著者
粟津原 元子 田中 佐知 早瀬 明子 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.188-195, 2013 (Released:2013-08-20)
参考文献数
21

鶏肉の加熱中のうまみ成分の変化を明らかにすることを目的とし,鶏ももミンチ肉を緩慢加熱(オーブン(O)210℃,35分),急速加熱(電子レンジ(M)500 W,7分),4種類の組合せ加熱(M 3分+O 30分,M 4分+O 25分,M 5分+O 20分,M 6分+O 15分)で加熱し,加熱中の温度履歴と鶏肉のうまみ成分との関係を検討した。5'-IMP量は,緩慢加熱の時間が短い条件ほどその減少は抑制されうまみの保持に効果があった。グルタミン酸及び総遊離アミノ酸量は加熱条件による顕著な違いは見られなかったものの,緩慢加熱の時間が長い条件では分子量約18,000のペプチドの消失が見られ,タンパク質やペプチドの分解により生じた低分子ペプチドによりうまみが増加している可能性が示唆された。以上の結果から,加熱条件によって5'-IMP,グルタミン酸,ペプチドの量が異なり,加熱条件を組み合わせることにより,よりうまみの強い焼上がりにできる可能性が示された。
著者
米田 千恵 粟津原 元子 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.337-343, 2008-10-20
参考文献数
13
被引用文献数
3

冷凍メバチ肉の塊を,30℃の3%食塩水に浸漬する解凍法(解凍法1),30℃の水に浸漬する解凍法(解凍法2)および4℃での緩慢解凍(解凍法3)に供した。品質の同じ試料では,解凍過程における重量変化,色は解凍法1と解凍法2の間で差異はみられなかった。上物とよばれる品質の高いマグロ肉についての官能検査では,解凍法1で解凍した試料は解凍法2で解凍したものに比べて,水っぽくなく,一方で,粘性,塩味,マグロらしい味(うま味)が強かった。解凍法1で解凍した刺身の外側の食塩濃度は,解凍法2および解凍法3で解凍した試料の食塩濃度よりも有意に高かった。マグロ肉へ食塩が浸透することによって,粘性が増し,うま味が増強されるものと考えられた。
著者
肥後 温子 富永 暁子 井部 奈生子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.248-256, 2008-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

高火力化した熱源を使う乾式調理が増える中で,熱伝達効率の高い鉄製フライパンが減りフッ素樹脂加工製フライパン(アルミ製)が増えている。省エネの観点からも鍋を使い分ける必要があると考え,実調理試験を中心に比較試験を行った。その結果,(1)Fe製鍋は調理時間がAl-F製鍋の約7割と短い割に焦げ色が濃く,(2)表面温度や焦げ色などの外部要因をそろえて対比すると, Fe製試料は加熱時間が短いためにAl-F 製試料より軟らかい食感が残り易いことが確認できた。(3)Fe製試料の方が焦げ色,食感などの官能評価が高い場合もみられ,(4)食材による鍋材質の使い分けが必要であると思われた。
著者
吉田 恵子 飯村 裕子 野口 元子 石島 恵美子 荒田 玲子 渡辺 敦子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.99-106, 2021

<p> 茨城県では家庭料理として,けんちん汁をそばやうどんにかけたり,つけたりして食べることが知られているが,その詳細は明らかではない。そこで,「過去」(昭和30~40年代)と「現在」(2016年)とのけんちん汁の食べ方の変化を明らかにすることを目的とし,茨城県食生活改善推進員を対象に,喫食状況,具,だし汁,調理方法についてアンケート調査を行った。さらに,けんちんそば・うどんについては食べる機会や喫食形態,頻度についても比較した。その結果,「過去」ではけんちんうどんで食べた人が多かったが,「現在」はけんちんそばで食べる人が増加した。使用する具材やだし汁も変化し,「現在」では,作り方が簡便化し調味も多様化していた。また,日常食としても行事食としてもけんちんそば,うどんを食べる人は減少した。以上より,けんちん汁の食べ方や調理方法が,現在の食習慣に影響を受けて変化していることが明らかとなった。</p>
著者
吉田 真美 齋藤(大越) 麻美 富井 架乃 諸岡 祐佳里 藤原 しのぶ 冨田 綾子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.192-203, 2019-06-05 (Released:2019-06-21)
参考文献数
29

米の消費拡大と小麦アレルギー疾患等の対策を目的として,米粉と大豆粉を主材料とした新しいグルテンフリー食パン調製法について検討した。一般の大豆粉よりも脱臭大豆粉を使ったパンが好まれ,脱臭大豆粉:米粉=6:4の配合割合が最も評価された。これに,粉重量の30%の泡立て卵白添加が膨化と食味を促進し,比容積が向上した。その時の加水量は80%が適切だった。これらの配合組成で調製した食パンを脱臭大豆粉パンと称した。 脱臭大豆粉パンの特性について検討し,米粉100%食パンおよび小麦粉100%食パンと比較した。検討項目は,パンの大きさ,物性,水分量,抗酸化性(ラジカル捕捉能),官能評価等である。さらに材料の粉類のイソフラボン量の測定もおこなった。総体的に,脱臭大豆粉パンの評価は小麦粉パンには及ばないが,米粉パンよりは優れていることが多かった。官能評価では脱臭大豆粉パンは,日常的に食べられるパンであると評価された。脱臭大豆粉中のイソフラボン含有量が高く,それを材料とした脱臭大豆粉パンは強い抗酸化性を示した。

1 0 0 0 ワニ料理

著者
山崎 妙子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.155-159, 1996-05-20
参考文献数
9
被引用文献数
3
著者
春日 敦子 藤原 しのぶ 菅原 龍幸 青柳 康夫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.201-206, 1996-08-20
参考文献数
30
被引用文献数
1

椎茸の旨味成分の一つである5'-ヌクレオチドは一連の酸素反応により、RNAから生成され、無味のヌクレオシドに分解される。この過程に於いて、昇温速度の違いが5'-ヌクレオチドの生成に影響を及ぼすことは既に報告されている。そこで、実際に家庭で調理を行う場合を想定し、熱付加の様相や組織の損傷方法を変えた時の、5'-ヌクレオチドの蓄積量について検討した。熱付加方法の違いでは、昇温が短時間である沸騰した湯で加熱や500Wのような高出力電子レンジ加熱の場合。5'-ヌクレオチド増加量は少なく、出力の小さい100Wレンジ加熱や水から加熱した場合は多く蓄積された。また、組織に損傷を与えると、自己消化能は高まり5'-ヌクレオチドは増加するが、包丁の柄で叩くより組織の損傷の度合が大きいと考えられる。一晩冷凍し組織を損傷させてから加熱した方が5'-ヌクレオチドは多く蓄積された。また、冷凍後の解凍操作として、冷蔵庫内自然解凍、電子レンジ解凍、解凍なしの3通りについて水から加熱し、5'-ヌクレオチド含量を比較検討したところ、冷蔵庫内自然解凍は蓄積が少なく、解凍なし、電子レンジ解凍の順に増加した。また、試料を-40℃ブリーザーに保存し、経時的に冷蔵庫内自然解凍、電子レンジ解凍し、それぞれ水から加熱したときと加熱操作を行なわない場合のRNAと5'-ヌクレオチドを測定した。冷蔵庫内冷凍又は電子レンジ解凍し加熱した場合、5'-RNA、5'-UMP、5'-CMPは30日以降若干減少している傾向にあったが、5'-GMP、RNAはいずれの場合もほとんど変化が認められなかった。
著者
柴田 圭子 渡邉 容子 安原 安代
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.411-419, 2007-12-20
参考文献数
26
被引用文献数
3

スープストックの呈味と呈味成分における動物性抽出材料の組合せ効果と野菜の添加効果を検討した。試料ストックは動物性材料30%(牛すね肉,鶏がらを単独または組合せ)と野菜10%(玉ネギ50%,人参25%,セロリ25%)により調製した。更に,標準試料(B20-C10-V;20%牛すね肉,10%鶏がら,10%野菜)を実験試料および市販品と比較し,標準試料の性質の検討と市販品との比較も行なった。研究室の熟練パネルにより評価したところ,鶏がら単独のストックは牛すね単独のストックより好まれ,混合ストックは牛すね単独のストックより好まれた。ストックへの野菜添加は,甘味・うま味・総合評価で有意に向上し,特にストックのうま味程度が程よいMSG等価濃度65mg/100mlあたりで向上した。更に,主成分分析より標準ストックの食味はバランスがとれていた。
著者
都甲 潔
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.224-229, 2001-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
14
被引用文献数
4