著者
藤井 洋子 井出 祥子 阿部 圭子 片岡 邦好 片桐 恭弘 堀江 薫 植野 貴志子 菅原 和孝 石崎 雅人
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

この3年間の研究成果は、(1)2009年3月、2011年2月の東京国際ワークショップにて、「場の理論」についての理解を深められたこと、(2)アラビア語のデータ収集とその分析をしたこと、(3)国際語用論学会にて、日本語と英語とアラビア語の比較研究を発表したこと、(4)2009年にJournal of Pragmaticsの『解放的語用論』特集号第一号を発行できたことなどが主な成果といえる。
著者
茂木 一司 福本 謹一 上田 信行 苅宿 俊文 刑部 育子 阿部 寿文 下原 美保 佐藤 優香 宮田 義郎 熊倉 敬聡
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

異文化理解・多文化共生の可能性を探る身体・メディア活用型プロジェクトの主要な成果は、(1)日本文化(美術)、身体を基礎にしたアート(学習)、障害児(者)のアート(学習)、プログラミング(cricket, scratch)による創造学習、などのワークショップの開発・実践・評価、(2)カフェ的な空間=オールナタティブスペースの創出と学びの検討、(3)ワークショップにおけるファシリテータ養成プログラムの開発とNPOの教育力の活用、の3点である。(1)では、異文化や多文化を単なる外国文化との交流だけでなく、障害のあるなしも含めた広い概念で捉え直し、日本文化(美術)を基盤にした(ワークショップ型学習には不可欠な)身体性を中心に据えたワークショップ(型学習)の開発・実践・評価を行い、それが表現性や協同性という特色によって、学びを創造的にし、(学校教育を含めた)現代の閉塞的な教育状況において非常に有効であることが実証できた。(2)(3)では、新しい学びの空間(学習環境のデザイン)をカフェという「ゆるやかにつどい語らう場」での学びがやはり現代教育にとって有効であることやワークショップという学びを支えるファシリテータに必要な資質の検討や育成のプログラムを作成した。
著者
阿部 照男 横川 伸 〓 仁平 針生 清人 飯塚 勝重 続 三義 今東 博文 羅 歓鎮
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

2003年から3カ年間取り組んだ「中国『西部大開発』と地域社会の変容」という研究プロジェクトで、現代中国社会が抱える枢要な問題は貧富の格差とくに貧困対策であることが明らかになった。それを受けて2006年から本研究プロジェクト「中国内陸部における貧困対策に関する研究-「移民新村」政策を中心にして-」が開始された。陝西省延安市農村部における現地調査(2006-07年)、西北大学陝西経済発展研究センター委託による農家個別訪問アンケート調査(2006-07年)、甘粛省農村部現地調査(2007年)、山西省農村部現地調査(2008年)、内モンゴル自治区赤峰市農村部現地調査(2009年)、2度にわたる日中国際シンポジウム(2008年延安市、2009年東洋大学)などの研究成果として明らかになったのは、中国社会にとって単なる貧困対策を中心とする段階は終わり、今後特に求められているのは、農村全体の底上げ、農民の生活改善、農業の構造改革ということである。それを象徴するのが「新農村建設」というキーワードである。
著者
上島 享 阿部 泰郎 伊藤 聡 石塚 晴通 大槻 信 武内 孝善 阿部 泰郎 伊藤 聡 石塚 晴通 大槻 信 末柄 豊 武内 孝善 近本 謙介 苫米地 誠一 藤原 重雄
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、諸分野の研究者が共同で勧修寺に現存する聖教・文書の調査を進めるとともに、勧修寺を中心に諸寺院間交流という共通テーマを掲げて、研究を行うことが目的である。勧修寺現蔵の聖教と中世文書の目録を完成させ、諸寺院間交流をめぐる諸論考をまとめることができ、本研究の目的は十分に達成されたと考える。
著者
阿部 泰記
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

2年間にわたって継続的に行ってきた漢川善書に関する調査をまとめ、漢川善書が地方の演芸として無形文化財に指定されるまでに成長した要件を分析するとともに、国内外の図書館において文献を収集して聖諭宣講の歴史的発展を明らかにした。この過程で歌唱による教化が現代に至るまで各地で行われてきたこと、台湾においても現在無形文化財として唸歌による民衆教育が行われていることも明らかにした。
著者
阿部 康二
出版者
岡山大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、今日までその原因が充分には明らかにされていない進行性難治性筋疾患ある。ALS発症者の5-10%は遺伝性で(FALS)、1993年には細胞質内の活性酸素消去機構であるCu/ZnSOD(superoxide dismutase)遺伝子に点突然変異が見い出されてきて、これが一部のFALSの原因遺伝子であることが強く推定されるに至った。すでに以前の研究により日本人の家系を用いた予備的な研究によって2家系のCu/ZnSOD遺伝子に、症状の進行が極めて遅いなどの際立った臨床的特徴を持った新しい遺伝子変異(点突然変異)を見い出して報告している(H46R変異)。さらに本年度の研究により、もう5家系においても、白人家系にはまだ報告のないCu/ZnSOD遺伝子の5つの異なった異常を見い出した。異なった遺伝子変異は、それぞれに特徴的な臨床所見を示しており遺伝子変異と臨床的特徴の関連が注目される。さらにCu/ZnSOD遺伝子変異による蛋白チロシン残基のニトロ化が運動ニューロン死のメカニズムに深く関与していることを明らかにし、変異SOD導入マウスにおいて筋肉に大腸菌LacZ遺伝子を発現させることに成功したことは、本病の原因解明と治療法確立の足掛りとなり、本年度の当初目的は達成できたものと考えられる。
著者
阿部 望
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 教養学部 (ISSN:03892018)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.23-58, 2003-03-30

The EU Summit held in June 2001, which is called the Gothenburg European Council, adopted the Sustainable Development Strategy (SDS) for the European Union. This Strategy, which is considered as a core factor of the EU policy as a whole, strongly requests the policy integration, which means that each sector policy should include the environmental, social and economic considerations into its contents. In this sense, the SDS provides a very comprehensive policy and shows a future direction of the EU policy making. Obviously the SDS is not an idea which was suddenly hit on by European politicians but has been gradually prepared and implemented in the EU. This paper examines the historical development of the SDS in the EU and clarifies what the SDS truly implies. Furthermore, it tries to assess how much the SDS and policy integration have been realised as was initially expected since the beginning of 1990. The findings and conclusions of this paper are as follows: First, the development of the SDS in the EU has not been straight nor linear but proceeded along a long and winding road. Nevertheless the EU has been and seems very confident in setting the SDS at a core part of its policy making. Secondly, the SDS does not seem well structured to be consistently implemented through all relevant EU formations, sector Directorates-General in particular. Perhaps the SDS should be structured to conform to the Structural Indicators in the EU. Finally, it is not so clear whether the SDS has well functioned so far as was expected. It may be safe to conclude that the assessment of the implementation of the SDS is modest at the most judging from various points of view. Nevertheless it is so important to keep the SDS at a core part of the EU policy making since it will provide a consistent system of policy measures in the EU.
著者
阿部 誠文
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.29-43, 1997-09

旧ソ連抑留俳句のうち、欧露に抑留された高木一郎と桜井江夢の秀句・佳句を選び、解釈・鑑賞を交えながら分析し、俘虜の生活と心情を明らかにした。俘虜という絶望的な状況にありながら、祖国・故郷に帰るということに一縷の望みを託し、故郷を思いながら、それを心の支えとして前向きに生きたのであった。「誰か故郷を」という題も、そうした俘虜の心情を代弁したものである。まだ、俳句史のなかで位置づけられていない俘虜の俳句の、その文学的再検討をうながしたい。
著者
阿部 彩子 田近 英一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

地球上には長い目でみれば生命が存在するような温暖な環境が保たれてきた。ところが、原生代前期と原生代後期において、低緯度の陸が氷で覆われるほどの氷河期が出現したこと、その後急激な温暖化で気候が回復したことなどが最近明らかになった。このような地球規模の大寒冷化では全球凍結状態が実現したのではないかと考えられ、スノーボールアース仮説とよばれている。本研究では、大循環モデルと炭素循環モデルを用いて、地球の過去に見られるような全球規模の凍結や融解がどのような条件で起こりうるものなのかを数値実験によって明らかにすることを大目標としている。本研究では、まず、大循環モデルによる全球凍結の臨界条件決定のための数値実験を数多く行ない、全球凍結に至る気候遷移過程や全球凍結から脱する遷移過程などを調べた。大循環モデル(東京大学気候システム研究センター/環境研にて開発)を用いて、気候感度をしらべるためのエネルギーバランスモデルと同様の系統的実験を行った。季節変化のある場合とない場合、現実のように大陸配置がある場合をまったくなくてすべて海の場合のような異なるケースに対して、異なる太陽定数を設定した実験を、系統的に実行した。結果は、全球凍結に陥る条件については、季節変化の有無に敏感であることがわかった。また、大循環モデルの結果は、地球が部分凍結している条件の範囲がエネルギーバランスモデルで求めたものよりずっと広く、これはハドレー循環や中緯度擾乱など大気輸送メカニズムを考慮したことによることがわかった。海洋熱輸送の変化の寄与を考えずに大気熱輸送の寄与のみを考える限りにおいては、大陸配置はほとんど臨界条件に影響を与えないことがわかった。さらに、大陸配置依存性は、少なくとも降水や蒸発に関わる大気水循環を通じて、炭素循環や氷床形成条件に影響を与えることなどが示唆された。今後この結論は海洋循環や海氷力学の扱いによって変更される可能性があることが、予備的に現在開発中の大気海洋海氷結合モデルの示す南北半球の違いから示唆された。また氷床の力学が臨界条件を変更することが予想される。今後は、大循環モデルの結果を氷床モデルや炭素循環システムのモデルに与えて数値実験を行なうこと、さらに海洋および海氷の効果と氷床力学の効果について検討してゆくこと、など課題は多く残されている
著者
松永 泰義 山森 一人 阿部 亨 堀口 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.674, pp.111-116, 2000-03-09

マルチメディア通信は大きな帯域幅を必要とするため, 限られた帯域を効率よく利用するための帯域制御方式の研究が現在盛んに行われている.我々は, WFQ(Weighted Fair Queuing)法に帯域要求量の最大値と最小値を用いたWFQMM(WFQ with the Maximum and Minimum bandwidth)法による公平な帯域割り当て法を提案した.本稿では, 待ち行列のM / M / sモデルを用いたシミュレーションを行い, WFQMM法の性能について議論した.その結果, 帯域制御を行わない場合に比べて安定した満足度が得られ, 帯域予約開始までの待ち時間を削減できた.また, 詳細なパケット通信シミュレーションにより, WFQMM法を用いて予約を行ったストリームは, 帯域制御を行わずに帯域予約を行った場合に比較してパケットの遅延を小さくすることができた.
著者
松永 泰義 山森 一人 阿部 享 堀口 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.676, pp.111-116, 2000-03-09

マルチメディア通信は大きな帯域幅を必要とするため, 限られた帯域を効率よく利用するための帯域制御方式の研究が現在盛んに行われている.我々は, WFQ(Weighted Fair Queuing)法に帯域要求量の最大値と最小値を用いたWFQMM(WFQ with the Maximum and Minimum bandwidth)法による公平な帯域割り当て法を提案した.本稿では、待ち行列のM / M / sモデルを用いたシミュレーションを行い, WFQMM法の性能について議論した.その結果, 帯域制御を行わない場合に比べて安定した満足度が得られ, 帯域予約開始までの待ち時間を削減できた.また, 詳細なパケット通信シミュレーションにより, WFQMM法を用いて予約を行ったストリームは, 帯域制御を行わずに帯域予約を行った場合に比較してパケットの遅延を小さくすることができた.
著者
高木 英至 野村 竜也 杉浦 淳吉 林 直保子 佐藤 敬三 阿部 年晴
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究課題の成果は大別して次の4つのカテゴリーに分けることが出来る。第1は、本研究課題で用いた手法、特に計算機シミュレーションの社会科学における位置づけに関する、方法論的ないし哲学的な位置づけである。従来の例を整理しながら、計算機シミュレーションは数理モデルほど厳密ではないものの、柔軟で適用範囲の多い方法であること、特に進化型のシミュレーションに可能性が大きいことを見出した。第2は単純推論型の計算機シミュレーションの結果である。この部類の成果は主に、エージェント世界でのエージェントの分化を扱った。野村は、ハイダー流のPOXシステムのメカニズムを仮定したとき、一定の確率で2極分化した集団構造を得ることを、解析ならびにシミュレーションによる分析で見出している。高木は、限界質量モデルを距離を定義した空間に展開することで、より一般的なモデルを提起している。そのモデルから、エージェント間の影響力の範囲が近隣に限定されるとき、エージェントのクラスタ化や極性化が生じることを見出した。第3は進化型の計算機シミュレーションの成果である。エージェントの戦略が進化するという前提での計算結果を検討し、社会的交換ではエージェントの同類づきあいによって一定の「文化」が生じ得ること、さらに協力のために信頼に基づく協力支持のメカニズム、安心請負人による協力支持のメカニズムが生じ得ることを見出した。第4はゲーミング/シミュレーションの手法に基づく成果である。林らは、人間被験者を用いたシミュレーションにより、地域通貨という公共財が普及するための条件を、ある条件のもとで特定している。杉浦はCross Roadというゲーミングを被験者に行わせることを通して、集団レヴェルの特性が出現する過程の記述に成功した。
著者
藤井 良知 阿部 敏明 田島 剛 寺嶋 周 目黒 英典 森 淳夫 佐藤 肇 新納 憲司 砂川 慶介 横田 隆夫 秋田 博伸 岩田 敏 佐藤 吉壮 豊永 義清 石原 俊秀 佐野 友昭 中村 弘典 岩井 直一 中村 はるひ 宮津 光伸 渡辺 祐美 久野 邦義 神谷 齊 北村 賢司 庵原 俊昭 桜井 實 東 英一 伊藤 正寛 三河 春樹 久保田 優 百井 亨 細井 進 中戸 秀和 西村 忠史 杉田 久美子 青木 繁幸 高木 道生 小林 陽之助 東野 博彦 木野 稔 小林 裕 春田 恒和 黒木 茂一 大倉 完悦 岡田 隆滋 古川 正強 黒田 泰弘 武田 英二 伊藤 道徳 松田 博 石川 純一 貴田 嘉一 村瀬 光春 倉繁 隆信 森田 秀雄 森澤 豊 浜田 文彦 辻 芳郎 横尾 哲也 林 克敏 冨増 邦夫 木戸 利彦 上原 豊 森 淳子 森 剛一 内田 哲也 大塚 祐一 本廣 孝 半田 祥一 山田 秀二 沖 眞一郎 吉永 陽一郎 荒巻 雅史 織田 慶子 阪田 保隆 加藤 裕久 山下 文雄 今井 昌一 鈴木 和重 岡林 小由理 金子 真也 市川 光太郎 曽田 浩子 清水 透子 長田 陽一 木葉 万里江 石橋 紳作 高橋 耕一 杉山 安見児 三宅 巧 荒木 久昭 垣迫 三夫 前野 泰樹 下飛田 毅 高岸 智也 松隈 義則 平田 知滋 田中 信夫 永山 清高 安岡 盟 林 真夫 天本 正乃 津村 直幹 小野 栄一郎 神薗 慎太郎 中嶋 英輔 永光 信一郎 野正 貴予 松尾 勇作 樋口 恵美 長井 健祐 末吉 圭子 橋本 信男 弓削 健 久保田 薫 川上 晃 渡辺 順子 藤澤 卓爾 西山 亨 岩永 理香子 牛島 高介 山川 良一 山村 純一 富永 薫 臺 俊一 安藤 寛 久田 直樹 藤本 保 元山 浩貴 丸岡 隆之 伊達 是志 杉村 徹 西依 淳 朝木野 由紀 山田 克彦 是松 聖悟 早川 広史 佐々木 宏和 木村 光一 山田 孝
雑誌
The Japanese journal of antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.921-941, 1995-07-01
被引用文献数
19
著者
塩村 耕 高橋 亨 阿部 泰郎 榊原 千鶴
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本で最重要の文化資産は古典籍であるが、どのような内容の書物が存在するのか、把握し難い状況にある。そこで、記述的な書誌DBを提唱し、そのモデルケースとして、古典籍の宝庫として知られる西尾市岩瀬文庫について悉皆調査とDB作成を行い、2010年11月に公開を開始することが出来た。最大かつ最も詳細な書誌DBで、これにより資料間にある先人未知の連関が判明し、将来にわたり、文庫の活用につながるものと期待される。
著者
五十嵐 辰男 村上 信乃 富岡 進 阿部 功一 井坂 茂夫 岡野 達弛 島崎 淳松 嵜 理
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.1310-1315, 1989-09-20
被引用文献数
7 1

1978年1月より,1988年7月までに,千葉大学および旭中央病院泌尿器科で腎摘除術を施行した151例を集計した.偶然に発見された腎癌(「偶然発見癌」)は41例であり,受診動機としては他疾患治療中が28例,人間ドックが10例,集団検診3例であった.このうち,34例(82.9%)が超音波断層法で,4例がCTスキャンで,3例が排泄性腎盂造影で最初に発見された.「偶然発見癌」の腎癌全体に占める割合は,年次を経るにつれて有意に増加した(p<0.001).初診時または発見時,顕微鏡的血尿を認めたのは8例(19.5%)に過ぎず,スクリーニングとして検尿のみでは不十分で,超音波断層法も必要であると思われた.なんらかの症候を有する「症候癌」は102例,転移巣が最初に診断される「オカルト癌」は8例であった.「偶然発見癌」はこれらに比し有意にlow stage(p<0,001),low grade(p<0.001)であった.さらに,pT1〜2b,または長径10cm以下の症例において「偶然発見癌」の生存率は「症候癌」より良好であり(p<0.05),このような症例では腫瘍の早期発見による治療効果があったと思われた.
著者
阿部 新助
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、惑星間空間から地球へもたらさせる彗星・小惑星起源物質(流星ダスト)から、組成と軌道およびその進化を明らかにすること、流星の超高層大気での発光素過程を調べることである。平成18年度に開発を行った超高感度紫外分光TVカメラと汎用小型TVカメラを用い、平成19年度は、幾つかの観測を施行した。汎用小型TVカメラ一式は、京都大学生存圏研究所・MU 信楽観測所内に設置を行い、リモート観測を継続的に行った。関連成果として、Earth-grazing fireball(地球大気突入後、宇宙へ戻った隕石火球)の観測に成功し、近地球型アポロタイプ小惑星軌道であることなどを突き止めた(研究成果欄参照)。同型の小惑星である小惑星イトカワの探査データを用い、イトカワの平均密度、空隙率、組成や重力場の導出行い、申請者が筆頭あるいは主導的役割を担った論文は、Science, Nature他に掲載された。また、超高感度CCD-TV紫外分光観測システムを用い、2007年9月に長周期彗星起源流星の分光観測をハワイで行ったが、悪天候に阻まれた。同システムを用い、2007年10月オリオン座流星群、12月ふたご座流星群の分光観測に成功した。また、EMCCDカメラ(五藤光学研究所)を使い、流星体の月面衝突閃光を世界で始めてカラーで捉えることに成功した。これらのデータの一部は、論文や学会を通して発表を行った。また、彗星・小惑星と流星の関連について、「Meteoroids and Meteors - observations and connection to parent bodies(S. Abe), in Small Bodies in Planetary Systems(Eds. Ingrid Mann, Akiko Makamura, Tadashi Mukai, Springer-Verlag)」に大学院生向けの教科書としてまとめた。