著者
辻 喜久 渡邉 翼 塩川 雅広 栗田 亮 澤井 勇悟 上野 憲司 塩 せいじ 宇座 徳光 児玉 裕三 小泉 幸司 磯田 裕義 渡邊 祐司 山本 博 千葉 勉
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.59-65, 2011 (Released:2011-03-07)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

[背景と目的]脳虚血性疾患では,虚血領域は2種類に分けられ,壊死に至る不可逆性の領域と,虚血であるものの治療によって壊死することなく治癒する可逆性虚血領域である.今回,重症急性膵炎にPerfusion CTを用いれば,可逆性虚血領域が診断できるか検討した. [方法]発症3日以内に,Perfusion CTを撮像した71人の重症急性膵炎患者を対象とした.全ての膵実質を,頭部,体部,尾部に分け,膵血流速度(FV),膵血流量(VD)をPerfusion CT(Single compartment kinetic model)にて測定した.3週間後に造影CTを行い,頭部,体部,尾部がそれぞれ壊死したか診断した. [結果]発症早期に,FV,VDどちらも低下している場合,高率に壊死した.発症早期に,FV,VD片方だけ低下している場合,壊死する場合もあれば,回復する場合もあった.発症早期に,FV,VDどちらも低下していなければ壊死しなかった. [考察]発症早期にFV,VDどちらも低下した実質は高率に壊死し,このような実質は不可逆性膵虚血/早期壊死であると考えられた.単一のParameterのみ低下した実質は,必ずしも壊死しない場合があり,こうした実質は可逆性膵虚血である場合があると考えられた.以上から,複数のPerfusion Parameterを用いることで,可逆性-非可逆性膵虚血を診断しうる可能性があると考えられたが,こうしたPerfusion CTの所見と病理との比較や,用語の定義など,今後の課題であると考えられた.
著者
辻 麻美 飯倉 麻子 小舘 亮之 石井 大祐 下村 道夫
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2013-AVM-80, no.2, pp.1-5, 2013-02-15

新たに読み始めようとする書籍を選ぶ際の手がかりとする情報は多様である.例えば,ジャンルや作家名などの情報以外に,表紙のデザイン,とりわけ絵を楽しむ漫画の場合は,登場人物の顔などの画像的特徴を手がかりとして選ぶ方法もある.本研究では,漫画ならではの特徴が表れると想定される顔要素の特徴量をベースとする漫画作品推奨システムを提案し,そのための基礎検討として,顔パーツ特徴量の算出方法について検討する.
著者
行田 弘一 久保田 文人 鈴木 龍太郎 三好 勝巳 濱田 元 中辻 実 片桐 俊幸
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.69, pp.13-17, 1996-12-12 (Released:2017-10-13)

京都府相楽郡精華町の通信総合研究所(CRL)精華実験センタに設置したディジタルビデオ・オン・デマンド(Video On Demand, VOD)システムは、動画像圧縮にMPEG2を用いている。今回、本システムについて、その基本性能を評価するため、DSCQS法による画質品質の主観評価実験を行ったので、その概要及び結果について報告する。
著者
六辻 彰二
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.60, pp.139-149, 2002

シエラレオネ内戦は複雑な経緯を辿ったが, それは主に武力行使に関与する国内アクターが離合集散を繰り返したことと, 政権が目まぐるしく交代したことによる。内戦発生以後のほとんどの政権に共通することは, 独自の紛争対応が困難であったため, 民兵や民間軍事企業に依存したことである。これらのアクターは革命統一戦線 (Revolutionary United Front: RUF) との軍事的対決に有効な機能を果たしたが, 必ずしも政権の管理下になかったため, 交渉の推進には消極的で, 内戦を長期化させる一因ともなった。他方, 当初平和維持活動以上の介入をみせたナイジェリアは長期の派兵に耐えきれず, 交渉の進展に積極的な対応をみせた。結果的に2002年1月の内戦終結宣言は, 紛争ダイヤモンド輸出と武器輸入の規制と並行した, 交渉促進のための国際的な取り組みに大きく負っている。しかし主な内戦発生要因のうち, 社会的不満を表明する手段の欠如は民主的政府の設立にともなう異議申し立ての機会の確保により, そしてRUFを支援する紛争支援国の活動は国際的監視により大きく改善されたが, 政治腐敗と結び付いた資源配分や地方の生活環境は未だに深刻であるため, 内戦が再燃する危険性は払拭されていない。
著者
若月 晶 辻畑 正雄 三宅 修 伊東 博 板谷 宏彬 宇高 不可思
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.891-897, 1993-10

1)進行性核上性麻痺7例の膀胱尿道機能の検査の結果,蓄尿期では6例が過活動性膀胱で尿意の低下が見られた。コンプライアンスは良好であったが3例で膀胱容量が低下していた。2)排尿期では4例が低活動性膀胱で1例が無収縮であった。括約筋筋電図は1例で収縮筋括約筋協調障害3例で活動の低下がなく1例で無抑制弛緩がみられた。3)尿失禁の原因は神経学的には蓄尿期の過活動性膀胱と考えられたが痴呆とADLの障害も重要であった。残尿は排尿期の低活動性膀胱と括約筋の活動異常のいずれかあるいは両者が原因と考えられた。4)治療としてはαブロッカーがやや有効な症例もあったが,痴呆とADLの障害も大きな問題であり,排尿ベルの使用が尿失禁の看護には有効であったWe performed a vesicourethral function study on seven patients with progressive supranuclear palsy. In storage phase, 6 patients had decreased urinary sensation and overactive detrusor. Although bladder compliance was normal in all patients, maximum cystometric capacity was decreased in 3 patients. In micturition phase, detrusor contraction was underactive in 4 patients and acontractile in 1 patient. Sphincter electromyogram showed detrusor-sphincter-dyssynergia in 1 patient, no decrease in 3 patients and synergistic decrease in 1 patient. Six patients had urinary incontinence partially due to those neurological abnormality, partially due to dementia and lower activity of daily living. To facilitate the care of such functional incontinence, we devised a urinary alarm. The urinary alarm is a device to detect urine in a diaper. One can know the micturition in a diaper without being informed of micturition by the patient and change diapers as soon as possible. It was also useful to examine their frequency/volume chart.
著者
大久保 篤 柴田 のり子 根口 光太郎 辻本 嘉大 橘田 重延 大石 喜仁 武井 康郎 水野 康隆 宮原 寿夫 仲居 史志
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.363-369, 2004-05-31
参考文献数
4
被引用文献数
5

2003年10月13日に千葉県成田市と茨城県神栖町で発生した突風について,現地調査をもとに原因を推定した.突風は,強い雨の中である程度の広がりを持って一方向に向かって吹いた可能性が高かった.そして,日中にもかかわらず竜巻の目撃証言がなかった.これらから,突風の原因をダウンバーストと推定した.成田市の突風発生時の気象状況について,主にドップラーレーダーを用いて解析を行った.突風発生時はスパイラル状に組織化したエコーを伴った低気圧が,成田市付近に位置していた.そして,成田市宗吾で発生したダウンバーストは,スパイラル状エコーの通過時に発生した可能性が高かった.また,成田市赤荻で発生したダウンバーストの原因は,現地調査結果とあわせて考えることにより,低気圧の中心付近西側で発生したミソサイクロンを伴うストームによりもたらされた可能性が高いこともわかった.
著者
安井 久一 辻内 亨 Judy Lee 小塚 晃透 砥綿 篤哉
出版者
日本ソノケミストリー学会
雑誌
ソノケミストリー討論会講演論文集 18 (ISSN:24241512)
巻号頁・発行日
pp.97-98, 2009-10-23 (Released:2017-07-18)

Ashokkumar et al. [J. Am. Chem. Soc. 129, 2250 (2007)] reported that the intensity of the broad-band noise in acoustic cavitation noise from a low concentration surfactant (SDS) solution is much weaker than that from pure water. In the present study, numerical simulations of acoustic cavitation noise have been performed in order to study the mechanism of the much weaker broad-band noise from aqueous surfactant solution. The results of the numerical simulations have indicated that bubbles are shape stable in a low concentration aqueous surfactant solution due to smaller ambient radius of bubbles than that in pure water. It results in the much weaker broad-band noise because there is much less temporal fluctuation in the number of bubbles which is the origin of the broad-band noise. In other words, in a low concentration surfactant solution stable cavitation dominates, while in pure water transient cavitation dominates. Transient cavitation causes the temporal fluctuations in the number of bubbles resulting in the intense broad-band noise.
著者
川崎 千加 小松 泰信 辻 洋一郎 Chika Kawasaki Yasunobu Komatsu Youichirou Tsuji 大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 大阪女学院大学国際・英語学部 桃山学院大学経済学部
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.109-164, 2010-06-30

This paper is written as an interim report for the members of the 2 year joint research project "Reviewing the Library and Information Science Education Program in Momoyama Gakuin University" in order to study the conditions of reshaping the librarian training curriculum under newly amended library legislation. Chapter 1 reports the results of analyzing questionnaires handed out to the students April 2009. Chapter 2 shows expectations of a public librarian to future developments of university library education through his daily business. Chapter 3 writes human resources development by library instruction programs. Chapter 4 considers the wisdom and abilities required to librarians, and hoping the changes of university's librarianship. Chapter 5 presents an experiment of Osaka Jogakuin College's information literacy education using a learning management system. At last, Chapter 6 is a conclusion, and after reviewing the new Meisei University's curriculum, discusses the headed direction turned around for Momoyama Gakuin University's library and information science course.
著者
辻村 和也 吉村 裕紀 田栗 利紹 本村 秀章
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.253-259, 2017-12-25 (Released:2017-12-28)
参考文献数
31
被引用文献数
7

2015年11月長崎県において,腐肉食性巻貝であるキンシバイ(Nassarius(Alectrion)glans)喫食による食中毒事例が発生した.本食中毒事例は,国内でも3例目の珍しい事例であり,知見が乏しい.そこで行政および医療機関の協力のもと,経日的に採取された患者血清および尿中のテトロドトキシン(TTX)濃度推移と巻貝中の毒成分解析を行った.LC-QqQ-MS/MSによるTTX分析の結果,調理済巻貝の食品残品,患者血清および尿のすべてからTTXが検出された.食品残品試料では,1個体でヒトの致死量に達する量のTTXを含有するものもあった(食品残品試料2:2.5mg/individual).また,患者血清においては,発症日翌日に最高濃度42.8ng/mLを示し,2日分の尿中排泄量は2.4mgと試算された.以上の結果から,本事例では患者は少なくとも致死量相当のTTXを摂取したと推察された.また,キンシバイの毒性成分解析のため,TTX定量分析に加え,LC-QTOFMS/MSによるTTX類縁体探索およびマウスバイオアッセイによる総毒量算出を行った.その結果,キンシバイの総毒量はTTX単体でないことが明らかになり,残余毒力の一部分はTTX類縁体である11-oxoTTXが占めることが推察された.以上の結果,本事例を含めキンシバイは過去の事例と同様に,食品衛生上極めて危険な種であると考えられた.

1 0 0 0 OA 河海抄

著者
四辻善成
出版者
巻号頁・発行日
vol.[13],
著者
山本 壽一 石井 均 古家 美幸 岡崎 研太郎 辻井 悟
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.293-299, 2000-04-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
10
被引用文献数
1

糖尿病教育後の食事療法に対する妨害要因と逸脱・再発の推移, およびHbA1cの経過について検討した. 2週間の教育入院後の128名に対して面接調査を実施した. 食事療法が守れなかった (逸脱), 治療前状態に戻った (再発) と定義し, Marlattの再発モデルを利用して高危険度状況 (HRS) を分析した.1) 危険状況は個人内因子36.0%, 環境因子37.9%, 対人関係因子24.796でHRSは環境因子であった, 2) 冠婚葬祭時は普段より有意に逸脱率が高かった (83.6%vs54.7%).3) 退院2カ月目に逸脱が3カ月目に再発が有意な増加をした, 4) HbA1Cは教育前9.296, 退院後3カ月目に最低値6.496, その後微増した. 退院後2カ月目のHbA1Cが改善する時期にHRSへの対処が出来ず, 翌月に有意な再発の増力口が見られることから, 退院後1, 2カ月目にHRSへの対処法の訓練が必要であると示唆された.
著者
辻本 崇史 升田 健三 佐野 雅之 宮島 弘 正路 徹也
出版者
Japan Society of Geoinformatics
雑誌
情報地質 (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.201-210, 1991-06-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
5

地質調査において, 当該地域に詳しくない調査者を支援する目的で, 当該地域に詳しい専門家の知識を組み込んだ地質ユニット判別のエキスパートシステムを試験的に開発した.システム開発のためのモデル地区とした鹿児島県西浦とその周辺 (Fig.1) は, 各種の火山岩が卓越し, 従来の調査で20以上のユニットに分けられている (Fig.2) .最初に, この地域の調査を担当した専門家から地質ユニット判別の基準を聴取し, 出現確率の概念 (Table 1) にもとづき, 知識ベースを組み立てた.判別のための情報は, 試験的システムであることを考慮して, 岩石の視覚的データに限定した.次に, 以前の調査で採取された岩石試料を室内で判別してシステムの欠点を抽出し, 若干改良した.その後, ラップトップコンピュータに組み込んだ本システムを使って, 当地に詳しくない地質専門家が現地 (Fig.3) でその有効性を評価した.また, このとき採取された試料を使って, 知識ベースを与えた専門家も室内でシステムの評価を行った.システムは, 判別効率の高い順に, 19の質問を出し, それに対する利用者からの回答に応じて, 可能性のある地質ユニットを順次絞り込む.この操作を繰り返し, 判別に影響を与える質問項目がなくなると, システムは最終結果を確率表現で出力する (Table 5) .現地試験の結果, システムが推定した第1候補の地質ユニットと専門家が区分したユニットが一致したのは, 20試料中20~30%しかなく, 推定結果の被検者間の差もかなりあった (Table 4) .この様な結果に対し, 多くの問題点が指摘され, それらは今後の課題として残された.しかし, システムの正当率が低かった割には, 現在の地質図を変更して, システムが推定した地質ユニットを採用した方がよい例も少数あった.以上の結果, 今回の試験的エキスパートシステムの構築によって, 記述的・定性的要素に富む地質調査の分野にも人工知能的手法の導入が可能であるとともに, 同様の性格を有する他の社会分野への波及効果も期待され, またシステムの構築過程で専門家の知識の整理に大いに役立つという副次的効果のあることが判明した.
著者
山田 禮司 永石 隆二 北辻 章浩 籏野 嘉彦 熊谷 友多
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

酸化物や金属を添加した水溶液に放射線を照射することで誘起される化学反応に関する実験研究を行い、光触媒反応が困難な広いバンドギャップ(5-10eV)をもつアルミナ、ジルコニア等の酸化物を硫酸水溶液に添加し、0.4モル付近の最適濃度で、高い水素生成反応収率や金属イオンの還元収率を実現することができた。放射線触媒反応機構に関して、酸化物添加と金属添加での水素生成反応の差異や表面反応等に関する知見を得た。