著者
阿部 宏史 谷口 守 中川 拓哉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.653-659, 2001

本研究では, 岡山・東京間の空路利用促進に向けた課題を探るために, 岡山市と倉敷市の事業所を対象として, 東京への業務出張時の利用交通手段に関するアンケート調査を実施し, 航空便の利便性を中心とした利用者の意識を分析した。また, 空路利用促進策の一つとして, 岡山県内で要望の強い岡山空港での東京線ナイトステイの実施による運行ダイヤ改善が旅客増に及ぼす効果を推計するとともに, ナイトステイ実施後の利用促進課題についても検討した。まず, 評価意識の分析結果から, 岡山空港・東京線に対する評価では運行ダイヤの利便性に対するウエイトが高く, ナイトステイ実施によるダイヤの改善が評価の向上につながることを明らかにした。次に, ナイトステイ後の始発便への転換意向の集計結果から, 現在の交通手段からの転換率は30%-40%程度と推計され, ナイトステイは空路利用促進に効果が見込まれることを示した。また, 2000年10月のナイトステイ実施後の航空便利用状況から, 本研究による知見の有効性が検証された。
著者
島岡 明生 谷口 守 松中 亮治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.786, pp.135-144, 2005-04-20
被引用文献数
6 2

今後わが国は今までに経験のない人口減少状況の中で交通環境の改善, 都心部の活性化などの課題に対応することが求められる. そのための都市づくりのコンセプトとしてコンパクトシティが着目されているが, 実証的な観点にたつ都市の具体的な撤退戦略については展望がない. 本研究では, 地方中心都市を対象に, 人口減少をどのような分布と構成で受け入れる必要があるかを実データに基づき, 詳細な地区レベルで検討した. ガソリン消費量などのサステイナビリティに関連する多様な指標で評価を行った結果, ただ単に都市構造をインフラ面からコンパクトにするだけでは改善は望めず, 抜本的な行動変容の促進とあわせた政策パッケージの導入必要性が示された.
著者
谷口 守
出版者
公益社団法人 日本不動産学会
雑誌
日本不動産学会誌 (ISSN:09113576)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.59-65, 2010-07-07 (Released:2015-07-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1
著者
藤井 正 伊東 理 伊藤 悟 谷 謙二 堤 純 富田 和昭 豊田 哲也 松原 光也 山下 博樹 山下 宗利 浅川 達人 高木 恒一 谷口 守 山下 潤
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

まず、多核的都市圏構造の研究を整理・展望し、空間的構造の変化に関して社会的メカニズムを含め、地理学と社会学からの分析を行い、同心円的なパターンから地区の社会的特性によるモザイク化、生活空間の縮小の傾向を明らかにした。これは都市整備面では、多核の個性を生かし、公共交通で結合する多核的コンパクトシティ整備を指向するものとなる。こうした整備についても、中心地群の再編等の動向について国際比較研究を展開した。
著者
谷口 守 石田 東生 岡本 直久 堤 盛人 谷口 綾子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

現在、エクメーネは荒廃が続いており、その構造面からの修復を本気で考えねばならない段階にある。特に都市域のコンパクト化やスマートシティ化といった政策や、およびエコロジカル・フットプリントなど適切な評価指標の開発も必要である。本研究ではそれら諸課題に主に統計的な観点から対応するとともに、対応する都市計画制度や意識改革に至るまで、次の時代のための新たな解決策の提示を行った。
著者
谷口 守 橋本 成仁 植田 拓磨
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.290-299, 2010 (Released:2010-06-18)
参考文献数
25

近年,急速なIT技術の発展が我々の生活スタイルを大きく変化させている.個人の買物行動もその例外ではなく,EC(E-Commerce)をはじめとする新たな買物行動の形が誕生している.このような買物行動の変化は実空間上の買物客をサイバー空間上へと代替させることで,都市の賑わいや活力を損なう可能性が指摘されているが,その空間代替の実態は十分に明らかにされていない.本報告では,個人行動特性に配慮し空間代替の解明を試みた.その結果,個人行動特性によって空間代替性は異なっていることが明らかとなった.また,EC経験者におけるサイバー空間への潜在的な代替量は2005年時点で年間平均2.68回であり,その値は急速に増加している可能性が明らかとなった.
著者
谷口 守 松中 亮治 平野 全宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.121-126, 2008-10-15
被引用文献数
8 3

自動車利用を原因とするCO2削減のため、都市のコンパクト化の必要性が指摘されている。しかし、マクロなレベルでは人口高密化の効果は検証されているが、「串とお団子」などの都市構造誘導策自体によるCO2削減効果は統計的に検証されていない。本論文では1987~2005年の4時点における全国38都市における居住者一人当たりの自動車CO2排出量を実際の居住者の交通行動データに基づいて算出し、その結果に対して簡便なモデル構築を通じて都市構造自体が自動車CO2排出に及ぼす影響を独自に抽出した。分析の結果、我が国の都市における一人当たり自動車CO2排出量は地方都市を中心に時系列的に増大していることが示された。また、都市構造パターンに応じて自動車CO2排出量に有意な差があることが明らかとなり、高密化策ほどではないが都市構造誘導策もその有効性が統計的に初めて検証された。