著者
大長 勇太 合田 憲人 ABDUL-RAHMAN Omar
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.155, pp.19-24, 2014-07-21

アプリケーションの可用性や実行性能向上を目的として,利用者の拠点の計算資源と遠隔のクラウドの計算資源を併用するハイブリッドクラウドが注目されている.ハイブリッドクラウドを効率よく活用するためには,ローカル資源とクラウド資源に対して処理を適切に割り当てることが重要な課題である.本橋では,ハイブリッドクラウド上でのHadoop処理の性能評価結果について報告する.本性能評価では,Amazon EC2の2つのリージョン(ap-northeast-1およびus-east-1)および国立情報学研究所の研究クラウドを用いて,3種類のハイブリッドクラウドを構築し,Hadoopベンチマークプログラムの実行時間を測定した.またハイブリッドクラウド上での実行時間予測モデルを作成し,実測結果との比較を行った.本性能評価の結果,2つのことが明らかになった.1点目は,ローカル資源に加えて遠隔のクラウド資源を利用することにより,アプリケーションプログラムの実行時間削減が期待できる.2点目は,ベンチマークプログラム実行中の通信時間の大きい場合では,実行時間予測結果と実測結果の誤差が大きいことである.後者については,実行時間予測モデルの通信時間の予測に改良の余地があることがわかった.
著者
山本 裕司 大槻 知明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.596, pp.101-106, 2005-01-21

近年, 検知, データ処理, 通信機能を持つ小型センサノードから構成されるセンサネットワークが注目されている.しかし, センサノードは電力, メモリ, 処理能力が限られているため, 電力効率の優れたセンサネットワークの設計が課題である.また, 観測雑音の影響が大きいとき, 実際に起こった事象と異なる情報を, センサノードが送信する可能性がある.本稿では, 観測雑音, フェージング, そして雑音の影響を低減するために, ローカルフュージョンを用いたセンサネットワークを提案し, その電力効率を観測雑音を考慮して評価する.提案方式では, センサノードの近隣にローカルフュージョンセンターを配置してローカルフュージョンを行う.その後, 距離減衰やフェージングの影響を低減するために, 誤り訂正符号化した情報を目的ノード(グローバルフュージョンセンター)までマルチホップ通信する.観測雑音の影響が大きいとき, ローカルフュージョンを用いない方式では, ビット誤り率(BER)特性にフロアが生じてしまい, 所要BERを達成することができないのに対し, 提案方式はローカルフュージョンを用いることで, 所要BERを達成することができる.計算機シミュレーションの結果, 観測雑音の影響が大きいとき, ローカルフュージョンセンターで尤度判定法を用いた方式は, 多数決判定法を用いた方式と比較して, 電力効率を改善できることを示す.また, ローカルフュージョンセンターとグローバルフュージョンセンター間の送信距離に応じて, 消費電力が最小になる最適なマルチホップ数が存在することを示す.
著者
小谷野 壮 阿多 信吾 岡 育生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.408, pp.145-150, 2012-01-19
被引用文献数
2

近年、ルータを含むネットワーク機器の省電力化が大きな課題となっている。このため、トラヒック量に応じて処理能力を動的に変更させ、省電力化を実現するルータに関する研究が行われている。トラヒック流量に基づいて省電力制御を行うためには、ルータにおいて将来発生しうるトラヒック量を細かい周期で正確に予測する必要がある。本稿では、トラヒック量に追従可能な省電力ルータにおける細粒度トラヒック予測技術を実現するための手法および適正なパラメータチューニングを提案する。そして実データによるシミュレーション評価で、提案予測手法が最大95%の電力削減を達成できることを示す。
著者
尹 智鉉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.83, pp.41-44, 2013-06-07

本研究は,韓国のウェブページから収集したデータの分析に基づき,公式謝罪文の特徴を明らかにすることをその目的とする.公式謝罪文を成り立たせているものとは何かについて考察するため,謝罪のストラテジー,談話機能ならびに談話構造の分析を行う。
著者
水口 聖史 唐山 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.155, pp.1-4, 2011-07-16

本研究では,前腕の筋電信号から楽器演奏時の手指の姿勢を判別するものである.本研究で使用する楽器はギターとした.本実験では,ディスプレイにより指示されたギターのコードを被験者に握る課題を与え,その際のEMGを計測する.主成分分析と線形判別分析の結果,被験者3名で脱力時を含めたメジャーコード「C」「D」「E」「F」「G」「A」「B」の計8種類の手指の姿を平均94.4%の精度で認識できることが分かった.
著者
井口 智之 杉浦 茂樹 松澤 茂 宮寺 庸造 中村 勝一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.632, pp.75-80, 2006-02-25

情報検索は,一度の検索で目的を達成することができるタイプ(専門用語の意味を調べるような検索)と,同じテーマについて継続的に検索を必要のあるタイプ(ある研究トピックについて,その動向を継続的に調査するような検索)に大別することができる.既存の検索エンジンは,前者に対しては有効な場合が多いが,情報検索の継続性を考慮していないため後者に対しては必ずしも有効ではない.そこで本研究では,情報検索の継続性を考慮した情報収集支援システムの提案を行う.具体的には,継続的検索,既知ドキュメントの更新状況追跡,自動アーカイビングの自動化を実現し,検索要求管理や検索結果・アーカイブ管理までを統括的に考慮した支援システムを開発する.アンケート調査の結果から,継続的な情報収集に関する問題点,支援ニーズ,開発した支援システムの特徴について考察する.
著者
小林 亜令 高木 悟 井ノ上 直己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.627, pp.245-250, 2002-01-23
参考文献数
16

本文では, ラスター画像データからSVG(Scalable Vector Graphics)データへの変換手法を提案する.SVGとは2001年9月にW3Cで策定完了した2次元ベクトルグラフィクスのWWW標準データ仕様である.ラスターイメージデータはCG, 自然画像を問わず, 高圧縮可能な方式が数多く提され, PNG, JPEG, MPEGなどWWW標準データ仕様も既に策定されている.しかし解像度依存性, 拡張性, 対話性の点など, ベクトルグラフィクスの方が優れている点もあり, ベクトルグラフィクスに対するニーズも大きい.そこで本文では, ラスター動画像データを対象として, それをSVGデータに変換する手法を提案する.本手法により, CGベースのラスター動画像をベクトルグラフィクスとして処理可能なため, 本来SVGが持つメリットを利用することが可能となる.本文では, SVGの概要, 評価実験結果にも合わせて言及し, SVGへの変換技術の有効性, 今後の方向性を考察している.
著者
宮島 清富 横山 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.488, pp.33-38, 2002-11-22
参考文献数
7
被引用文献数
1

近年,低電圧で動作する電子回路を搭載した家庭用電気製品やパーソナルコンピュータが広く普及し,雷発生時,配電線やその他から侵入する雷サージにより機器の誤動作や破壊が生じる事例が多数報告されている.しかし,これらの原因となる雷サージの侵入経路や発生頻度,電圧は十分には解明されておらず,落雷との関係も明らかではない.本報告では,落雷が原因と思われる電子機器の故障が高頻度で発生している会社事務所を対象に,低圧配電線から引き込まれる電源電圧の連続測定から得られたインパルス性の過電圧の測定結果とその特徴を明らかにする.そして,落雷位置標定システムのデータとの比較から,雷放電と雷過電圧の関係を明らかにする.
著者
大島 優 正田 悠 阪田 真己子 鈴木 紀子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.189, pp.41-45, 2014-08-15

数名での対話形式を取りながらも,第三者への情報伝達を目的・可能としたコミュニケーション構造は「オープンコミュニケーション」と呼ばれている.ラジオのように,聞き手であるリスナーに直接見られることなく,音声のみ伝わる場合でもオープンコミュニケーションは成立する.これは,ラジオが数名での対話形式を取りながら,リスナーである第三者へ情報伝達を行っているためである.本研究では,聞き手に視覚情報が呈示されないオープンコミュニケーションであるラジオの話者の振る舞いに着目し,聞き手に視覚情報が呈示される状況(公開録音)との比較からその特徴を明らかにする.またラジオパーソナリティの経験者ペアと初心者ペアの比較を行い,ラジオパーソナリティ独自の"スキル"という観点からも考察を行う.
著者
上條 浩一 利根川 聡子 豊川 和浩 森本 典繁 小出 昭夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.591, pp.55-60, 2000-01-27

前回、自動車保険等の損害クレーム処理において、損害の証拠写真にデジタルカメラによるデジタル画像が使われる場合、データハイディングによる画像改ざん・検出方式が、いわゆる"水増し請求"防止にシステムとって有効なことを報告した。今回は、データハイディング技術の続報、特に、デバイス認証が成功した後のイメージ認証において、圧縮画像の周波数成分の量子化ステップの性質を使った改竄の検出法とその実験結果、性能評価について報告する。
著者
酒井 孝真 長村 篤記 井田 明男 金田 重郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.64, pp.7-12, 2012-05-18

本稿では, SSM,システムシンキング,概念データモデリングなどの問題領域モデリングにおいて利用されるモデリング手法(概念活動モデル,因果ループ図,組織間連携モデル)をメタレベルで比較する.比較手法としてはUMLクラス図の他,英語の品詞を利用する.それにより,それぞれのモデリング手法が,問題領域を表現する概念(加算名詞,非可算名詞,動作動詞,状態動詞)のサブセットを利用して,対象のある側面のみを強調していることを示す.また,同様にして,手島による概念データモデリングの「静的モデル」が概念クラス図に一致しないことを示す.
著者
松本 洋一 久保田 周治 加藤 修三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.94, no.57, pp.57-63, 1994-05-20

本報告は,CMOS0.8μmマスタースライス(2V動作)を用い開発した,低消費電力化パーソナル通信用復調器LSIについて述べている。開発したLSIは,通信品質の改善および消費電力の低減を図るため新たに以下の方式を用いている。(1)π, 4位相回転操作にキャリアフィルタ帯域が可変な逆変調キャリア再生方式,(2)プリアンブル位相情報を用いた初期クロック位相推定型クロック再生方式,(3)低消費電力化を考慮したパルスカウント型直交検波方式,(4)プリアンブル位相情報を用いたバースト検出方式.試作LSIによる評価試験により,本LSIはパーソナル通信環境下において,遅延検波復調器に比べエラーフロアを40%低減,フロア誤り率10%における所要Eb/Noを3dB改善することが確認された。
著者
銭 こん 山田 祐樹 河邊 隆寛 三浦 佳世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.369, pp.27-31, 2007-11-29

本研究は,きらめき格子錯視(Scintillating grid illusion)の生起メカニズムを明らかにするために,錯視図形の格子の交差点上に重ねる幾何学図形の大きさ,形状及び方位に着目し,これらがきらめき格子錯視に及ぼす影響を検討した.その結果,きらめき格子錯視の生起には交差点に重ねる幾何学図形の形状そのものではなく,大きさと方位が影響していることが示された.したがって,きらめき格子錯視には大きさと方位に関する視覚処理が関与していることが示唆された.
著者
中村 昇平 松尾 直人 部家 彰 山名 一成 高田 忠雄 福山 正隆 横山 新
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.359, pp.17-20, 2014-12-05

DNA(チャネル)/SiO_2/Si(ゲート)構造において,DNAのキャリアの振る舞いを調べた.シリコン基板を使って電極間に120nmのギャップを作り,DNAはギャップの間に作製した.dI_D/dV_Dは0.7Vで極値を示ており,この理由はDNA中のトラップとデトラップが関与していると考える.電子はグアニンにトラップされ,チャネル部における電圧によってデトラップが引き起こされる.p^+Siの場合多数キャリアのホールはDNAチャネル中の電子と再結合し,質量作用の法則により,トレイン電極からチャネルに注入される.
著者
市川 貴久 奥田 隆史 井手口 哲夫 田 学軍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.524, pp.59-64, 2007-01-25
被引用文献数
7

迷惑メールやspamメールが増加している.Spamメールに対処するため,メール利用者は,アンチスパム・ソフトウェアを利用し,spamメールを自動的に検出・分類・削除している.しかしながら,アンチスパム・ソフトウェアのフィルタリング条件の設定によっては,spamメールでないメールまでがspamメールと誤認されてしまう.また,最近ではフィルタリングの連続処理が原因で,消失してしまうサイレントメールの存在も明らかになっている.我々は,フィルタリング処理の精度向上のために,spamメールの到着間隔を利用することを考えている.そこで,本研究では,収集したメールを分析し,spamメールの到着特性を示した.
著者
杉崎 太郎 中村 元昭 柳田 将志 本田 元就 篠原 光子 生田 哲也 大地 朋和 釘宮 克尚 山本 亮 神田 さおり 山村 育弘 屋上 公二郎 小田 達治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.1, pp.47-52, 2007-04-05

65nm世代以降、最も一般的に用いら手いる6T-SRAMは多くの問題に直面している。そこで、我々は6T-SRAMに代わるSRAMを検討している。今回、バルクシリコンウエハーを用いて、サイリスタをSRAM(Static Random Access Memory)セルに応用することを試みた。このBulk Thyristor-RAM(BT-RAM)は、バルクシリコンウエハーを用いているために、コストを抑えることができる上に混載デバイスとの相性もよい。さらに100psの高速書き込み/読み出しが可能、オン電流とオフ電流の比が10^8以上、スタンバイ電流が0.5nA/cell以下と非常に良好な特性を示した。また、アノード領域に選択エピタキシャル技術を用いることで、理想セルサイズも30F^2(Fはデサインルール)と従来型の6T-SRAMの約1/4のサイズになっている。このようにBT-RAMは現在SRAMの直面している問題を解決し、65nm世代以降に有望なデバイスであることがわかった。
著者
シーハクランクライ ナッタポーン シーハクランクライ ナッタポン 月江 伸弘 村上 博 西部 俊孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.313, pp.7-12, 2010-11-20

日本人向けタイ語学習支援システムとしてFlashを活用したe-Learningシステムについて報告する.本システムは,タイ語学習において特に難しい母音の発音や子音の扱いを発音機能や手書きによる書取り練習機能などの学習コンテンツをFlashで実装し,学習を視覚的に楽しめるようにしている.また,オンラインによる教師と学習者との双方向通信学習環境(黒板機能,ボイスチャット機能)を実装している.また,学習効果を把握するための成績履歴閲覧機能がある.本稿では,開発中のシステムの概要とその評価について報告する.
著者
福田 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.332, pp.77-82, 2013-11-21

本研究では,複数ユニット組合せオークションの近似解法における,財に対する留保価格の考慮について述べ,その留保価格の指定が可能な複数ユニット組合せオークションを,エージェント仲介型の市場メカニズムに基づく電力資源制御フレームワークに適用する場合について考える.中規模なスマートグリッドに適用することを想定した場合に考えられる,プロトタイプ実装についても述べる.本稿では,特に現時点での実装における想定される性能に関する議論,および今後解決すべき課題について述べる.
著者
水谷 聡志 中川 覃夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.59, pp.1-4, 2012-05-18

単一のユニットで構成されたシステムに対し、取替・保全時に旧ユニットと新ユニットを,二重系として運用するシステムの最適取替方策を考える.とくに、一重系期間における追加の小修理費用と、二重系運用期間における追加の運用費用を考える.また,ユニットの取替時期に関して(i)偶発故障期間取替モデル.(ii)摩耗故障期間取替モデルの二つのモデルを検討する。これらのモデルに対し、期待費用を導出し,最適方策について解析的に議論する.また,具体的に数値例を挙げて種々議論する.
著者
伊庭 幸人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.87, pp.43-50, 2011-06-13

与えられた確率分布のもとで「珍しい現象」を効率的にサンプリングする手法は,情報処理,非線形科学,ネットワーク理論,実験数学,ランダム系の統計物理など,さまざまな分野で有用である.マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC),とくにその一種であるマルチカノニカル法を用いると,着目する統計量の周辺確率がたとえば10^<-20>から10^<-200>に及ぶような極めて珍しい事象を実効的に偏りなくサンプリングすることが可能である.本稿の前半では,この手法を解説し,さまざまな応用例(ランダム行列・ランダムグラフの大偏差の計算,最適ネットワークの探索,カオス力学系における珍しい軌道の探索と確率計算,ランダムスピン系への応用など)を紹介する.後半では,脳科学や非線形科学のデータ解析で重要なサロゲート法への応用を提案し,簡単な実装例を示す.