著者
長尾 彰夫 木下 繁彌 村川 雅弘 浅沼 茂 安彦 忠彦 山口 満 西川 信広 田中 統治 的場 正美 今野 善清 柴田 義松 長尾 彰夫
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究の最終年度は、これまでインタビューや授業観察および研究資料の内容分析などによって明らかになった各学校での新教育課程の開発状況について、インターネットのWEBページとして発信するための研究に重点をおいた。本研究で開発したインターネットサイト(http://jcultra.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/〜sougo/)に掲載した学校は、大阪教育大学附属池田中学校、高槻市立上牧小学校、緒川町立緒川小学校などである。それぞれの学校の研究状況を、「地域の特色」、「学校の沿革」、「カリキュラムの概要」、「総合的な学習の位置づけ」、「授業実践事例の紹介」を基本とする項目で整理した。また、授業分析によって得られた研究知見を、文章表記によってのみ記述するのではなく、子どもの個人情報の保護に十分留意しつつ、写真等を用いて、より具体的な研究情報として閲覧することができるようにした。このインターネットサイトの活用目的は、上記の情報を公開することによって、全国の小・中学校の教師がそこから新教育課程に対応した新しいカリキュラムの開発を行うための実践的な知見を得られるようにすることである。この目的を達成するために、たんに学校の実践事例を並列的に掲載するだけでなく、すでに作成されている教師のための教育用インターネットサイトにリンクを貼ったり、本研究の分担者として各学校で訪問調査を行った研究者に直接掲示板を通して質問を寄せたり、あるいは閲覧者同士が意見交換できる掲示板システムを付随させたりしたいる。以上のように、本研究は、当初の計画通りに、新教育課程を先端的に実施している学校を訪問調査することによって、カリキュラム開発の手続きやデザインに関する経験知を集約するとともに、それをインターネットサイトを通して発信することによって、オンラインでの新しい教師教育、ないし教師の自己研修に貢献するという所期の目的を達成することができた。
著者
西川 絹恵 生島 博之
出版者
愛知教育大学実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
no.13, pp.225-231, 2010-02

ギャップの典型例は,支え喪失(強力な支えがなくなった),自己発揮機会喪失(自分を発揮する機会が持てなくなった),脆弱性露呈(関係維持の潜在的な脆さが徐々にあらわれた),課題解決困難化(課題解決が徐々に困難となり不満や不安を募らせてきた),友人関係展開困難化(仲間関係を広げていくことができず徐々に孤立した)があるといわれている。しかし発達障害児(グレーゾーンの生徒も含む)の特徴と「中1ギャップ」の5つの典型例はよく似ている。発達障害児は小学校から中学校入学という環境の変化において,変化を好まない,適応が困難であることなどの障害特徴から,二次的障害としての不登校を誘発しやすい状況となっていることが多いと思われる。よって発達障害の子どもたちの多くにも中1ギャップが影響している可能性は非常に高いと思われる。発達障害と不登校の関連性については多くの研究が指摘するところであり,したがって発達障害児に対しては,さらにきめ細やかな中1ギャップに対する対応が必要であると考えられる。本研究では「特別支援教育」の観点から,そのギャップの解消につなげるためのスクールカウンセラー(以下 SC と表記)の小学校から中学校へつなげるための取り組みについて,広汎性発達障害児とのかかわりを通して「小学校から中学校への変換期を支える特別支援」について検討した。
著者
深田 智 西川 正史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

溶融塩Flibeはヘリカル型核融合動力炉(FFHR-2)の先進的液体ブランケット概念設計に取り入れられ、強磁場、強中性子束環境においても良好な熱除去とトリチウム増殖が期待されている。しかし、溶融塩中のトリチウム取扱技術が難しい事、トリチウム閉込めと回収が難しい事が予想され、世界的に見ても実証研究例が非常に少なかった。本研究では、トリチウム回収装置設計に必要なFlibe溶融塩内の金属材料中の水素同位体透過率、金属BeによるFlibeの酸化還元制御等を実験的に検討し、目標となるFlibe中のトリチウム濃度を1ppm以下、トリチウム漏洩率を10Ci/Day以下に制御するブランケット構成を実験的に確証することを目的とする。実験と解析から次のことが明らかにされた。1.Flibe中の重水素透過率をNi製二重管式透過装置を使って初めて測定した。求めた溶解度から未精製Flibe中の水素同位体はH^+の形で存在し、H^+とF^-イオンの移動は相互に電荷中性になるように拡散することが分かった。2.Flinak中の水素透過係数を測定し、水素は分子状で存在することが分かった。これはFlinakではFlibeに見られるようなBeF_4^<2+>の分子ネットワークが存在せず、溶融塩中でF^-イオンは常にLi^+,K^+,Na^+イオンと局所的に強い結合をして局在するからと考えられる。3.溶融Flibe中に金属Beを浸すことにより、酸化還元制御可能であることが分かった。これより、Flibe中に存在していた自由F^-イオンが溶解したBeと反応し、BeF_2の分子結合をして、F^-イオンが消費され、水素イオンは分子状で存在するようになると考えられる。従って、核融合炉内のトリチウムを分子状に制御可能であることが分かった。4.1GWの熱出力で発生するトリチウムを許容されたトリチウム漏洩率に保持するためには、高いトリチウム回収率が必要である。そのための、透過窓、気泡塔、スプレー塔の設計方程式を構築し、装置の規模を評価した。
著者
谷口 昌宏 西川 治 山岸 晧彦
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

走査型アトムプローブ(Scanning Atom Probe, SAP)の特性を活かすことで酸化チタンによる有機分子の分解を個々の原子のレベルで解析する事に成功した。また、金属状態のチタンの表面に生成する酸化膜も酸化チタンの純粋な試料と同様に有機分子の光分解活性を示すことを見出した。また、有機分子が解析出来るという利点を生かして、生体分子の分析を試み、いくつかのアミノ酸を構成する原子群を直接検出する事に成功した。
著者
中山 文 成田 静香 野村 鮎子 濱田 麻矢 西川 真子 松尾 肇子 林 香奈
出版者
神戸学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

この研究の目的は、現代中国の中国文化(文学・演劇・映画など)に表れたジェンダーを明らかにすること、および文化の根底にある中国人のジェンダー観念を歴史的に考察することであった。我々は、平成15年度〜16年度(2003年4月〜2006年3月)にかけて、これをテーマとする研究会を計22回開催し、平均して毎回14〜15名の参加者を得た。2004年3月7日の国際シンポジウム「中国演劇におけるジェンダーの表象」では、パネリストとして、中国から中国の女性演劇である越劇の監督である楊小青氏、中国戯劇家協会の重鎮で『中国戯劇』の副主編である黎継徳氏を迎え、日本側からは中山文(神戸学院大学)、伊藤茂氏(神戸学院大学)、細井尚子氏(立教大学)が加わり、中国の越劇と日本の宝塚との比較やジェンダーの表象について討論した。また、2005年6月25日〜26日には、日中の女性演劇の比較をテーマとする国際シンポジウム「男らしさ・女らしさの作り方-越劇と宝塚」を開催した。宝塚からは、草野旦氏(演出家)・磯野千尋氏(宝塚歌劇団専科、男役)・一原けい氏(宝塚歌劇団専科、女役)、越劇(中国の女性演劇)からは、楊小青氏(演出家)・陳雪薄氏(杭州越劇院、男役)・周俊氏(杭州越劇院花旦、女役)を迎え、実演を交えて、一般にも広く公開した。このほか、研究会では、中国のジェンダーを歴史的に考察するための入門書『中国女性史入門-女たちの今と昔』(人文書院2005年3月)を編纂・出版した。この書は、中国女性の歴史を、婚姻生育・教育・女性運動・労働・身体・文芸・政治ヒエラルキー・信仰の8つのテーマに分けて解説したもので、すでに書評などで高い評価を得ている。
著者
滝沢 茂 大槻 憲四郎 宮崎 修一 田中 秀実 西川 修 松井 智彰 八田 珠朗 興野 純 小澤 佳奈
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

地震断層を引き起こした地殻の歪みエネルギーは主に粉砕粒子の非晶質化に費やされると予測して、粉砕粒子内の非晶質化を示し溶解熱測定を行った。この溶解熱測定はフッカ水素酸液用の試料カプセの開発に成功した。このカプセルは国内外を通じて例がない。特殊なカプセルで溶解熱を測定した結果、石英結晶をアモルファス化するのに要した熱量は約2000J/gであり、これをエネルギー量に換算すると1011ergオーダーとなる。この新知見に基づくと地震断層時の破壊エネルギーは表面エネルギー、すべり摩擦熱エネルギーおよび波動エネルギーとして分配され、主に消費されるエネルギーはすべり摩擦熱エネルギーと波動エネルギーと考えらているが、本研究課題の結論は最も消費エネルギーの大きいのは、結晶内消費エネルギーで、この事は新知見で物質地震学の新展開となる。
著者
安藤 隆男 西川 公司 川間 健之介 徳永 豊 千田 捷熙
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、次の二つから構成した。まず、(1)学習の主体である脳性まひ児の学習特性、(2)脳性まひ児の教科指導を行う担任教師、(3)地域における支援の担い手である肢体不自由特別支援学校の支援体制に注目し、通常学級における脳性まひ児の学習支援モデルの開発に関わる基礎的な資料・知見を得る研究である。次に、これらの基礎的な知見をふまえて、とくに附属肢体不自由特別支援学校との開発と展開に関わる共同研究である。この共同研究は、脳性まひ児の学習特性をふまえた教科指導モデルの構想と実践(第一研究)と通常学級における脳性まひ児の学習支援の展開(第二研究)からなる。前者は通常学級における脳性まひ児の学習支援に資する教科指導モデルを、肢体不自由特別支援学校において培ってきた専門性に基づいて構想、実践するものである。後者は前者で構想、実践した教科指導モデルを通常学級に適用、展開するものである。まず、第一研究では、WISC-IIIなどの結果から、認知的な課題がある児童生徒を対象とした各教科の指導の手だて等を開発し、授業において検証した。その結果、認知的な特性をふまえた指導の導入が脳性まひ児の学習パフォーマンスを高めることが事例的に明らかになった。第二研究では、第一研究で構想した教科指導モデルを通常学級の脳性まひ児に適用してその有効性を明らかにしつつも、脳性まひ児の認知に関わる担当教師の気づきの位相によって彼らへの支援を細かく想定する必要性が示唆された。脳性まひ児の学習パフォーマンスに関しては、認知的特性のみならず、運動動作の障害との因果関係も示唆され、改めて自立活動の指導との関連から課題を整理する必要がある。
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。
著者
長田 佳久 西川 泰夫 鈴木 光太郎 高砂 美樹 佐藤 達哉 鷲見 成正 石井 澄 行場 次朗 金沢 創 三浦 佳世 山口 真美 苧阪 直行 藤 健一 佐藤 達哉 箱田 裕司 鈴木 光太郎 櫻井 研三 西川 泰夫 鈴木 清重 増田 知尋 佐藤 隆夫 吉村 浩一 鈴木 公洋 椎名 健 本間 元康 高砂 美樹 仁平 義明 和田 有史 大山 正 鷲見 成正 増田 直衛 松田 隆夫 辻 敬一郎 古崎 敬
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では, 国内で行われてきた実験心理学研究に関連した機器や資料の現状の把握, 保管方法の検討及び活用方法に関して検討した。本研究活動の成果として,1) 国内の研究機関で保管されている機器の状態の把握,2) 廃棄予定の機器の移設,3) 機器・資料のデジタルアーカイブ化,4) 機器・資料の閲覧方法の検討の4つが挙げられる。これらの成果を通じて, 日本の実験心理学の歴史的資料を残し, 伝えるための手法に関する基盤を築いた。
著者
小林 正幸 西川 俊 石原 保志 高橋 秀知
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.46, pp.1-6, 1996-09-13
被引用文献数
1

我々は、高速で文字入力が可能な日本語高速入力システム(ステノワードPCシステム)を2セット用意し、1セット目で発話内容のひらがな入力とかな・漢字変換を行い、他のセットで誤字、脱字等の修正を行う、より正確な字幕をリアルタイムで提示可能な新システムを開発したので、このシステム(連弾入力方式RSVシステム)の機能や特徴、講義場面での使用結果について報告する。
著者
西川 長夫 米山 裕 高橋 秀寿 今西 一 麓 慎一 石原 俊 宮下 敬志 李 〓蓉
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

近代としての「帝国」を、その世界的な支配秩序の形成過程に巻き込まれてきた人びとの経験の場から実証的・理論的に捉え直すことを目的とした本研究では、それぞれの「植民地」における個々の歴史的実態を解明するためにフィールドワークを重視した。日本国内と韓国での複数回にわたる国際シンポジウムの開催と現地調査、およびそれらを踏まえた研究交流を通じて「帝国/植民地」の形成過程に関する比較分析を蓄積し、グローバル化時代における「国内植民地主義」の更なる理論化を準備した。
著者
西川 洋一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

12-13世紀は、ヨーロッパにおける、いわゆる実務的文字文化が急速に展開した時代であった。ドイツでは12世紀に、その基本的に開かれた宮廷の構造を媒介として、イタリア、フランス等、王権が関係を持っていた地域の様々な新しい潮流が流入するようになる。それを受けて、12世紀末以降、当時もっとも進んだ証書実務を誇っていた教皇庁の証書を巡る様々な理論や観念が取り入れられる。これに対して後期シュタウフェン朝の書記局は、徐々にシチリア王国の文書行政の要素の影響が強まって、制度化の程度が高まると同時に、南イタリアの官僚制を前提として、特権状から命令状への重心の移行が見られるようになる。これに対して、都市においては、単に社会生活・経済生活の複雑化というような理由のみならず、その共和制的な政体に特有の条件によって文字文化が発展を遂げる。それが特に早期にかつ顕著に進行したのはイタリア中世都市においてであった。教会裁判権を嚆矢とする裁判手続きの文書化とともに、共和制という政体に規定されて、役職者の選挙、役職者のコントロール、あるいは公共的な目的のための租税の徴収等の目的で、多様な文書が作成されるようになる。同じ傾向は、少し遅れるものの、ドイツやフランドルなど、北ヨーロッパにおいても見られた。この地域では、都市初期(Stadtschreiber)が、徐々に法学を学んだ者たちによって占められるようになり、文書行政を担当するのみならず、参事会の顧問、外交、さらには都市の自己意識の表現である歴史叙述等にも携わった。しかし文書を媒介とした法的な専門知識と、伝統的な共和制的な統治の間には、常に緊張関係が残っていた。
著者
西川 義晃
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度の実績は以下の通りである。本年度は研究期間の最終年度に当たる。1.従前と同様に、明治23年商法制定以降、昭和25年商法改正前(以下、「旧商法下」とする)における会社法について、これを大規模公開企業法制と位置付ける観点から研究を進めた。まず、株式会社の設立規制および発行市場法制に関して、資料収集及びその分析を進め、成果を発表した。旧商法下においては募集設立が原則と考えられており、設立と同時に発行市場の形成が想定されていた。一方、設立時には、発起人による払込金の取込詐欺や払込の仮装などの違法行為が問題となっていた。そのため旧商法は厳格な設立規制を構築すると同時に、学説は公募に応募する公衆の保護を強く主張していた。一方、平成17年制定の新会社法は設立規制を緩和したところ、ここでは設立にまつわる弊害対策という観点が乏しいように思われ、設立規制は再検討が求められるように思われる。2.旧商法下の発行市場における相場操縦の研究を進め、その過程で現代の相場操縦規制に関し、相場操縦にかかわる民事責任について判例研究を執筆し公表した。3.新たに大規模公開企業の取締役の責任に関して、旧商法下における取締役の私財提供を研究し、成果が間もなく公表される(本年4月15日)。日興コーディアルグループにおける3億円の私財提供など、近時、私財提供は話題に上ることが多い。旧商法下において私財提供は、主に昭和2年金融恐慌の際に行われており、これと昭和13年商法改正による損害賠償請求権の査定制度との関連について考察した。査定制度は訴訟で確定すべきものを、裁判所の後見的判断により迅速に明確化するものであり、民事訴訟による責任追及と私財提供の中間的な位置づけにあったと言えるように思われる。4.昨年度、金融商品取引法の沿革について文章化したが(上村達男(編著)『金融商品取引法』中央経済社)、発行が遅延している。
著者
塩澤 真人 戸塚 洋二 鈴木 厚人 中村 健蔵 伊藤 好孝 久嶋 浩之 西川 公一郎 塩澤 真人
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、100万トン実験装置のための、安価で高性能な光センサーを開発するものである。13インチのハイブリッド光センサーの試作をし、動作試験から、改良研究を行った。いくつかの問題点が見つかったが、それに対する解決方法を明らかにした。1.高電圧(25キロボルト)印加できず放電してしまう。-->光電面を製造中にセラミック絶縁体を加熱し、耐電圧を向上させる。2.ダイオードの短時間での劣化がおきる。-->新たに5mmφの光ダイオードを開発した。寿命は改善したようである。3.有効面積が小さい(240mm)-->ダイオードの位置と光電面の曲率を最適化することにより、300mmまで改善できることがわかった。4.HPDの構造全体の最適化-->部品の効率化、フランジの強度改善、光電面の曲率の最適化案を作成した。以上の開発により、致命的な技術的困難はなく、大型ハイブリッド光センサーの優れた基本特性と製作可能性が確かめられたと考える。今後の課題としては、生産性の向上のための光センサーと電子回路の最適なデザイン検討と開発がある。また、コスト低減のために、さらなる大型化の可能性の追求も必要である。
著者
中野 照男 西川 杏太郎 内田 俊秀 西山 要一 尾立 和則 増田 勝彦 三浦 定俊 川野辺 渉 青木 繁夫 中野 照男
出版者
東京国立文化財研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

この研究は、展示や保管における日常的な地震対策に関する研究、地震発生時における緊急措置に関する研究の2本の柱から成る。両研究とも、阪神淡路大震災の折に被災した博物館等の機関、社寺、所蔵家をはじめ、文化財の救援活動に携わった諸機関、諸団体及び個人の協力を得ながら遂行した。震災直後に諸機関や諸団体が行った被害状況調査の報告、被災博物館等による被害の具体的状況に関する調査報告、震災後に博物館等が文化財や試料の収蔵、保管、公開、展示のために実施した改良や工夫に関する情報を、基礎的情報として、可能な限り収集し、それらを解析することによって、新しい防災対策策定のための指針を導き出そうと努めた。その上で、免震装置や吊金具、固着剤など、震災後に大いに着目されている装置や材料、防災対策にとって重要と思われる事項については、それらの有用性や問題点の所在を、実験や分析を踏まえて検討した。さらに、万一災害が発生した場合の文化財等の保全方法、被害を最小にとどめるための緊急措置、文化財等の救出や救援活動などについては、阪神淡路大震災やその他の災害の折の研究分担者、研究協力者の経験をもとにし、諸外国での研究成果を取入れて研究を進めた。また、災害に対応するための博物館や美術館、地方公共団体等のネットワークの形成に関しては、多くの機関に協力を呼びかけ、意見を交換しながら研究を行った。また、資料や参考文献等を多数収集したが、これらは、神戸市立博物館内の文化財防災資料センターにすべて移管し、今後の新たな研究や防災対策の策定に活用する。
著者
戸北 凱惟 西川 純 根本 和成
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究では、理科教材改善の手法として、客観的評価方法を開発することを目的としている。特に、従来行われていなかった、生理反応等を利用した認知的評価方法に注目した。本研究では、認知的評価方法の成立根拠をあきらかにし、さらに実態調査によって、その具体的な方法を開発した。実態研究においては、情意領域における象徴的距離効果を中心に調査した。距離効果とは、ある一対を選択する時間は、その選択する次元における距離に逆比例する現象である。その次元は抽象的な場合、象徴的距離効果と呼ばれる。この現象を用いることによって、本来測定できない心的な次元を、反応時間によって客観的に測定することが可能となる。本研究における被験者は小学生である。事前調査によって、児童が一般的に知っており、かつ、好嫌度において特徴的な動物(ゴキブリ、鳥等)を選択した。第一調査において、彼に一対の動物を提示する。そして彼らは、その一対の中でより好きな方の動物を選択するよう指示された。その選択は、一対のボタンを押すことによって行われる。好きな方の動物を選択する反応時間は、その一対の動物の好嫌度の違い(ステップ)の逆比例した。第二調査においては、彼らの反応時間を2回測定した。1回目は解剖実験の前に測定した。2回目は解剖実験の後に測定した。実験を経験したことによる好嫌度の変化は、反応時間の変化として現れた。その結果、一般的には、一度解剖実験を行った対象に対しては興味を失う。しかし、一部児童は逆に興味を持つようになり、多様性が見られた。
著者
石井 淳蔵 嶋口 充輝 栗木 契 西川 英彦 松井 剛 村下 訓 水越 康介 岸谷 和広 清水 信年 宮内 美穂 金 雲鎬 棚橋 豪 小田部 正明 山本 奈央 吉田 満梨
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、マーケティング競争下におけるデザイン戦略の重要性について、近年注目されつつある「ロバストデザイン」を核概念として、理論的・歴史的・実証的な研究が実施された。その主要な研究成果として、デザイン概念についての再構築が行われるとともに、競争優位性をもつデザイン戦略の現実と意義、そしてその背景としてのマーケティング競争のメカニズムが明らかにされた。
著者
宇木 等以香 江木 啓訓 西川 真由佳 大菅 直人 重野 寛 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.50, pp.7-12, 2004-05-20
被引用文献数
1

遠隔コミュニケーションにおいて、参加者に対して距離感を表現することを可能とするデバイスである、重層化ディスプレイを構築する。重層化ディスプレイは透過型ディスプレイを重ねて配置することにより表現し、「面」ではなく「空間」を通じた表示が可能となる。これにより、遠隔コミュニケーションでの表示画面において、奥行きを表現し、会話を行う上で重要なノンバーバル情報である「距離」を遠隔地間での対話で利用することができる。本研究では、距離感を表現するディスプレイの試作と表現手法の評価を行った。In order to express distance in remote communication, we have built "stratification display". Stratification display is composed of special transmitted display. To build the stratification display, we have placed a transmitted display in front of a large display. Stratification display is able to express sense of distance by using the depth of screens. We have built a prototype of the remote communication system using the stratification display.
著者
江木 啓訓 西川 真由佳 宇木 等以香 大菅 直人 重野 寛 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.106, pp.13-18, 2003-10-23
被引用文献数
3

本研究は、空間と空間の接点である「出入り口」を場と捉え、その場におけるグループの支援環境:Collabogateを構築する。出入り口空間での活動は、その内容や所要時間などの点において従来の協調作業空間とは異なる特性を持つ。Collabogateは出入り口空間におけるアウェアネス情報を収集・蓄積し、グループにおけるインタラクションを支援する。センサとディスプレイを組み合わせたCollabogate環境の設計とアプリケーションの提案を行った。今後実装されたシステムを用いた実験と評価をもとに、出入り口空間でのグループ支援環境に必要な要件を検証する。This research focuses on the gateway place, where two or more rooms are connected. The gateway place can be considered as a collaborative place as well as meeting or working rooms. We propose "Collabogate", which supports group interaction with various services at the gateway place. First, we analyze the characteristics of the gateway space, and design the Collabogate environment with sensors, displays and portable devices owned by each user. Collabogate manages these devices and gathers awareness information from various sensors. Several applications are proposed based on the Collabogate environment, and experiments and evaluations are planned to be held.
著者
西川 真子
出版者
名古屋外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

中華民国時期以降の歴史を見れば、孫文と宋慶齢、周恩来と〓頴超、梁思成と林徽因等のように、ともに高い教養を身につけ、知的な営みを共有する夫婦が少なからず存在する。あるいは、胡適の場合のように、親の決めた婚約者が旧式の教育しか受けていなかったため、自分の妻に知識を得て教養を磨くことを強く望んだ例も存在する。妻にも高い知的好奇心を求める--この志向性は中国の知識人階層の中に途切れることなく継承されている。先年亡くなった銭鐘書とその妻楊絳女史の場合も、夫妻とも著名な文学研究者、作家として切磋琢磨しながら知識人として洗練の度を加えていった。民国期以来の中国で何故このような知識人同士の夫婦関係が生まれることになったのか。本報告書では、清末から民国時期にかけて中国の知識階級でおこなわれた、家庭と夫婦のありかたに関する議論を振り返って中産階級の家庭観を考察した。特に胡適とその妻江冬秀に関しては2002年7月13日関西中国女性史研究会等主催のシンポジウム「ジェンダーからみた中国の家と女」において「民国時期知識人の家庭観-胡適の結婚」と題して研究発表をする機会を得た。同じ視点から梁思成と林徽因夫妻の事例について考察した成果は論文「民国時期中国知識人夫婦における知の共有-梁思成と林徽因」(『名古屋外国語大学外国語学部紀要』23号)にまとめた。銭鐘書と楊絳夫妻の事例は、彼らの民国時代から解放後文化大革命を経て1980年代に至る長期の活動を俯瞰し、知識人家庭における夫婦間の知の共有のありさまと、家族をつなぐ媒介としての知識と教養のありかたについて考えた。