著者
阿部 豊 阿部 彩子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1.南北一次元エネルギーバランスモデル(EBM)を用いた検討:拡散近似の南北一次元エネルギーバランスモデルを構築し、離心率と自転軸傾斜の影響を吟味した(1)気候レジームは年平均日射、最大日射、最小日射に複雑に依存まる。(2)離心率の増大で年平均日射が大きくなるため概して温暖化する。(3)一般に離心率の増大によって気候の多重状態は解消する。(4)近日点での一時的な暴走状態の発生が、平均的な気候状態や生物生存可能性に大きな影響を与える。(5)自転軸傾斜角、離心率、軌道長半径は一定のままでも、歳差運動(春分点と近日点の位置関係の変化)によって気候モードが変化する惑星が存在する。(6)年間の温度変化幅は傾斜角の大小と歳差運動によって大きく変わる2.大気大循環モデル(GCM)を用いた検討:地球大気用に気候システム研究センターと国立環境科学研究所で共同開発してきたCCSR/NIES AGCM 5.4gを使用して、理想的な惑星(現在の地球大気、地球サイズ)のモデルを作り、離心率を変化させる実験をすすめた。(1)定性的にはEBMを用いた結果と一致するが、やや寒冷化する傾向がある。(2)地面状態の違いによって、離心率が増大したときに暖かくなる場合と寒くなる場合がある。(3)降水分布の年変化は自転軸傾斜による直立・傾斜レジームと離心率による溜め込み・放出サイクルの合成されたものとして理解できる。3.生存可能性について:(1)熱容量が大きい場合、年平均日射が最も重要である。(2)歳差運動まで考慮すると、生存可能な緯度帯を持つ惑星の軌道は自転軸が少しでも傾くと離心率が小さい範囲に制限される
著者
大谷 真忠 石井 まこと 阿部 誠 幸 光善 本谷 るり
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、大分市内の企業にたいして人事・雇用管理に関するアンケート調査を実施し、雇用・人事管理の今日的特徴を分析するとともに、企業の人事担当者に人事管理の課題について聞き取りを行なった。また、地域の就業構造の特色と変化について統計的な分析を行なった。さらに地域の老舗企業の地域性についてアンケート調査にもとづいた分析を行なった。これらの研究を通じて、とくに雇用・人事管理の面で、次のような最近の特徴が明らかになった。対象企業のなかで職能資格制度があるのは約半数にすぎず、人事評価を定期的に行っている企業も3分の1にとどまる。人事評価で重視されている点は、「能力」がもっとも多く、「業績、成果」、「仕事の姿勢」がそれに続いている。評価結果は主に昇給・賃金の決定、ボーナスの査定に用いられている。最近の人事考課制度の変化として「処遇格差を大きくした」「業績・成果ウェートを上げた」「数量目標を活用」「評価結果を本人に説明」の4項目に集中している。採用管理の面では30歳以上の中途採用が拡大しているが、規模の大きな企業では新卒採用が中心であり、中途採用は補完的な役割にとどまる。他方、リストラの方法としては「パート・アルバイトや派遣社員の積極的活用」が3割ともっとも高い比率を示すほか、「人員削減」を行った企業も多い。100人以上規模の企業は全体的に事業再構築に積極的である。賃金では、賃金テーブルを用いない企業が半数以上を占める一方、一般職の定昇制度は56.4%の企業にある。賃金を決める要素としては、ほぼ半数の企業が「職務遂行能力」で、「仕事上の業績」は4分の1である。人事管理の課題としては「中核的人材・即戦力の採用」が半数を占め、重視されている。地域企業も、基本的には人事管理の全国的な傾向と同じ動きを示しているが、小規模企業を中心として体系的・制度的な整備が遅れているということができる。
著者
阿部 宏之 横尾 正樹
出版者
山形大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本研究では、電気化学的呼吸計測技術を応用した非侵襲的細胞間ネットワーク解析システム構築のための基盤技術開発を目的とした。酸素の還元電位を検出するマイクロ電極をプローブとする走査型電気化学顕微鏡(SECM)をベースに高精度の細胞呼吸計測システムを構築し、哺乳動物卵子を単一細胞のモデル系に活性が極めて低い単一細胞呼吸解析システムの開発を目指し、以下の研究成果が得られた。1. 高精度単一細胞呼吸計測システムの開発と性能評価 : 単一卵子の酸素消費量(呼吸)を安定して計測できるマイクロ電極を開発した。単一細胞呼吸計測のための専用計測液を作製し、高精度マイクロ電極を装備したSECMと測定液等の要素技術を統合した「高精度細胞呼吸計測システム」の開発に成功した。2. 呼吸計測の有効性検証 : 「高精度細胞呼吸計測システム」を用いて、マウス、ウシ、ブタ等の単一未成熟卵子の呼吸量計測に成功するとともに、卵子成熟過程における呼吸量変化の解析が可能となった。生物学的解析により、呼吸計測システムの有効性が示された。3. 細胞間ネットワーク解析システムの構築 : 卵子成熟過程において、卵丘膨化に伴う卵丘細胞-卵子間相互作用と呼吸活性との関係を解析した結果、卵丘膨化に伴い卵丘細胞と卵子の呼吸能が変化することが明らかになった。
著者
山内 辰郎 阿部 フミ子
出版者
福岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

キョウチクトウ(Nerium indicum Mill.)葉には強心配糖体が高濃度に含有されており、葉を食草とするキョウチクトウスズメガ(Daphnis nerii L,以下D.nerii)の幼虫は強心配糖体を摂取し蓄積する可能性があるにもかかわらず、体色は明らかに保護色を呈している。幼虫が強心配糖体をいかに処理しているかを知るために、葉、幼虫、および幼虫の糞(以下frass)について強心配糖体の比較検討を行った。葉、幼虫、frassの抽出エキスのHPLCによる比較を行い、さらに各々のエキスについて通常のカラムクロマトを行って含有強心配糖体の単離、同定を試みた。葉においては主配糖体であるoleandrin gentiobiosideをはじめ、odoroside A,adynerin,D^<16>-adynerinなどがgentiobiose基を結合したtriosideとして得られたが、monosideとしても比較的少量のoleandrin,adynerin,odoroside A,D^<16>-adynerinなどが得られた。葉におけるoleandrinとadynerinの比は明らかにoleandrinが主配糖体であることが確認された。これに対し、幼虫およびfrassでは配糖体はすべてgentiobiose基が加水分解を受けてmonosideに移行している。またoleandrinは16位アセチル基も鹸化されてdeacetyloleandrinに変化していることが、oleandrinの減少、deacetyloleandrinの増加から明らかになった。この結果、幼虫およびfrassエキスでは、主配糖体は非活性のadynerin,次いでdeacetyloleandrinでありoleandrinは少なく、とくに幼虫のエキスではHPLCにおいても非常に低いピークが観察されるのみであった。したがって、虫体内の強心配糖体は質的にも毒性の弱い構成と考えられ、幼虫にとって保護色は必要と推定された。Frassから得られたadynerinの収量は異常に高い値を示し、幼虫におけるadynerinは、キョウチクトウ葉の成分中もっとも高い濃度で虫体から検出されたursolic acidとともに、その虫体における意義についてさらに検討する必要がある。
著者
岩本 善行 澤田 東 阿部 大輝 澤田 康雄 大津 金光 吉永 努 馬場 敬信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1663-1671, 1998-06-15
被引用文献数
5

本稿では,並列処理の性能に大きな影響を与えるメッセージパッシング処理を高速化するための,2つの手法を提案する.第一に,従来のソフトウェアによるOSで行っていたものを,よりハードウェアに近いファームウェアによって実現する方法と,第二に,これから到着するメッセージをプロセッサのアイドル時に予測して投機的に先行実行する受信メッセージ予測の手法である.これらの効果を実験的に調べるため,A?NETマルチコンピュータに実装し評価を行った.その結果,受信処理のファームウェア化により,アプリケーションによって最高で約6.3倍の高速化が達成され,また受信メッセージの予測によるメッセージ転送の高速化法では,1回の予測あたり80.7マシンサイクルの先行実行を行えることが明らかになり,その有効性が確認できた.Message passing significantly affects the performance of parallel processing programs.This paper proposes two methodologies for high performance message passing.The first method implements the message receiving function using firm-ware instead of conventional OS software.The second method predicts message receptions when a processor is idle,and executes,speculatively,the message reception process.We implemented and evaluated these methodologies on the A-NET multicomputer.The experimental results show that the speedup ratio for the first method is about 6.3 times and second method can achieve savings of approximately 80.7 machine-cycles per one prediction.
著者
樫田 美雄 寺嶋 吉保 玉置 俊晃 藤崎 和彦 出口 寛文 宮崎 彩子 高山 智子 太田 能 真鍋 陸太郎 五十嵐 素子 北村 隆憲 阿部 智恵子 岡田 光弘
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ビデオエスノグラフィーという新しい研究手法を開発しつつ、実際的な分析にも成果をあげた。即ち、大学生が専門技能を学ぶ実践の状況を相互行為の観点から明らかにした。例えば、医学部PBLチュートリアルにおいて、レントゲン写真をみる'専門的'方法としての「離して見る」という技法が、教師から学ばれ、学生集団のなかで模倣的に獲得されていく状況が確認できた。教育を結果から評価するのではなく、プロセスとして分析していくことへの展望が得られた。ISCAR第2回サンジエゴ大会等で報告を行った。
著者
塩村 耕 高橋 亨 阿部 泰郎 榊原 千鶴
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

人間とは動物の中で唯一死の概念を有する「死を知る人(homo memor mori)」であり、そうであるがゆえに未来へ本を遺し、過去の本を読む「本の人(homo librarius)」でもある。したがって、書物は人類の遺した文化遺産の中で最重要のもので、我々は遺されたそれらの全体像を出来るだけ明らかにすべき責務がある。この研究計画の目的は、古典籍の宝庫として知られる西尾市岩瀬文庫の古典籍全1万8千点について、各書籍の書誌、成立、内容を詳細に書き込んだ、いまだかつて見られないような「記述的(descriptive)」な書誌DB(データベース)を完成・公開し、そのことを通して新たな時代の書誌目録のあり方を全国の所蔵機関や文庫に提案することにある。本研究計画に先立つ事前調査を含めて6年間の集中的調査を経て、現在1万1千点について調査入力が終了した。また、DB公開運用の先行モデルとして、並行して調査を進めてきた名古屋大学附属図書館神宮皇学館文庫について平成17年4月より書誌DBを公開し、新たに判明した問題点を改善した。まだまだ前途は遼遠ながら、岩瀬文庫という豊富にして多彩な内容を含む一大文庫について、DBを完成公開する夢の実現が具体化しつつある。正直に言えば、古典籍にかかわる一研究者として、珠玉の知見に満ちたDBを公開することに躊躇する気持ちは、調査開始以後しばらくの間は強くあった。しかしながら、大量の古典籍-その全ては死者の遺したものである-に触れる中で、書物と人間との関わりについて体感開悟するところがあり、今ではDBの公開が書物の活用に大きく資するものであり、そのことが書物を遺してくれた先人たちに対する報恩となることを確信している。そして、このようなDBが方々の文庫に備わることによって、日本の人文学が新たな局面に一歩を踏み出すに違いない。
著者
阿部 二朗
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.279-284, 1980-01-31
被引用文献数
2

寒地型牧草5草種(チモシー・メドーフェスク・オーチャードグラス・トールフェスク・ペレニアルライグラス)について,北海道奨励品種を中心に各草種6-11品種供試して,耐寒性幼苗検定を実施した。オーチャードグラスには-10℃・16時間処理,それ以外の草種に対しては-12℃・16時間処理を加えた。メドーフェスクとオーチャードグラスには好適な方法であったが,他の3草種に対しては改良すべきであることが認められた。全草種を通じて育成地または母材の育成地の冬の寒さが耐寒性に最も影響を及ぼしていることが判明した。若干の例外はあるが,北欧・カナダ産品種が強,本邦産品種は中,英国・南欧産品種は弱と分類された。ペレニアルライグラスおよびその他草種で最低ランクに含まれた品種の厳寒地への導入には問題があると考えられる。
著者
玉浦 裕 阿部 正紀 北本 仁孝 金子 宏 長谷川 紀子
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

集光太陽ビームをセラミックスに照射し1300-1600℃に急速加熱すると、特殊な反応中間体を経由し、空気酸素分圧下で酸素放出反応が進行することを世界で初めて明らかにし、この反応で生成したセラミックス還元体が水を分解(水素生成過程)することを見出した(特開2008-094636)。これを用いるソーラー水素生産の実用化に向け、ロータリー式太陽反応炉およびビームダウン式集光システムの開発を行った。
著者
青山 裕二 安部 恵 板垣 千尋 冨岡(高橋) 佳奈絵 阿部 由希 礒部 明彦 松本 仁
出版者
修紅短期大学
雑誌
修紅短期大学紀要 (ISSN:13498002)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.75-82, 2007

アルコール過剰摂取は若い人々にとって重大は健康問題の一つになっている。そこで、アルコールパッチテストとaldehyde dehydrogenae 2のE487KのSNPを検出する事によって、アルコール感受性を調べた。アルコールパッチテストの結果は本学学生17人中70.6%、本学大学祭の参加者は104人中77.8%が耐性であった。毛髪を用いたALDH2遺伝子解析は本学食物栄養学科学生につてのみ行ったが、全て野生型/野生型homogygote(ALDH2^*1/2^*1)と野生型/変異型 heterogygote(ALDH2^*1/2^*2)であった。本研究では変異型/変異型homozygote(ALDH2^*2/2^*2)の遺伝子は被験者の中には発見できなかった。この結果はアルコールパッチテストの結果と良く一致した。東北地方の住人、特に一関近辺に住む人々は旧モンゴロイド系のヒトが多いことが明らかとなった。
著者
鈴木 厚人 井上 邦雄 末包 文彦 白井 淳平 古賀 真之 斎官 清四郎 山口 晃 阿部 浩也 吉村 太彦 橋本 治
出版者
東北大学
雑誌
特別推進研究(COE)
巻号頁・発行日
1997

研究代表者が率いるカムランド実験は,中核的研究拠点形成プログラムの支援(平成9年度〜平成15年度)を得て,平成13年度に1000トン液体シンチレータニュートリノ/反ニュートリノ観測装置を神岡鉱山の地下に完成させた。そして,平成14年1月よりデータ収集を開始し,現在継続中である。この間,平成14年12月に,原子力発電所の原子炉から生成される反電子ニュートリノ(原子炉起源)の消失現象を世界で初めて検出した。この現象は,ニュートリノが質量を持つことに起因するニュートリノ振動を強く示唆し,その証拠は次の論文(平成16年7月予定)で公表する予定である。また,原子炉反電子ニュートリノ消失現象の発見に関する論文(Phys.Rev.Lett.90,021802,2003)は,現在までに被引用数537となっており、Thomson ISI Web of Scienceデータに基づくScience Watch誌の最新号(March/April,2004)では本論文は月間被引用数で物理学分野の世界第1位、医学、化学、生命科学・物理学を合わせた総合順位でも世界第2位となっている。本研究では,反電子ニュートリノスペクトルにおけるウラン及びトリウム・ピークの同定による地球反ニュートリノ検出の挑戦も行なわれた。これまでの実験で検出器の充分な性能が示され、世界初の検出が期待されている。実現すれば地球内部のウランやトリウムの存在量、ウラン/トリウム比の測定など地球内部のエネルギー生成機構や地球進化史の解明に不可欠の情報が期待される。また検出器を更に高感度化し^7Be太陽ニュートリノの未曾有の高感度測定を目指した研究が進行中である。
著者
井街 宏 鎮西 恒雄 満渕 邦彦 藤正 巖 今西 薫 阿部 裕輔
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1992

人工心臓は心臓手術後の循環補助や心臓移植への繁ぎとして多くの臨床例に用いられ患者の救済に役立っている。しかし、現在の人工心臓は形態的にも機能的にも生体心臓の模倣を目標に開発されてきたため、健康を維持する能力はあっても病気に陥った臓器を積極的に治療・回復させたり目的に応じて特定の臓器や組織の機能を昴進させる能力がないなどの限界を有している。本研究はいままでの人工心臓と180度発想を転換した場合、10-20年後を指向した次世代型人工心臓としてどのような人工心臓を開発すべきかについてその基本構想を述べ、それに対する基礎的実験を行なうことを目的とした。3年間の研究成果は以下の通りである。1 次世代型人工心臓として分散型人工心臓を提唱してその開発の意義や可能性について考察した。2 システムの小形化の研究を行ない、(1)人工心臓用Jellyfish弁の小形化、(2)新しい方式の人工心臓の開発とその小形化の研究、(3)新しい方式の補助循環装置の開発、(4)マイクロマシンの技術による人工筋肉の開発とその理論解析などで新しい知見を得た。3 新しい計測法の研究として、(1)材料表面に吸着するタンパクの動的挙動の測定、(2)血中カテコラミン測定センサの開発、(3)微小循環の長期間実時間観察法の開発などこれまで不可能であった計測法の研究開発を行なった。4 新しい制御方法の研究の結果、人工心臓を装着した生体自身に自己の人工心臓を制御させるという全く新しい制御方法(1/R 制御方法)を考案し、ヤギを360日間生存させることに成功した。
著者
阿部 正紀 半田 宏 日比 紀文
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

1.粒径を制御したフェライト・ナノビーズの開発:10-100nmの範囲で粒径を制御したFeフェライト(Fe_3O_4-γFe_2O_3固溶体)ナノ微粒子を作製する共沈法、部分酸化法、種成長法を開発した。2.ポリマー被覆ポリマー被覆フェライト・ナノビーズの開発:フェライト・ナノ微粒子を、たんぱく質の非特異的吸着が少ないポリGMAで被覆する共重合法および、乳化剤を用いない重合法を開発した。3.ポリマー被覆Feナノビーズの開発:フェライトより2倍も強い磁化を持つ金属Fe微粒子(粒径7-20nm)をポリGMAで被覆して、バイオスクリーニングに適した磁性ビーズを作製した。4.バイオスクリーニングによる分析の応用展開:ポリGMA被覆フェライト・ナノビーズ表面に、抗ガンや、タグ付きプロテインGを含む組み替えたんぱく質などを固定し、それらと相補的に結合するレセプターや抗体を高効率で単離することによって、我々のビーズが高速・高収率バイオスクリーニングに適している事を示した。5.ホール・バイオセンシングによる診断への応用展開:ポリGMA被覆フェライト・ナノビーズ表面にNA単鎖を固定し、これをホールセンサー表面に固定した相補的DNA単鎖と結合させて検出し、我々のビーズがDNA診断に活用できる事を示した。6.MRI造影剤による診断への応用展開:フェライト・ナノ粒子表面を多彩に修飾・加工する技術を開発した。その結果、粒径が約20nmで、表面が特定組み換えたんぱく質で被覆された新たなMRI造影剤候補物質を開発した。7.抗ガン磁気ハイパーサーミアへの応用展開:フェライト粒子を用いて、大腸癌細胞を非侵性の周波数180Hzの交流磁界によって誘導加熱してその殺傷効果を確認し、非侵性抗がんハイパーサーミアへの応用の可能性があることを明らかにした。
著者
細長 喜久代 阿部 栄子 嶋田 勝彦
出版者
大阪成蹊短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日常,私たちが履いている靴については,歩行時の靴による足への拘束力を平易に測定することはできなかった.そこで拘束力を荷重に置き換え,簡易にリアルタイムで計測できる方法を提案した.そして靴ズレ量を滑り摩擦量として捉え,問題となる足の部分について,滑り摩擦量の測定を可能とした.さらに履き心地の異なる靴について歩行実験を行い,履き心地に関わる荷重と靴ズレ量の実態を明らかにした.
著者
阿部 彰
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本研究の萌芽的特性を発展させ、次年度以降の本格的な調査研究への取り組みを目指して、本年度は、第一にこれまでの研究成果をまとめ、第二に、研究方法の改善のため活動を継続発展させ、第三に、総合研究体勢の確立のための事前調査、連絡調整を行った。各作業項目の研究概要と成果は、下記のとおりである。1. 関連文献資料および映画フィルム等の補充調査と整理文学作品、学校沿革史から運動会に関する記事を選び、時代における特色をとらえるとともに過去および現在の運動会プログラム、運動会の場面を描写した既存の映画フィルムを全国規模で収集し、整理した。2. 映像収録の継続と分析方法の改善本年度は、従来の豊中市内の小中学校2校(豊中市立庄内小学校、豊中市立第四中学校)のほか、大阪府下2校(大阪府南河内郡太子町立山田小学校、大阪府南河内郡美原町立みはら大地幼稚園)をあらたに収録対象とし、9月下旬から10月初旬にかけて収録を行った。いずれも、3台のカメラによる同時撮影を行いそれぞれ分析・編集業務(解説字幕を挿入)を経て、ダイジェスト版を制作した。収録映像の分析を通じて、視点と分析枠組みを吟味し、次年度以降に予定している本格調査に備えた。3. 総合的研究体勢の確立のための準備次期計画による本格調査研究に備えて、全国の研究者と共同研究を進めるための連絡、調整を深めると共に、調査・収録対象地域設定のための事前調査と関係情報の収集を積極的に行った。(以上、約800字)
著者
阿部 直哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.9-14, 2002-08-02
被引用文献数
4

タッチパッドを用いたCVK方式入力装置の概要を述べるとともに、従来の入力装置との比較を通して、本装置の特徴を考察した。CVK方式は、タッチパッド上に仮想的に置かれたキー(操作キー)に指で触れることで、ディスプレイに表示されたキー(可視キー)の配列から、目的のキーを選択し、指を離した瞬間、入力を確定するという仕組みを持つ。本装置は、非常に小型でありながら、タッチパネルなどと同様、キー配列を自由に変更できるため、初心者に分かりやすいインターフェースを作り出すことができる。その一方、操作キーと可視キーが1対1に対応しているため、習熟に伴って、キーボードに近い、高速な入力も可能である。他にも、操作が単純、疲れが少ないなど多くの長所を併せ持つ。
著者
阿部 好一 黒坂 俊昭 塚田 康弘 上倉 庸敬 岡田 行雄
出版者
神戸学院女子短期大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

舞台における空間と時間について, その特色を明らかにし, 併せて現代演劇の独自性と将来への展望を考察した. 舞台の空間については, その一種の「曖昧さ」に着目した. たとえば映画では, カメラは対象を接写から遠景にいたるまで様々の距離において把えることが出来る. この事実は, 映画空間が観客の目にとって自由に縮小・拡大するのと同じ意味を持つ. 演劇の場合, 観客にとって舞台空間はつねに一定の大きさと形態をしか持てない. だから時にはストーリー展開に直接関係のない夾雑物まで観客の目にさらけだす. このことは舞台空間の不自由さと否定的に考えられているが, チェーホフやウェスカーの作品のある場面のように, 舞台上のふたつの人物群が互いに無関係な行動, 台詞をとることによって本来の意味以上の深い意味を表わすことがある. この「多義性」は極めて演劇的な表現である. と我々は考える. ついで舞台の時間については, その「流動性」に着目した. 映画に比べ演劇は, 時間の転換が不自由であると言われてきたが, 現代演劇では自由で柔軟な時間構造を持つようになってきている. それらは主として演出の技法によって試みられてきたが, 近年はシェーファーの『アマデウス』のように, ドラマトウルギーそのものに自由な流動性を持つものが現われている. その流動性は, ドラマに一種の「抽象性」をとりいれることによって保証されている, と我々は考える. 現代演劇にあらたな可能性をもたらすものは, 「再生された異化」であろう, と我々は推定する. 演劇のコミュニケーションは, 舞台上の人物相互のあいだに行なわれるものと, 舞台・客席のあいだに行なわれるものとの二重構造を示している. しかし実際の演劇の場では, 多くの観客はこの両者を混同し, 舞台上の人物に同化しがちである. だからこそブレヒトは「異化」が必要であると考えた. 現代演劇はこの異化を, あたらしい技法によって, 再活性化するのだ.
著者
松井 孝典 阿部 彩子 杉田 精司 大野 宗祐
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では, 堆積岩及び各種氷の衝突脱ガス過程における化学反応過程の解明を目的として実験を行った. また, 脱ガス過程からの反応生成物が, 地球気候システムに及ぼす影響の定量的評価を行った. 結果として, (1)衝撃脱ガスによるCO2の発生は, 先行研究の推定より非常に高圧でのみ起きることと(2)白亜期末の巨大隕石衝突後には, 従来想定されていたCO2の大量発生ではなくCOが大量に発生したらしいこと, (3)COが大量発生した場合には, 強力な温室効果が起きることが分かった.