- 著者
-
山下 潤
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.2, pp.156-172, 1993-12-31 (Released:2008-12-25)
- 参考文献数
- 50
- 被引用文献数
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1970年以降,空間的相互作用に対する空間構造の影響が議論されてきた。このような議論は,地理学者の関心を空間的自己相関の影響を受けない距離減衰パラメータの抽出へと向けさせた。しかしながら,Bennettら (1985)が主張するように,空間構造と空間的相互作用とは相互依存関係にあると認識すべきである。本研究の目的は,空間構造に対する空間的相互作用の影響を明らかにすることである。まず,スウェーデンのマルメ市内で高齢者によってなされたデイセンターまでのパーソントリップのデータを用いて,Williams Fotheringham (1984)によって開発されたキャリブレーションプログラム, SIMODELによって距離減衰パラメータを推計した。さらに,最近隣平均距離とモラーン係数を用いて,デイセンターの立地パタンーと空間的自己相関を示した。っいで,発生制約モデルを内挿した立地配分モデルを用いて,異なる3つの距離減衰パラメータごとにディセンターの最適立地が求められ,空間的相互作用の空間構造に対する影響を吟味した。結果として,3つの距離減衰パラメータが異なる立地パターンをもたらすことを証明した。従って,空間構造による空間的相互作用への影響を明らかにした従来の研究と合せ,空間的相互作用と空間構造は相互依存関係にあるといえる。