著者
由井薗 隆也 宗森 純
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2635-2648, 2012-11-15

年,Webでは集合知と呼ばれる多くの人々を活用した知性が注目されている.集合知を実現するための条件をSurowieckiは多様性,独立性,分散性,集約性の4つにまとめている.今回,複数グループによる分散協調型KJ法で出された意見を用いることによって,集合知を指向した会議を検討した.第1段階目は,十数人の人々が独立したグループに分かれて分散協調型KJ法を行う.第2段階目は,それら結果を集約または集合させて分散協調型KJ法を行う.実験結果より,(1)集約性の高い会議技法においてまとめ文章の結果が良いこと,(2)その会議技法の参加者は第1段階目と関係ない参加者でも良い結果を導き出せる可能性が分かった. : A collective intelligence with groupware technology has been expected to produce good results. J. Surowiecki proposed success of the intelligence to be endowed with the four conditions: diversity, independence, decentralization and aggregation. A conference technique is considered to support the four conditions. In this consideration, the cooperative KJ method is carried out with more ideas obtained from some ten conferences by some groups in the first step. The technique utilizes all ideas or good ideas selected from previous ordinary conference in the second step. The experimental results showed that (1) the conference with good ideas had good aggregation and produced good results, and (2) the meeting had good performance by another group, not participated in the previous conferences, too.
著者
森下 健 中尾 恵 垂水 浩幸 上林 弥彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.2689-2697, 2000-10-15

SpaceTagは位置と時間の属性を持ち,特定の場所と特定の時間でのみアクセス可能な仮想オブジェクトである.位置センサと通信装置を備えたモバイル携帯端末を持って街を歩くユーザは,周囲にあるSpaceTagのみを見つけることができ,また自分のいる場所にのみSpaceTagを作成することができる.このようにSpaceTagシステムは情報が位置依存で提供されることからモバイル情報システムであり,また現実世界に情報を付け加えるので拡張現実感システムでもある.SpaceTagシステムは情報へのアクセスを現実世界の位置と時間によって制限するので,WWWなどと比較して不便なシステムといえるが,情報にはアクセスが困難だからこそ価値がある場合があると我々は考える.SpaceTagは公共の情報サービスとしての提供が想定され,観光案内,広告,地域掲示板,実世界ゲーム,局所通信などの応用が考えられる.SpaceTagはシンプルな概念であり,現在の技術でも比較的安価に実現が可能である.本論文ではこのSpaceTagプロトタイプシステムの設計と実装について説明する.
著者
サフキン パーベル 加藤 卓哉 福里 司 森島 繁生
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.1627-1637, 2016-07-15

人物の顔には老化にともない,しみやくすみ,皺やたるみが発生し,顔の印象が大きく変化する.このことから,経年変化顔生成技術は長期的な犯罪捜査や行方不明者の捜索に必要となる.既存研究の1つは,年代別顔画像データベースを用いて入力顔画像を小片画像単位で再構成することで,写実的な経年変化顔画像を合成する手法を提案している.しかし,この手法を含め,従来の経年変化顔画像生成手法には,老化時の人物の個人性を表す重要な要素である人物固有の皺の発生位置や形状を考慮できないという問題があった.そこで本稿では,この問題を解決する新たな経年変化顔画像合成手法を提案する.具体的には,若年での表情変化によってできる皺が老化時の皺発生の原因となるという医学的知見に基づき,表情変化時の顔画像で発生している皺を無表情顔画像へ転写することによって,老化時の皺の発生位置と形状を推定する.その後,年代別顔画像データベースを用いて皺の発生位置と形状が推定された結果を小片画像単位で再構成することで経年変化顔画像を合成する.提案手法は皺の位置や形状の個人性を反映し,また主観評価実験の結果から,その有用性を示した.
著者
加藤 利康 石川 孝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.1918-1930, 2014-08-15

本論文は,オンライン環境のある教室でのプログラミング演習のためのWebベースの授業支援システムにおいて,机間巡回では把握が困難なクラス全体と問題のある学生の学習状況を教員が随時に把握できるようにする学習状況把握機能の実現を目的とする.この実現の方法は,演習課題の配布,解答プログラムの作成,コンパイル,実行,および解答の提出を行える授業支援システムを基礎として,プログラミング演習における学習状況把握に対する要求分析と先行研究の調査に基づいて,機能の設計と評価を行う.クラス全体に対する機能は,教員があらかじめ用意した模範解答プログラムに基づく正解判定による解答開始から解答提出までの作業進度集計と,模範解答プログラムを基準としたコンパイルエラー行の同定によるエラー分類集計である.これらの機能は,コンソール出力を行うJavaプログラミングの課題に対して,十分な精度で適用が可能である.問題のある学生に対する機能は,作業進度の外れ値分析による作業が遅れている学生の検出と,該当学生の作業履歴の提示である.検出機能は,外れ値の基準値を教員が適切に設定することによって,対処可能な程度に問題のある学生を絞り込むことが可能である.これら2種類の学習状況把握機能を付加した授業支援システムは,実際の演習授業において,システムが提示する情報に基づく学習指導が全指導件数の約半数観察されたことから,プログラミング演習における学習状況把握に有効である.本論文で実現した学習状況把握機能は,教員が模範解答プログラムを用意することで,クラス全体の作業進度とエラー分類を提示し,また,作業が遅れている学生を検出してその作業履歴を提示することによって,机間巡回では把握が困難な学習状況を教員が随時に把握することを可能にする.In this paper, we aim to realize some functions related to the assessment of learning conditions in order to help teachers understand the learning situation in their classroom, which can be difficult to grasp. We implement the functions in a Web-based learning management system for programming exercises to be completed in the classroom in an online environment. Using this method, we design and evaluate the functions based on a survey of previous studies and a requirements' analysis for the assessment of learning conditions during programming exercises. This realization of functions is based on the use of a learning management system that enables the distribution of exercises, the creation of an answer program, compilation, running, and submission of answers. The functions for the whole class include a classification error count function and a work progress summary, prepared in advance; both of witch are based on the model answer program. These functions can be applied with sufficient accuracy with respect to exercises in the Java language for performing console output. Another function, for individual students, is the presentation of the student's work history and the detection of students whose progress is delayed by an outlier analysis of work progress. This feature can identify students with problems in manageable degree and help teachers properly set references value for outliers. Teaching guidance, based on information presented by the system in a real class, has been observed in about half of the total number cases. Thus, we can conclude that the learning management system incorporating these features, is effective in helping students learn situational awareness in programming exercises. The functions assessing learning conditions present the error classification summary and progress of the whole class for the reference of the teacher, to allow a model answer program. By presenting students' work history and detecting students whose progress is delayed, this function allows the teacher to grasp at any time, while going around the classroom, any difficulties in the learning conditions.
著者
藤澤 誠 三浦憲二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 = IPSJ journal (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1480-1488, 2008-03-15

この論文では,熱力学・流体力学に基づいて氷解現象のアニメーションを生成する手法を提案する.提案手法は,熱伝導・対流熱伝達・熱輻射を考慮し,融解後の液体の挙動も計算する.対流熱伝達を考慮する場合,融解する氷(固体)と融解後の水(液体)だけでなく,周囲の空気(気体)の振舞いも考慮しなくてはならず,この気液固三相を流体力学で計算することは非常に難しい問題である.我々は,VOF(Volume-of-Fluid)と呼ばれる単純なカラー関数を液体自由曲面追跡に用い,RCIP(Rational-Constrained Interpolation Profile)法と改良した界面数値拡散の制御手法(STAA 法)を用いることで,レンダリング時に現れる液体表面のエイリアスの問題を解決する.また,気液固の三相を同じ計算空間内でシミュレーションし,各相間の質量の変化量を明示的に扱える簡潔で分かりやすい相変化シミュレーション法を提案する.さらに,熱輻射現象は,フォトンマッピング法を用いて効率的に計算し,レーザによる融解現象などもアニメーション化する.This paper proposes a fast and efficient method for producing physically-based animations of the ice melting phenomenon, including thermal radiation as well as thermal diffusion and convective thermal transfer. Our method adopts a simple color function called VOF (Volumeof-Fluid) with advection to track the free surface, which enables straightforward simulation of the phase changes, such as ice melting. Although advection of functions that vary abruptly, such as the step function, causes numerical problems, we have solved these by the RCIP (Rational-Constrained Interpolation Profile) method. We present an improvement to control numerical diffusion and to render anti-aliased surfaces. The method also employs a technique analogous to photon mapping for calculating thermal radiation. By the photon mapping method tuned for heat calculation, the thermal radiation phenomenon in a scene is solved efficiently by storing thermal energy in each photon. Here, we report the results of several ice melting simulations produced by our method.
著者
市村 哲 間下 直晃 伊藤 雅仁 宇田 隆哉 田胡 和哉 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.70-79, 2005-01-15
被引用文献数
1

本論文では,PC の操作画面やアプリケーション画面をほぼリアルタイムに配信するWeb システムのための伝送量圧縮手法「Interframe Compression Method for HTML Push-out」(ICMHP)を提案する.著者らが実装したQuickBoard は,PC のデスクトップ画面をスナップショット画像として画像ファイルに保存し,これをHTTP でWeb サーバからWeb ブラウザに擬似プッシュ転送するWeb システムであるが,ICMHP はこのような情報プッシュ型Web システムに適した伝送量圧縮手法である.ICMHP は,プラグインやActiveX 等のプラットフォームに依存したコンポーネントを用いることなく実装できることが特徴である.このため,汎用的なWeb ブラウザや,PDA 等に搭載されている簡易Web ブラウザにPC 画面を配信する際に用いることが可能である.本論文では,実際の教育現場の要求を観察した結果について報告し,この観察結果に基づいて作成したプロトタイプシステムについて述べる.We developed "Interframe Compression Method for HTML Push-out" (ICMHP), a method integrating interframe compression mechanism used in video compression technology with web-server-side technology, delivering computer-screen images to standard web browsers, or even PDA portable web browsers. This paper describes a QuickBoard web-server system that implemented ICMHP scheme. The system allows users to deliver computer-screen images of any application to more than 100 web browsers running on various devices in quasi-real-time. That no client software except a standard web browser is needed for the user's PC is an important feature of the system. This paper describes the implementation and evaluation of the prototype we developed.
著者
磯山 直也 木下 晶弘 出田 怜 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.2151-2164, 2015-11-15

本稿は,参加型演劇YOUPLAYの概要,システム構成,公演を通じての考察について報告する.YOUPLAYとは,一般の参加者が演者となり,決められた物語の中で役を演じる舞台である.舞台は床と壁1面に映像が投影されており,舞台天井に設置されたカメラや参加者が身に着けたセンサの情報によって,映像や音声がインタラクティブに変化し,参加者は物語の中に没入して演じることができる.YOUPLAYはこれまでにVol.0(03/20-24, 2013)とVol.1(11/16-24, 2013)の2度,大阪梅田のHEP HALLにおいてそれぞれ40公演ずつ行っており,参加者の様々な反応を見ることができた.センサを一般人に装着させることでインタラクティブな表現をアドリブ演劇に取り入れることができたが,それにともなうトラブルも多く発生した.本稿では,参加者から得られた感想やトラブルの発生とその対処を含め,インタラクティブシステムのデザインについて議論する.
著者
清原 良三 栗原 まり子 古宮 章裕 高橋 清 橘高 大造
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1492-1500, 2005-06-15
被引用文献数
10

近年のi-modeをはじめとする携帯電話のネットワーク接続サービスの開始により,携帯電話上に搭載するソフトウェアの規模は急激に拡大している.そのため障害のない状態で携帯電話を市場に出すことが困難な状態になりつつある.そこで,ソフトウェア更新を短時間で実施するための方式を提案する.携帯電話のソフトウェアの更新時間は,無線網を転送するデータ量に依存する転送時間とフラッシュメモリを更新する書き換え時間とからなる.データ転送量を小さくするために,新版と旧版の差分データの転送量を小さくする必要がある.またフラッシュメモリの該当部分だけを書き換えればよい仕組みにする一方で,開発環境の複雑化を防止する必要がある.本論文ではソフトウェアの更新を前提とした携帯電話ソフトウェアの構造に関してメモリ上に空き領域を設けることとベクターテーブルを利用することを提案する.携帯電話のバージョン間の差分データを小さくするとともに,バージョン間でのフラッシュメモリの書き換えを小さくするにあたり,最適な分割方法を理論上で検証したうえで,実際の携帯電話のソフトウェアを利用して評価した.Due to increasing services installed in cellular phones (e. g. i-mode), it is difficult to release bug-free cellular phones. We have proposed a technology for updating cellular phones' software in a shorter period. The time required for software update consists of time for data transmission and time for rewriting data in Flash ROM. Data size should be small. In order to reduce the data size, differences between old version and new one should be as few as possible. It is required to update only the needed area as well as to keep the development environment simple. In this paper, we investigated module fragment method to minimize the updating time and evaluated our updating software in optimized method.
著者
安井 一民 中川 覃夫 沢 嘉也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.53-59, 1980-01-15
被引用文献数
2

最近 情報資源における安全性の確保 信頼性の向上 経済性の配慮などの各而から コンピュータ・ネットワークの必要性が強調されている.システムを構成するうえで いかに高信頼度を維持せしめるかは非常に重要な問題であり ここでは 4つの処理システムをもつループ・コンピュータ・ネットワークにおいて (1)単一ループシステム (2)バイパスのある単一ループシステム (3)双方向ループシステム (4)バイパスのある双方向ループシステム の4種類のモデルを考え それぞれのモデルに対して信頼性の考察を行い かつ 比較をするネットワークを構成する処理システムは フニイル・ソフト性を考慮して すべてマルチ・プロセッサ・システムとし ある処理システムが故障した場合 そのシステムを ネットワークに連接する他の処理システムがバック・アップするモデルを設定する.各々のシステムに対して マルコフ再生過程の手法を用いて 定常アベイラビリティ 平均システム故障回数 システム故障までの平均時間(MTTF)を求める.さらに 数値例として バック・アップ可能の確率が処理システムのアベイラビリティに等しいと仮定したとき 逐次近似法によって それぞれの信頼性の諸量を求める.
著者
Sho Kawahara Kenichi Kourai
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, 2016-06-15

In Infrastructure-as-a-Service (IaaS) clouds, users manage the systems in virtual machines (VMs) called user VMs through remote management systems (RMSes). To allow users to manage their VMs during failures inside the VMs, IaaS usually provides out-of-band remote management. This management is performed indirectly via an RMS server in a privileged VM called the management VM. However, it is discontinued when a user VM is migrated. This is because an RMS server in the management VM at the source host is terminated on VM migration. Even worse, pending data is lost between an RMS client and a user VM. In this paper, we propose D-MORE for continuing out-of-band remote management across VM migration. D-MORE provides a privileged and migratable VM called DomR and performs out-of-band remote management of a user VM via DomR. During VM migration, it synchronously co-migrates DomR and its target VM and transparently maintains the connections between an RMS client, DomR, and its target VM. We have implemented D-MORE in Xen and confirmed that a remote user could manage his VM via DomR after the VM has been migrated. Our experiments showed that input data was not lost during VM migration and the overhead of D-MORE was acceptable.------------------------------This is a preprint of an article intended for publication Journal ofInformation Processing(JIP). This preprint should not be cited. Thisarticle should be cited as: Journal of Information Processing Vol.24(2016) No.4 (online)------------------------------
著者
土谷 彰義 山内 利宏 谷口 秀夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.1539-1553, 2016-06-15

利用者が優先したい処理のファイルアクセスを高速化するには,その際の入出力バッファのキャッシュヒット率を向上させることが有効である.そこで,入出力バッファを2つの入出力バッファ領域に分割し,指定されたディレクトリ直下のファイルを優先的にキャッシュするディレクトリ優先方式が提案されている.しかし,この方式は,優先的にキャッシュするファイルの入出力バッファ領域サイズを単調増加させる.このため,他方の入出力バッファ領域サイズが単調減少し,そのキャッシュヒット率が大きく低下し,計算機全体の性能低下を招いてしまう問題がある.そこで,本論文では,各入出力バッファ領域のキャッシュヒット率に着目した入出力バッファ分割法を提案する.具体的には,優先的にキャッシュするファイルのキャッシュヒット率を高く維持できる範囲で,そのほかのファイルのキャッシュヒット率の低下を抑制するように入出力バッファを分割する.提案方式を実現し,評価により,その有効性を示す.
著者
カジョキンニキタ 谷口 由紀 萩原 一郎 サブチェンコウラディミール
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.1202-1211, 2004-04-15
被引用文献数
3

画像上の傷の修復問題にCSRBF 法を適用する.ここでは,著者らが開発した高速アルゴリズムに基づくCSRBF 法を用いて,画像上についた傷を修復するための手法の新たな開発を行う.本報で開発した手法を用いると,従来の画像の傷修復アルゴリズムではできなかった広範囲に及ぶ傷や大きな傷の修復を,短時間に精度良く行うことができる.また,本報では,テクスチャ模様のような色の変化が大きい画像修復に適している新たなLCSRBF 法や,多角形的な傷の修復問題に対する新しい手法の開発も行い,実際の使用例を提示してこれらの有効性について述べる.We employ the method of compactly supported radial basis functions (CSRBF)for a problem of fulfillment of damaged surface areas.In this paper we propose a new technique based on the method of CSRBF for retouching surface of damaged areas.By using our method,we can retouch disconnected large areas.It is enough speed and accuracy for practical use.We also develop a new method of LCSRBF (local compactly supported radial basis functions) for image retouching of textured images which have a sharp change in the color and a new technique for surface retouching of polygonal objects with missing or damaged areas in this paper.We show these efficacy by giving experimental results.
著者
吉田 雅裕 大坐畠 智 中尾 彰宏 川島 幸之助
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.2008-2022, 2009-09-15
被引用文献数
9

P2Pファイル共有ネットワークは世界中で非常に多くのユーザに利用されている.しかし,現在広く普及しているP2Pファイル共有ネットワークには,ファイル流通制御機能が実装されていない場合が多く,著作権侵害ファイルやマルウェアなどの流通が問題となっている.これらの問題を解決するために,インデックスポイズニングを用いたファイル流通制御手法が注目されているが,その効果やネットワークへの影響はこれまでにあまり明らかにされていない.そこで本論文では,10万台以上のアクティブなピアによって構成される実際のWinnyネットワークに対して,ファイル流通制御のためにインデックスポイズニングを適用し評価を行った.提案手法では,Winnyネットワークの本質であるファイル流通技術としての側面を否定することなく,なおかつ,著作権侵害ファイルの流通などの反社会的な利用のみを技術的に制限することを目標とする.キーと呼ばれる,ファイルのメタデータを利用するWinnyのファイル流通プロトコルに着目し,ファイルのダウンロードに必要な特定のキーを,インデックスポイズニングを用いてネットワーク上から消去することによりファイル流通制御を実現した.評価実験の結果,提案手法をWinnyネットワークに適用した場合は,Winnyピアが特定のファイルのキーを入手できる確率が,適用しない場合の0.005%まで低下することを確認した.また,提案手法を用いた制御は,1,000個のファイルを同時に制御した場合であってもWinnyネットワークへの負荷が少ないことを示した.Peer-to-Peer (P2P) file sharing networks have been widely used by millions of users all over the world. However, these networks do not have management mechanisms for distributing files in general. Consequently, copyright infringements in P2P file sharing networks have become prevalent. In order to prevent illegal file distribution, an index poisoning has attracted much attention recently. Although index poisoning aims to obfuscate uses by diffusing a lot of dummy metadata in P2P networks, its effects have not been well studied yet. In this paper, we apply an index poisoning method to Winny network, one of the most popular P2P file sharing networks in Japan, to control the file distribution. Our evaluation includes index poisoning in live Winny network composed of over 100,000 active peers. In our method, the file distribution technology of the Winny network is not denied. Moreover, our method solves only antisocial behavior, such as a copyright infringement problem. The result shows that our proposed method can decrease the number of query hits to less than 0.005% compared to the case without our control. The result also shows that our proposed method does not exert a bad influence on Winny network, even when 1,000 files are under our control simultaneously.
著者
竹内 俊貴 田村 洋人 鳴海 拓志 谷川 智洋 廣瀬 通孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.2441-2450, 2014-11-15

本研究では,個人の電子的な生活記録であるライフログとあらかじめ決まっているスケジュールに基づいて,未来のタスクの進捗状況を予測・提示することで,円滑なタスク進行を促す手法を提案する.複数のタスクの重複による管理の煩雑さや,人間の時間選好性によるプランニングの誤りにより,将来的なタスク状況を適切に意識できずに破綻が生じることがある.提案手法は,未来のタスク状況を逐時フィードバックすることで,作業量を修正するようにユーザに自発的に行動変化を起こさせる.自由記述形式のライフログを取得する実験から,日常行動を「睡眠,食事,生活,タスク,予定,移動,余暇」の7項目に分類することとした.ユーザは各行動に当てた時間をスマートフォンを用いて記録し,また,Webカレンダを用いてあらかじめ定まっているスケジュールを記録する.これらの情報から,簡単な単回帰モデルによる未来予測を行い,馴染みのある日記を模したインタフェースに未来のタスクの進捗状況を提示するシステムを構築した.ユーザスタディにより,予測提示が被験者の行動に影響を与えたことを確認した.また,提案システムにおいては,日記を模したインタフェースが,グラフを用いたインタフェースよりも有用であるという評価が得られた.People who are busy generally have to manage a great variety of tasks. But sometimes, they fall behind in minor tasks and gradually, even without them noticing, a huge backlog piles up, far beyond the person's capacity to complete them well and on time. We proposed a task-management system that predicts a user's future state on the basis of the user's lifelog and plans. The proposed system gives feedback about future situation of a task, and it brings behavior induction to users. In this reseach, we classifies daily activities as sleep, meal, life, task, plan, movement, and leisure. The system predicts the time which a user can spend on a task using a simple linear regression model. Then it presents the future status to the user using a diary-like interface. We implemented the system using a smartphone and estimated its usefulness with a user test. As a result, the users of our system saw their future diaries and tried to alter their current daily activities.
著者
星野 准一 田中 彰人 濱名克季
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.2539-2548, 2008-07-15

格闘ゲームのような対戦型のアクションゲームにおいて,コンピュータが操作するキャラクタ(以下COM)の行動は変化に乏しく,プレイヤは繰り返しプレイすることによってCOMの行動パターンを憶えてしまい,ゲームに飽きてしまうという問題がある.そこで,本稿ではプレイヤを模倣学習する手法を用いて,COMの行動パターンを拡張する手法を提案する.本手法では,プレイログを記録し,対戦相手であるプレイヤの行動パターンを分析し,そのプレイヤの行動パターンの一部を模倣することでCOMの行動パターンを拡張する.本手法を用いることで,試合ごとに行動パターンを拡張し,成長していけるCOMを生成することが可能となる.
著者
福本 聡 海生 直人 尾崎 俊治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.887-893, 1990-06-15
被引用文献数
6

コンピュータシステム とりわけデータベースシステムにおけるフアイル系の構成および回復技術は システム運用の上で極めて重要な役割を持つ.ここでは 最も一般的なファイルの回復技術?ロールバック・リカバリ?に関するチェックポインティング方策について考察する.これは主記憶装置のファイルに障害が発生したとき トランザクションの処理をシステムの稼働開始時点からやり直すのでなく チェックポイントと呼ばれるある前もって定められた時点において情報を安定な二次記憶装置に記憶しておき その時点から記憶された情報を使用して再び処理を行うという回復技術である.そのときチェックポイントをどのように決定するかが問題となる.頻繁にチェックポインティングを行うと記憶のための費用が多くかかるし 少なく行うと障害が発生したとき回復のための費用が多くかかる.ゆえに それらのトレードオフを考えたチェックポイント時刻列を求める必要がある.本稿では 定常状態における単位時間当りの近似期待費用を最小にするチェックポイント時刻列について議論する.その結果 チェックポインティング濃度の汎関数として近似期待費用を導出し それを最小にする最適チェックポイント時刻列を求める手順が示される.また数値例として 障害発生時間の累積分布関数にワイブル分布を仮定した場合の結果を計算し その解析結果の有用性を示す.
著者
吉田 俊介 野間 春生 柳田 康幸 保坂 憲一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.3819-3826, 2007-12-15

著者らはすでに2 自由度のリニア誘導モータ(LIM)を利用した力覚付きデジタルデスク環境を提案したが,その手法により同時に制御できる物体は1 つに限られた.本論文では複数人での共同作業をも可能とする,複数物体を同時制御可能な新しい方式のLIM による力覚付きデジタルデスク環境Proactive Desk II を提案する.提案手法では机の下に配置された多数のコイルを独立に制御し,異なる強度の磁束を生成する.それらの集合として構成される磁界はある時刻において従来手法のLIMと等価な状態となるよう制御し,それらを局所的に発生させることで複数物体を駆動させる.そしていくつかのアプリケーションを構築し,複数人が同時に利用でき,個別に異なる力覚を体験可能であることを確認した.We have designed a haptic display for ordinary digital desktop operations. It employs a general two degree-of-freedom linear induction motor (2-DoF LIM) and provides two-dimensional force on a desktop surface, but only for a single object. For cooperative tasks between multiple users, we propose the next-generation Proactive Desk II having a novel style of LIM which can apply individual forces to multiple objects simultaneously. The system employs a cluster of coils for synthesizing several traveling magnetic fields underneath the desktop. These magnetic fields simulate a local region of the field created by standard 1-DoF LIM, and these control multiple objects individually. Finally, we confirmed that this system can provide individual haptic experiences for each user using several applications.
著者
井田 明男 金田 重郎 熊谷 聡志 矢野 寛将
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.1399-1410, 2016-05-15

近年では,スコープを細分化して,小さなリリースを繰り返す開発スタイルが広がりをみせているため,見積りの頻度も高くなる傾向にある.ソフトウェアの機能規模の測定方法として国際規格のCOSMIC法がある.この方法は,認知された測定手法であるが,正確な測定のためには,すべての機能プロセスにおけるデータの移動を計測しなければならないため,利用者機能要求が機能プロセスを取り出せるほど詳細でない場合には適用が難しい.それに対して,業務アプリケーションの要求記述は,機能に関する記述の網羅性は概して高くない.なぜならば,要求記述は,何を管理したいかに主眼が置かれ,どのように管理するかについては,あえて捨象されるからである.そうであるなら,要求記述から直接的に機能プロセスを網羅的に抽出することはできないと考えるのが妥当であろう.そこで,本稿では,COSMIC法をベースに,業務で扱うエンティティの存在従属性に着目した機能規模の測定法を提案する.要求記述から先にエンティティの存在従属グラフを作成し,そこから機能プロセスを抽出して測定を実施する.そのため,利用者機能要件の取りこぼしが少なく,正確な機能規模の測定が行えると期待される.確認のため,宿泊予約サイトの要求記述について,提案手法による測定結果とCOSMIC法による測定結果を比較した結果,それらの間には高い一致性が得られたため,提案手法は有効であると判断する.
著者
丹羽 智史 土肥 拓生 本位田真一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.1382-1392, 2006-05-15

協調フィルタリングを用いた商品推薦システムを応用してWeb ページ推薦システムを構築しようとする試みは従来から行われてきたが,十分な量のデータソースを確保することが困難なことや推薦対象であるWeb ページの数が大きすぎることなどから,その用途は非常に限定されたものだった.本論文では近年急速に普及し始めたソーシャルブックマークとFolksonomy を利用して,インターネット上のWeb ページ全体を対象としたWeb ページ推薦システムの構築手法を提案する.
著者
田中 一晶 山下 直美 中西 英之 石黒 浩
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.1108-1115, 2016-04-15

ヒューマノイドロボットの遠隔操作と自律操作の本質的な違いは遠隔地にいる操作者の存在の有無と考えることができる.この存在の有無をユーザがどのように判断しているのかはいまだよく分かっていない.その判断のメカニズムを明らかにすることによって,自律ロボットとの対話を人との対話のように感じさせることが本研究の目的である.被験者が遠隔操作状態と自律状態のロボットとそれぞれ対話する実験を行った.その結果,自律状態のロボットとの対話における操作者の存在感は,遠隔操作状態であると“信じて”同じロボットと対話した事前の経験に基づいて判断されることが分かった.自律状態での対話の質が事前の経験での対話の質と乖離していると操作者の存在感は低下してしまうが,事前の対話において自律システムが操作者を装ってユーザと対話し,両状態を曖昧化することで,操作者の存在感を効果的に生み出すことができた.