著者
阿部 健太 佐々木 正巳 鈴木 勝裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.605, pp.29-36, 2002-01-17

本論文では、SARデータの位相情報を利用して積雪の深さと密度(比誘電率)を推定する2つの方法を提案している。一つは、オフナディア角を可変することができるSARを用いる方法である。この方法では、同一軌道からの観測により得られる位相情報と、異なる軌道からの観測により得られる位相情報を利用する。そこで、そのSARデータの位相情報のみから積雪の深さと密度の値を推定するアルゴリズムについて、理論的な検討を行っている。もう一つは、異なる周波数で観測する二つのSARを用いて、積雪がある時期と無い時期に同一軌道から観測して得た二つのSARデータを干渉させたときに得られる干渉縞から、積雪深の変化量と比誘電率を推定する方法である。その方法についても理論的な検討を行っている。理論的な解析の結果、積雪の深さと密度を推定する上でオフナディア角を可変できるSARの利用は有効であることを示した。また、異なる周波数のSARを用いることで、積雪深の変化量と比誘電率を推定できることを示した。
著者
阿部 敏彦 小林 隆夫 今井 聖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1771-1781, 1996-11-25
参考文献数
18
被引用文献数
27

本論文では,音声信号の瞬時周波数(IF)に基づき,雑音環境下においてロバスト性の高いピッチ推定を行う一手法を提案する.音声信号のピッチ推定において重要な要素は周期的成分であり,特に雑音が加えられている場合に,非周期的成分の存在はピッチ推定に悪影響をもたらす.まず,瞬時周波数に関する振幅スペクトルを定義し,そこでは周期的成分と非周期的成分の分布には明らかな違いがあることを示し,瞬時周波数の局所的分布(モーメント)に基づき音声信号の非周期的成分を抑圧する手法を提案する.次に,瞬時周波数に関する振幅スペクトルからピッチを求めるための評価関数を提案し,それに基づきDP(dynamic programming)を用いて連続的なピッチを求める手法を提案する.
著者
阿部 信之 橋本 良二
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.632-638, 2005-05-31
被引用文献数
2 3

上層木を強くすかした林地にコナラ果実を播き付け, 落葉被覆が実生の発生と成長に及ぼす影響を調べた。また, 圃場で, 落葉被覆が地表下3cmの土壌の温度とpF値に及ぼす影響を調べた。落葉被覆の影響は, 土壌のpF値に対して顕著であった。被覆量200gm^<-2>以下では土壌乾燥は急速に進んだ。一方, 400gm^<-2>以上では土壌乾燥は大きく抑制された。実生の発生率は, 被覆量90gm^<-2>では5%であったが, 被覆量180gm^<-2>および360gm^<-2>ではともに40%を示した。1成長期を経た実生重は, 被覆量によって異なり, 360gm^<-2>では180gm^<-2>に比べ20%近く大きかった。実生重については, 果実重や実生発生時期のほかに, シュート伸長様式が関与しており, 落葉被覆は実生発生時期と二次伸長の促進にかかわっていた。厚い落葉被覆は, 実生発生時期を遅らせるが, 二次伸長を促進した。厚い落葉被覆がもたらす土壌の湿潤性が, 二次伸長の促進を通して, 実生の成長量を増加させると考えた。
著者
阿部 耕也
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.151-165, 1986-10-15

This paper attempts to investigate caller-counsellor (child-adult) interaction focusing on typification. By means of discourse analysis, councellor's typification of children is dealt with as social interaction. We believe that this typification process can be considered to be an important function of socialization. The form of typification in conversational data was analysed by following procedures. (1) The counsellor tipifies the caller by selecting a certain categorization device out of many possible devices applicable to the caller. We can formulate "adequacy" of this typification in caller-counsellor interaction from the viewpoint of Sacks's "categorization problem". In terms of this standard of "adequacy", counsellor's typification acts were examined in reference to all possible categorization devices. (2) It was analyzed in counselling process how the counsellor used those typification devices for redefinition of caller's situations and for producing prescriptions. As a result, we find (1) typification has a tendency to convergence into certain devices, especially the "school year" device which is seemed to have a "previlege" in counsellor's selection, and (2) typification of caller is managed by counsellor all the way through counselling process. These findings suggest that "telephone counselling" as a socialization process has a function as "circuit to school (education)".
著者
阿部 信之 橋本 良二
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.484-491, 2008-02-29

播種時におけるコナラ種子の乾燥が,芽生えの発達経過や成長量にどのように影響するかを調べた。播種から出芽までの期間は,無乾燥に比べ弱度の乾燥でむしろ短くなり,さらに乾燥日数が増すと長くなった。播種から出芽までの期間の長い芽生えでは上胚軸伸長期間や展葉期間は短くなった。しかし,播種から展葉終了までの全期間は,播種から出芽までの期間に依存していた。種子乾燥にともなう播種から出芽までの期間の増大は,種子の脱水率の増大で説明されなかった。種子乾燥がもたらす芽生えの成長量の低下については,播種から出芽までの期間の長期化と脱水率の増大がそれぞれ関係していた。乾燥にともなう不出芽種子の出現状況を考えあわせ,播種に際しては,乾燥日数で5日間,脱水率では10%に至らない取り扱いが,一応の目安になると判断した。
著者
阿部 隆明
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.987-993, 2009-09-01

うつ病の発症,症状形成には,病前性格や環境,ライフステージが関与している.うつ病者の人格は,伏在する気分変動性と対象希求性をベースに発展する.重要人物への依存性を断念して社会規範に同一化すれぼ,壮年期以降に観察されるメランコリー親和型や執着性格に発展するし,依存性がそのまま満たされれば青年期後期から出現する逃避型抑うつ者や未熟型うつ病者となる.うつ病像もこうした病前性格を反映するため,それに見合った精神療法も必要となる.10代後半から20代前半にかけてのうつ病症例では,生来の気分変動のブレが大きく,その上に形成される人格の統合水準もより低いため,人格と気分変動の境目がはっきりしないことがある.その中には軽躁的因子を備え行動化しやすいBPD様双極II型(阿部)や,躁的要素や行動化に乏しく回避的な傾向の強いディスチミァ親和型(樽味)が含まれる.前者では気分安定薬の処方,後者では患者の生き方を再構築する援助がポイントとなる.
著者
鐙谷 武雄 上山 博康 村田 純一 布村 充 蝶野 吉美 小林 延光 阿部 弘 斉藤 久寿 宮坂 和男 阿部 悟
出版者
日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.1195-1200, 1987-12-15
被引用文献数
6 12

A case of dural arteriovenous malformation (AVM) in the anterior cranial fossa is reported. A 61-year-old male was hospitalized because of sudden onset of severe headache, vomiting, mild hemiparesis, and lethargy. Computerized tomography disclosed left frontal subcortical and fronto-temporal subdural hematomas. Angiography revealed an AVM in the anterior cranial fossa, fed by the bilateral anterior ethmoidal arteries and drained by the left olfactory and left fronto-orbital veins. The latter veins had large, varicose dilatations and drained to the basal vein of Rosenthal. Two weeks after artificial embolization, surgical evacuation of the hematoma and removal of anomalous vessels, including a varicose dilated vein, were carried out. The involved dura at the olfactory groove was coagulated rather than totally removed. According to literature, the dural AVM in this region is fed primarily by the anterior ethmoidal artery and drains via the leptomeningeal veins into the superior sagittal sinus. Varicose dilatation of a draining vessel is considered a characteristic angiographical finding. The high incidence of bleeding from dural AVMs in this region is related to the varicose dilatation. The drainage capacity of the elongated leptomeningeal veins is insufficient, and the high arterial pressure in the AVM leads to the development of varicose dilatation and intracranial hemorrhage.
著者
阿部 洋子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.A101-A122, 2007-03-15

日本人の通学制女子大学生209名の中から、社会的望ましさの得点の高い者を除いた191名を対象に、道徳に関する行為について、その「善悪の程度」「当為性」「領域判断」「実行の程度」について質問紙を用いて、検討した。その結果、悪さについては、それほど悪くなく、しても構わない行為で、個人領域に属すると判断されたものは、自分自身を大切にしない行為、男女・性に関する行為であることが分かった。ところが、「悪さ」については、その行為が「道徳」領域に属する行為だとして判断されることによって、「しても構わない」が「悪い」と判断する傾向が認められ、悪いことは悪いという意識を保持できる傾向にあることが分かった。このことから、ある行為を「道徳」領域のものであると教えることが、様々な問題行動を抑止することに繋がるのではないかと考えられる。「善さ」については、道徳領域だと判断された行為は1つもなく、すべて社会的慣習あるいは個人領域に属する行為だと考えていることが分かった。これらは現代の若者が自律的になったということではなく、むしろ気分や好き嫌いによって様々な行動を決定する傾向があると考えられる。挨拶や敬語を使用することができるようになることが躾でないことは分かっている。それでは何を根幹として道徳心向上のための教育をすればよいかということになるが、「悪さ」については「いじめ、虐待」「大量消費を美徳する」などは、むしろ大人社会が喪失している問題であり、若者社会の中では「すべきでない道徳に属する行為」だと考えられていることが分かった。一方、「善さ」については、それほど善くなくて、するべきだと感じている者が少ない行為で、個人領域に属する行為は、家族との関係、祖先崇拝、神仏崇拝、などであることが分かった。こうした行為が減少したことは、日本が封建的で、軍国主義的な国家から脱却できた証だと考えることもできるが、他方、対人関係の基礎を成す、家族内の対人関係を希薄化させることになったと考えることもできる。今後、詳細な検討をする必要があると考える。
著者
阿部輝夫
雑誌
日性科学会誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.10-23, 1991
被引用文献数
1