著者
加藤 尊秋 八田 昌久 西川 雅史 松本 史朗
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 = Transactions of the Atomic Energy Society of Japan (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.404-420, 2007-12-25
被引用文献数
3

Although dwellers living near a nuclear power station are entitled to economic/financial benefits such as increased job opportunities and local tax revenues pertaining to the power station, it is not clear whether such benefits are appreciated by the dwellers. Two findings of this study based upon a social survey of local dwellers living near the Kashiwazaki-Kariwa Nuclear Power Station are summarized as follows. First, an increase in the per capita sizes of the local tax revenue and national subsidies resulted in a larger share of respondents who thought that those revenues are beneficial. Therefore, local dwellers are aware of the sizes of economic/financial benefits. Second, given the same risk level of nuclear disaster, a larger per capita financial benefit resulted in a larger share of respondents who felt compensated for the nuclear risk. However, this increase in the number of compensated respondents is low relative to the increase in the amount of financial benefits.<br>
著者
福田 宏 西川 泰央
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.349-360, 1990
被引用文献数
1

視床髄板内核における三叉神経性侵害受容ニューロンの局在部位とその性質とを調べるとともに, 視床髄板内核の一つである外側中心核へ投射する延髄尾側部の侵害受容ニューロンを検索して, 三叉神経支配領域から視床髄板内核へ上行する侵害受容情報の機能的意義を解明した.<br> 実験には, ウレタン・クロラローズで麻酔したネコを用いた. 視床および延髄尾側部における単一ニューロン活動の導出には, 2% pontamine sky blue含有の1M酢酸ナトリウム溶液を充填したガラス毛細管微小電極を用いた. ニューロン活動の記録部位は, 電気泳動的に色素を注入し, 脳を灌流固定して組織学的に同定した.<br> その結果, 視床髄板内核である内側中心核, 外側中心核および束傍核に三叉神経支配領域から侵害受容性入力を受けるニューロンが検出された. これらの侵害受容ニューロンは, 角膜への圧刺激, 鼻背への叩打, 耳介, 舌および顔面への侵害性機械的刺激あるいは犬歯歯髄への電気刺激に反応した. このような末梢受容野の分布様式は延髄尾側部に存在する腹側網様亜核の侵害受容ニューロンの末梢受容野と類似しており, 腹側網様亜核ニューロンが直接的にあるいは脳幹網様体を介して間接的に視床髄板内核へ投射していることを示している.<br> そこで, 外側中心核に電気刺激を加えて, 延髄尾側部ニューロンの反応を調べたところ, 逆方向性に興奮する三叉神経性侵害受容ニューロンが, 腹側網様亜核背外側部から検出された. また, 腹側網様亜核ニューロンの半数以上が対側の外側中心核へ直接投射していることがわかった.<br> 延髄尾側部の腹側網様亜核で中継されて, 視床髄板内核に送られる三叉神経支配領域がらの侵害受容情報は, さらに大脳辺縁系に投射して, 三又神経系の痛みに伴う情動の発現に関与すると考えられる.
著者
西川 義晃
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、戦前の取引所関係法令の下で重視されていた資本市場の機能について研究し、これを前提に、取引所法が規制した風説の流布・偽計取引、会社法上論じられていたインサイダー取引について研究した。また、戦前の業者規制に係る法令のほか、取引所が株式会社形態をとることの是非、さらにこれらとの関係で取引所法の下での「総合的な取引所」規制を研究し、いずれの研究についても一定の知見を得ることができた。
著者
田辺 哲朗 朝倉 大和 上田 良夫 山西 敏彦 田中 知 山本 一良 深田 智 西川 政史 大宅 薫 寺井 隆幸 波多野 雄二
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

総括班では、各計画研究班の研究成果を総括すると共に、以下の会合に出席または企画開催し、成果の公表、取りまとめ、総合化をはかると同時に、成果についての評価も行うことにより、目標とする安全かつ経済的なトリチウム燃料システムの設計を視野に、必要な研究課題あるいは取得すべきデータ等を各研究班に提示し、研究のフィードバックを行った。また最終年度として、成果のとりまとめを行い最終報告書を作成した。今年度の具体的な実績として1.平成24年5月20-25日 独国アーヘンにて開催された第15回「制御核融合炉におけるプラズマ壁相互作用」国際会議において招待講演を行うと共に、国際組織委員、国際プログラム委員として会議を主導、また領域から多数発表2.平成24年5月29-31日 独国Tergeseeにて開催された第10回核融合炉材料中の水素同位体挙度国際ワークショップにて国際組織委員、国際プログラム委員として会議を主導すると共に、領域の成果を発表3.平成24年8月10・11日 ウインク愛知にて、第8回公開シンポジウム科研特定領域「核融合トリチウム」最終成果報告会を開催4.最終報告書を作成し関係者に配布すると共に、ホームページに掲載http://tritium.nifs.acjp/results/pdf/report_of_25.pdf5.平成24年9月19日広島大学にて開催された、日本原子力学会、核融合部会セッションにて「核融合炉実現のためのトリチウム研究報告と新展開に向けた提案」のシンポジウムを企画を行い研究班の実験実績のとりまとめ、その成果発表、知識の共有化、情報の公開をはかるとともに、総括班としてA01,A02,B01,B02,C01,C02各班の研究活動を掌握し、目標とする安全かつ経済的なトリチウム燃料システムの設計を視野に成果の評価を行った。そしてこれらの情報はすべて本領域のホームページhttp://tritium.nifs.ac.jp/に掲載、常時updateしながら、本領域で得られている情報の発信に努めた。
著者
西川 藤吉
出版者
社団法人日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.14, no.167, pp.327-336, 1902-09-15
著者
西川 智太郎 PARK Y-J PARK Young-Jun
出版者
独立行政法人農業生物資源研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

アマランサスにおけるデンプン合成酵素遺伝子群の解明及びアマランサスの利用の高度化を目的として、以下の研究を実施した。1.アマランサスにおける低アミロース性の合成メカニズム解明:GBSSII遺伝子を確認することはできなかった.現在,デンプン呈色反応で低アミロース性を示す原因として,アミロペクチンの超長鎖の確認を進めている.A. cruentus(PI 433228)のSSSII,SBE遺伝子を同定した.SSSII,SBEは種子発達過程を通じて,貯蔵器官および非貯蔵器官において継続的に発現していた.世界各地に由来する68系統の子実用アマランサスのSSSIを同定し,GBSSIの多様性情報と合わせてそれぞれの種に固有な制限酵素認識配列を検索し,栽培3種の同定が可能なマーカーを作成した.2.低アミロース性品種の作出:M3栽培および調査を行い,これまでに早生性を示す3系統を確認した.今後,残りの系統の形質調査を継続して行うと共に,早生変異系統については早生形質の安定性について確認する.3.加工適性および食味試験評価:性質の異なるアマランサス(モチ性,ウルチ性,低アミロース性)の,生粉およびポップ粉の物性の違いを明らかにした.その結果,モチ性の生粉は小麦粉に非常に類似した特性を示し,小麦粉代替素材として利用できる可能性があること,モチ性ポップ粉は,水を加えてこねると小麦粉のパン生地のような状態になるため,パン加工やクッキーの生地等への応用できる可能性があること等を明らかにした。食味試験評価を,モチ性,低アミロース性およびウルチ性の3系統で,白米との混炊による食味評価試験を行った結果,低アミロース性の評価が高かった.今後嗜好性の高い品種を普及させることにより,消費者の利用拡大に繋がる可能性がある.
著者
西川 恒彦 伊藤 浩司
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series B, Botany (ISSN:03852431)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.79-83, 2001-09

A new species of Adonis, A. shikokuensis Nishikawa & Ko.Ito, is here described. This species is the fourth species of the genus Adonis in Japan, and a key to the four species is presented.
著者
清水 信年 西川 英彦 岸谷 和広 水越 康介 栗木 契
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

電子書籍産業におけるイノベーション普及やビジネス成否に関して、マーケティングの観点から重要な要素として以下の3点を導出した。第一に、消費者が電子書籍を利用することを促進するために「インターネット・リテラシー」(操作能力や他者との交流能力、リスク理解能力など)を考慮したサービス設計が求められることである。第二に、関係性マーケティングの観点からのビジネス設計の必要性である。第三に、戦略の「計画」ではなく「実践」を重視する「エフェクチュエーション」の観点の重要性である。
著者
福島 大志 西川 敦 宮崎 文夫 関野 正樹 安室 喜弘 松崎 大河 細見 晃一 齋藤 洋一
出版者
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.122-131, 2011

Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation (rTMS) is effective for intractable diseases of the nervous system. As the effects of rTMS last only several hours, rTMS therapies need to be continued daily. Under present circumstances, it is difficult to use rTMS in patients' home, because only experienced physicians in limited hospitals can use the expensive and complicated rTMS system. Therefore, we developed a magnetic navigation system for home use of rTMS. The proposed system uses inexpensive and small magnetic sensors; hence it is suitable for home use. By using the proposed method, even people who have no medical knowledge and technique can easily navigate the coil to the optimal position preliminarily specified by expert physicians. Our system needs to collect some dataset which consists of magnetic field and the corresponding position of the coil at the patients' initial visit. Since it is bothersome to collect a large number of dataset, we reduced the dataset by approximation using multi-regression analysis.
著者
西川 雅章 岡部 朋永 武田 展雄
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.75, no.751, pp.287-295, 2009-03-25

A numerical simulation was presented to discuss the microscopic damage and its influence on the strength and energy-absorbing capability of short-fiber reinforced plastic composites. The dominant damage includes matrix cracking and/or interfacial debonding, when the fibers are shorter than the critical length for fiber breakage. The simulation addressed the matrix cracking with a continuum damage mechanics model and the interfacial debonding with an embedded process zone (EPZ) model. The fictitious free-edge effects on the fracture modes were successfully eliminated with the periodiccell simulation. The advantage of our simulation was pointed out by demonstrating that the simulation with edge effects significantly overestimates the dissipative energy of the composites. We then investigated the effect of the material microstructure on the fracture modes in the composites. The simulated results clarified that the inter-fiber distance affects the breaking strain of the composites and the fiber orientation angle affects the positions of the damage initiation. These factors influence the strength and energy-absorbing capability of short fiber-reinforced composites.
著者
西川 勝
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

認知症高齢者をめぐる医療的ディスコミュニケーションの実態については、いまだ明らかでない部分が多い。そもそも医療に関するコミュニケーションには正確無比な指標があるわけではなく、医療的判断や意思決定にも文脈依存的な性格が強く存在しているので、唯一の基準でディスコミュニケーションと決定できない側面がある。患者本人の自己決定に基づくことを最優先するリビング・ウィルや事前指示(advance directives)の思想は、合理的判断能力を有する自立的個人を前提しており、「判断能力には問題があるが、意識がないわけではなく、深刻な認知症のために自己の意思や考えを十分には他者に伝えられない」状況にあって他者の介護を必要とする認知症患者には適当しない。本研究では、認知症高齢者をめぐる医療的ディスコミュニケーションの発生以前に、広く社会に存在する認知症高齢者とのディスコミュニケーションを、さまざまな場面で検討した。主なものをあげると、介護職員を参加者にした定期的な哲学カフェを開催し「認知症ケアと安楽」を議論したものや、保育園児や小学生を対象とした認知症サポーター講座を実施して、「老いの意味」を考える教育のあり方について検討した。これらの研究活動から明らかになったことは、認知症高齢者の医療的ディスコミュニケーションの背後に、認知症ケアの文化的意味が未開拓であり、老いの生き方そのものが問われている現状があるということである。
著者
伊藤 弘顕 西川 久仁子 粟野 達也 細川 宗孝 矢澤 進
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.19-23, 2010 (Released:2010-01-26)
参考文献数
24

乾膜質な花葉をもつ7種の植物種を用いて,細胞壁の形態を電子顕微鏡および偏光顕微鏡を用いて観察した.通常,花葉は一次細胞壁だけの柔細胞で構成される.しかし,少なくとも7種の植物種における乾膜質な花葉では,共通して組織すべての細胞がセルロース配向のある二次細胞壁を発達させていることが明らかとなった.また,二次細胞壁の肥厚形態は植物種によって様々であった.すなわちヘリクリサムなどキク科の植物は管状要素あるいは転送細胞のように網目状あるいは縞状に,センニチコウなどヒユ科の植物は繊維のように層状に,イソマツ科の植物であるスターチスは種皮の厚壁異型細胞のようにひだ状に,細胞壁を発達させていた.
著者
深澤 克己 櫻井 万里子 河原 温 北村 暁夫 西川 杉子 篠原 琢 千葉 敏之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、ヨーロッパ史上に出現した諸団体の多くに通底してみられる宗教的・密儀的な性格の比較分析をとおして、長期的時間の視野のもとに、古代から現代にいたる団体・結社の組織原理および思想潮流の展開過程と系譜関係を解明することを目的として組織された。18世紀に急発展をとげるフリーメイソン団を比較分析の十字路としつつ、古代ギリシア、中世ドイツ・ネーデルラント、近世フランス・イギリス、近代チェコ・アイルランド、現代イタリア史の専門家を結集し、合計6回の研究会を組織して、研究報告と討論を積みかさねた。本研究の独自性は、まず第一に、従来の歴史研究では各々の団体の性格に応じて、宗教史・経済史・政治史などの分野で別個に研究したのに対して、機能を異にする諸団体間の連関・重複・継承関係を重視したこと、第二に、伝統的歴史学の重視する団体の制度的・機能的側面よりも、団体内部の友愛・連帯を支える儀礼的・象徴的側面を強調したこと、第三に、これらの儀礼や象徴に素材を与えた密儀・秘教思想を、従来のように哲学的・思想史的観点のみならず、歴史的・社会的視点からも研究しようとしたことにある。もちろん研究成果には対象により粗密の差があり、全体の整合的連関にも課題を残しており、すべての問題に解答できたわけではないが、今回の成果をもとにさらに共同研究を深めれば、ヨーロッパ文明の根底にある非合理的・神秘的世界観、およびその容器となった兄弟団・友愛結社の役割の解明をつうじて、現代世界の批判的理解と実践的な未来構想の一助となる歴史理解を構築することができると信じている。