著者
安達 登 近藤 修 角田 恒雄 神澤 秀明
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

研究期間中に、査読つき英文論文6編、査読つき和文論文5編を出版した。成果の中で特筆すべきものとして、江戸時代アイヌのミトコンドリアDNAについて世界初の論文を公表したことが挙げられる。この研究で、アイヌは縄文時代人の遺伝的特徴を色濃く受け継ぐ他に、シベリア先住民族および本州日本人の遺伝的影響も想像以上に大きいことが明らかとなり、日本列島人の成立を説明する二重構造モデルに一部修正が必要なことを初めて実証した。さらに、北海道船泊遺跡出土縄文後期人骨について、世界初となる現代人レベルでの高精度ゲノム解析に成功した。このデータは今後日本列島人の成立を考える上で根幹となる重要なものである。
著者
篠田 謙一 安達 登 百々 幸雄 梅津 和夫 近藤 修
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近世アイヌ人骨122体を対象としてDNAを抽出し、ミトコンドリアDNAの解析を行った。最終的に100体からDNA情報を取得し、アイヌ集団の成立の歴史の解明を試みた。解析の結果は、北海道のアイヌ集団は在来の縄文人の集団にオホーツク文化人を経由したシベリア集団の遺伝子が流入して構成されたというシナリオを支持した。また同時に行った頭蓋形態小変異の研究でも、アイヌは北海道の祖先集団に由来するものの、オホーツク人との間の遺伝的な交流を持っていた可能性が示された。
著者
影山 洋子 山下 毅 本間 優 田中 千裕 中村 綾 冨田 美穂 寺田 奈美 毛利 恭子 小原 啓子 近藤 修二 船津 和夫 中村 治雄 水野 杏一
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.462-467, 2016 (Released:2016-12-26)
参考文献数
10

目的:インスリン抵抗性の診断は糖尿病発症予防のためにも早期発見が重要である.しかし,診断の基本となるインスリンが健診項目に入っている企業は少ない.そこで多くの企業の健診項目にあるTG/HDL-C比を利用して日本人におけるTG/HDL-C比がインスリン抵抗性の指標となり得るか,またその指標が10年間の糖尿病発症に関与しているかretrospectiveに検討した.方法:TG/HDL-C比を四分位し,男女別にhomeostasis model assessment-insulin resistance(HOMA-IR)と比較した.また,10年間における糖尿病の発症率をTG/HDL-C比高値群と非高値群で比較した.結果:男女ともにTG/HDL-C比が高くなるに従いHOMA-IRは増加していた.四分位による75パーセンタイルは男性が2.6,女性が1.4で,それ以上を高値群,未満を非高値群とすると,高値群は非高値群に比べてインスリン抵抗性を有していた割合が高かった.10年間の追跡による糖尿病発症では,男女ともに2001年時にTG/HDL-C比高値群が非高値群より2倍以上糖尿病を発症していた.結論:TG/HDL-C比はインスリン抵抗性を反映しており,鋭敏な糖尿病発症の予測因子となり得る.TG/HDL-C比としてみることで簡便でわかりやすいインスリン抵抗性の指標として使用できる可能性がある.
著者
百々 幸雄 土肥 直美 近藤 修
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

1.奄美諸島住人の頭蓋140例、沖縄本島122例、先島諸島63例について、計測的、非計測的特徴を調査した。2.顔面平坦度計測の結果から、沖縄本島人が予想以上に顔面が平坦であることが明らかになった。3.沖縄本島人の顔面の平坦性は渡来系弥生人、古墳人とほぼ同様で、顔面の立体的なアイヌや縄文人とは著しく異なっていた。4.したがって、従来の伝統的計測法による結果のみをもって、琉球・アイヌ同系説を議論することがいかに危険であるかを指摘した。5.頭蓋の非計測的特徴の出現パターンも、沖縄、奄美諸島人はアイヌや縄文人と明らかに異なり、むしろ本土の日本人や中国人と近いことが明らかになった。6.我々の今回の結果だけから、琉球・アイヌ同系説を否定してしまうのもまだデータ不足と思われ、例数がまだ100例に満たない先島諸島を中心に、今後も調査を継続することで共同研究者と意見が一致した。
著者
船津 和夫 山下 毅 斗米 馨 影山 洋子 和田 哲夫 近藤 修二 横山 雅子 高橋 直人 水野 杏一
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.572-580, 2019 (Released:2020-04-01)
参考文献数
38

目的:コーヒー飲用の肝障害に対する改善効果は,これまで国内外から報告されてきた.今回は,10年間にわたる長期縦断的調査で,コーヒー飲用の脂肪肝ならびに臨床検査値への影響を検討した.対象と方法:腹部超音波検査で脂肪肝を認めない男性のなかで慢性肝障害,高血圧,脂質異常症,糖尿病で治療中の人を除いた対象者について,10年後の脂肪肝発生の有無で調査終了時の年齢,BMI,運動量をマッチした無脂肪肝群(404名)と脂肪肝群(202名)のペアを作成し,両群におけるコーヒー飲量の推移と臨床検査値の変動を比較した.また,脂肪肝発生に影響する可能性のある諸因子を調整し,コーヒー飲用の脂肪肝発生への影響を検討した.次に,10年間のコーヒー飲量の推移によりコーヒー飲量減少群(233名),同等群(213名),増加群(151名)の3群に分け,各群の脂肪肝発生頻度と臨床検査値への影響を検討した.結果:脂肪肝の発生別に分けた2群ならびにコーヒー飲量の推移別に分けた3群の検討から,コーヒー飲用が脂肪肝の発生を抑制し,メタボ関連項目の臨床検査値の改善をもたらす可能性が示唆された.結論:コーヒー飲用は脂肪肝の発生を抑制し,生活習慣病関連因子の改善をもたらす可能性があることから,生活習慣病の予防に有用であることが示唆された.
著者
水野 杏一 山下 毅 小原 啓子 船津 和夫 近藤 修二 横山 雅子 中村 治雄 影山 洋子 本間 優 前澤 純子
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.547-552, 2016 (Released:2016-11-01)
参考文献数
25

最近特定の職業と肥満の関連が指摘され、職業習慣病という言葉も聞かれている。エンジニアはパーソナルコンピュターなどの使用時間が長く、肉体的活動が少なく、不規則な生活、職場のストレスなどにより肥満が多いと報告されている。これらの研究は断面調査なので、エンジニアという職業が肥満を引き起こすのか、エンジニアを目指す若者がすでに肥満なのか明らかでない。そこでエンジニア会社の入社時健診を解析することにより既に肥満が入社前より存在しているか検討した。対象はエンジニア関連会社に平成27年度に入社する20歳代の男性(エンジニア予備軍)179人で、平成26年度国民健康・栄養調査(国民調査)から同年代の男性257名、および非エンジニア企業に入社する同年代男性新入社員49人と比較した、BMI 25以上の肥満の割合はエンジニア予備軍で30.2%、国民調査で20.9%、非エンジニア18.4%で、肥満の割合はエンジニア予備軍で対照群より約10%高かった。エンジニア予備軍で血圧上昇、耐糖能異常、脂質異常症の動脈硬化危険因子を持つ割合は肥満者が非肥満者に比べ有意に高かった(P<0.001)。肝機能異常を持つ割合も同様であった(P<0.001)。腹囲85cm以上の内臓肥満を有するのはBMIによる肥満者の94.4%におよんだ。しかし、メタボリック症候群を有するのはエンジニア予備軍で3.4%、エンジニア予備軍の肥満者でも11.1%で国民調査の同年代2.2%と比べ有意な差はなかった。以上、エンジニア予備軍は入社前から肥満が存在していた。若年者の肥満は後に認知症になりやすいこと、メタボリック症候群は多くなかったが、若年者の肥満者は将来メタボリック症候群になりやすいことなどより、肥満に対して早期の介入が必要である。その際、肥満の管理を個人のみに任せるのではなく、社員の健康を重要な資産とみなす健康経営が浸透してきているので、企業の積極的な介入が入社時より望まれる。
著者
青野 友哉 新美 倫子 澤田 純明 永谷 幸人 篠田 謙一 近藤 修 添田 雄二 安達 登 西本 豊弘 渋谷 綾子 神澤 秀明
出版者
東北芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

「縄文時代には争いや格差はなかった」というイメージは、受傷人骨や子供への厚葬の存在により、どの地域・時期でも当てはまるとは言い難い。特に北海道有珠モシリ遺跡18号墓は、頭部に受傷痕跡を持つ8体を含む11体の人骨が1つの墓に再埋葬されており、集団間の争いを想起させる。墓が作られた北海道の縄文晩期後葉は西日本の弥生前期にあたることから、農耕文化の受容に伴う広域的な社会変容の可能性もあり、解明には受傷痕跡の成因や人の移動、血縁関係など多角的な検討が必要となる。本研究では、骨考古学・形質人類学・法医学の知見と骨科学分析により、縄文終末期の日本列島で起きた社会変容の実態と合葬墓の埋葬原理を明らかにする。
著者
近藤 修
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.208, pp.249-267, 2018-03-09

縄文人の地域性を探ることによって,その成立過程を探ることは可能だろうか。日本列島はその地史的環境から,ヒトの移住ルートが限られる。したがって,縄文人の成立過程を,その初期集団の日本列島各地への拡散と,外部からの(仮想的な)移住集団の影響によると考えると,その結果が縄文人の地域性に現れると考えることができる。この論考では,縄文人頭骨の計測値をもちいて,日本列島の縄文地域集団の変異を分析した。その結果,縄文人頭骨の形質には,北から南への地理的勾配があること,それぞれの縄文地域集団の形成には異なった背景があることが示唆された。さらに大胆に解釈すると,縄文人の形成の中心は西日本(中国,九州)にはなさそうだということ,九州縄文人は孤立した集団史により形成された可能性があること,北海道縄文人は比較的長い集団形成の歴史をもつかあるいは形成期に外部集団からの影響があった可能性が示唆された。
著者
西秋 良宏 仲田 大人 米田 穣 近藤 修 石井 理子 佐々木 智彦 カンジョ ヨーセフ ムヘイセン スルタン 赤澤 威
出版者
高知工科大学
雑誌
高知工科大学紀要 (ISSN:13484842)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.57-69, 2010-07

2009年度のシリア、デデリエ洞窟における先史人類学的調査成果について報告し、あわせて今後の研究の展望を述べる。デデリエはシリア北西部、死海地溝帯北端に位置する西アジア最大級の旧石器時代洞窟である。前期旧石器時代末から終末期旧石器時代にいたる30万年以上の人類居住層を包蔵している。2009年度は洞口部、洞奥部で発掘をおこない、それぞれ前期旧石器時代末、中期旧石器時代後半の地層に残る先史人類の活動痕跡を調査した。洞口部ではJ27区、K22/23区をそれぞれ地表下約7m、6mまで掘り下げた。いずれにおいても基盤岩が一部で露出し、当洞窟居住史の起点に近づくことができた。認定し得た最古期の文化層で最も顕著なのは前期旧石器時代末ヤブルディアンであった。より堆積状況の良好なK22/23区では前期ムステリアンと基盤岩の間に当該文化層が挟まれて検出された。数少ない層位的出土事例の一つであり、いまだ不明の点が多い前期旧石器時代末に生じた複雑な文化継起を先史学的に議論する好材料となる。一方、洞奥部では中期旧石器時代、ムステリアン後期のネアンデルタール人生活面を詳細に記録する作業を実施した。結果は、当洞窟に彼らの居住痕跡が保存よく残存していることを示した。石器、動物化石、炉跡などの空間配置を分析することでネアンデルタール人の生活構造、社会体制の考察が可能であろうとの見通しが得られた。
著者
船津 和夫 山下 毅 本間 優 栗原 浩次 斗米 馨 横山 雅子 細合 浩司 近藤 修二 中村 治雄
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.32-37, 2005-06-30 (Released:2012-08-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的・方法:近年,男性において,肥満者の増加に伴い生活習慣病の1つである脂肪肝罹患者数の増加が著しい.最近,非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)やC型肝炎において瀉血療法により血中ヘモグロビン(Hb)を低下さることにより,肝細胞障害の改善とともに,肝細胞内の脂肪滴貯留が改善することが報告され,肝炎や脂肪肝において肝臓に蓄積した鉄がこれらの病態に関与していることが明らかにされてきた.しかし,脂肪肝と血中ヘモグロビンとの関係についてはこれまで検討されていない.そこで,中年男性を対象として,血中ヘモグロビン値と脂肪肝との関連について調査した.結果:非肥満者,肥満者ともに脂肪肝を有する群が無い群に比べ,血中ヘモグロビン値は有意に高値であった.また,血中ヘモグロビンの高値は肥満の有無にかかわらず,脂肪肝における肝機能検査値の異常にも関係していることが示された.さらに,ロジスティック回帰分析より,血中ヘモグロビンは飲酒量,肥満度とともに,独立した脂肪肝の関連因子であることが明らかにされた.結論:以上より,血中ヘモグロビンに含まれている鉄が間接的に脂肪肝の発症とそれに伴う肝機能障害に関連していることが示唆された.
著者
近藤 修平 Luis CANETE 高橋 隆行
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2015 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp._1P2-G03_1-_1P2-G03_4, 2015-05-17 (Released:2017-06-19)
被引用文献数
1 1

In this paper, a control method for controlling the dual arm manipulator of the inverted pendulum type assistant robot while performing object hand over is presented. To reduce the complexity and increase the robustness, a partitioned control that separates the body and arm control while treating the other as a disturbance is proposed. To estimate the disturbances, the ESO is implemented on both subsystems. The development of the control and results of actual tests are presented.
著者
阪山 由衣子 加藤 孝憲 牧野 泰三 近藤 修 Yannick DESPLANQUES Philippe DUFRENOY
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.16-00324, (Released:2017-04-05)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

Frictional heat is generated on the rubbing surface and various types of thermal localization occur during sliding contact in braking on disk and pad surfaces. Thermoelastic expansion affects the contact pressure distribution due to the frictional heat generation. The surface temperature is sometimes localized, and the thermal behavior causes surface damage. To evaluate this phenomenon, braking tests were conducted and the localized temperature on the disk surface was observed with an infrared camera. The localized temperature was found to correlate with frequency response for contact force variation. To investigate localized temperature on the disk surface, FEM analysis of the braking test was conducted. The FEM analysis method combined with contact analysis and heat transfer/thermal stress analysis was applied. Heat flux distributions were calculated by contact analysis in consideration of the frictional heating introducing the actual contact force and the friction coefficient variation. The disk surface temperature was then evaluated by the coupled heat transfer/thermal stress analysis using the heat flux distributions obtained from the results of contact analysis. The disk surface temperature obtained from FEM analysis almost coincided with that measured during the braking test. Moreover, the new method could greatly reduce the calculation time compared to the method using the contact analysis alone. Therefore, the proposed method is believed to be useful for evaluation of the rubbing surface temperature.
著者
船津 和夫 斗米 馨 栗原 浩次 本間 優 山下 毅 細合 浩司 横山 雅子 近藤 修二 中村 治雄
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.811-817, 2008-03-31 (Released:2012-08-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

目的:医療機関受診者に比べ一般健康人により近い健診受診者を対象として,胃食道逆流症(gastroesophagealreflux disease:GERD)の実態調査を施行した.方法:上部消化器疾患で治療中の人を除いた胃内視鏡検査受診者659名(男性368名,女性291名)を対象とした.内視鏡所見とfrequency scale for the symptoms of GERD(FSSG)問診票のスコアを基に対象者をびらん性胃食道逆流症(erosive gastroesophageal reflux disease:e-GERD),非びらん性胃食道逆流症(nOn-erosivegastroesophagealreflux disease:NERD),非GERDの3群に分け,各群の性別発見頻度と血糖,血清脂質,高感度C-反応性蛋白(CRP)などの生活習慣病関連因子,血圧,ならびにメタボリックシンドロームの合併率を比較検討した.結果:NERDの頻度は男女ともe-GERDより多かった.e-GERDは女性より男性に高頻度でみられ,NERD,非GERDに比べ,血圧が高く,血糖,血清脂質,高感度CRPなどがより高値を呈し,メタボリックシンドロームの合併率が高かった.一方,NERDはやぜ気味の人に多くみられ,血糖,血清脂質,高感度CRP,血圧は非GERDよりもさらに低値を示し,メタボリックシンドロームの合併率も3群のなかで最も低かった.結論:e-GERDは肥満に起因する生活習慣病の1つと考えられたが,NERDはやぜ気味の人に多くみられ,生活習慣病関連因子の異常が少ないことから,e-GERDとは異なる病態を有することが示唆された.
著者
水野 杏一 山下 毅 小原 啓子 船津 和夫 近藤 修二 横山 雅子 中村 治雄 影山 洋子 本間 優 前澤 純子
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.547-552, 2016

最近特定の職業と肥満の関連が指摘され、職業習慣病という言葉も聞かれている。エンジニアはパーソナルコンピュターなどの使用時間が長く、肉体的活動が少なく、不規則な生活、職場のストレスなどにより肥満が多いと報告されている。これらの研究は断面調査なので、エンジニアという職業が肥満を引き起こすのか、エンジニアを目指す若者がすでに肥満なのか明らかでない。そこでエンジニア会社の入社時健診を解析することにより既に肥満が入社前より存在しているか検討した。対象はエンジニア関連会社に平成27年度に入社する20歳代の男性(エンジニア予備軍)179人で、平成26年度国民健康・栄養調査(国民調査)から同年代の男性257名、および非エンジニア企業に入社する同年代男性新入社員49人と比較した、BMI 25以上の肥満の割合はエンジニア予備軍で30.2%、国民調査で20.9%、非エンジニア18.4%で、肥満の割合はエンジニア予備軍で対照群より約10%高かった。エンジニア予備軍で血圧上昇、耐糖能異常、脂質異常症の動脈硬化危険因子を持つ割合は肥満者が非肥満者に比べ有意に高かった(P<0.001)。肝機能異常を持つ割合も同様であった(P<0.001)。腹囲85cm以上の内臓肥満を有するのはBMIによる肥満者の94.4%におよんだ。しかし、メタボリック症候群を有するのはエンジニア予備軍で3.4%、エンジニア予備軍の肥満者でも11.1%で国民調査の同年代2.2%と比べ有意な差はなかった。以上、エンジニア予備軍は入社前から肥満が存在していた。若年者の肥満は後に認知症になりやすいこと、メタボリック症候群は多くなかったが、若年者の肥満者は将来メタボリック症候群になりやすいことなどより、肥満に対して早期の介入が必要である。その際、肥満の管理を個人のみに任せるのではなく、社員の健康を重要な資産とみなす健康経営が浸透してきているので、企業の積極的な介入が入社時より望まれる。
著者
石田 肇 近藤 修
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

1.斜里町知床博物館の協力により斜里町ウトロ神社山遺跡を発掘し、男性人骨1体を追加することができた。2.東京大学文学部常呂実習施設保管の稚内市大岬遺跡出土人骨、北海道大学文学部保管の稚内市オンコロマナイ遺跡ならびに大岬遺跡出土人骨の調査を行なった。3.断片的な資料ながらも,サハリンの南部,北海道のオホーツク海岸,千島列島に,一つのまとまった群としてオホーツク文化を担った集団が存在したらしいことがわかってきた。4.頭蓋形態小変異22項目の頻度から四分相関係数を用いて生物学的距離を推定してみた。距離では,オホーツク文化人骨から近い集団として,サハリンアイヌ,バイカル新石器時代人骨,アムール集団を挙げることができる。国立遺伝学研究所の斎藤成也氏の開発した近隣結合法で集団間の関係をみると,オホーツク文化人骨はアムール集団を中心としてバイカル新石器時代人を含むシベリア集団とアイヌの間に位置することがわかった。5.アイヌについては、北海道の中で脊稜山脈を挟む地域間での変異が大きい。これはアイヌの生活についての民族学的データや、遺伝学的なデータに見られる川筋を単位とした地域変異とは違った様相を見せる。アイヌの起源を縄文人とすると、縄文時代から近世までのアイヌ成立過程における外来要素の影響が無視出来ないが、遺伝的、文化的な要素がどの程度頭骨の形態変異に影響したのかはこれからの課題である。
著者
近藤 修一 坂井 崇人 刀祢 茂弘
出版者
山口県農業試験場
雑誌
山口県農業試験場研究報告 = Bulletin of the Yamaguchi Agricultural Experiment Station (ISSN:03889327)
巻号頁・発行日
no.53, pp.73-74, 2002-03 (Released:2011-03-05)

1.本県錦町産の「島根3号」の種子を播種して得た優良株の選抜と自然交配を繰り返した後、優良な1個体を選抜し、「徳育1号」と命名し、1997年に品種登録申請を行い、2001年3月19日に品種登録された。2.本品種は、生育が旺盛で、根茎の肥大が良く、すりおろした時の辛みは「島根3号」に比べやや強い。3.畑栽培に適した栄養繁殖性品種である。
著者
赤澤 威 西秋 良宏 近藤 修 定藤 規弘 青木 健一 米田 穣 鈴木 宏正 荻原 直樹 石田 肇
出版者
高知工科大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2005

旧人ネアンデルタール・新人サピエンス交替劇の最大の舞台のひとつ西アジア死海地溝帯に焦点を当て、事例研究として、一帯における交替劇の真相解明に取り組み、次の結果を得た。両者の文化の違いは学習行動の違いに基づく可能性が高いこと、その学習行動の違いは両者の学習能力差、とりわけ個体学習能力差が影響した可能性が高いこと、両者の学習能力差を解剖学的証拠で検証可能であること、三点である。以上の結果を統合して、交替劇は両者の学習能力差に基づく可能性があり、この説明モデルを「学習仮説」と定義した。
著者
村田 博士 小野田 崇 由本 勝久 中野 幸夫 近藤 修平
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.124, no.9, pp.1874-1880, 2004-09-01
被引用文献数
13 7

This paper presents applying results of four estimation algorithms of non-intrusive monitoring system for real household. We conclude that all algorithms have practicable ability. 1) support vector machine(SVM): SVM was used to estimate ON/OFF states for fluorescent and refrigerator. SVM has the performance equivalent to best performance of sigmoid function networks(SFN). However, SVM has high estimating ability constantly. 2) RBF networks(RBFN): RBFN was used to estimate power consumption for air conditioner. RBFN has the performance equivalent to best performance of SFN. However, RBFN has high estimating ability constantly. 3) step change detection method(SCD): SCD was used to estimate ON/OFF states and power consumption for IH cooking range. SCD does not need the necessary learning process for SFN and has higher estimating ability than SFN. 4) spectrum reference method(SRM): SRM was used to estimate working conditions for rice cocker and washing machine. SRM is able to estimate these working conditions that cannot be estimated by earlier methods.