著者
廣瀬 博文
出版者
徳島工業短期大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

本研究ではバイオ燃料として竹を砕いて粉末状にした竹粉をレシプロエンジンに投入する実験を行った. 竹は数年で育ち, 放置竹林がますます増大して環境問題となっている. この解決策として竹をレシプロエンジンの燃料として活用できないか研究を行った. レシプロエンジンの燃料として竹を活用できれば需要が増大し放置竹林が解消するだけでなくエネルギー問題の改善へ貢献できるのではないかと考えている. しかし, 竹粉だけをレシプロエンジンに吸入させて燃焼させるにはいくつか問題点があるため、従来の燃料と混合した竹粉混合燃料としてエンジンを動かし, 化石燃料の消費量を押さえつつ発電を行える発電機を研究することにした. 発電機のエンジンの種類として軽油を燃料とするディーゼルエンジンを使用することにした. 実験方法は無負荷の状態と発電機の限界負荷を掛けた状態の二つの条件で竹粉の量を変化させて投入し軽油の消費量と黒煙の濃度を測定した. 実験結果は無負荷の状態で特定の条件で軽油の消費量を抑える竹粉投入量を確認することができた. さらに竹粉の投入限界量を確認することができた. しかし, 発電機の限界負荷を掛けた状態では, 無負荷でもっとも効率がよいと思われる竹粉量でも軽油の消費量を抑えることができなかった. 今回の実験では市販のディーゼル発電機を利用して実験を行ったがこの市販のディーゼル発電機は軽油を使用したディーゼルエンジンが最も効率が良い回転数に設定されているが, この回転数では竹粉を燃料とするには高すぎるのではないかと思われる. 回転数が高いために竹粉が燃えるのに必要な時間が足りず多くの煤が発生しエンジンを停止に追い込む悪循環となっている. 今後の研究としては発電機を改良して竹粉を燃料として活用できる最良の条件を模索していきたい.
著者
池谷 修
出版者
慶應義塾大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

【目的】免疫抑制剤タクロリムスは、肝代謝酵素CYP3Aで代謝され他の薬物や食品との相互作用が臨床上大きな問題となる場合がある。我々は同種造血幹細胞移植後にタクロリムスを内服し、安定した血中濃度(9.9-10.3ng/ml)が維持されていたがルイボスティーの連日摂取によって血中濃度が3.0ng/mlまで低下するとともにグレード3の皮膚GVHDを発症した症例を経験した(日本造血細胞移植学会雑誌2013 ; 2(4) : 109)。そこで、ラットを用いてタクロリムスの薬物動態に対するルイボスティーの影響を検討した。【方法】Wistar系雄性ラット(n=6)にフリーアクセスで1週間水を与えて飼育し、タクロリムス(経口懸濁製剤)1.5mg/kgを経口単回投与し、投与後15min, 30min, 1, 2, 3, 4, 8, 12hrの8点の採血を尾静脈より行った。その後7日間washoutを行い、続けてルイボスティーのみをフリーアクセスで1週間与え、同様のスケジュールでタクロリムス投与後に採血を行った。ラットの血中濃度の測定は、PRO-TRACIITMFK506(DiaSorin社製、USA)を用いてELISA法により行った。【結果】ルイボスティー投与群ではタクロリムス1.5mg/kg経口投与時の12時間後までのAUC(mean±S.D.)は、13.45±3.47ng・hr/Lとルイボスティー投与前の17.57±10.57ng・hr/Lに比べ、統計学的な有意差は認められなかったものの23.4%も減少した。さらに、最高血中濃度(mean±S.D.)も5.47±2.84ng/mLとルイボスティー投与前の7.75±5.2ng/mLに比べ29.4%低下した。【考察】ラットを用いた動物実験からルイボスティーは、CYP3A酵素を誘導しタクロリムスの血中濃度を低下させる相互作用がある可能性が示唆された。
著者
瀬川 拓郎
出版者
旭川市博物館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

奥州藤原氏の勢力を支えたものに馬・ワシ羽・海獣皮等があるが、なかでも同地方で産出する砂金が最重要であったことはいうまでもない。この砂金はおもに北上山地に産するものとみられているが、はたして同地方の砂金だけで莫大な流通をまかなうことができたのか、疑問の声も少なからずある。このなかで、1962~68年に行われた中尊寺金色堂の解体工事の際、金箔調査に立ち会った探鉱技術者・砂金研究者の秋葉安一氏は、北上山地の金を用いたとみられる金箔に混じって、北海道日高産の可能性が高い金箔が使用されていることを肉眼で確認した。しかしこの指摘にもかかわらず、これを自然科学的な手法で確認しようとする調査はその後行われてこなかった。一方、10~13世紀の北海道では、厚真町や平取町など胆振日高山中の狭隘な谷筋に古代アイヌの集落が密集し、また高価な本州産金銅製鏡が多く出土するなどきわめて特異な状況を見せており、なぜ古代の胆振日高山中にこのような状況が現出したのか、議論が交わされてきている。秋葉氏の指摘を踏まえれば、胆振日高は有数の砂金産地であることから、その砂金が古代から東北北部に移出されていた可能性は十分に考えられる状況にある。藤原氏の勢力を支えた金が、北海道産を含むものであったとすれば、当時の北方世界の交流をめぐるイメージは大きな転換を迫られ、古代中世の北海道・東北史にはかりしれない影響をおよぼすことになろう。本研究では上記の課題に迫るため3つの作業を行った。1中尊寺金色堂関係の金箔及び北上山系出土砂金の化学分析用資料の提供について平泉町役場の文化財担当者と打ち合わせを行い、平成25年度に協力を得られることになった。またこれら資料の調査を行った。2北上山系砂金との比較用に北海道出土砂金を約20サンプル入手し、函館高専において蛍光X線分析器による成分分析を実施した。そのデータについては上記の平泉関係金資料の成分分析後に公表する。3厚真町内の河川において北海道砂金史研究会会長らの協力を得て砂金の採取を実施し、これまで砂金が確認されていなかった同地域で初めて砂金を確認した。これにより、厚真町の山間部に密集する古代集落が砂金採取と関わるものであった可能性について見通しをもつことができた。
著者
安田 誠一
出版者
明星大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

・研究目的18歳人口の減少等、外部環境の変化に伴い、大学は戦略的な経営を行う必要があり、現場に近い大学職員の経営企画能力の育成は極めて重要となってきている。中教審の答申では、「業務の高度化・複雑化に伴い、大学院等で専門的教育を受けた職員が相当程度いる」ことが、教員・職員協働で大学改革を実行する必要条件になるとしている。OJTや集合研修と異なり、集中して体系的に、専門分野について学べる大学院は、大学職員の職能開発の有効な手段であると考えられる。一方で、職能開発における大学院の優先順位はそれほど高くなく、大学職員自身が業務外の時間に経済的負担を負って進学している現状がある。そこで本研究では、職場である大学側と社会人大学院を修了した大学職員との間の「大学院教育の有用性」に対する意識の違いを明らかにすることを目的として研究を実施した。・研究方法全国の国公私立大学(771校)の人事部を対象に質問紙法にて「職能開発における大学院教育の位置づけ」を問う調査を行うと共に、特徴的な大学2大学にヒアリング調査を実施した。・研究成果本調査の有効回答数は272校であり、回答率は35.3%であった。調査の結果、大学職員の能力開発については98.9%、自己啓発については95.6%の大学がその必要性を感じていることが明らかとなった。一方、大学院を「自己啓発の場として望ましい」とした回答は全体の19.5%であり、大学院進学を支援する制度を持つ大学は、22.1%であった。先行研究において明らかになっている大学院を修了した大学職員自身が感じる「大学院の有用性」と、職場側が感じる「大学院の有用性」が大きく乖離することが浮き彫りとなった。加えて、ヒアリング調査においては、大学院で学んだ知識の実務への還元についての不安も挙げられた。
著者
豊前 太平 (嶋田 太平)
出版者
東京工業大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

【目的】煮込み調裡における食材へのうま味のしみ込み現象は,煮汁中のうま味成分が食材表面から内部へと浸透する物質移動現象である.本研究は,ゆで卵への調味という身近なテーマを題材とし,高校の教育課程では触れることの少ない化学工学(移動現象論)について,入門的な学習機会を創出することを目的とする.ここでは,食材(ゆで卵)への物質移動について,食紅を用いた視覚的評価,および,煮汁中の金属カチオン濃度の定量的評価から考察する.【題材】おでん料理では,事前に作ったゆで卵を,殻を剥いた状態で煮汁に浸して調味する.一方,「味付けゆで卵」と称されるゆで卵は,「殻付き」の状態で味付けを施されたゆで卵であり,味付けに係わる物質移動は,卵殻を介する点で,おでん料理の場合と大きく異なる.本研究では,味付けゆで卵の調味プロセスについて取り上げる.【実験】精製水,市販の硬水(硬度1468mg/L),または,イオン調製水(Mg^<2+>,Ca^<2+>またはNa^+;0.025~0.1mol/L)500mLをビーカーに取り,生卵を投入後,ガスコンロにて加熱した.沸騰から5分経過後に加熱を終了し,すみやかに卵を取り出した.また,精製水または市販の硬水200mLに食紅0.05gを溶解し,その中に加熱後の殻付きのゆで卵を3~24時間浸すことにより,物質移動の視覚的評価を行った.さらに,卵殻に精製水20mLを入れ,75℃に調節したイオン調製水50mL中で所定時間加熱し,卵殻を通した金属カチオンの移動を評価した.金属カチオンの定量には,イオンクロマトグラフィーまたは原子吸光光度計を用いた.【結果】煮汁から卵殻内への金属カチオンの移動は,浸漬時間60分程度では,有意に現れなかった.これは着色による評価でも同様に観察され,白身の着色は,薄くまばらであった.浸漬時間が24時間と長くすることで,卵殻を通した白身の着色は明確になった.
著者
浪花 彰彦
出版者
北海道大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

報告者は、無積雪地帯におけるニホンジカの誘引方法について研究するため、市販されている融雪剤三種(塩化ナトリウム・塩化カルシウム・塩化マグネシウム)を誘引剤として用いて、カメラトラップ法によって撮影した写真から、誘引効果が認められるかどうか検証する実験を行った。実験は、和歌山県東牟婁郡古座川町にある、北海道大学和歌山研究林の林内で行った。誘引地点を林内3箇所に設定し、それぞれの地点において、給塩ポイントとして、三種類の融雪剤を2.5kgずつ入れた桶を25m間隔で設置した。またそれぞれの誘引地点に隣接するように、給塩なしの対照ポイントを設定した。それぞれの給塩ポイントおよび対照ポイントには、自動撮影可能な赤外線センサー付デジタルカメラ(Stealth Cam Rogue IR Digital Video Game Scouting Camera)を設置し、撮影範囲に出現する野生動物の撮影を行った。2009年12月から2010年1月にかけて1ヶ月にわたって実施した給塩実験の期間中、センサーカメラを常時作動し、連続撮影を行った。1ヶ月の給塩実験期間中に撮影されたニホンジカの頭数は、延べ185頭であった。対照ポイントでの撮影頭数27頭に対して、三種類の融雪剤を給塩したポイントでの撮影頭数は、塩化ナトリウム(Na),が92頭、 塩化カルシウム(Ca)が21頭、塩化マグネシウム(Mg)が45頭であった。対照ポイントにおける撮影頭数との比を取ると、Na=3.4、Ca=0.8、Mg=1.7となった。さらにNa給塩ポイントで撮影された写真からは、シカが桶から塩を舐め取っていると思われる様子が頻繁に観察された。以上の実験結果から、塩化ナトリウムが、ニホンジカに対して高い誘引性を示すことが明らかになった。市販されている融雪剤三種のうち、最も単価が安いものは塩化ナトリウムであるため、費用対効果の観点からも、塩化ナトリウムがシカの誘引剤としては優れた効果を持つことがわかった。
著者
遠藤 金吾
出版者
秋田県立秋田南高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

【研究目的】近年、博士号を取得しても定職に就けない余剰博士が問題化していおり、博士号取得者をアカデミア以外の業界で活用しようという動きが盛んになっている。また、秋田県では、昨今問題視されている理科離れに鑑み、子どもたちの理数分野への興味・関心を高め、将来の科学技術・医療を担う人材を育成する事を目的として、全国に先駆けて理系の博士号取得者を対象とした教員採用試験の特別選考を行い、新たな博士のキャリアパスの開拓へとつながる試金石として注目を浴びた。申請者はこの選考による採用者であり、自らの教育実践を通し、博士号取得者に対して、初等中等教育の教員としてのロールモデルの提示を行っていくと同時に、学術界・教育界に対して、理系博士号取得者の初等中等教育の教員としての有用性を訴えていく。【方法・結果】専門性を生かした授業・実習プログラムを開発し、秋田県内の小中高校において実践した。その実践報告を、日本理科教育学会、日本生物教育学会にて行った。文部科学省中央教育審議会大学院部会において、本研究の取り組みについて答弁を行った。(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/attach/1288749.htm)【結果】日本理科教育学会、日本生物教育学会での実践報告、中央教育審議会での答弁の他、名古屋大学ノン・リサーチキャリアパス支援事業のパンフレット、文部科学省科学技術白書にて紹介されたことにより、博士号取得者に対してのロールモデルの提示を行い、学術界・教育界に対する、理系博士号取得者の教員採用の意義を訴えることができた。内閣府行政刷新会議においても博士号取得者を教育界で活用する方針が打ち出され、岩手県など、博士号取得者の教員採用が広がりつつあり、今後、本研究の成果が各方面で活用されていくことが期待できる。
著者
中村 理果
出版者
弘前大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

研究目的:男性不妊のスクリーニング検査として精液検査は必要不可欠だが、それには「におい」に関する項目はない。しかし精液のにおいには個人差があり、精液検査所見の悪い場合に特ににおいが強く感じられる。このことから精液のにおい物質を特定し、男性不妊の代表である乏精子症・無力精子症と精液のにおいとの関連について検討する。研究方法:1. 精液を-30℃で保存した後、島津製作所GCMS-Q2010を用いてガスマトグラフ質量分析法で測定を試みた。測定条件を決めるために、においが強く感じられる検体で測定したが何のピークも検出されなかった。2. ヒトの鼻は分析機器よりも感度が上であるため、鼻でにおいを感じても測定濃度以下のこともある。このためGC-MSで微量成分分析を行う際は抽出や濃縮などの前処理が必要なこともあることから、マイクロスケールパージ&トラップーガスクロマトグラフ質量分析法で測定をした。研究成果:マイクロスケールパージ&トラソプーガスクロマトグラフ質量分析法により、におい成分としてアセトアルデヒド、メタノール、イソブタナール、ブタナール、イソオキサゾール、2-ベンタノン、ペンタナール、トリエチルアミン、ピロール、ヘキサナール、2-ヘプタノンが検出された。しかしこれはライブラリー検索の結果得られた推定成分であり、成分の同定には別途標準品を用いた試験が必要である。また今回は定性試験のみであり、時間と予算の都合上定量試験は行っていない。今回は1検体のみの測定であったので今後検体数を増やし、鼻で感じるにおい成分の特定および精液所見との関連にっいて調べていきたい。
著者
石橋 宏之
出版者
東海大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

近年、子どもたちの理科離れが深刻な問題となってきている。本来、好奇心旺盛な幼児期に「遊び」を通して様々な体験や経験から学んでいた原理や仕組みが、おもちゃの複雑化・IT化によって、体験から学ぶ事が非常に難しい環境になってきている。更に、小学校以上の義務教育機関では、カリキュラムや単位数に縛られ、子どもたちに体験的学習をさせる事が難しい。そこで本研究では、「遊び」を通して子どもたちに科学的要素を体験できる教育プログラムを実施し、当該プログラムの有用性の調査として、過去に本プログラムを実施した卒園生(保護者含む)と実施しなかった卒園生(保護者含む)を対象にアンケート調査を併せて行ない、より教育効果の高いプログラムの開発を目指す。1. 本田記念幼稚園卒業生へのアンケート調査(対象:1年生~6年生、対象:401名 有効回答193名)を実施設問22.『生活科・理科・算数はすきですか(卒業生回答)』の問では、本プログラム参加者58名中、95%の方が『すごく好き』・『好き』を選択した。不参加者131名中、86%の方が『すごく好き』・『好き』を選択した。したがって、本プログラムを選択した子どもたちは、小学校に進学後も、継続して理系科目に興味を持ち続けていることが読み取れる。さらに、設問36.『当時お子様と一緒に、何かを作ったり直したりした事はありましたか(保護者回答)』の問では、参加者の90%の方が、『よくあった』『時々あった』を選択、不参加者の86%を上回っている。つまり、理系科目に興味を持つには、保護者との関わりも重要であることが読み取れる。2. 全国幼児教育研究大会で報告。2008年8月5日 テーマ:『考えよう思考力の芽生え』研究大会での講評では下記の4つの点を称賛いただいた。a. 材料を自由に選択して制作できる。(材料の紹介はするが、使い方は教えない。自分で考えアイデアを形にしていく)b. 子どものつぶやきを捉える。(子どものアイデアから、新しい素材や材料を準備する。指導者の固定観念にとらわれず、子どものアイデアを尊重する。子どもたちが自己有能感を持てるようにする)c. 子どもが体験から学ぶ時間を作る。(答えを先に教えない。指導者は待つ姿勢を忘れない)d. 本物に出会う(東海大学動力機械工学科の見学(実車のカットモデル、レーシングカー、ソーラーカーなど)京商株式会社来園(電動ラジコンカー、エンジンカーの披露と説明)3. 以上の事を踏まえ、2008年度レッツサイエンスのプログラムでは、期間中の保護者向けの説明会を実施。内容:1.理論 全国幼児教育研究大会での発表内容。2.実践 子どもたちと同じ環境で材料を自由に選択いただき、自由に作る。4. 2008年度レッツサイエンス参加者へのアンケート調査参加園児32名説明会参加保護者18名設問3.『レッツサイエンスグループの活動は楽しかったですか』の設問に『とても楽しかった』88%、『楽しかった』12%と非常に好評であった。説明会の効果は、設問9.『レッツサイエンス説明会はいかがでしたか』の設問に、参加者18名全員の方が『とても良かった・良かった』と評価していただいた。さらに感想の中で、「いままでは、完成した物をほめていたが、この説明会の後では子どもの工夫やプロセスを見るようになった。子どものアイデアを褒めることができるようになった」など、指導者がわの意図が伝わっていた。設問13.『ものづくりを好きになりましたか(車に限らず)(園児回答者)』の問に保護者が説明会に参加した園児は、『とても好きになった』89%、『好きになった』11%と、保護者が不参加の園児は『とても好きになった』57%、『好きになった』43%という回答になった。このように、幼児時期に科学的遊びを体験すことは、世界的に問題視されている理系(技術者)不足への効果的な手段である。その科学的遊びには、幼児が主体的に『作る⇒遊ぶ(試行)⇒考える(学び、工夫)』のサイクルができる内容であり、自己有能感を持てるように関わることが大切である。さらに、保護者に対しても、内容や重要なポイントを十分に説明し、作ることの楽しさを体験していただくことも大切である。指導者と保護者が相互理解をはかり、子どもたちと向き合うことが重要である。
著者
鈴木 窓香
出版者
東京理科大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究では,マスク着用時の室内温度と二酸化炭素濃度の身体への影響を,実験により自律神経系の指標と血液中の酸素飽和度を測定し明らかにする. 評価には,接触型の心電図計を用い,心拍数と心拍変動から自律神経の状態を解析する.また,パルスオキシメーターを用いて血液中の酸素量の指標である酸素飽和度(SpO2)を測定し,マスク着用による酸素供給量への影響を評価する.これにより,室内の二酸化炭素濃度と温度の適切な制御によるストレスや疲労の軽減を目指す.検討の際,質問票による聞き取り調査により,個々の感じ方を把握する.また,室内温度や二酸化炭素濃度に対する感受性の個人差,年齢差,性別の違いを評価する.
著者
木村 嘉孝
出版者
公益財団法人宇部市常盤動物園協会
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016

生息環境展示は、動物の生息環境を来園者が理解することを目的とした展示法で、放飼場に植栽や自然物などが設置されているため、飼育動物の正常行動発現にも有効であると考えられていたが、従来の檻型施設と比較しても行動発現割合が変化しないことが報告されている。一方で、動物は成長過程の環境がその後の行動特性に影響を及ぼすことから、生息環境展示方式で正常行動を発現するためには、その場所で成長することが重要である可能性が考えられる。そこで本研究では、生息環境展示において生まれ成長したシロテテナガザルの若齢個体の行動を調査し、従来の檻型施設で生まれ成長した若齢個体との比較を行った。宇部市ときわ動物園において、生息環境展示方式で飼育されている雄個体(1頭)と、檻型放飼場で飼育されている雌個体(1頭)を供試個体とし、約1歳齢時において15項目の行動カテゴリー(採食飲水・休息・身繕い・探査・個体遊戯・位置移動・社会的探査・敵対・親和・社会的遊戯・社会的摂食・授乳吸乳・抱擁・母子遊び・その他)について, 1分間隔の瞬間サンプリング法による直接観察を、それぞれの施設で行った。行動調査の結果、両個体共に活動的な行動である位置移動は1日の約50%、非活動的な行動である休息は約20%発現し、施設間で差は認められなかった。さらに、観察を行ったすべての行動項目について、檻型放飼場と生息環境展示方式で大きな違いが認められなかった。本研究では対象個体が2個体のみであることから、今後も調査を継続して行う予定ではあるが、生息環境展示で生まれて成長した個体についても、檻型施設で生まれて成長した個体と同様の行動特性であったことから、飼育動物の正常行動発現のためには、生息環境展示方式をそのまま導入するだけでは効果が小さく, 環境エンリッチメント等の試みと併用して利用していく必要があると考えられた。
著者
岩野 摩耶
出版者
明星大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

【研究目的】志願者及びその保護者を対象とした情報公開に焦点をあて、対象者のニーズに応える積極的・効果的な情報公開について検証し、集積され発信された大学情報を大学の職員組織の改善に活用する方法を模索することで、情報公開を大学の改善活動(IR)に資することを目的とする。【研究方法】①アンケート調査 : 対象者に求められている情報(ニーズ)の把握と蓄積方法、情報収集及び発信方法、職員組織の連携の課題を分析するため、全国の私立大学(大学院大学を除く)の入試広報担当者に対して郵送により調査(2014年11月~12月。配付数 : 580、回答数 : 239、回答率 : 41.2%)。②国内インタビュー調査 : 国内大学3校(IR関連部署を設置している大学)に対して、学内での情報収集・蓄積、意思決定への活用等関連業務に関する調査(2014年9月~12月)。③国外インタビュー調査(英国) : 4つの大学のIR関連部署に対して学内での情報収集・蓄積、意思決定への活用等関連業務に関する調査、及びHESA(英国高等教育統計局)に対して各大学からの情報の集約・活用等関連業務に関する調査(2015年2月)。【研究結果】国内大学では情報の収集・分析を進めているものの改善指摘にとどまり、実際の改善への反映、学内外への発信方法等について試行錯誤段階の大学が多いという結果が得られた。一方、英国大学では情報の収集・分析結果はトップ層・関連部署と共有され、その際には改善策まで提示されていた。これは、大学トップへの報告頻度の多さや、学外からの注目度の高さが主たる要因であり、学内外への情報発信の方法や見せ方に多くの時間を使用していた。今後は、志願者等の直接的なステークホルダーのみならず、目に見えにくい国内外のステークホルダーも意識し、自大学の魅力を引き出せるような情報収集・分析・報告・改善・発信のしくみをつくることが必要である。
著者
井上 創
出版者
千葉大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

学習指導要領改定により中学校理科で真空放電管(クルックス管)の高圧放電実験が扱われることとなった。クルックス管は通電時、低レベルX線を放出することが知られているが、このX線の測定はほとんど行われていない。このため、実験を取りやめたり、逆に、X線が低レベルであるという認識から防護の必要性が認識されていなかったりと、対応がまちまちである。本研究では、クルックス管の漏洩放射線量の測定方法を開発し、本中学校に設置されている装置の漏洩線量の測定と、安全な実施方法の開発(離隔距離、演示時間、遮蔽)を行った。さらに、生徒及び学生実験の放射線防護基準の確立のための基礎資料を提供することを目的として、近隣中学校に設置されるクルックス管の漏洩線量を測定し、測定方法と安全な実験方法についての一般化を試みた。まず、Ge半導体放射線検出器によって漏洩放射線のスペクトル分布を明らかにしようとしたが、電源及びクルックス管の特性が不安定であることと、低レベルであったことから望ましいデータは得られなかった。次に、イメージングプレート(IP)を用いて、クルックス管の漏えい放射線量と放射線の空間分布状況を測定し、傾向を捉えた。この上で、個人線量計をクルックス管表面と周辺空間に配置することで、漏洩線量の測定に成功し、簡易な測定方法を確立した。計測した5つの中学校で、全測点(推定発生源から2~12cm程度)の平均値は、0.04mSv/分 程度であったが、2つの中学校の装置至近(推定発生源から3~8cm程度)では強い放射線、約0.7mSv/分(5分間の演示実験では約3.5mSvとなる)を観測する点がそれぞれ1か所あった。この5分間値は、約70cmの離隔を取ったとして、胸部X線集団検診1回分(0.05mSv)程度となる可能性のある強度で、実験者には放射線の空間分布特性の理解と個別装置の漏洩線量の理解及び防護の対策が望まれる状況であるといえ、本研究成果の活用が望まれる。また、アクリル板による防護のある程度の効果を確認した。
著者
上西 浩司
出版者
鳥羽商船高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

【研究目的】本研究では、日本の大学における教務担当職員の新たな役割の実際を調査・分析し、当該役割の一般化を試みる。【研究方法】2007年の上西・中井・齋藤の調査からは、教務担当職員の継続従事年数が長いか、関連部門内を異動する機関・組織において「ゼネラリスト志向」ではなく専門性についての萌芽があると仮定できた。このため、当該機関・組織の教務事務責任者に対して業務内容、知識・技能等にっいて、教員との役割分担を視野にいれたインタビューを実施する。【研究成果】教務担当職員の継続従事年数が長いか、関連部門内を異動する機関・組織の教務事務責任者からは、1)大学教育改革にはベテランの教務担当職員が必要である、2)ベテランの教務担当職員とは、卒業要件等照合、関係法令確認、教務データ管理、講義室等施設・設備管理等の業務に熟知していて、それを卒なくこなし、後輩に指導ができる人である、3)教務担当課長に教務経験のない者がなるのは関連知識・スキルがないためむずかしく、なった場合、本人が大変苦労し、大学にとっても研修コストや業務低下等のリスクが増すと指摘された。このことからは、当該教務事務責任者は大学職員の「専門」の一分野として教務事務をとらえているということができる。つまり、教務担当職員が従来行ってきた教員支援業務としての教務事務について、大学職員の「専門」の一分野として捉えなおし、教職協働における教務担当職員の"新たな"役割と位置づけることができるのではなかろうか。今後は、「専門」としての教務事務の確立のため、体系的に編まれた教務事務の標準テキストの作成が必要となるう。
著者
村上 郁磨
出版者
学校法人久留米大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

[目的]本研究は、(1)大学事務職員独自のワークモチベーション尺度を作成し、その尺度を用いて職場のメンタルヘルスとの関係を調査すること、(2)3ヶ月間の運動介入が大学事務職員独自のワークモチベーション(以下WM)及び職場のメンタルヘルスに及ぼす影響を調べることを目的とした。[研究方法]アンケート調査にて個人的属性及び大学事務職員のWMを規定する要因を調査・分析し、大学事務職員独自のWM尺度(自己発信・他者からの評価・職務のやりがい・職業満足感・帰属意識・職場内人間関係:6因子23項目)を作成した。そして、「職場のメンタルヘルス測定尺度」(MHI-5)を独立変数、上記のWM尺度を従属変数として重回帰分析を行った。運動介入は男性事務職員20名を対象とし、歩数計を用いて実際の運動量を測定し、3ヶ月間(週2日:1回あたり速歩30分間)を行った。[研究結果]メンタルヘルス項目の「やりがい・達成感」はWM項目すべてに関係性が認められた。また、「疲労・消耗感」は、他者からの評価、職業満足感、帰属意識に関係性が認められ、さらに「社会関係の回避」は、職務のやりがい、職務満足感、職場内人間関係に関係性が認められた。また、3ヶ月間の運動介入の結果、メンタルヘルス項目の「勤労意欲の減退」、「疲労・消耗感」、「余裕・ゆとりのなさ」が改善し、大学事務職員のWM項目の職務満足感が向上した。これらの結果より、職場のメンタルヘルスが大学事務職員のワークモチベーションを部分的に予測することが明らかとなった。そして運動介入を実施することにより、職場におけるメンタルヘルスが改善され、大学事務職員のワークモチベーションが向上する可能性が示唆された。
著者
伊籐 央奈
出版者
田村市立滝根中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

糖尿病の発症には、糖質のみならず、脂質など様々な栄養素の摂取量やその代謝が影響している。我が国の糖尿病患者増加の背景として、必ずしも"飽食"のみが原因ではないと考える。近年、糖尿病患者にナイアシン(ニコチン酸及びニコチンアミド)を投与すると、ナイアシンの生体内代謝産物であるメチルニコチンアミドの血中濃度が上昇し、血中のH_2O_2レベルの上昇とともにインスリン抵抗性を引き起こすことが報告されている。一方、脂肪細胞によって作り出される、エネルギーの取り込みと消費の制御に重要な役割を果たすレプチンというペプチドホルモンがある。レプチンは食事後20~30分後に分泌され、脳に摂食抑制信号が送る役割を果たす。また、脂肪組織自体にも働きかけ、エネルギー代謝の増大の指示を出す。逆に、脂肪が増えるとレプチンも増え、レプチンが脳の容量に対して飽和状態に陥ることでレプチン抵抗性という状態を引き起こす。これが肥満原因の一つになるとも言われている。我々は、脂肪細胞にニコチンアミド(NA)を添加して培養を行い、レプチンの産生にどのような影響を及ぼすのか検討を行った。NAの濃度をそれぞれ変えて1週間および2週間培養を行い、細胞あたりのレプチン産生量を測定した。1週間培養を行った場合は、1mMの濃度まではレプチン産生が約3倍に増加した。2週間培養を行った場合は、0.1mM以上のNA濃度ではレプチン産生が約3分の1に低下していた。これらの実験結果より、NAは短期的には脂肪細胞のレプチン産生を増加させ、レプチン抵抗性を起こす可能性がある。長期的にはレプチンの産生を低下させ、肥満を引き起こす可能性が示された。ナイアシン投与で糖尿病患者にインスリン抵抗性を起こすという報告と今回の実験結果を考え合わせれば、糖尿病患者にナイアシンを投与する治療は慎重に検討されるべきである。
著者
高橋 大樹
出版者
大津市歴史博物館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

本研究の目的は、戦後流出・拡散し、現在所蔵機関等に分蔵されている近江国日吉社司(社家)生源寺家文書を再構築し、その全体像と伝来過程を見通しながら、中・近世日吉社の運営や組織、文書・記録の生成、さらに幕末・明治期日吉社の神仏分離・廃仏毀釈に至る経過等を検討する前提を整えることにあった。そこで次の2点において調査・研究を進めた。1、所蔵機関のうち大津市歴史博物館蔵分(2群、計1,132点)と國學院大學図書館蔵分(4群、計1,119点)を中心に悉皆調査・整理を進め、写真撮影および目録作成をおこなった。また、残る京都府立京都学・歴史彩館蔵分(35点)と国立歴史民俗博物館蔵分(133点)の写真版を調査し、生源寺家文書全体の目録を作成した。2、近世日吉社の運営や組織、文書・記録生成の実態等を検討するため、生源寺家文書に含まれる生源寺家日記(明和4年〔1767〕~明治4年〔1871〕の間の74冊〔一部欠年あり〕)の解読を進めた。以上により、既知・未知を含めた生源寺家文書(総点数2,419点)の全体像が明らかとなり、また散佚前の旧目録(『神道大系』所収)との比較の結果、その伝来について、①生源寺家→神田家(旧目録作成)→國學院大學図書館、京都府立京都学・歴彩館、国立歴史民俗博物館蔵の文書群とは別に、②生源寺家→収集家(一部が分類)・個人→大津市歴史博物館蔵という流れが確認できた。また、生源寺家日記の解読を進めた結果、それらが個人日記と日吉社司(生源寺・樹下家)による輪番日記とに大別でき、近世日吉社の年中行事や社司の行動、門前町坂本の様子、幕末・明治期日吉社の動静等が詳細に記されていることがわかり、総じて生源寺家文書が近世日吉社研究のための最重要史料であることを確認するに至った。今後、各所蔵館と調整の上、生源寺家文書目録の公開を目指し、また生源寺家日記についても校正・傍注の作業を進め、誌上等に史料紹介していくことが課題である。
著者
荒川 等
出版者
九州工業大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

少子高齢化という深刻な問題を抱える日本の近い将来、高齢者は介護者不足のため電動車椅子や電動カートを用いた単独移動を強いられ、それらに関連する交通事故が多発することが懸念される。従って、このような事態に備えるべく、報告者がこれまで開発した歩行者用事故記録機(ウォークレコーダー)を電動車椅子に転用することで交通事故分析のための電動車椅子用ドライブレコーダーを発案して評価用試作機を製作した。電動車椅子にはヤマハ発動機(株)・JWアクティブを採用して、ドライブレコーダーを設置するために弱冠の改造を施した。基本的にウォークレコーダーの機能は全て継承しているので、(1)全方位カメラ、(2)車載用カメラ、(3)Webカメラの3方式のいずれかによる周囲の景観の撮影と種々センサによる運動状況の記録をするためのドライブレコーダーとして試用し、メッセンジャーを利用して遠隔地の保護者へ車椅子の状況を実況中継することも可能である。取り分け、(3)のシステムにUSBデバイスサーバーとSSDを用いる改良を加えたところ、画像記録速度が約0-8FPSから64FPS、全方位画像の更新時間が5秒から0.06秒へと100倍程度の飛躍的な向上が見られた。従って、カメラの特徴や価格を考慮すると(3)の方式が実用化に向けて優位となった。また、製造元より技術情報を入手して電動車椅子の操作レバーの操作量を強制的に補正したり、操作量の推移をパソコンに記録する機能を新たに開発した。現在、電動車椅子・電動カートのためのドライブレコーダーの試作機は完成したといえ、電動車椅子の習練を兼ねて安全確認のための試験運転を行っている。今後は、(3)の方式を中心に路上での実証実験を行いながら、車椅子の周囲の景観の画像や運動情報から危険状況を認識するアルゴリズムの開発を行い、車椅子の自動停止や緊急機関に通報するシステムへ発展させる予定である。
著者
岩野 摩耶
出版者
明星大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

情報公開に焦点を当て、大学職員のもつノウハウを活かして、大学情報をどのような定義(算出方法)で収集・共有すべきかを検証するとともに、集積され発信された大学情報を大学の職員組織の改善に活用する方法を模索することで、情報公開を大学の改善活動(IR)に資することを目的とする。【研究方法】①文献調査 : 国内外における大学の数値情報の定義について、国外は文献や各種ランキング、国内は各媒体からのアンケート等をもとに調査(2015年7月~10月)。②国内インタビュー調査 : 国内大学2校(IR関連部署)に対して、学内での情報収集・蓄積、学外への発信、意思決定への活用等関連業務に関する調査(2015年10月~11月)。③アンケート調査 : 全国の私立大学(大学院大学を除く)のIR担当部署の担当者に対して、郵送により調査(2016年2月~3月。配付数 : 582, 回答数 : 201, 回答率 : 34.5%)。【研究結果】英国では大学の基礎的な情報がHESA(英国高等教育統計局)を通じて学外に提供されており、1つの定義に則った情報が活用されるため、標準的・統一的な大学情報を利用することができる。また各大学も統一的な指標をもって自らの立ち位置を比較し、戦略を立てることができる。これに対して日本では各種媒体が個々の大学に調査を行うため、調査ごとに定義が異なり、各大学や対応部署の判断によって左右される可能性がある。そのためステークホルダーのみならず、大学内で情報を活用する際に、定義の異なる情報を利用してしまう危険性がある。今後は、各大学内で共有する情報のみならず、各大学の提供する情報の定義を統一化する必要があり、情報を学内外に対して戦略的に活用する方策が求められる。そのためには、様々なデータ処理がある中で、各部署が効率的に正確な情報を集約し取りまとめて集積し、部署間で連携するしくみづくりが必要である。