著者
亀田 洋志 系 正義 森野 知視 天野 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.67, pp.19-24, 2007-05-18
被引用文献数
2

画像中に存在する小目標の探知アルゴリズムについて検討する.探知性能改善のため,複数フレーム分の画像を積分処理によって強調し,信号検出する.フレーム間積分の方法としては,TBDが知られているが,フレーム間の画素の推移を探索する際に画素の重複を許すため誤警報が頻発する.本稿ではTBDを用いた積分アルゴリズム,特に画素の重複について一定数以上制限を設けるアルゴリズムを示す.
著者
小崎 吉隆 卯木 宏幸 高橋 将 梅島 慎吾 桧垣 博章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.493, pp.65-70, 2003-12-05

モバイルアドホックネットフークにおけるオンデマンドルーティングプロトコルでは、送信元移動コンピュータから送信先移動コンピュータまで経路探索要求メッセージRreqを配送することが必要である。多くのルーティングプロトコルにおいて、フラッディングによる実現がなされている。これに対して、各移動コンピュータが隣接移動コンピュータの位置情報を用いることによってRreqのコピーを必要としないFACEプロトコルが提案されているが、検出される経路のホップ数が大きくなる問題がある。本論文では、FACEプロトコルを拡張し、各部分平面の辺を時計回り、反時計回りに配送されるRreqのコピーを用いることにより、より短時間により短い経路を検出する。評価実験の結果、FACEプロトコルで検出される経路の約50%の長さの経路を検出できる。また、FACEプロトコルの約2倍のメッセージ数を要するものの、フラッディングと比較して十分に少ないメッセージ数で経路検出できることが明らかとなった。
著者
小関 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.220, pp.13-21, 2009-10-01

Googleの凄さは、実世界とネットがentangleしていることの発見にある。すなわち、Webページの重要さは個人的な意図、知識に依存するが、それをリンク情報から機械的に推定できることを示し、現在の情報インフラの地位を確立した。ここでは、マルコフ遷移確率をリンク数の平方根に反比例すると、実態に即してGoogleを2-normに修正して、システム分析のツールとして有効性を確立した。さらに、システム評価の客観的測度として、モードエントロピー・ノードエントロピーを定義し、それらの有効性を東京鉄道網で実証した。情報時代の社会インフラとしてのGoogleが、実世界に適合しない1-normで記述されていることによる重要度評価誤差の社会的インパクトなど検討・対策が、情報大航海時代に期待される。
著者
山下 元
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.93, no.250, pp.21-26, 1993-09-25
被引用文献数
5

ファジィ理論は,人間の行動,認識などに関するあいまいな情報を解析し思決定を行う理論で,近年,社会科学,人間科学などの分野にも広く応用されている.通常,心理,教育などに関するあいまいな情報は,ファジィグラフで表すと解析し易い.筆者は,ファジィグラフの情報構造を分析し,近似的にN値グラフで表現する方法を考案した.本稿では,ファジィグラフの近似N値化法を論ずると共に,その応用として,数学教材の構造分析について述べる.
著者
和田山 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.143, pp.55-60, 2009-07-16

近年、コンプレスドセンシングに関する本稿では、2元線形符号に基づくp×m 2値センシング行列のランダム構成法を提案する。ここで与えられるセンシング行列は2元線形符号の生成行列を利用することにより、O(p log_2m)ビットの情報で表すことができる。提案法により構成される線形符号の平均重み分布の結果に基づき、行列の制約等長性(Restricted Isometry Property)とインコヒーレンスについての解析を行った。
著者
大西 立顕 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.723, pp.93-100, 2002-03-08
被引用文献数
1

マルチフラクタルにより日経平均株価の終値を解析した.過去T日間の終値の時系列からマルチフラクタルスペクトルを求めた.そのスペクトルのパラメータと現在とL日後の価格差との間の相関について統計的に調べた.TとTに応じて相関の強さは変わり,場合によっては強い相関が見られることが分かった.この結果は,市場価格の変動はまったくランダムなものではなく,効率的市場仮説が妥当でない可能性を示唆している.また,マルチフラクタル解析は高い確率で価格が上がるか下がるかを予測するのに有益であると考えられる.
著者
梅本 佳和 藤野 毅
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.572, pp.49-54, 2007-02-27
被引用文献数
1

インターネットやローカルLAN内においてWWW,FTP,リモートログインなど様々なサービスが提供されているが,それらは個別にアクセス権の認証を行っていることが多く,ユーザ側の認証情報の管理負担が重いことが問題となっている.この問題を解決するために,一度の認証で複数のサービスを利用できるシングルサインオン(SSO)システムが使用されている.しかしながら,従来提案されているSSOの方式では,初期認証時にID/パスワードによるSSOを実現している場合が多く,初期認証用ID/パスワードのクラッキングにより,すべてのサービスが利用可能になる危険性が高い.また,悪意ある第3者によって,認証情報を一元管理するサーバからアクセス権情報が盗難される危険性も存在する.そこで,本研究では,「USBトークンを用いたPKIによる相互認証」と「認証VLAN」を利用したセキュアなSSOシステムを提案する.さらに提案方式の一部を実装・評価した結果について述べる.
著者
菊池 秀法
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.205, pp.103-106, 2009-09-17

NTTドコモが提供するFOMAなどの3Gモバイル回線はサービスエリアが拡大し、全国的に高速データ通信が利用できる環境になってきた。この高速データ通信環境が整備されたことにより、動画などの大容量データの送受信が可能となり、マルチメディア通信サービスの種類も増加の一途を辿っている。ソニーはこの3Gモバイル回線を利用したリアルタイム映像伝送システム"ロケーションポーター"を開発。この"ロケーションポーター"は、ソニー独自の映像・音声圧縮技術を結集した、高画質・高品質なリアルタイム映像伝送システムである。移動体通信による映像伝送となるため、通信環境の変化に応じて安定した映像伝送を実現する必要があるが、ソニーは独自のQoS機能を実装することにより、高画質かつ安定性の高い映像伝送を実現した。今回はこのソニー独自のQos機能についての解説を行う。
著者
高 正博 鯵岡 洋雅 加賀 規夫 杉山 修也 安達 悟 高木 広文 松葉 裕司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.166, pp.1-6, 2001-06-28

2001年5月からNTTドコモがIMT-2000と呼ばれる次世代携帯電話の試験サービスを開始した。この次世代サービスの情報伝達レートは最大384kb/sであり、従来の音声やデータに加え動画像通信が可能である。このようなモバイル・マルチメディア通信端末ではディスプレイのサイズが制限されることから、表示画面の最小サイズの検討が必要である。本文では、動画像およびこれに文字が同時に表示される場合について、主観評価実験によりさまざまな画像を楽しむのに妨げとならない表示画面の最小サイズおよび文字サイズを明らかにし、動画像+文字画面の設計指針を述べる。
著者
松本 祐教
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.425, pp.155-160, 2006-12-07

携帯電話網へのアクセスに加えホットスポット等の無線LANによるIP電話機能を備えた携帯電話を実現するには、3,000MIPS以上の演算処理能力を必要とするWi-Fi機能を100mW以下の消費電力のSoCで実現する必要がある。TOPSTREAM^<TM> WLANはスケーラブルなマルチコア・プラットフォームを用いて携帯電話向けの無線LAN用のIEEE802.11 MAC及びIEEE 802.11bベースバンド処理用に設計したマルチコアSoCであり、内部バス上のデータ転送や信号処理演算による消費電力を低減するためにマッチドフィルタや128-bitSMIDプロセッサによるI/Q信号処理に符号絶対値表現を用いた。4つの異なる種類のプロセッサを組合せ、802.11bによる無線LAN機能を動作周波数50MHz、消費電力100mWで実現する。
著者
雨宮 好文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.18, pp.1-6, 1999-04-22
被引用文献数
3

「送電線とがん」の問題は多くの人の関心を集めている. 1998年6月に米・国立環境衛生科学研究所 (NIEHS) の諮問委員会はEMF RAPIDプログラムの支援を得て組織したWGのレポートのドラフトを公表し, 「電力線磁界が発がんの原因になりうる」との見解を示した. 同委員会は動物実験や細胞の実験の発がん性を確認できず, 疫学研究の結果に対して委員の意見が分れ, 結局19対9という投票で発がんの原因になりうるとしたとのことであるが, この疫学論文の評価は, なにを目安にして行われたかドラフトでは明らかでない. 例えば, 原著者さえ「公衆衛生問題とはならない」と述べでいる論文までも, 同ドラフトはボジティブであるとしている. 本報告においては, 小児白血病にかんする疫学論文について, 同ドラフトが行った評価について再検討する.
著者
天野 英晴 長谷川 揚平 中村 拓郎 西村 隆 TANBUNHENG Vasutan
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.247, pp.19-24, 2006-09-08
被引用文献数
7

動的リコンフィギャラブルプロセッサ用の簡単かつ効率の良いコンテキスト制御機構およびコンフィギュレーション手法を提案し、プロトタイプチップMuCCRA(Multi-Core Configurable Reconfigurable Array)-1への実装と評価について示す。まず、コンテキストカウンタをベースとしたコンテキスト間接分岐方式を用いたコンテキスト制御を提案する。この方法は、コンテキストの飛び先をPEアレイ上のデータが指定する方法で、状態遷移表が必要がなく、高速かつコストが小さい。また、I/O操作とコンフィギュレーションデータ操作をほぼ同様のダブルバッファを用いて制御するセミシンメトリックコンフィギュレーション方式を提案した。コンフィギュレーションデータをRoMultiC機構を用いてマルチキャストすることで、コンフィギュレーションデータ転送時間はほぼ隠蔽することができる。Rohm社0.18μmCMOSプロセスによる合成の結果、これらの制御機構の占める面積はPEアレイ全体の3%以下であることが明らかになった。
著者
寺川 宏之 宮寺 庸造 大澤 優 夜久 竹夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.76, pp.9-15, 1998-05-23

この報告では, ソフトウェア開発・教育支援環境について解説する.本環境は次のようなシステムから構成される:(1)視覚的プログラミングシステムとそれを使ったプログラムデータベース, (2)マルチメディアアクセスシステム, (3)電子教科書とコースウェアに対する大規模データベース.(4)インターネット上の分散データベース.本環境は現在, インターネット上のいくつかの大学のサイトに設置されている.また, 本環境を構成するコースウェアの例についても述べる.
著者
大黒 將弘 宮崎 哲弥 森田 逸郎 大谷 朋広 長尾 康之 久保田 文人 鈴木 正敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.410, pp.7-10, 2004-10-28
被引用文献数
5

架空区間を含んだ約200kmのITU-TG652準拠の既設シングルモードファイバで構成された、JGNII光テストベットを用いて、単一チャネルの単一偏波160Gbit/s光信号伝送実験を行った。強度変調(OOK:on-offkeying)方式と差動位相変調(DPSK:differential phase shift keying)方式の特性比較を行い、 DPSK変調方式を用いることで, OOK変調方式よりも良好な伝送特性を得た。さらに、DPSK変調方式と偏波スタビライザを併用することで、OOK変調方式に比べて2.5dB以上Q値の向上が得られ、200km伝送後も安定な伝送特性が得られた。
著者
小口 和海 佐藤 浩司 向井 宏明 横谷 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.450, pp.103-108, 2007-01-04

近年、キャリアクラスEthernetの実現が重要となっており、ITU-TにおいてEthernet回線の保守、運用、監視を行うEthernet OAM (Operation, Administration and Maintenance)と、2地点間に冗長経路を設定し、障害検出時に切替を行うリニアプロテクション切替メカニズムが勧告化された。これらの標準に準拠することで、Ethernetを用いて高信頼なサービスを提供できるようになってきている。また、メトロエリアのサービス提供を考えた場合、多地点接続可能なリング接続が適しており、リングにおける障害発生時の切替方式がITU-T等で検討されている。本稿では、Ethernetでマルチリングを構成した場合の障害発生時の切替方法について、Ethernet OAMを用いて切替える方法を提案し、その制御方式について述べる。
著者
小川 周吾 長谷部 賀洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.180, pp.49-54, 2008-07-29

近年ディスクへのアクセス時間が,計算機システム全体の処理時間に占める割合が増加している.またストレージ統合の増加に伴いディスクアレイに対して複数のアクセスが同時に行われる機会が増加し,高いI/O性能が求められる.この問題に対して複数ディスクをRAID構成にすることで,ディスクの耐故障性確保と同時にアクセスを高速化する手法が用いられている.しかしRAIDは,ランダムアクセスに伴うシーク時間の抑制を考慮していない.本稿ではRAID構成のディスクアレイにおいて,ディスク間の冗長性を利用したシーク時間の削減方式を提案する.RAID1構成のストレージ装置のシミュレーションによる評価の結果,提案方式の適用により連続したランダムReadアクセス列による高負荷環境下で,アクセス処理の平均TAT (Turn Around Time)の削減を確認した.
著者
金光 永煥 中里 秀則 星合 隆成 浦野 義頼
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.15, pp.7-12, 2008-04-16

分散環境でタスクを効率よく実行する場合,タスクの実行時間と通信遅延を考慮して実行粒度を調整することが重要である.これまで我々は,タスク実行粒度調整のためにDAGの最大経路長の増加を抑え,かつ通信遅延を抑えるために各マシンでの実行サイズに下限値を設ける,という特徴を持つ「タスクマージ」を提案した.ところがタスクマージでは各タスクの通信と実行の同期がとられ,応答時間の短縮にはつながりにくいという問題がある.そこで,実行と通信の同期を行わずにタスク同士をまとめる「タスククラスタリング」によって,応答時間を短縮することを検討した.本稿では,このような粒度調整を目的としたタスククラスタリングを行う最に必要となる基準を考察した.
著者
中脇 望 舟阪 淳一 石田 賢治 天野 橘太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.560, pp.13-18, 2003-01-09

近年のインターネット上で提供されるコンテンツの多様化に伴い,コンテンツが大容量化する傾向にある.利用者がこのようなコンテンツをより早く取得できるようにすることは重要な課題である.この要求を満たすために,1つのファイルを複数のブロックに分割し複数のサーバから並列にダウンロードする方式が提案されている.しかし,既存の方式は(1)コンテンツを要求する際あらかじめ分割数を決定しておく必要がある,(2)クライアントから各サーバへの利用可能帯域について考慮していない,という問題点がある.そこで本稿では,各サーバに対するスループットを観測することにより,リクエストするブロックのサイズを動的に変更する方式を提案した.提案方式ではファイル分割数も動的に決定される.インターネットを用いて評価した結果,提案方式の方が従来方式よりファイル取得時間を短縮化できることが分かった.
著者
白 晶 松下 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.578, pp.333-338, 2007-03-01

現在、P2Pネットワークにおけるファイル交換は、サイズの大きいファイルの送受信が中心になってきている。各ピアは相手にファイルを転送する速度を制限するので、単一のピア間のファイル転送は遅いという現状がある。また、従来のピア間でファイルを転送する方法は、一対一の関係で行っているので、転送速度が遅いという欠点もある。本論文では、これらの問題を解決するため、協力ピアの利用手法を提案している。具体的には、P2Pネットワーク上で、ダウンロードしたいファイルのサイズと転送平均速度に基づき、ファイルを分割する。そして、協力ピアを決めて、各協力ピアにダウンロードしたいファイルの一部分を転送してもらうことにする。本稿では、転送系の構成法を示し、シミュレーションによって、高速化が達成できることを示す。
著者
舟阪 淳一 二矢川 敏夫 石田 賢治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.36, pp.19-24, 2009-05-14
被引用文献数
1

ファイルを部分に分解し、複数のサーバから同時に別々の部分を取得することによって高速化を図る並列ダウンロードが提案され、効率的な実行について研究が重ねられてきている。従来のTCPを用いる方法には、データリンクで損失の多発するネットワークにおいては性能が低下するという問題があった。これを解決するために我々はTCPの替わりにSCTPを用い、特にマルチストリーム機能の適用に注目した並列ダウンロード方式を提案してきた。本稿ではSCTPマルチストリームを用いて並列ダウンロードを実現する方法を検討し、用いるサーバを1台のみに簡単化して(分割ダウンロードとして)シミュレーション実験により評価する。ここではネットワーク環境のパラメータである遅延、パケットロス率を変更し、方式のパラメータである同時リクエスト数、分割数、ストリーム数をさまざまにとり、シミュレーション実験を行った。その結果、SCTPマルチストリームが分割ダウンロードのロス耐性を向上させる効果をもつことが明らかとなった。