著者
西川仁史
雑誌
臨床スポーツ医学
巻号頁・発行日
vol.9, pp.33-37, 1992
被引用文献数
1
著者
興梠 紗和 木村 昭悟 藤代 裕之 西川 仁
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J99-D, no.4, pp.403-414, 2016-04-01

SNSの隆盛によりニュースを取り巻く環境は大きく変化している.新聞やテレビから一方的に配信される記事を受け取るのではなく,膨大な情報で溢れるSNS上から関心のある記事を選択して購読する新たなニュースの読まれ方が生まれている.この変化により,ニュースメディアはSNS上で記事を読者に対して効果的にアピールする必要に迫られている.その一方で,刺激的な言葉を用いてむやみに拡散させるのではなく,記事を正確に説明し,その内容に興味をもつ読者に記事を届ける必要がある.本研究では,ニュース配信者がニュース消費者に適切なニュース記事を提供するための一手段として,ニュース記事を的確に説明する説明文が,SNS上でより多くの読者に読まれるために備えるべき性質を特定することを目指す.この目標に向け,本論文ではまず記者と編集者を対象としたヒアリング調査と,ニュースサイトがSNSに投稿している説明文の調査を行った.これらの調査を分析することで明らかになった,説明文がもつべき性質を利用することで,与えられたニュース記事をSNS上で紹介する説明文を幾つかの候補の中から自動的に選択する手法を提案する.
著者
西川 仁 平尾 努 牧野 俊朗 松尾 義博 松本 裕治
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.585-612, 2013-09-13 (Released:2013-12-12)
参考文献数
29

本論文では,複数文書要約を冗長性制約付きナップサック問題として捉える.この問題に基づく要約モデルは,ナップサック問題に基づく要約モデルに対し,冗長性を削減するための制約を加えることで得られる.この問題は NP 困難であり,計算量が大きいことから,高速に求解するための近似解法として,ラグランジュヒューリスティックに基づくデコーディングアルゴリズムを提案する.ROUGE に基づく評価によれば,我々の提案する要約モデルは,モデルの最適解において,最大被覆問題に基づく要約モデルを上回る性能を持つ.要約の速度に関しても評価を行い,我々の提案するデコーディングアルゴリズムは最大被覆問題に基づく要約モデルの最適解と同水準の近似解を,整数計画ソルバーと比べ100倍以上高速に発見できることがわかった.
著者
山野 薫 小寺 正人 小堀 博史 西川 仁史 松永 秀俊 秋山 純和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.467-473, 2011 (Released:2011-09-22)
参考文献数
17
被引用文献数
2

〔目的〕2010年4月に理学療法士免許を取得した理学療法士(新人理学療法士)を対象にリスクマネジメントに関する不安について,その現状把握と問題点の整理をおこなった.〔対象〕新人理学療法士47名(平均年齢23.9±3.8歳)とした.〔方法〕自記式アンケート調査により,回収した回答を分析した.〔結果〕新人理学療法士の診療を行ううえでの不安の第1位は「自分の評価や治療に自信がないこと」(31人)であった.職場の規則やシステムなどにおける不安の第1位は,「緊急時に組織の一員としての動きに自信がないこと」(19人)であった.〔結語〕新人理学療法士のリスクマネジメントに関する不安は,個人の能力に帰属する卒前教育の要素と入職直後に取り組む施設内教育システムの要素があることがわかった.
著者
長谷川 隆明 西川 仁 今村 賢治 菊井 玄一郎 奥村 学
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.133-143, 2010 (Released:2010-01-06)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Recently, web pages for mobile devices are widely spread on the Internet and a lot of people can access web pages through search engines by mobile devices as well as personal computers. A summary of a retrieved web page is important because the people judge whether or not the page would be relevant to their information need according to the summary. In particular, the summary must be not only compact but also grammatical and meaningful when the users retrieve information using a mobile phone with a small screen. Most search engines seem to produce a snippet based on the keyword-in-context (KWIC) method. However, this simple method could not generate a refined summary suitable for mobile phones because of low grammaticality and content overlap with the page title. We propose a more suitable method to generate a snippet for mobile devices using sentence extraction and sentence compression methods. First, sentences are biased based on whether they include the query terms from the users or words that are relevant to the queries, as well as whether they do not overlap with the page title based on maximal marginal relevance (MMR). Second, the selected sentences are compressed based on their phrase coverage, which is measured by the scores of words, and their phrase connection probability measured based on the language model, according to the dependency structure converted from the sentence. The experimental results reveal the proposed method outperformed the KWIC method in terms of relevance judgment, grammaticality, non-redundancy and content coverage.
著者
今村 賢治 齋藤 邦子 貞光 九月 西川 仁
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 = Journal of natural language processing (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.381-400, 2012-12-14
参考文献数
20
被引用文献数
1

本稿では,置換,挿入,削除操作を行う識別的系列変換で日本語学習者作文の助詞誤りを自動訂正する.誤り訂正タスクの場合,難しいのは大規模な学習者作文コーパスを集めることである.この問題を,識別学習の枠組み上で 2 つの方法を用いて解決を図る.一つは日本語としての正しさを測るため,少量の学習者作文から獲得した n-gram 二値素性と,大規模コーパスから獲得した言語モデル確率を併用する.もう一つは学習者作文コーパスへの直接的補強として,自動生成した疑似誤り文を訓練コーパスに追加する.さらに疑似誤り文をソースドメイン,実際の学習者作文をターゲットドメインとしたドメイン適応を行う.実験では,n-gram 二値素性と言語モデル確率を併用することで再現率の向上ができ,疑似誤り文をドメイン適応することにより安定した精度向上ができた.
著者
今村 賢治 齋藤 邦子 貞光 九月 西川 仁
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 = Journal of natural language processing (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.381-400, 2012-12-14
被引用文献数
1

本稿では,置換,挿入,削除操作を行う識別的系列変換で日本語学習者作文の助詞誤りを自動訂正する.誤り訂正タスクの場合,難しいのは大規模な学習者作文コーパスを集めることである.この問題を,識別学習の枠組み上で 2 つの方法を用いて解決を図る.一つは日本語としての正しさを測るため,少量の学習者作文から獲得した n-gram 二値素性と,大規模コーパスから獲得した言語モデル確率を併用する.もう一つは学習者作文コーパスへの直接的補強として,自動生成した疑似誤り文を訓練コーパスに追加する.さらに疑似誤り文をソースドメイン,実際の学習者作文をターゲットドメインとしたドメイン適応を行う.実験では,n-gram 二値素性と言語モデル確率を併用することで再現率の向上ができ,疑似誤り文をドメイン適応することにより安定した精度向上ができた.
著者
福永 隼也 西川 仁 徳永 健伸 横野 光 高橋 哲朗
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2018-NL-236, no.12, pp.1-9, 2018-07-02

本論文は,データベース検索を行うタスク指向型対話を対象として,ユーザ発話中で明示的に述べられていないユーザ要求の解釈をおこなう手法を提案する.ユーザ発話において,検索条件としてデータベースフィールドとその値が明示的に指定されない場合,その発話を直接データベースへのクエリに変換することはできない.しかし,そのような発話中にも明示的に述べられないユーザ要求が含まれる場合があり,それを解釈することは,対話システムがより自然で効率的なデータベース検索対話をおこなうために重要である.本論文ではこのように明示的に述べられないユーザ要求を非明示的条件と呼ぶ.また,非明示的条件の解釈を,ユーザ発話を関連するデータベースフィールドに紐づけ,また同時にその根拠となるユーザ発話中の文字列を抽出する課題として定式化する.このような新しい課題を提案するとともに,課題に対する 2 つの手法として,サポートベクターマシンに基づく手法と,分類と根拠となる部分文字列の抽出を同時に行うニューラルネットワークによる手法を実装した.不動産に関する対話のコーパスを利用した評価実験の結果,サポートベクターマシンに基づく手法がより良好な結果を示すことがわかった.
著者
安田 勝彦 石塚 修悟 石原 義恕 林 正春 西川 仁 磯 毅彦
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.169-175, 2009-06-30 (Released:2014-11-11)
参考文献数
13

関節リウマチ (RA) は, 関節周囲の滑膜を病変の主座とする原因不明の炎症性疾患である. この滑膜での炎症が進行すると, 軟骨, 骨の破壊が進行し, やがて, 日常生活動作 (ADL) や生活の質 (QOL) が低下してくることが問題になってくる. 近年, 関節破壊が, RA発症後2年以内に引き起こされることがわかり, 発症早期の適切な時期 (window of opportunity) に, 適切な治療を開始すれば, 関節破壊は防げることがわかってきた. したがって, 現在のRA患者の治療は, 関節の軟骨や骨の破壊がおよぶ前に, 抗リウマチ薬を中心とした薬物療法をできるだけ早期から開始し, それと同時に早期からリハビリテーション (リハ) を併用することによりADL/QOLの低下を防ぐことが重要である. RAの薬物治療は, 大きな進歩をとげ, 特に生物学的製剤の開発によって, RAの疾患活動性のいちじるしい改善, 特に骨の破壊の進行が抑えられることが可能となってきた. しかし, その一方で, 感染症をはじめ, 重大な有害事象が問題になっており, 早期のRAや難治性のRAへの投与の時期や適応もまだ多くの問題点をかかえている. よって, 薬物療法だけでは, なかなかRA患者のADL/QOLを維持することは困難である. また, アメリカリウマチ学会 (ACR) における2002年RA治療ガイドラインの中にも, 薬物療法以外に, 理学療法 (physical therapy ; PT), 作業療法 (occupational therapy ; OT), 患者教育が含まれている. 以上のことから, RAの治療において, 薬物療法と並行して, 早期からリハを開始することが, RAの滑膜炎から引き起こされる関節疼痛, 関節変形, 筋力低下等を改善し, 予防する上で, 大変重要なことと思われる.
著者
相良 優太 乾 泰大 小川 孝 西川 仁史 池田 均
出版者
一般社団法人 日本臨床整形外科学会
雑誌
日本臨床整形外科学会雑誌 (ISSN:18817149)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.39-47, 2017

<p>目的:投球障害肩にみられる投球側の肩甲骨位置異常と,肩関節90°外転位での内旋,外旋(第2肢位すなわち2nd planeでの内旋,外旋;以下2nd内旋,2nd外旋)可動域の変化との関連性について検討した.</p><p>方法:対象は,投球障害肩を加療した37人の小学生と中学生である.理学療法開始前には,全例に肩甲骨位置異常が認められた.肩甲骨の位置が左右対称となるように理学療法を行い,理学療法開始前と肩甲骨の位置が左右対称となった時点での2nd内旋,2nd外旋および全回旋可動域を投球側と非投球側とで比較した.</p><p>結果:理学療法開始前には,投球側の2nd内旋可動域の有意な制限と2nd外旋可動域の有意な拡大が認められた.全回旋可動域には有意差はなかった.一方,肩甲骨の位置が左右対称となった時点では,すべての項目で投球側と非投球側との間の有意差はなかった.</p><p>考察:骨性の要因や軟部組織性の要因以外に肩甲骨位置異常が,2nd内旋可動域と2nd外旋可動域の変化に関連していると考える.</p><p>結論:肩甲骨位置異常は,2nd内旋可動域の制限と2nd外旋可動域の拡大を引き起こす一因である.</p>
著者
本田 俊介 立花 孝 西川 仁史 峯 貴文 長井 大治 船曳 久由美 小林 佐智 野村 星一 中村 真理
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1025, 2004 (Released:2004-04-23)

【はじめに】 肩関節は人体最大の可動域を持つ多軸性関節であり、その動きを3次元的に捉えることは難しい。そして結帯動作について、指椎間距離という指標はあるが、その実測値は不明瞭であり、結帯動作として記述した報告が少ない。そこで今回下垂位から最大結帯位に至るまでの連続的動作の実測値を導き出し、肩甲骨の動き及び上腕骨の内旋や伸展の関連度合いを理解する事を目的として、Motion Captureを用いた3次元的動作分析を行った。【対象と方法】 健常成人男性10名(平均年齢27歳,平均身長171cm)の右肩関節を対象とした。体表指標点として、体幹に4点(第7頚椎,第7胸椎,胸骨頚切痕,剣状突起)、肩甲骨に5点(烏口突起,肩鎖関節,肩峰角,棘三角,下角)、上腕骨に3点(三角筋粗面,内・外上顆)と内・外側茎状突起に2点の計14点の反射マーカを貼付した。撮影は立位にてまず下垂位を撮影し、以降結帯動作をとってもらい、被検者の母指先端が尾骨、第5腰椎、第12胸椎、第7胸椎の位置に達した所で撮影した。その際皮膚上のマーカと実際の骨上とはずれが生じているため、各々の撮影場面でマーカを定位置に張り直した。なお、体幹側屈の代償を抑えるために反対側も同様の動きを行ってもらった。使用システムはQualisys社製ProReflex ,MCU-500で7台のCCDカメラを使用。サンプリングレートは60Hzである。そしてQToolsを用いてデータ解析を行った。【結果】 まず肩甲骨の動きについて、前傾は下方回旋と比べて序盤動きが大きいものの、最終的には16.9°で、下方回旋とほぼ同じ数値を示した。上腕骨の動きについて、まず内旋は0°から41.4°と初期に大きな動きを行う特徴を示し、最終的に47°で、肩甲骨の動きに対して1対2.8という比率を示した。伸展は下垂位-3.1°から最終的に26.7°まで変化した。外転は、最後の第12胸椎から第7胸椎の相では変化が少ないという特徴を示した。【考察】 肩甲上腕関節の運動について、まず内旋に着目すると母指先端が尾骨から第7胸椎に到達するまでに6.6°しか内旋しておらず、下垂位から母指先端が尾骨に到達するまでにほぼ最大に近い内旋を行っている事がわかった。次に外転と伸展について、この2つの運動は、臼蓋に接触した小結節を徐々に前方から下縁に向かって移動させている事に貢献しているものと思われる。また、第12胸椎から第7胸椎の相で内旋と外転は殆ど変化が無い事から、肩甲上腕関節運動の限界が示唆され、第12胸椎以降は肩甲骨運動によって行われていると思われる。肩甲骨の前傾と下方回旋については、臼蓋の関節面を前下方へ向けるためのもので、小結節の移動を行いやすくさせると同時に、見かけ上の上腕骨の内旋及び伸展を補強していると考える。
著者
崔 一鳴 西川 仁 徳永 健伸 吉川 和 岩倉 友哉
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1N4J901, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究では,化学文書中の専門用語の自動抽出に自己学習を取り入れる手法を提案する.我々は CHEMDNER コーパスを使い,ニューラルネットワークをベースとする化学文書中の専門用語抽出のモデルを訓練した.訓練済みのモデルは自動的に訓練データを作成するために,正解タグがついていない MEDLINE コーパスにアノテーションをするのに使用した.そして,最終的なモデルを獲得するために,人手でタグ付けが行われた CHEMDNER コーパスと自動タグ付けを行った MEDLINE コーパスの両方を用いて訓練を行った.訓練データとしてタグがついていない MEDLINE コーパスを用いた評価は,化学文書中の専門用語抽出における自己学習の有効性を示した.
著者
山野 薫 天野 真衣 松尾 慎 西川 仁史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに】わが国では,1995(平成7)年に発生した阪神淡路大震災以降,数年おきに大規模災害に見舞われ,その度に理学療法士も被災者の支援に駆け付けた。その後,東日本大震災リハビリテーション(リハ)支援関連10団体(JRAT)が組織され,活動を行っている。本研究では,大規模災害時の理学療法士の施設内対応や勤務施設外への災害リハ支援体制の現状を把握することを目的とした。【方法】対象は,一般社団法人兵庫県理学療法士会(県士会)の2012年度版会員名簿に掲載されている会員勤務施設(施設)671施設とした。方法は,郵送による質問紙法(無記名)とした。質問紙への回答の依頼は,理学療法(PT)部門責任者とした。調査項目は,各施設の情報,防災対策,災害支援の支援体制,および自由記載欄とした。【結果】返送された調査票は,265通(回収率39.7%)であった。この内,記載不備の2通を除いた263通を分析対象とした。設立母体別では,医療法人160施設(60.8%),市町立24施設(9.1%),公的な団体16施設(6.1%)等であった。施設区分別では,一般病院105施設(39.9%),介護保険施設47施設(17.9%),総合病院21施設(8.0%),無床診療所21施設(8.0%)等であった。施設の防災対策では,施設全体の災害マニュアルが「ある」198施設(75.3%),「なし」40施設(15.2%),「わからない」25施設(9.5%)であった。対応する災害の種類(重複回答)は,「火災」182施設(69.2%),「地震」167施設(63.5%),「津波」53施設(20.2%),「洪水」54施設(20.5%)等であった。発災時の職員への緊急連絡システムは,「ある」234施設(89.0%),「なし」20施設(7.6%),「わからない」8施設(3.0%),無回答1施設(0.4%)であった。災害対策研修などの実施は,「ある」171施設(65.0%),「なし」78施設(29.7%),「わからない」14施設(5.3%)であった。災害リハ支援の人員派遣体制は,独自の派遣制度が「ある」12施設(4.6%),「なし」227施設(86.3%),「わからない」24施設(9.1%)であった。また,発災時の人員派遣(重複回答)は,「有給休暇」56施設(21.3%),「ボランティア休暇」26施設(9.9%),「独自の制度」22施設(8.4%),「関連団体の制度」17施設(6.5%),「日本理学療法士協会(以下,協会)の制度」14施設(5.3%),「わからない」88施設(33.5%),無回答72施設(27.4%)であった。【考察】本研究の特徴的な課題は,以下の2点と考えられた。第1は,災害リハ支援の派遣体制は,86.3%に整備されておらず,「わからない」(9.1%)を加えた95.4%の施設は,理学療法士の施設外活動の支援体制がないことが分かった。また,発災時の人員派遣の手続きは,「有給休暇利用」と「ボランティア休暇利用」が主であり,個人の休暇に頼っていた。加えて,回答の60.9%が,「わからない」と無回答であったことは,臨床現場が持つ災害リハ支援の派遣体制の理解度や取り組みの温度差ととらえられる。災害時の人員派遣の法的根拠は,災害対策基本法をもとに災害救助法(昭和22年10月18日法律第118号)によって整備されている。しかし,各法律は人命最優先の原則に基づくため,廃用症候群や障害の管理などで理学療法士の支援が必要な時期(JRATが示す第2期後半から第3期前半(発災後約2か月))の活動に対して有効な法整備となっていない。ところで,日本看護協会は,災害派遣事業の中で臨床経験5年以上の会員を対象に「災害支援ナース」の養成講習会を開催している。理学療法士も被災者の健康管理に幅広く貢献できる職種であることから,協会等を中心に被災地で活躍できる人材育成を行い,前述した温度差の解消を図るべきである。第2に,各施設の防災対策については,PT部門責任者は施設全体のマニュアルの存在を認識していたことが挙げられる。この点は評価できるが,その多くは火災マニュアルであり,年1回の防火訓練により,身近な体験として回答を引き出しやすかったものと考えられる。また,発災時の職員に対する緊急連絡システムも約9割に整備されており,好適な結果といえる。しかし,本研究は大規模災害の模擬検証の有無まで踏み込めておらず,今後の課題とした。今後,PT部門は,取扱患者数や職場方針等を踏まえて,人員配置を考え,防災対策と災害リハ支援業務を希望する職員を派遣できる体制を整える努力が必要である。【理学療法学研究としての意義】災害リハ支援は,理学療法士の就労環境(人的・物的環境)に左右される。PT部門は,発災時の人員派遣に対応できる平素の組織作りが重要であり,本研究はその足がかりとなる。
著者
今村 賢治 齋藤 邦子 貞光 九月 西川 仁
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.381-400, 2012-12-14 (Released:2013-03-19)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本稿では,置換,挿入,削除操作を行う識別的系列変換で日本語学習者作文の助詞誤りを自動訂正する.誤り訂正タスクの場合,難しいのは大規模な学習者作文コーパスを集めることである.この問題を,識別学習の枠組み上で 2 つの方法を用いて解決を図る.一つは日本語としての正しさを測るため,少量の学習者作文から獲得した n-gram 二値素性と,大規模コーパスから獲得した言語モデル確率を併用する.もう一つは学習者作文コーパスへの直接的補強として,自動生成した疑似誤り文を訓練コーパスに追加する.さらに疑似誤り文をソースドメイン,実際の学習者作文をターゲットドメインとしたドメイン適応を行う.実験では,n-gram 二値素性と言語モデル確率を併用することで再現率の向上ができ,疑似誤り文をドメイン適応することにより安定した精度向上ができた.
著者
西川 仁 日高 浩史 工藤 貴之 小林 俊光
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.481-488, 2012
被引用文献数
1

2003年から2011年の9年間に入院加療を要した鼻出血症例203例の検討を行った。男女比は2:1で,50~70歳代に多く,また冬季から春季に多く,夏季に少ない傾向であった。出血部位は,部位不明47%,キーゼルバッハ24%,下鼻道および中鼻道が各々8%であった。初回時の止血方法は,ガーゼタンポン55%,電気焼灼29%,バルーンタンポン8%であった。再出血症例は46%に認められ,再出血なしの症例と比較して,キーゼルバッハ例や電気焼灼例の割合が有意に低く,出血部位不明例やガーゼタンポン例の割合が有意に高かった。基礎疾患および出血素因となる薬剤の服用は,再出血症例との関連がなかった。入院理由は,止血困難な絶対的入院適応が13%のみで,他は反復性のため24%,処置時意識障害22%,不安等の入院希望13%と経過観察目的の入院が多かった。平均入院期間は7.8日であり,再出血症例で10.4日,再出血なしの症例で5.8日であった。経過観察目的入院の症例でも再出血例が多く,また,再出血症例の全てが4日以内の再出血であり,入院経過観察期間として4日間(5日目の退院)が妥当と考えた。出血部位不明症例の初回治療はガーゼタンポン67%(再出血率74%),バルーンタンポン15%(再出血率50%)であったが,54%に入院中出血部位が判明できた。迅速に対応し出血部位を同定できることが入院加療の利点と考えた。<br>
著者
西川 仁
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.26-27, 2015-12-15

自動要約は情報アクセス技術の一種として重要な位置を占めている.現在の自動要約システムは,入力されたテキストを構成する文のうち要約としてふさわしいものを抽出し,余分な句や節を除去するなどした上で,抽出した文を組み合わせることで要約を出力する.自動要約は入力および出力がいずれも基本的には文章であり,その処理にさまざまな要素が関係することから,誤り分析が難しい.Project Next要約課題グループでは,自動要約の誤り分析の枠組みを考案し,それに基づいて現在の要約システムの誤りの傾向を分析した.分析の結果,より洗練された文の書き換えや,テキストの論理構造の利用などが重要であることがわかった.