著者
酒井 敏夫 増田 充 荒井 聡博 大野 恒男 田辺 正夫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.111-116, 1951-08-01

吾々は, 徹夜時に見られる心身諸変化の消長を詳細に観察する目的を以つて, 蓮続反応時, 時間錯誤, 膝蓋腱反射閾値, 脈膊恢復曲線, 体温, 血圧, 及び尿竝びに唾液のpHを逐時的に測定した。共の結果,<BR>(1) 体温, 及び尿のpH, は, 漸次下降する傾向にある。唾液は, 尿のpHほど一定の傾向が得られなかつた。<BR>(2) 血圧は, 順時下降し, 特に最小血圧の変動は, 徹夜作業時に微妙な関係を有しているようであつた。<BR>(3) 運動負荷に対する, 脈膊数の増加は, 時間の經過につれて減少し, 又恢復時間も延長するようであつた。<BR>(4) 膝蓋健反射閾値の逐時的変化は, 從來発表されている成績と一致した。<BR>(5) 時間錯誤試験では, 午前12時を境にして正の錯誤, 負の錯誤が著明で, その移行は逐時的なものが説察された。<BR>(6) 迚続反応時より見たる徹夜時の大腦機能は午前12時頃までは本実験の如き精神負荷では漸次集中過程に入り, それ以向は, 興奮と抑制の強い混在が著明に現われて來るようであつた。翌日に於ける大腦機能では, 從來吾々が実験し得なかつた大腦皮質興奮の異常なものの存在を知つた。
著者
堀田 昇
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.461-464, 1996-08-01
参考文献数
8
著者
湯浅 景元 後藤 佐都美
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.46-52, 1993-02-01

Twenty-eight skinfold measurements taken from 223 Japanese females, ranging in age from 16 to 26 years, were analyzed to study the anatomical distribution and total mass of subcutaneous fat on the trunk and limbs. The measured thicknesses of subcutaneous fat varied on average from 5.8 to 22.7 mm. The thicker skinfolds were obtained from the abdomen, waist, and thigh. The calculated total mass of subcutaneous fat on the trunk and limbs was 13.7±3.78kg, corresponding to 23.3±3.87% of total body weight. The slopes of the regression lines between the total mass of subcutaneous fat and skinfolds ranged from 0.22 to 2.19. The slopes obtained for the abdomen, greater trochanter and thigh were steeper than those for other regions. It is suggested that the Japanese females have greater skinfolds at the abdomen, waist and thigh than at other regions, and that differences exist among various regions in subcutaneous fat accumulation.
著者
丸山 千寿子 岩根 久夫 高波 嘉一 勝村 俊仁
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.325-333, 1994-10-01
被引用文献数
2

長時間の競技であるトライアスロン競技選手男性18名について, 競技前々日, 前日, 当日のエネルギー消費量と栄養摂取量を調べた.<BR>1.体重は競技終了直後に前々日とくらべて1.2±1.2kg減少し, ヘマトクリットは前々日44.2±2.3%に対し, 競技終了直後は46.4±1.9%と有意に増加した.<BR>2.エネルギー消費量に対する摂取量の充足率は, 前々日は203±53%, 前日は151±40%と上回っていたが, 競技当日の充足率は55±27%と少なかった.<BR>3.前々日, 前日の摂取量は, 糖質エネルギー比は, 前々日が61.3±7.7%, 前日62.4±11.6%で競技前の摂取量が少ない者がいた.ミネラルとビタミン摂取量は個人差が大きく, 食事のみに依存する者においては, 競技に備えて不足する危険性が示唆された.<BR>4.競技中エネルギー摂取量は, 朝食で1006±361kcal, 自転車1692±608kcal, マラソン1087±874kcal, 合計3729±1452kcalであり, 糖質エネルギー比は朝食において71.8±14.4%, 自転車92.2±5.7%, マラソン88.2±13.3%であった.タンパク質, 脂質摂取量は朝食での摂取量が多く競技中は少なく, 競技中は主として糖質を摂取していた.ミネラル, ビタミンの摂取量は個人差が大きかった.水分摂取量は朝食で664±275ml, 自転車で3744±1664ml, マラソン2973±2363ml, 総摂取量7488±3653mlであった.<BR>5.所要時間の関係もあろうが, 一般にサプルメントや水分をとりやすい自転車競技中に多く摂取しており, マラソン中はいずれの栄養素も摂取量が少なかった.<BR>6.トライアスロンのような長時間にわたる競技において, 競技前から競技中にかけて糖質含量の多い食品を中心に摂取した場合に, 鉄やビタミンB群などの他の栄養素の絶対的, 相対的不足を招く危険性があり, 各栄養素間のバランスについて注意を要すると考えられた.