデルを提案すること,ならびにH^+-PPaseの細胞生物学的機能解明を目的とした。この目的のために種々の先端的解析手法を用いた。一次構造上の特定アミノ酸残基の機能上の役割を明らかにするために、分子生物学的手法により特定部位に変異を導入し,基質加水分解,活性発現におけるK^+要求性,基質分解とH^+輸送との共役反応に対する影響を検討し,精密な膜内配向構造を明らかにし,かつ基質分解に関与するアミノ酸残基を特定した。これらの結果は,膜トポロジーモデルとして論文発表し,多様な生物のH^+-PPaseを理解する基本構造として認知された。本研究ではH^+-PPaseの高次構造を直接観察する結晶解析を推進してきた。現時点では,まだ十分なサイズの結晶を得ることに成功していない。しかし,結晶形成に最適な,活性型酵素のみを認識する抗体断片の調製に成功し,これを用いて,高純度の活性型^+-PPaseを大量精製するステップまで到達した。現在,これを試料として結晶形成の条件検討を進めている。さらに,H^+-PPaseのプロトン輸送能を直接測定するため,酵母へのH^+-PPase遺伝子導入,酵母巨大化,巨大液胞を用いたH^+-PPase機能のパッチクランプによる測定,という実験システムを確立した。また,H^+-PPase遺伝子の欠失株を取得し,詳細に分析をしたところ,変異株は小さいのみならず,液胞膜H^+-ATPaseが活性化されていることも見出した。これはH^+-PPase欠失を補完する植物のしなやかな応答であると推定される。
著者
前島 正義 中西 洋一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

二年間での本研究プロジェクトは,液胞膜のイオン輸送システムに焦点を充て,カチオン/H+交換輸送体,亜鉛輸送体,プロトンポンプを具体的な研究対象とし,次の成果を得た。(1)液胞膜カチオン(Ca^<2+>)/H^+交換輸送体(CAX1a):イネには5種のアイソフォームが存在し,一次構造,金属イオン選択性,発現細胞において明確な特徴をもつことを明らかにした。その中でもCAX1aは液胞膜に局在し,どの器官においても発現が観察されるが,とくにカルシウムが集積し高濃度になる細胞での遺伝子発現が顕著であった。したがって,液胞へのCa^<2+>の備蓄という役割に加えて,過剰Ca^<2+>を液胞に排除する機能をもつと推定した。また,システインスキャニング法によりCAX1aの膜内分子構造を明らかにし,部位特異的変異導入法によりイオン選択性に関わるアミノ酸を同定し,分子モデルを提案し,世界的に認められるに至った。(2)液胞膜亜鉛輸送体(MTP1):植物液胞膜の亜鉛能動輸送体としてMTP1分子を同定した。MTP1遺伝子欠失株は,高濃度(0.2mM)の亜鉛に対して感受性となり,根の伸長阻害,葉肉細胞の壊死など著しい障害を受けることを明らかにし,亜鉛を液胞へプールする役割と共に高濃度亜鉛障害を回避する役割を担っていると判断した。MTP1は液胞膜でのH^+勾配を利用するZn^<2+>/H^+交換輸送体であることを生化学的手法で明らかにし,さらに輸送機能に関わるアミノ酸残基も特定した。(3)液胞膜プロトンポンプ(H^+-PPase):液胞膜H^+-ピロホスファターゼは液胞の酸性pHを維持し,液胞膜プロトン勾配を形成する酵素である。その遺伝子欠失株が,生育不良を生ずることを明らかにし,正常な植物の成長に不可欠であることを明らかにした。その分子構造,膜内配向性を解明して分子モデルを提案し,世界的に受け入れられるに至った。
著者
小沢 博 有馬 哲夫 大西 洋一 中村 隆 大河内 昌 石幡 直樹 ROBINSON Peter
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は、英文学に現れた異人概念の変遷を比較検討することにより、英文学及び英国文化を、広義の異文化交渉史の中で捉え直すことにあった。新大陸や東洋のみならず、文学的尚古主義、階級差、性差といった広い意味での内なる異文化も対象とし、そこに継起する異人概念の変遷を検証することにより、英文学を内と外の複眼的視点で相対化しようとする試みである。こうした観点から、小沢は、英国ルネサンス期に見られる外国人排斥運動の思潮を検討し、これが当時の演劇作品と上演活動にどのような影響を与えているかを考察した。石幡は、英国ロマン派文学に顕著な尚古主義や高尚なる野人の概念を異文化への憧憬の象徴的行為として捉え、ロマン派思潮台頭の背後にある社会文化的要因を当時の異国趣味との関連で検討した。大河内は、19世紀における階層社会の形成を異人としての下層階級の形成として捉え、当時の政治経済理論がこうした内なる異人の生産といかに連動していたかを政治社会史的文脈の中で探った。中村は、19世紀英国小説におけるユダヤ人の表象を検証し、大衆文化の担い手としての小説がいかに通俗的な異人観を形成していったかを考察した。大西は、17・18世紀英国演劇における新大陸と東洋の表象を比較検討し、西欧の西進と東進がもたらした異なる二つの非西欧文化との交渉を演劇の文化史として考察した。有馬は、アメリカ文学におけるインディアンの表象の変遷を俯瞰し、これを英国の植民地政策との関連で比較文化論的に考察した。Robinsonは、英国近代文学の創作活動が異人としての女性の侵入と密接な関係を持ってきたことを、RichardsonのClarissaやT.S.EliotのThe Waste Land改作問題と絡めて検証した。以上のような具体的研究成果を通じ、共同研究者の知見を統合して、英文学における異人概念の変遷の一面を解明できた。
著者
田中 海一 幾野 敬太 葛西 洋平 福永 和哉 欅田 英之 江馬 一弘 菊池 昭彦 岸野 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.125, pp.29-33, 2007-06-22

通信波長帯でのサブバンド間遷移(Intersubband transition:ISBT)は、LOフォノン放出により超高速で緩和するため、光スイッチング素子としての応用が;期待できる。GaN系ISBTは他のISBT試料と比べて特に高速で緩和することができるが、問題点として、サファイア基板との格子不整合によつて生じた貫通転位によるスイッチング効率の低下があげられる。高密度柱状結晶のGaNナノコラムでは、貫通転位を含まない優れた結晶性を有するため、試料の高品質化が望める。そこで我々はGaNナノコラムに多重量子ディスク(MQD)を挿入した試料において、通信波長帯でのISBTによる吸収を確認した。さらに、ポンプ・プローブ法を用いて、ISBT吸収飽和信号の超高速な緩和過程を観測し、性能指数を見積もった。
著者
杉浦 健二 小南 裕子 中西 洋一郎 畑中 義式
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.621, pp.41-44, 2005-01-21
被引用文献数
3

SrS : Euは近紫外線領域にも励起帯を有し610nm付近に発光ピークを持つことが知られている。しかし、赤色としては十分でなく、より長波長の赤色が求められている。そこで母体をBaSとの混晶にした(Ba_xSr_<1-x>)S : Euを合成し、xの値を変化させることにより組成比を変化させた。Xeを分光した380nmで励起した発光スペクトル測定の結果、発光ピークを組成比の変化に伴い607-688nmまで長波長シフトさせることが可能であると確認できている。また硫黄雰囲気中3時間1100℃で焼成し合成した試料の中でもx=0.25での試料で色純度、輝度ともに最適であることが確認された。そこで、硫黄雰囲気中での焼成時に一部生成する硫酸塩化合物の存在の発光強度への関与を検討した。
著者
小西 洋祐 橋本 豊大 石原 進 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.13, pp.17-24, 2001-02-14
被引用文献数
1

現在いつでもどこでもだれでもインターネットに接続することができるモバイルコンピューティング環境が急速に普及し,より身近なものとなってきた。しかしながら無線通信環境は有線のそれに比べると通信の品質が低く,通信速度が遅いという問題かある。そこで筆者らは数台の移動ホストにより一時的に短距離のネットワークを構築し,これらの各端末が持つ長距離無線リンクを束ねることで論理的な帯域幅を広くし,より品質の高い通信環境を実現するための方法として,通信回線共有方式SHAKEを提案している。SHAKEはこれまでに試作システムが実装・評価されているが,SHAKEを利用するすべての端末に機能を追加する必要があった。本稿では通信回線共有方式を利用した高速Webアクセス方式としてWeb SHAKEを提案する。Web SHAKEは各移動ホスト上で動作するHTTP Proxyサーバを利用することにより,SHAKEのための特別な機能を有しないインターネット上の任意のWebサーバとSHAKEによる通信が可能である。本稿ではWeb SHAKEの実装・評価結果について示す。Nowadays mobile computing has become popular. Many people can access to Internet with mobile terminals. However wireless links used by mobile hosts have some problems such as narrow bandwidth and low reliability. To offer high speed communication on wireless links, we have proposed SHAKE(SHAring multiple paths procedure for cluster networK Environment). In SHAKE, mobile hosts which are connected with fast local link each other use multiple wireless links owned by each host simultaneously to communicate with hosts on the Internet. An experimental system has been implemented and evaluated. In this system, however, not only mobile hosts but also correspondent hosts on the internet required special software for SHAKE. In this paper, we propose a fast WWW access method with SHAKE(Web SHAKE). The feature of Web SHAKE is that it does not require any special software on web servers on the internet to use SHAKE. The feature is realized by an use of HTTP Proxy Server which works on each mobile host. Experimental results obtained by an implementation of Web SHAKE are shown.