著者
鈴木 啓章
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.555-561, 2014 (Released:2017-02-01)
参考文献数
66
被引用文献数
1 1

ビタミンKは正常な血液凝固の維持に必要なビタミンとして発見された脂溶性ビタミンの1つである。近年,ビタミンKは骨粗鬆症や動脈硬化の予防に効果があることが明らかになってきた。ビタミンKは骨のオステオカルシンや動脈のマトリックスGlaタンパク質を活性化することで生体内のカルシウム代謝を調節し,骨や動脈の健康維持に役立っている。骨の健康維持のためには食事摂取基準における摂取目安量よりも多くのビタミンKの摂取が推奨されている。食品に主に含まれるビタミンKのうち,納豆に含まれるビタミンKであるメナキノン-7が最も高い栄養価を有している。
著者
鈴木 啓文
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.73-91, 2018-07-25 (Released:2019-03-05)
参考文献数
21

【要旨】 従来、映画のショック体験がしばしば論じられてきた。対して、本論は触発し変様する映画身体の体験を考える。そのためにまず、ショック体験やイメージの強度的体験を重視するドゥルーズの『シネマ』とドゥルーズ的な映画身体論を確認する。そのうえで本論は、ショックを体験する映画身体とは区別される、触発し変様する映画身体を論じるため、ドゥルーズの身体の映画論からスピノザ的な身体論を掘り起こし検討する。身体の映画論のカサヴェテス作品を論じた箇所などには、触発し変様するスピノザ的な身体を見出せる。だが、思考論が主題である同論では、身体の触発と変様の経験のあり方や可能性が映画身体論的な観点から十分に論じられていない。そこで本論は、身体の映画論に潜在する身体の触発と変様や情動の揺れ動きといったスピノザ的な諸論点を引き出し、ドゥルーズとスピノザの議論と共に吟味する。そして最後に、情動の揺れ動きの観点からカサヴェテス作品の身体の触発と変様を分析する。とりわけ同作品の身体の疲労における情動の揺れ動きに着目し、情動の複数的な触発がもたらす情動の感受の仕方、つまり身体の組成の根本的な変貌を論じることで、触発と変様という映画体験の可能性を示す。
著者
鈴木 啓三
出版者
公益社団法人 日本鋳造工学会
雑誌
鋳造工学 (ISSN:13420429)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.80-84, 2017-02-25 (Released:2022-01-01)
参考文献数
9
著者
露木 理紗子 中島 菜恵子 松村 扶佐 鈴木 啓一 飯田 文子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.148, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】和牛肉のおいしさには脂肪中の脂肪酸組成が関与し、特にオレイン酸を含む一価不飽和脂肪酸(以下、MUFA)割合が高いものは食味特性が優れ、枝肉の取引価格に影響を与えている。そこで、MUFA割合が牛肉の食味特性へ与える影響について官能評価を行い、比較検討した。【方法】牛肉脂肪中の脂肪酸組成の明らかなBMS№4・7・9の仙台黒毛和牛54頭サーロインについて、8段階評価尺度での官能評価を訓練パネル10名で行った。うま味の評価では、香りの混入を避けるためノーズクリップを使用し行った。1㎝厚さにスライスした牛肉を、200℃に温めたホットプレート上で表面60秒、裏面75秒加熱した。それを線維方向を統一し、3×4㎝に切り出し、順序効果をふまえ、9項目につき評価を行った。クッキングロスは、焼成前後の重量の損失を百分率で表した。また破断測定および理化学測定を行った。【結果・考察】官能評価の「風味の強さ」「うま味」において、MUFA割合間で有意な差がみられた(p<0.05)。重回帰分析による「総合評価」に寄与する項目は、「うま味」「良い牛くささ」の風味に関する項目で寄与率82.7%であった。官能評価項目の「うま味」とうま味に関わるアミノ酸やイノシン酸分析値との関連はみられず、アミノ酸・核酸成分以外に「うま味」の評価に関わるものがあると推察された。さらに、クッキングロスが高い肉は、破断測定値においても高い値を示す傾向があり、それは特に雌に顕著であることから、MUFA割合が高く筋線維が軟らかいとクッキングロスが増加し食感が悪くなるため、高すぎるものは好ましくなく、最適MUFA割合は59 %程度と結論づけられた。
著者
鈴木 啓太
出版者
金沢大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2021-08-30

慢性疼痛の発症とビタミンDの関連については、一貫した結果が得られていないのが現状である。その要因として、ビタミンD受容体遺伝子の一塩基多型によって、生体内におけるビタミンDの作用発現が変化することが考えられる。本研究では、慢性疼痛の発症と生体内のビタミンD濃度の関連を、ビタミンD受容体遺伝子の多型別に検討する。それにより、ビタミンDを用いた慢性疼痛のテーラーメイド型アプローチの発展に寄与する。
著者
加瀬沢 信彦 鈴木 啓吾
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
日本自動化健診学会々誌 (ISSN:0386135X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.125-135, 1981-12-20 (Released:2010-09-09)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

成人健診における実用的な肥満判別法について検討を行ない, 次の知見が得られた。1.身長別に標準体重を推定する従来の各種方法 (算出式や表) は, 性, 年齢, 異常データの混入状態など標本集団の不均質に基づく要因によって常に一定の指標が得られないという欠点があり, 肥満指数として普遍妥当性に乏しい。2.三種の体格指数 (W/H比, W/H2, W/H3) を健常成人データを用いてその実用性を比較すると, W/H比が体重との相関が最も強く, 年齢や身長の影響を受けにくく, かつ算出が容易であるという点において, 肥満度指標として最適であった。3.W/H比の健常成人のヒストグラムは男女とも正規分布とみなし得るので, パラメトリックな統計処理が可能である。すなわち, 著者らは平均値を中心として, 1S.D.間隔ごとにW/H値を区分し, 7段階の肥痩判定を行う方法を考案したが, これは統計学上, 利便を有するものである。4.W/H比の基準分布は“健常者集団”から容易に算出される。著者らは最近5年間のデータから, 20~75歳の人間ドック健常者を対象として男子33~41, 女子30~38のW/H基準値 (平均値土1S.D.) を得たが, 実用的な基準値の設定にあたっては, 性, 年齢, 地域, 時代, 種族等を考慮して決められることが望ましい。その場合, W/H値自体は共通の指標として相互比較が可能である。5.W/H判定法に皮下脂肪厚測定を組合せることにより, 成人肥満のスクリーニングとしての信頼性がさらに向上する可能性が示唆された。(本論文の要旨の一部は, 第8回および第9回日本自動化健診学会学術大会, 並びにExcerpta Medica-ICS 539 (1981) に報告した。)
著者
楊 昊軒 貝沼 重信 鈴木 啓介 楊 沐野 豊田 雄介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00288, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
27

鋼道路橋において,溶射皮膜上に塗装が塗布され,重ね皮膜になる場合があるが,その重ね皮膜の耐久・防食特性については不明な点が多い.そこで,本研究ではAlとZnの溶射と重防食塗装の重ね皮膜部の耐久・防食特性を解明するために,クロスカット傷を導入した溶射単膜,および溶射と塗装の重ね皮膜部を有する鋼板試験体を用いて複合サイクル腐食促進試験を行った.また,重ね皮膜部の膨れ性状の測定,分極特性などの電気化学測定,SEM-EDXによる断面元素分析およびXRDによる生成物の同定分析を実施した.これらの結果から,溶射と塗装の重ね皮膜では,Al溶射の重ね皮膜がZn溶射に比べて早期に劣化し,耐久性が低下することなどを明らかにした.また,塩類に曝される腐食性の高い環境におけるAlとZnの溶射と塗装の重ね皮膜の劣化機構を示した.
著者
古川 幸子 鈴木 啓太郎 増村 威宏 田中 國介 若井 芳則
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.9, pp.653-665, 2015 (Released:2018-05-18)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

(1)2007年産の酒造好適米と良食味米を含む11品種11点について,試験米の食味評価とこれらの試験米を掛米とする製成酒の味覚センサーによる呈味評価の関係を検討した。(2)味覚センサーを用いて製成酒の呈味特性を評価した結果,酒造好適米品種を掛米に用いた場合には,製成酒は有機酸による濃厚感を持つ呈味となり,一方で良食味米品種を掛米に用いた場合には,製成酒は爽快感のある呈味となることが示唆された。(3)用いる掛米品種により製成酒の呈味に差異が見られる理由について詳細な検討を加えるため,製成酒の遊離アミノ酸含量を測定したところ,良食味米品種で酒造好適米品種よりもAsp,Thr,Ser,Leu,Tyr,Phe,Met,Lys含量が有意に高い値となった。(4)遊離糖含量は,良食味米で酒造好適米品種よりもフルクトース含量が有意に高く,グルコース含量が有意に低い値となった。従って,用いる掛米品種によって製成酒の呈味に違いが生じる原因として,アミノ酸含量や遊離糖含量の影響が示唆された。(5)味覚センサーを用いた製成酒の呈味評価により,掛米品種による酒質の差異を明示できる可能性が示唆された。これを商品開発に応用することで,新規市場の開拓や需要拡大への貢献に期待できるものと思われた。
著者
鈴木 啓助
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.568-573, 1995-11-05 (Released:2009-10-22)
参考文献数
15
被引用文献数
4 5

福島県会津地方の温暖積雪流域において,3水年にわたり渓流水質を継続的に調査した.降水量の極大は夏季に観測されるが,流出高は融雪期に最大となる.融雪時には,渓流水中のHCO3-濃度が減少し,Cl-, NO3-, SO42-濃度は増加する.そのために,渓流水のpHが一時的に低下する.暖候季の洪水時にも一時的に渓流水のpH低下が観測されるが,融雪期には比較的長い期間pH低下が持続する.夏季の渓流水中では,陰イオンでHCO3-が優先するが,融雪時にはHCO3-の比率が低下し,Cl-+NO3-+SO42-の割合が多くなる.
著者
水間 恵 岡村 俊宏 鈴木 英作 須田 義人 平山 琢二 小川 智子 鈴木 啓一
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.51-57, 2013-02-25 (Released:2013-08-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

海藻と海苔の飼料添加給与がブタの免疫能に及ぼす影響を検討した.試験1では,体重20 kgのランドレース種去勢雄20頭を半数ずつ対照区と試験区に分けて群飼し,試験区には海藻を0.8%添加した飼料を給与した.試験開始時(0日),羊赤血球(SRBC)の一次(21日)と二次接種時(28日),その翌日(29日),さらにその一週間後(35日)に採血と唾液を採取し,免疫能を測定した. SRBC二次接種の翌日,食細胞活性は両区とも低下したが海藻区が有意に高かった(P<0.05).SRBC二次接種後,唾液中IgA濃度は海藻区が対照区と比べ有意に高い値(P<0.01)を示し,SRBC特異的IgG濃度も海藻区の値が高かったが有意差は認められなかった.試験2では肥育後期のブタに海苔を2.0%飼料添加し,各免疫形質について対照区と比較したが,いずれの免疫形質についても海苔添加の有意な効果は認められなかった.
著者
鈴木 啓助 渡辺 泰徳
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.295-301, 1996-07-15 (Released:2010-02-05)
参考文献数
9

林冠環境の異なる3地点(コナラ林,アカマツ林,林外)において,積雪中の化学物質濃度および生物量の変化を調べた.積雪中の陰イオン濃度は,アカマツ林内でコナラ林内および林外よりも高くなっている.各地点とも積雪中のCl-,NO3-,SO42-濃度は,融雪の進行によって低下する.しかしながら,積雪中のPO43-濃度は,いずれの地点でも融雪最盛期に増加する.その濃度が,アカマツ林内とコナラ林内で林外よりも高いことから,積雪中のPO43-は有機物の二次生成物と考えられる.顕微鏡観察によると,林内の積雪中には細菌・カビ・藻類の存在が認められるが,積雪初期には低密度で,融雪最盛期に増加する.積雪中のクロロフィルaとフェオフィチンaの濃度は,アカマツ林内においてコナラ林,林外よりも高い.また,アカマツ林内およびコナラ林内のクロロフィルa濃度は,融雪最盛期に増加し,藻類が増加することを示している.積雪中のバクテリア数は,アカマツ林内>コナラ林内>林外の順であり,融雪最盛期に多くなる.積雪融解試料による培養実験の結果,アカマツ林内の試料を明所に置いた場合のみ,NO3-濃度が減少し,25日目以降NO3-が検出されない.積雪融解試料に緑藻を添加した培養実験では,アカマツ林内の試料で,2週間でクロロフィルaとして14.7μg/lの緑藻が増加した.この結果から窒素の消費量を見積もると,藻類の増加によって積雪中からNとして220μg/lが消費されたことになる.
著者
鈴木 啓司
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 人文・自然科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; HUMANITIES and NATURAL SCIENCES (ISSN:03850056)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.23-41, 2018-01-31

「モノそのもの」であることを表現する言語の構築を目指す新物質主義の思想にのっとり,数学概念のモノ化を目指す。数学は特定の指示対象をもたぬ極めて抽象的な言語であるだけに,逆に人間という「モノそのもの」の内奥から湧き出,それを映し出している言語であると考えるからだ。具体的な対象として,実数,虚数を合わせすべての数を表示する複素平面を取りあげる。認識論的存在論から話を起こし,実数を自己に,虚数を他者になぞらえて解釈する。当初は「あちら」と「こちら」という原始的世界他者意識が,のちに両者が交叉し,中間に「自己」意識を結ぶ。自己とは他者=世界の後付けで生まれたものである。通念とは逆行するこの虚数から実数へという流れを,複素平面のなかに読み込む。こうした観点から,オイラーの公式,さらにはリーマン予想にまで言及する。
著者
鬼頭 和子 鈴木 啓子 平上 久美子
出版者
名桜大学総合研究所
巻号頁・発行日
no.24, pp.1-12,

本研究は,2013年に足浴・フットマッサージの介入を行った,民間の精神病院に入院する6人の残遺型統合失調症患者が,6ヶ月を経過した時点においても,精神症状,精神症状による生活の質が維持されているのかを検討することが目的である。精神症状の評価はPositive and Negative Syndrome Scaleを用い,精神症状による生活上の支障の評価はQuality life Scaleを用い,足浴・フットマッサージ終了後と6ヶ月経過した時点の得点の差を比較した。また,足浴・フットマッサージを受けた患者の経験について質的記述的に検討した。その結果,Positive and Negative Syndrome Scale では,陽性症状尺度,陰性症状尺度,総合精神病理尺度のそれぞれの得点で有意差はなく精神症状は足浴・フットマッサージの終了後においても維持していた。また,足浴・フットマッサージ終了後に改善したQuality life Scale合計得点は有意に上昇し,足浴・フットマッサージ終了6か月後も維持されていた。足浴・フットマッサージを受けた患者の経験については,足浴・フットマッサージを受けたい思い,前向きな気持ちになり自信がでた,など6カテゴリーが得られた。足浴・フットマッサージ終了6か月後の変化については,社会に興味や関心がある,自分の事は自分でしたいなどカテゴリーが得られたことから,自閉的な生活に戻ることはなかった。以上より,足浴・フットマッサージ終了6か月後においても,足浴・フットマッサージの介入効果は持続していることが示唆された。\nSix patients with residual schizophrenia who were hospitalized at a private hospital were intervened in by foot bath and foot massage in 2013. The purpose of this research was to examine whether or not these patients maintained their psychological symptoms and quality of life even six months after the completion of foot bath and foot massage. The scores of psychological symptoms were measured using positive and negative syndrome scales (the positive syndrome scale, the negative syndrome scale and the general psychopathology scale) and those of quality of life were measured using a quality of life scale at the completion of foot bath and foot massage and then again six months after the completion of foot bath and foot massage, and differences between the scores were compared. The experiences and later lives of the patients were qualitatively and descriptively discussed. As a result, there was no significant difference between the scores of psychological symptoms measured at the time of the completion of foot bath and foot massage and six months after the completion. The scores were also maintained after the completion of foot bath and foot massage. There was significant improvement between total scores of quality of life measured at\nthe time of the completion of foot bath and foot massage and six months after the completion. As for the actual experience of foot bath and foot massage received by patients, six categories were obtained including: “want to receive foot bath and foot massage” and “have a positive emotion.” As for the changes in the lives of patients six month after the completion of foot bath and foot massage, were obtained including “have interest in and attention to society” and “take care of myself by myself,” so that nobody returned to autistic life. As above, it was suggested that the\neffects of intervention by foot bath and foot massage were maintained even six months after the completion of foot bath and foot massage.
著者
鈴木 啓子 平上 久美子 鬼頭 和子
出版者
名桜大学総合研究所
巻号頁・発行日
no.23, pp.53-62,

本研究の目的は,統合失調症患者を対象としハンドマッサージを行い,主観的指標および客観的指標を用いてリラクセーション効果を明らかにすることである。対象者は,民間の精神科病院に長期入院をしている10名の統合失調症患者である。毎回のハンドマッサージ実施前後の脈拍,血圧,「心地よさ」の自己評価点について検討した。又,全ハンドマッサージの介入前後において総合評価尺度を用いて検討した。マッサージ中の対象者の言動については質的に検討した。その結果,リラクセーションの自己評価点については全対象者で有意に得点の上昇が確認され,脈拍については7名,血圧については5名で有意に低下していた。全対象者において,ハンドマッサージが心地よさをもたらす反応がみられ,また,対象者自らが自分の困りごとについて自発的に語りだす等の変化があり,看護師(研究者)と対象者の関係がより良いものになった。以上より,ハンドマッサージは統合失調症患者に効果があることが示唆された。