著者
奥山 亮 辻本 将晴
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
pp.iken.2017.001, (Released:2017-07-31)
参考文献数
38
被引用文献数
4

近年,我が国では創薬の基礎研究から医薬候補化合物の創出までの全研究段階をアカデミア研究者が行うアカデミア創薬が推進されている。アカデミア創薬においては,従来企業が中心で行ってきた創薬応用研究部分(リード物質から薬効・薬物動態・安全性を最適化して医薬候補化合物の取得を目指し,並行して創薬標的の妥当性検証を行う研究段階)もアカデミア研究者が実施するが,創薬応用研究はアカデミアの基礎研究とは内容も志向性も異なるため,アカデミア創薬における応用研究部分の研究達成度には懸念が持たれている。この問題を実証的に検討するため,日本の製薬企業もしくは大学等公的研究機関が臨床開発を実施した医薬候補化合物の情報を過去40年程度にわたって網羅的に収集し,分析した。その結果,アカデミア創薬で生み出された医薬候補化合物は,産学連携による創薬で生み出された化合物より臨床開発段階での成功率(上市に至る確率)が有意に低いことが分かった。臨床開発段階の失敗理由の大部分は創薬応用研究段階で見極めが行われる薬効,薬物動態,安全性によると報告されているため,このデータはアカデミア創薬における応用研究部分の研究達成度が相対的に低いことを示唆する。本結果より,アカデミア創薬の問題点や取るべき方向性を議論する。
著者
橋詰 剛 宮本 武司 赤川 久 辻村 欽司
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.66, no.652, pp.3233-3240, 2000-12-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
13

Simultaneous reduction of NOχ and smoke under high load conditions could be obtained by MULDIC(MULtiple stage DIesel Combustion) where mixture was made stratified before ignition. In this investigation of the basic characteristics of MULDIC, gaseous fuels (DME, Propane) were charged into the intake air which led to the creation of homogeneous lean mixture, and liquid fuel was injected into the cylinder and made rich mixture. The results of the engine test showed that NOχ emissions could be reduced to less than 100 ppm and smoke emissions were also maintained 0 FSN even at higher loads. Moreover, homogeneous rich mixture test results showed that low smoke combustion could be obtained under equivalence ratio of 1.6. In MULDIC, increasing the ignition delay period of injected fuel, soot formation rate was decreased, because over rich region was avoided.
著者
田中 功一 小倉 隆一郎 鈴木 泰山 辻 靖彦
出版者
日本電子キーボード音楽学会
雑誌
電子キーボード音楽研究 (ISSN:21899339)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.4-16, 2017 (Released:2018-01-22)
参考文献数
3

筆者らは、保育士・教員養成校で学ぶピアノ初学者の学習を支援するため、学習者と教員の演奏状況をグラフに出力してフィードバックするプログラム「ピアノ演奏見える化ツール」を開発した。このツールを中核として、その前に自学自習プログラム、ピアノ対面指導、及び学習者自身が演奏録音を聴く、以上を加えて、さらにこれらを学習者が振り返り、感想を記述する「ピアノ学習プロセス」を構築した。この「ピアノ学習プロセス」の実践における学生の記述と教員のコメントに対して、質的分析手法の一つであるSCATを用いた分析を行った結果、「ピアノ学習プロセス」の特徴として計18の理論記述を導き、学びにおける構造的な意味を抽出した。
著者
中辻 裕司
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.972-974, 2014 (Released:2014-12-18)
参考文献数
10
被引用文献数
4

多発性硬化症(MS)患者の約3割で血中セマフォリンSema4Aが著明高値を示す.Sema4A高値群にはインターフェロン(IFN)-β療法が有効でないばあいが多く,逆に障害の進行が助長されるばあいもある.疾患モデル動物EAEで検証実験をおこなうと,EAEはIFN-β治療で軽症化するがSema4A投与によりIFN-βの治療効果が打ち消され,むしろ増悪傾向を示した.機序としてSema4AがIFN-β治療下でもTh1,Th17分化を促進すること,およびT細胞の内皮への接着を促進することが一因である.まずSema4Aを測定し,高値MS患者には第一選択薬としてIFN-β以外の治療を考慮することが望ましい.
著者
辻口博啓著
出版者
中央公論新社
巻号頁・発行日
2013
著者
辻 信二
出版者
東洋大学
雑誌
経営論集 (ISSN:02866439)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.71-82, 1997-02-28
著者
高梨 宏之 阿部 勝哉 道辻 洋平 小竹 元基 ポンサトーン ラクシンチャラーンサク 林 隆三
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.855, pp.17-00224-17-00224, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
16
被引用文献数
2

This paper describes a modeling method for predicting a walking route of a pedestrian in a stochastic manner. We consider one of the most typical situations where a pedestrian walks along to a sidewalk, and then some obstacle exists in front of the pedestrian. To represent the walking route of the pedestrian during the avoidance action, a stochastic model is suitable than deterministic one. The stochastic model is derived from the walking experiment where a pedestrian avoids some obstacle in natural walking. Based on the loci obtained from the experiment, the pedestrians walking speed and walking direction at any local area was approximated by Gaussian and Beta distribution function, respectively. As a result the walking route of a pedestrian can be represented in a stochastic manner. The estimated output of the model is examined by comparing with two real walking loci that were obtained from near-miss incident database. One examination scene is avoidance of a parked vehicle, and the other is of parked bicycle on the roadside. By the numerical simulation, we obtained the results that the both real walking routes are included within the 3-sigma ranges of the estimated output of 500 trials.
著者
大西 良 辻丸 秀策 池田 博章 Ryo ONISHI Shusaku TSUJIMARU Hiroaki IKEDA
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 = Nagasaki International University Review (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.175-182, 2017-03

本研究の目的は、一般市民を対象に質問紙による調査を実施して、「子どもの貧困」に対するイメージや貧困が子どもの成長に与える影響(問題)等に関する認識の実態を把握することであった。調査の結果、市民の約8割が国民の生活水準の低下(貧困化)を感じ、また4人のうち3人が子どもの貧困問題を身近な問題として捉えていることが分かった。また「貧困」に対するイメージについては、「身近」で「怖いもの」という認識を抱いている者が多く、さらに「貧困」が子どもに与える影響(問題)については、「進路選択・進路実現の問題」、「心理(こころ)の問題」、「衣食住の問題」が上位に挙げられた。子どもがごく普通の生活をするために必要な物や事柄(必需品)では、「病気やケガをした際に病院へいく」、「遠足や修学旅行などの学校行事への参加」、「休日等で家族と一緒に過ごすこと」などがすべての子どもに絶対与えられるべきであるものとして上位にあがった。その一方、教育の機会や教育用品に関しては、経済的な理由で与えられなくても仕方がないという意見も多くみられた。このような結果を踏まえて、考察では、「関係性の貧困」と「機会の貧困」が子どもの成長や将来に負の影響を与えることについて述べ、相対的貧困がもたらす本質的な問題について論じた。
著者
小川 孝宏 平野 裕三 辻 俊明 常松 豪 阪口 理
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学研究発表会 発表講演集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.249-250, 2004

建築構造物の基礎設計においては、機械的に支持層を確認した調査結果に基づいた方法を採るのが一般的で、本来、地盤が有している強さを正しく把握しないまま設計が行われ、不経済な基礎工法が選定されていることが多い。本論は、9~14階建の集合住宅建設予定地において通常のボーリング調査に加えて、調査の初期段階で地表近くに分布する大阪層群Ma3層のブッロクサンプリング試料の室内力学試験と平板載荷試験を行い、Ma3層がもつ本来の強さを把握したことで、長尺の杭基礎が多用されてきた地盤条件の地域において直接基礎の採用を可能にし、工期の短縮と建設コストを削減することができた事例をまとめたものである。