著者
相澤 清晴
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

大規模画像に対する高速最近傍探索の有力技術の一つが直積量子化(PQ)である。この直積量子化に対して、飛躍的に計算効率、メモリ効率を高めることを目的として、以下の研究を行った。(1)効率的な密空間分割PQ:複数のクラスタ中心ベクトルの組み合わせによる効率的な密な空間分割による最近傍探索 (2)PQTable:ハッシュテーブルを用いた直積量子化の効率化(3)PQkmeans: 大規模クラスタリングを可能にするPQ領域での高速、省メモリなkmeans (4)Residual Expansionアルゴリズム:kmeans等の非凸最小二乗問題に対する効果的な高速最小化手法
著者
久利 美和 村上 祐子
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

初年度初年度は,研究機関およびその助成金を活用しての直接的または間接的に科学普及活動に従事する人材の意識調査、就業形態、また実施される企画の有償かの可能性について聞き取り調査を行い、キャリアパスとして必要な視点が、報酬体系の確立と評価手法についてであることが明らかとなった。次年度は、研究管理の観点で関連業務者の報酬体系の実態に焦点を当てるとともに、報酬体系の根底にある概念についても意見抽出を行った。また、海外の事例を含めた検討会を国際会議の場で行った。
著者
永田 俊
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

外洋域においてウィルス数が局所的極大を示す層、すなわち「ウィルス・ホットスポット(VHS)」、の分布の実態把握と形成機構の究明を行った。観測の結果、VHSは中部および西部北太平洋において広範に見られ、その分布が溶存酸素アノマリーの分布と関連することが明らかになった。観測・実験データを基に、VHSの形成には、宿主依存的なウィルス生産、鉛直混合、紫外線影響の3要因が関与しているという新たな仮説を提案した。
著者
百原 新 工藤 雄一郎 沖津 進
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

最終氷期から現在までの栽培植物を含む植物群の分布域変遷におよぼした人為的影響を明らかにすることを目的に,全国の遺跡調査報告書に記載されている種実類や葉などの大型植物遺体出土記録をデータベース化した.国立歴史民俗博物館に収蔵されている,全国の遺跡発掘報告書を閲覧・入力し,約63,000件の大型植物遺体データが得られた.その結果,カジノキなどの栽培植物やコナギなどの雑草類の大陸から日本への伝播時期や,スギやイチイガシ等の有用樹種の日本の中での地理分布変遷が明らかになった.
著者
宮野 公樹 森 怜奈 梅山 佐和 鈴木 望
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

複雑化する社会的、技術的課題解決の必要性に伴い、“異分野融合”を謳った様々な研究や研究プロジェクト等は数多く存在する。しかしながら、安易に“異分野が集結しただけで融合”と主張しているものがほとんとではないか? 本研究では、効果的な融合・越境を創出するための知的基盤を得ることを目標とし、研究者コミュニティに着目しての本質的理解と理論モデルを検討し、それを仮説とした調査研究の項目創出を行った。
著者
西垣 正勝
出版者
静岡大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、WEBサービスを不正利用するマルウエア(悪意の自動プログラム)を排除するために、人間の最も高度な認知処理能力の一つである「ユーモアを解する能力」を利用した究極のチューリングテストを構築し、4コマ漫画CAPTCHAとして実装する。近未来の技術を持ってしてもユーモアを解するレベルの自動機械(マルウエア)を実装することは不可能に近いと推測されるため、4コマ漫画CAPTCHAの攻撃耐性は極度に高いと考えられる。また、漫画を読むことは人間にとって楽しい(エンターテイメント性を有している)ため、4コマ漫画CAPTCHAであれば、正規のユーザが利便性の低下を感じることなく、心地良く(楽しみながら)チューリングテストを受けることができる。
著者
北村 俊雄 稲葉 俊哉 松井 啓隆
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

HL60はレチノイン酸で好中球に、Vitamin D3で単球に分化する。本研究ではHL60分化において経時的にRNAseqを行い、好中球および単球に分化する際に上昇してくる遺伝子を複数の遺伝子を同定した。しかしながら予想したようにこれらの遺伝子が染色体上の近傍に存在するということはなかった。そこで、HL60の分化におけるエピジェネティクスが果たす役割を調べるためにエピジェネティクス因子ASXL1のノックダウンを行い、細胞分化とヒストン修飾の関係を調べた。ASXL1ノックダウンはヒストンH3K4とH3K27のトリメチル化を低下させ、HL60の分化を阻害した。
著者
瀬崎 薫 岩井 将行
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、様々なメディアを通して細粒度、リアルタイムの環境情報を低コストで収集し、そのデータをエネルギーマネジメントの観点から地域単位での空調制御へ応用することで快適性を確保したまま地域全体の消費電力削減を目指している。研究成果としては、スマートフォンを通した参加型センシング、ソーシャルメディアに発信された情報からの環境情報取得、動物に取り付けたセンサを用いた長期間、広範囲の自然環境調査など統合的な環境センシングを実現するとともに、複数の情報ソースから得た温度データからルールに応じて家電機器を制御するソフトウェアを開発し、気温などのデータに基づいたエアコンの制御システムを構築した。
著者
大塚 正人 和田 健太 佐藤 正宏 三浦 浩美
出版者
東海大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

従来のゲノム編集マウス作製法では、(1)受精卵の回収、(2)CRISPR関連試薬の顕微注入、(3)注入卵の偽妊娠マウスへの移植、という熟練した技術と高価な設備を要する3つのステップが必須であった。今回、受精卵を有する妊娠メス卵管へのCRISPR関連試薬の注入、続く卵管全体へのin vivo電気穿孔を行うことで、上述した3つのステップ全てを省いてゲノム編集マウスが作製できる新手法「GONAD」の開発とその応用を進めた。
著者
梶田 信
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ヘリウム照射により形成されるナノ構造金属を熱光起電力発電に応用するために,その耐熱性,エミッタンスの変化を明らかにした。耐熱性に関しては,温度が上昇するとナノ構造が収縮していくことが明らかになり,熱光起電力発電用としては低温(1000K以下)で利用する必要があることが分かった。放射率の変化を調べたところ,広い波長範囲で放射率が 1 に近くなっており,少し収縮が起こった材料においては近赤外領域のみ放射率が高くなることが分かり,無駄な熱の放出がないことから,熱光起電力発電用により適していることが分かった。
著者
中村 裕之 人見 嘉哲 神林 康弘 日比野 由利
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

リポソームカプセルのリン脂質2重層にNKT細胞活性化物質「α-GalCer」を挿入し、スギ花粉T細胞エピトープを封入し、CTLエピトープを表面に結合することによってリポソームワクチンを構築した。インフルエンザウイルス感染およびスギ花粉症モデルマウスを対象に、リポソームワクチンを6日間、予防的に投与し、IFV抗体価を指標として検討した結果、新しいインフルエンザウイルスワクチンの有効性が証明された。
著者
林 真貴子
出版者
近畿大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、1930年代初頭の農山漁村経済更生運動下でおこなわれた、農村で組合を形成して負債を整理するという問題解決の方法およびその法過程について検討することである。具体的には、1933(昭和8)年に制定された農村負債整理組合法(昭和8年法律第21号)の施行過程において、組合形成の母体となった農業集落としての「むら」が負債整理の法過程において果たした役割と「組合」を用いた問題解決の方法、さらに同時期に実施された金銭債務臨時調停法(昭和7年法律第26号)との関係を調査・分析した。本年度は、国立国会図書館、法務図書館、国立公文書館および県立市立公文書館等における資料収集を継続した。収集した資料は、おもに各道府県における負債整理組合法の施行細則、実施手引書等、農村(都市)生活改善運動の啓蒙文書、京都地方裁判所や神戸地方裁判所における各種調停法施行時の統計、同法の実態調査等に関するものである。農村負債整理組合法は無限責任の負債整理組合を隣保共助の精神に則り、生活共同体の単位で設立し、債権者も債務者もまたいずれでもない人もすべてが組合員となって、負債の整理を目指すところに特徴がある。組合は、組合員の負債整理計画を検討し、償還方法その他条件の緩和に関する協定を斡旋し、組合員(債務者)に対する負債整理資金の貸付を行なう。この新たな貸付に対して組合員は無限責任を負うことになる。政府は、昭和恐慌期の負債については、「善良なる債務者の更生」のために、農村では生活共同体単位で無限責任を負わせて(条文上は有限責任組合の設置も認めているが)、負債整理を断行するとともに、都市部の小額(訴額千円以下)の紛争については、裁判所が関与した調停手続によって債務者保護に資する解決を図った。農山漁村経済更生運動から続く農村資金計画は、土地、資本、労力の分配の適正、生産販売購買の統制を、各種組合を通じて行なっていった。農業金融の合理化によって負債の固定化を防止しようとした。このような組合方式による負債整理と近代法とのかかわりについて、本研究では収集資料に基づいて分析した。その結果は論文として公表する。
著者
田村 智彦 加藤 隆幸
出版者
横浜市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

血球系特異的転写因子Interferon Regulatory Factor 8(IRF8)は、ミエロイド系前駆細胞からマクロファージへの分化を促進する一方、好中球への分化増殖は抑制する。また、IRF8欠損マウスが慢性骨髄性白血病(CML)様の病態を呈し、多くのヒト骨髄性白血病においてIRF8の発現が失われていることから、IRF8はヒト白血病において重要ながん抑制因子である事が示唆されている。当研究は、IRF8の機能解析を通して自然免疫細胞の分化機構、ひいては細胞分化の基本原理を理解し、ヒト白血病に対し新しい病態理解と治療法を確立するための基盤を築くことを目指している。本年度は、IRF8と顆粒球系のマスター転写制御因子C/EBPαが結合する事を生細胞においてBiFC法(Bifluorescence Complementation Assay)のみならずFRET法(Fluorescence Resonance Energy Transfer)でも確認することができた。また前年度見出した新しい細胞分化制御転写因子であるが、これはIRF4であり、IRF8とIRF4という二つの血球系IRFがミエロイド系細胞分化において似通った活性を持つ事を、in vitro分化系のみならず、IRF8, 4ダブル欠損マウスの作製によって証明することができた。CML患者ではIRF4の発現も低下している事が報告されており、この結果はCML病態や治療を考える上でも興味深い。今後、本挑戦的萌芽研究で得た結果をさらに発展させ、ミエロイド細胞における転写因子複合体の精製等によってより包括的な理解に繋げて行きたい。
著者
石井 啓豊
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、図書館が担ってきた社会的共有のための知識資源基盤としての役割をネットワーク上で実現する知識資源コモンズに注目し、特に、ピアプロダクションに基づく知識資源コモンズ(KRCP)と伝統的図書館の成立に関する組織論的、経済学的な理論枠組みを明らかにすることである。本年度は21年度末に実施した市民による資料アクセス行動の調査結果の分析を行い、リアル書店や図書館、ネットワーク上の書店や情報源へのアクセスなど多様な側面に関する行動実態が明らかにした。また、一般市民がネットワーク上で知識資源を共有できる代表的なサイトについて、提供内容、方法、知識資源の形成、サイトの経済的裏付け等に関する調査を行った。この2調査と公共図書館のサービス展開に関する調査(21年度)、および文献調査に基づいて図書館とKRCPに関する多面的な検討を行い、論点整理と理論的枠組みの可能性を探った。主な論点と検討事項は、(1)図書館の機能特徴と組織的位置付けの分析、(2)図書館サービス展開の構図の検討、(3)コモンズの視点からみた図書館協力活動の分析、(4)ネットワーク利用者の資料アクセス行動、(5)経済制度の理論を援用した図書館制度成立の理論化の検討、(6)知識資源コモンズに関して、知識資源共有過程と機能、目的領域と活動領域、参加者、コミュニティ、コモンズ成立の組織論、知識資源の社会的配分などの論点と問題構造の検討などである。その結果、伝統的図書館成立の理論化の基本的構図と図書館によるコモンズ的活動の構図を得ることができた。その構図は必ずしも図書館の社会的機能としての知識資源共有を担うネットワーク上のコモンズの可能性を示唆するものではなかったが、一方、それを知識資源の社会的配分問題として理論化することの可能性が明らかになった。
著者
ヤーッコラ伊勢井 敏子 広瀬 啓吉 中 貴俊
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究は,フォルマント数値を用いて空間スペースにおける母音位置の三次元可視化(3軸上にF1~F3,F1~F2+F4を使う)を実現するものである.研究者が言語内および言語間の母音距離を表示できること,さらに,外国語学習者がユーザーフレンドリーなツールとして母音学習に役立てるために開発することを目的とする.全言語の母音表示を可能とするものである.本年度の研究成果として,研究者が未知の母音音素(各言語においてフォルマント母音図で位置が決まらない母音音素)について定量的にフォルマントの計測をし,位置を決め,更にその位置から伝統的な母音図を応用予測して適切な母音を決定できるようにするため,IPA母音すべてを任意に選択できる機能を追加した.また,学習者が英語モデル母音音素を何度でも聞こえるよう,母音をクリックするだけで音声が聞こえるように改善した.また,モデル音素を静的に置き,母音フォルマントを基本に学習者の音声が動的に動くシステム作りのベースを開始した.実験として日本語学習者の英語母音習得(特に短母音)の程度を英語母語話者と比較した.3次元フォルマント母音図とフォルマントの単純グラフを比較表示すると,前者の方が後者より圧倒的に視覚的効果があるだけでなく,母音間の距離感がより明瞭に分かることを実証した.本研究は今後音声認識技術を取り込めば全言語対応の母音学習ツールとしてより効果が見込め,これまでの研究成果発表の経験から,研究者にも学習者にも需要が高まるであろうことが十分予見できる.なお,本研究のベースとなった3次元可視化システムの応用性について,英語の筆記体を取り上げた.筆記体は現状の英語教育では看過されている.実態調査を行ったが,多くの大学生が読めないし書けないけれども,読みたいし書きたいという要望が多かった.更に,習得により将来何らかの利益があると考える学生が多かった.アルファベット筆記体を英語学習者に習得させることには意義がある事を実態調査が示した.即ち,アルファベット筆記体を3次元空間スペースで認知学習させる重要性も高まったと見てよいだろう.
著者
中島 一樹 藤田 紘也 池田 一生 飯國 高弘
出版者
富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では設置した非接触マトリックス温度センサでトイレでの排尿量を測定する手法を提案する。マトリックス温度センサは便座下に設置した。落下中の尿からの放射熱から排泄量を評価する手法を開発した。37 °Cの水を落下させ、その放射熱を測定した。水量100, 200および300 ml を流速5, 10, 20, 30および40 ml/sで変化させて落下させた。推定した水量は流速の影響を受けなかった。
著者
石川 冬樹 河井 理穂子
出版者
国立情報学研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

法は様々な状況に対応するため曖昧な文言で記述されている.このため,法が定める権利や義務を考慮して組織運営や情報システム構築・運用を行う際には,判例などで後に与えられる具体的な解釈を適切に反映する必要がある.本研究では,組織やシステムが達成すべきゴールの具体化,分析や変更追跡を行う要求工学の考え方を模倣し,法やその解釈のモデル化・分析手法を構築した.この手法により,情報システム開発者など法の専門家ではない人も,既存の法解釈を踏まえ,具体的な要件に関する分析や判断をしたり,新たな判例が現れた際などにその影響範囲や必要な対応を定めることが容易となる.
著者
山口 清次 長谷川 有紀 小林 弘典 虫本 雄一 PUREVSUREN Jamiyan
出版者
島根大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

成人には無害でも小児に対して健康被害を起こす薬剤が知られている。そこで、培養細胞とタンデムマス質量分析計を用いるin vitro probe acylcarnitine(IVP) assayという方法を応用して、小児に対する薬物等の脂肪酸β酸化に対する毒性を評価するシステムを確立した。アスピリン、バルプロ酸などは、脂肪酸代謝の脆弱な細胞でβ酸化障害が増強された。ベザフィブレートはβ酸化異常症の代謝を改善した。
著者
齊藤 博英 野村 慎一郎
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

生命の起源において、核酸などの化学物質から、進化する生命システムがいかにして誕生したのかという問題の解決は、生命科学が目指す大きな目標の一つである。天然に触媒分子として働く RNA が発見されて以来、遺伝子と代謝(触媒)機能の両者を兼ね備える生体分子として、RNAは生命の起源研究において注目されている。特に、RNA 同士の連結反応を触媒するリガーゼリボザイムの存在が生命初期の進化に非常に重要であると考えられている。本研究では、人工 RNAシステムを基盤として、自己複製反応を触媒する人工酵素をデザインし、人工細胞モデルシステムを創出することを目指した。具体的には人工リガーゼリボザイムを用い、RNA 自己増幅系のモデルを新たに設計・構築することにより、新観点から RNA ワールド 仮説の実験的検証をおこなった。この知見を基に、RNA 構造モチーフを利用した新規 RNA 自己複製システムモデルを設計・構築した。さらに設計した RNA 分子から構成されるμm サイズのコンパートメント(小胞)の構築を試み、RNA のみからなる機能性構造体の創出に向けて前進した。
著者
金子 智行
出版者
法政大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

細胞内に蓄えられた後天的情報を定量化するために、モデル細胞として拍動心筋細胞を用い、細胞に摂動を与えたときの緩和過程を測定した。まず、外部から摂動を与えるための電気刺激プロトコールを改良することにより拍動周期の制御を可能にし、心筋細胞の拍動周期と細胞外電位を同時測定する系を確立した。次に、電気刺激により拍動周期を固定すると、イオンチャネルの活動状態がその周期に依存して対数関数的に変化した。このことから拍動周期という後天的情報の表現型は後天的情報であるイオンチャネルの活動状態を変化させ、拍動周期と相関した活動状態まで対数関数的に変化することが示唆された。