- 著者
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高橋 綾子
北村 英哉
桐生 正幸
- 出版者
- 公益社団法人 日本心理学会
- 雑誌
- 日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
- 巻号頁・発行日
- pp.PC-047, 2021 (Released:2022-03-30)
本研究では,現代の人々において,日本の「伝統的価値観」と「認識」されているものの考え方,感じ方を整理し,それが文化的自己観といかに関係するかを検討する。伝統的価値観は予備調査において取り出すことのできた考えのうち,すでに別領域での研究の多い伝統的性役割観については除いた上で,自分自身の行動指針,行動規範となり得るものに焦点をあてることとした。また,おみくじをひく等の具体的な日常的宗教行為と伝統的価値観がいかに関わるかについても探索する。オンライン調査によって648名(女性430名,男性218名,M=33.94)から得た有効回答を用い,研究1では伝統的価値観尺度,日常的宗教行為尺度を構成し,それぞれ7因子,4因子構造であることと,信頼性・妥当性を確認した。さらに,研究2では文化的自己観との関連を探り,「祟りとばち(a kind of vitalism)」の伝統的価値観が空気信仰を高めることを通して文化的自己観に影響することが確認された。以上の結果から,現代日本においても伝統的価値観が社会的相互作用に対して重要な役割を果たしていることが示された。