著者
木谷 友哉 谷口 義明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.457, pp.499-504, 2009-02-24

センサネットワークのカバレッジ,コネクティビティ,寿命,ロバスト性はセンサ端末の初期配置に大きく影響される.本稿では,大量のセンサ端末を一度に空中で散布する際に,センサ端末の効果的な初期配置を実現するための散布法を提案する.提案手法では,センサ端末に落下中に2つの水平方向の移動挙動を切替えられる機構を持たせ,その切替タイミングを制御することにより観測領域に均等に分布して落下させる.センサ端末は落下中に他のセンサ端末と通信を行い,周辺の他の端末数を考慮して落下挙動の切替を行うことで,落下後のセンサ端末の分布の偏りを防ぐ.シミュレーションにより,提案手法がセンサ端末の初期配置を一様に近づけられることを示す.
著者
花沢 明俊 中村 克樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.227, pp.39-42, 2012-09-27
参考文献数
7

学習療法は,認知症に対する非薬物療法の1つであり,読み書き計算などの単純な課題を行うことにより,認知症の改善,進行抑制効果が報告されている.学習療法による認知機能回復は,知能テストと類似した方法によって測定され,療法の効果測定や課題の難易度調整に用いられている.認知症では,認知機能だけでなく,情動機能も低下し,表情や音声による喜怒哀楽の表出が失われていく.学習療法では,情動機能の回復も報告されている.しかし,表情や音声といった情動表出の定量的計測が困難なため,最近笑顔が増えた,といった介護者の観察による定性的あるいは印象レベルの知見にとどまっている.本研究では,学習療法のシステムやプロセス改善に役立てるため,笑顔画像計測による情動機能回復の定量的化を試みた.
著者
渡邉 美乃里 須原 啓一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.466, pp.33-36, 2009-02-27

電気接点における、アークによる電流遮断を解析するためには、アーク電圧電流特性とアーク消滅特性が重要になる。アーク電圧電流特性については、AyrtonやHolmなどによって代表される多くの研究者による研究がある。しかし、アーク消滅特牲に関しては、Ayrtonの場合はアークが安定である電流を研究対象にしているため、消滅特性には触れていない。一方Holmの場合は最小アーク電流を提案しているが、実際はしばしば最小アーク電流とされる電流を下回って放電が観測される。本研究ではアーク放電の消滅特性を調べることを目的とし、アークが消滅する電流付近でのアーク放電継続時間を調べた。アーク電流が小さくなるにつれ、継続時間が短くなった。継続時間の平均は、最小アーク電流付近で、W電極、Cu電極、C電極が0.01〜0.1ms、Ag電極、Pd電極が0.1〜1.0msになった。
著者
仁木 和久 加来 敦史 山縣 隆男 太原 育夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.729, pp.31-36, 2003-03-10
被引用文献数
2

生きているヒトの脳機能を観測する方法のひとつに、磁気共鳴画像法(MRI)がある。本論文では、MRI撮影中にインタラクティブな実験を行うための実験システムの開発について紹介し、その上で行ったいくつかの実験を紹介する。本システムでは、光ファイバーを用いた非磁性の人力装置(光スイッチ)を用いて、その信号をPCのキーボード信号に変換することで、PC上の刺激提示プログラムにユーザーからの人力を提供し、インタラクティブな刺激提示を実現している。さらにインタラクティプな実験の例として、3D迷路と3Dドライピングゲームをとりあげ、そのような状況下でのヒトの脳の活動を解析した。
著者
森谷 優貴 渥美 幸雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.348, pp.37-42, 2002-09-23
被引用文献数
1

空港や人気ショップ等,多くのユーザが利用する無線LANホットスポットでは,ユーザ収容数を向上させるため,複数の無線LANアクセスポイント(AP)を設置する必要がある.そのような環境において,マルチキャストを利用した映像配信等のサービスを行う際,同一マルチキャストグループの受信者が異なるAPに接続すると,複数のAPから同一データが送信され,必要のない帯域が消費されてしまうという問題が発生する.この問題を解決するため,本研究では,ホットスポット管理ルータが受信者の接続先APを制御することにより,同一マルチキャストグループの受信者の接続先APを同一APとするマルチキャスト受信者集約方式を提案し,実装実験により有効性を検証した.
著者
笹野 博 神谷 智仁 高田 哲郎 丸山 直久 渋谷 崇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.241, pp.19-22, 2000-07-21
被引用文献数
2

符号化率1/3の非組織畳込み符号について拘束長が13から18の最良符号を約40台の計算機を用いた探索により求めた。符号化率1/2, 拘束長26の符号についても同様の探索を行い、部分探索における最良符号を求めた。
著者
奥下 竜太郎 吉村 奈津江 神原 裕行 辛 徳 ベルカセム アブデルカデル ナサルディン 小池 康晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.326, pp.1-6, 2014-11-14

脳活動を用いてこれまで手首などの動作や運動イメージを識別した報告がされてきたが,手指などの末端の動きや力の強弱において脳波(EEG)を用いて識別した報告はされていなかった.本研究では,EEGを用いて皮質信号源電流推定を行い手指の屈曲,伸展および力の強,弱において,高い精度で識別出来る事を確認した.皮質信号源電流は脳波(EEG)と核磁気共鳴画像法(MRI)の脳データを用いて,階層的変分ベイズ法(VBMEG)により推定された一次運動野,前運動野,補足運動野の波形とした.また動作と共に神経細胞の発火頻度が変化することから,波形の周波数スペクトルを用いて識別することで高い識別率が得られる事を確認した.
著者
野口 賢一 阪内 澄宇 古家 賢一 羽田 陽一 片岡 章俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.403, pp.31-36, 2005-11-10
被引用文献数
6

通信会議において, マイクロホンに触れたり, その近傍で発生する衝撃音や紙めくり資料をめくる音は, 相手側で非常に大きな音として再生され問題となる.本稿では, 通信会議で発生するこれら突発性雑音を1チャネル入力から抑圧する方式を検討した.提案方式では, 入力信号の線形予測残差信号を用いて, 突発性雑音の存在を判別する.突発性雑音が存在する区間では, 耳障りとなる高域の雑音成分を大きく抑圧するサブバンドリミッタと, 処理による音声劣化を抑えた低域に対する音声の調波構造強調を組合せて, 突発性雑音抑圧を行う.実験の結果, 突発性雑音重畳音声に対して, 騒音レベルを3.6dB改善できることがわかった.また, 主観評価実験から, 提案方式により突発性雑音が重畳した信号の音質を改善できることがわかった.
著者
森野 博章 清水 悦郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ASN, 知的環境とセンサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.166, pp.189-194, 2014-07-23

本稿では,企業・大学・国立研究機関と金融機関が連携して従来よりも安価な深海探査機を開発し魚類の3D撮影を行うことを目標として活動している「江戸っ子1号プロジェクト」を紹介する.探査機は耐圧容器にガラス球を用いたユニット構成で,海底への沈降・浮上にワイヤを用いないフリーフォール型の原理で動作することに特徴があり,2013年11月に水深7800m地点での3D魚類撮影を行った.本稿では,要素技術として耐圧ガラス球,撮影・照明制御,ゴムを用いた海中無線通信,海面浮上後に母船に位置情報を伝える通信システムの各々の構成を述べると共に,より多様な用途に向けた今後の開発の方向性を展望する.
著者
石川 理恵 千田 栄幸 水木 敬明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.319, pp.13-18, 2014-11-14

n人のプレーヤーがいて,プレゼント交換を行いたい場面を考える.すなわち,不動点(fixed point)を持たない置換をランダムに生成したい.裏面が同一の模様である4色のカードを用いると,そのようなランダム置換を秘匿したままで生成できるとともに,置換しのものを明らかにすることなく,不動点を持たないことの証明が可能であることが知られている.本研究では,この問題の解法の効率化に取り組む.すなわち,既存の手法ではn^2に比例した枚数のカードが必要であるが,本研究ではnlognに比例した枚数のカードで十分であり,色も2色で十分であることを示す.
著者
横山 重俊 松本 敦嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SC, サービスコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.50, pp.5-9, 2014-05-16

コンテナ技術を活用したDistributed Cloudアーキテクチャを提案する.Distributed Cloudを実現する上の課題の一つは,分散したリソースの上にどう効率的にソフトウェアを配備するか,と言うことである.筆者らのソリューションは,既存のクラウド基盤を使ってその上にリソースを配置し,その上にコンテナ基盤を構築し,それら分散したコンテナ基盤群をL2トンネルで接続することで,分散アプリケーションが効率的に配備できるVirtual Cloud Providerを実現する方式である.本論文では,提案するアーキテクチャについて述べ,そのアーキテクチャに沿ったプロトタイプについて紹介する.
著者
南 康夫 與儀 剛史 酒井 啓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.345, pp.1-4, 2005-10-13

光ビート分光Brillouin散乱法を用いて熱フォノン共鳴を観察することで固体(溶融石英)及び気体(窒素ガス)の音速を測定した.従来の光ビート分光Brillouin散乱法を用いて超音波吸収係数の小さいサンプルの1〜100MHz域でのBrillouin散乱スペクトルを測定すると, スペクトルの半値半幅は吸収係数により算出される値に比して大きなものとなる.これは光とフォノンの相互作用時間がフォノンの減衰時間に比べて短いことが原因である.そこで熱フォノンを共鳴させ, 共鳴による鋭いスペクトルを測定することで, 周波数分解能が飛躍的に向上した.溶融石英については音速の測定精度が3桁程度向上し, 0.0014%の精度で測定できた.
著者
木口 浩之 渡部 広一 河岡 司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.456, pp.59-62, 2009-02-23

本研究では,USBカメラや測域センサからの検出情報により視覚障がい者の歩行支援を目的としている.USBカメラや測域センサが取り付けられたキャリーケースを歩行の際に押してもらい,歩行可能領域や段差・障害物等の情報を視覚障がい者にスピーカーの音で報せるというシステムである.歩行可能領域かどうかの判別には,カメラからの入力画像に対してクラスタリングという画像認識を行い,段差や障害物等の認識には測域センサからの検出情報を用いて実現する.
著者
多和田 敬介 満倉 靖恵 浜田 望
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.457, pp.21-24, 2012-02-23

ブレインコンピュータインターフェース(brain-computer interface: BCI)は,脳からの信号により操作する装置である.BCIにより,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)や頸椎損傷により運動機能を失った人々は,機器の操作や周囲の人とのコミュニケーションが可能となる.単一試行脳波を用いたP300スペラーは,文字を高速に入力するBCIである.しかしながら,単一試行脳波を用いたP300スペラーは文字の判別精度が低いため,精度向上が課題である.本研究では,独立成分分析を用いたP300の検出および変数減少法による電極位置決定を行なうことにより,単一試行脳波を用いたP300スペラーの精度向上を目指す.
著者
阿部 正英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMM, マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.287, pp.31-36, 2011-11-07

本稿では,35mmの古いフィルムを4096×3112の解像度でディジタルスキャンし,フレームごとの位置ずれとフリッガ,ブロッチ,スクラッチをディジタル修復する手法について述べる.まず,スキャンに用いるフィルムと実際のフィルムスキャン作業について概説する.次に,著者が提案する各劣化に対する修復処理について述べる.最後に,修復処理にかかる時間について示す.
著者
吉武 惟之 杉山 和彦 竹下 建悟 北野 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.90, pp.81-85, 2006-05-26

量子コンピュータ実現に向けて,リニアRFイオントラップに捕捉したBa^+に対して,半導体レーザを利用して製作した光源を用いてレーザ冷却を行った.その結果,Ba^+を5.8kKまで冷却することに成功した.また,冷却ざれたイオン集団の蛍光像を観測したところ,像の中央部に暗線が存在することを確認した.
著者
光原 弘幸 眞鍋 圭人 獅々堀 正幹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.441, pp.69-74, 2015-01-24

本研究では,インタラクティブなデジタルサイネージとして,Interactive Niche-Learning (INL)システムを開発してきた.INLシステムは,Kinectセンサを導入することにより,視聴者をクイズ教材に合成表示するとともに,視聴者の立ち位置でクイズに解答することを可能にしている.INLシステムを防災学習に適用する中で,Kinectセンサの特長を活かしたインタラクティブ化が課題として挙げられた.そこで,(1)視聴者がクイズに集中して解答できるようにするために,クイズ正解視聴者を視覚的効果で称賛するとともに,(2)動作や行動を伴う防災学習を実現するために,ジェスチャ認識によりクイズの正誤判定をする機能を実装した.防災教育施設での試用実験において簡易的なアンケート調査を実施し,視覚的効果の有効性を検証した.
著者
中野 秀男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.19-22, 1999-04-09

本報告では、インターネットにおける情報通信倫理の考え方を少し歴史的に考察した上で、大学と公的な組織についての情報通信倫理について述べる。大学にしても公的な組織にしても最初に一般的な議論をした上で、前者については大阪市立大学における事例について触れ、後者についてはTAOの大阪西成実験センターにおける事業について述べる。