著者
滝沢 直宏 山下 淳子
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

多様な学術英語におけるレキシカル・バンドルについて検討した。まずその概念を検討すると共に、巨大なコーパスからレキシカル・バンドルを抽出する方法を考察し、学術英語からの「レキシカル・バンドルの抽出を実際に行った。また、実際の授業においてレキシカル・バンドルの概念を導入することにより、学生の表現能力の向上が如何に図られるかを検討した。更に、レキシカル・バンドルに重点を置いた記事を、Asahi Weekly紙上において連載した。巨大な電子資料から高速に情報を抽出するシステムの開発を行った。
著者
小松 史生子 坪井 秀人 古川 裕佳 山口 俊雄 一柳 廣孝 小泉 晋一 光石 亜由美
出版者
金城学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

1920~30年代の日本の言説状況において、<異常>という概念の知識が、好奇心と探求心をもって一般大衆に広まっていった経緯を、多様な一次資料の収集と復刻作業で確認することができた。論文の単行本化、通俗心理学雑誌の掘り起し、異常心理を扱った探偵小説同人誌の復刻などといった成果が得られた。また、学際的なシンポジウムも三回開催することができた。
著者
原田 仁 宮尾 祐介 金治 新悟 掛地 吉弘
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は,手術動画を自動で文章化するプログラムの開発,および映像データと言語データが相互に検索可能な新しい手術記録データベースの構築である。手術動画内の解剖,器具,動作,事象を言語で意味付けし,機械学習によりパターン化させることで,手術動画から手術記録を自動作成するプログラムを開発する。また,映像と言語が互いに関連付けられた手術記録データベースを構築することで,膨大な手術データが客観性の高い均質化された手術記録として保存管理し,データベースから必要な映像データを言語で検索することを可能とする。具体的には,手術映像から選別した特定の場面を用いて,解剖,手術器具,動作,事象を認識しテキスト化する手術認識アルゴリズムを作成し,手術認識アルゴリズムを基に手術動画を自動で文章化するプログラムを開発するとともに,映像とテキストをリンクさせ相互に検索可能な新しい手術記録データベースの構築を目指す。手術認識アルゴリズムの作成においては,解析用コンピューターにインストールした専用ツールを用いて,手術動画内に登場する臓器・血管などの解剖,鉗子類などの手術器具,把持・切離などの手術操作,出血・血管の拍動などの体腔内の事象などに対し,名称や動作の属性を付与する。これにより言語で意味付けされた動画を保存,蓄積し,映像からテキストデータへの変換を,機械学習によりパターン化させる。機械学習のデータとしては,手術手技として規則性があることが望ましいと考えられる。そのため,手技が定型化された約100症例の腹腔鏡下胃切除の動画をサンプルデータとして使用する。
著者
飯田 弘之
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は詰将棋を題材としてコンピュータによる自動創作とその美観評価を探求した.深層証明数探索アルゴリズムを考案し,証明数を用いた詰将棋の感性評価実験を実施した結果,問題の難易度が評価に大きな影響を与えていることをつきとめた.美観評価の高い問題の自動創作に際して,名作と呼ばれる詰将棋の初期局面を形状保持するヒューリスティックを考案し,評価実験により提案手法の有効性を示した.感性評価の新たな方法としてゲーム洗練度の指標を用い,パズルや思考ゲーム等を対象とした評価実験の結果,長い歴史の中で洗練されいまなお親しまれているゲームやパズルは,ゲーム洗練度の値がほぼ同じであることを確認した.
著者
田中 顕悟
出版者
鹿児島国際大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、アメリカにおけるMilitary Social Workの実践状況ならびに専門職(Military Social Worker)の養成課程の把握をすすめ、我が国におけるその活用について検討を進めることにある。とりわけ、Deploymentに関わる支援と、Military Cultureに着目した。その結果、この2点については、Militaryに関係する人々への支援過程においては必要不可欠な視点・知識であることが明らかになるとともに、それらは、我が国において関連する支援活動に従事する専門職においても、その支援活動の過程において活用が可能であることが明らかとなった。
著者
土肥 輝美 高橋 嘉夫 大村 嘉人 町田 昌彦
出版者
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成28年度はサブテーマ「地衣類の形態的・構造的特徴による元素の保持特性の違い」を中心に研究を実施した。地衣類は、様々な金属や放射性物質を蓄積・保持することが知られており、環境モニタリング材料の一つとして活用されているが、地衣類の形態や生理的特性に関連してそれらがどのように蓄積・保持されるのか、ほとんど分かっていない。地衣類中の放射能濃度は、核種によって差異が生じることが報告されており、元素種によって地衣類中への取込み・保持メカニズムが異なる可能性が考えられる。また、地衣類中の同一核種濃度の差異については、生育場所における着生方位などの生態的な環境条件や地衣類の種による形態 ・内部構造・生理的な違いなどが影響するものと考えられる。ここで、生態的な差異を排除すれば、地衣類における着目元素種の蓄積・保持能力について、形態的・構造的・生理的特徴による違いが見られることが予想される。本研究では、表面形態および内部組織構造の特徴が明瞭なウメノキゴケについて、被ばく評価上重要なCs, Sr, I(安定元素)の取込み試験を行った。試料は、平成28年に岐阜県で採取したものを使用した。地衣類中のCs濃度はSr濃度の3倍程度高い値を示した。電子線マイクロアナライザにより取込試験後の地衣類組織断面構造の元素分析を行った結果、Cs, Iは皮層への蓄積が認められたのに対して、Srは髄層中に蓄積が認められ、元素種によって地衣類中で保持される場所が異なることを見出した。取込み試験後の試料については、放射光蛍光X線マイクロビームを用いたX線吸収微細構造(EXAFS)の解析により、地衣類中のCs, Sr, Iの近傍情報を取得した結果、水和物や有機分子化合物として存在する可能性が示された。Csと地衣類特有の一部の二次代謝物について、第一原理計算を行い、安定な吸着構造を示すエネルギー差を持つことを見出した。
著者
倉岡 正高 藤原 佳典 鈴木 宏幸 飯塚 あい 内山 愛子 長畑 萌 村上 深 南 潮
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、こどもの教育・文化的環境づくりと高齢者の健康増進を目的とした囲碁を活用した世代間交流プログラム「iGOこち」を開発し、こどもの対人関係能力や高齢者へのイメージに与える影響、高齢者の認知機能と心理社会的側面に与える影響について検討した。プログラムの内容は、プロ棋士による講義、個人戦、高齢者とこどもが協力し合う練習問題、チーム戦(ペア碁)などである。調査の結果、こどもは高齢者への尊敬と思いやりの心を養い、知的活動に消極的な傾向にある高齢者において注意・実行機能が向上する可能性が示唆された。
著者
松林 賢司
出版者
金沢工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

①雪の輸送中の融解挙動の実験による評価:雪の長期輸送中の融解挙動は経済性の試算に必要なデータである為に独自の実験設備を製作してその評価を実施した。結果は良好で赤南半球の想定陸揚港であるシドニー付近まで輸送するのにかかる2週間の融解による損失は5%以内であり経済性の試算が可能な範囲であることが分かった。②雪資源の陸揚港と需要者の技術的、及び経済的な評価とその最適化:積出港の研究手法と同様に陸揚港としての適性が確認された3港に関してフィールド調査を実施した。バンコック港とシドニー港に関しては現地訪問の上、自治体、並びに前年度に予め協力先として選定された研究機関との意見交換を経て最適港候補の技術的、並びに経済的な評価(使用可能期間、雪置場面積、内陸への雪資源輸送利便性、陸揚設備、雪輸出に関する法規制、自治体の協力体制等)を実施した。本件に関しても関係する専門家として商社、船会社、港湾業務委託会社等に手続きと経済的な観点よりヒアリングを実施した。需要者に関しては大規模な雪資源の冷熱利用を前提として地域冷房施設である北海道ガスや新千歳空港も現地補門の上、調査研究した。並びに冷蔵倉庫を想定の上、陸揚港としての適性が高い地区の需要者候補を政府、及び自治体資料により調査の上、リストアップの後、有望先のフィールド調査を現地研究者の協力も得て実施した。
著者
倉知 正
出版者
群馬大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

成体マウス全脳にX線照射することで急性に血管透過性の亢進が誘導された。血管透過性の亢進とは反対に脳内の血管内皮細胞成長因子VEGFの量は低下した。また、大脳皮質において活性化ミクログリアが顕著に増加し、血管内皮細胞特異的に発現する密着結合タンパク質claudin-5の発現が低下した。遺伝子改変マウス(Flk1-GFP/Flt1-tdsRed BAC Tg)へのX線照射は、脳微小血管におけるGFP陽性の血管内皮細胞の割合を増加させた。二光子顕微鏡を用いたTgマウス大脳のライブ観察により、血管内皮細胞のFlt1およびFlk1の発現度合を反映した明瞭な脳血管像が得られた。
著者
三浦 恭子 坊農 秀雅 清水 厚志 大岩 祐基
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

ハダカデバネズミ(Naked mole rat, NMR)は、マウスと同等の大きさ(平均体重35 g)ながら異例の長寿動物(平均寿命28年)であり、これまで自発的な腫瘍形成が一切認められていないというがん化耐性の特徴をもつ。本研究では、NMR個体のがん化耐性を制御すると考えられる、「NMR特異的がん化抑制バリア ASIS(ARF抑制時細胞老化)」の形成機構・役割を詳細に明らかにすることを目的とした。mRNA-seqによる解析の結果、発現変動する遺伝子群、また、ASISにおけるNMR種特異的なシグナル伝達制御が明らかになった。
著者
大澤 裕樹 丹下 健 小島 克己
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

アルミニウム集積に基づく耐性の分子構成要素の将来的な同定のために、アルミニウム超集積の鍵となる生理プロセスを発見する必要がある。私たちは、チャに代表される関連2科の8種の植物を調査し、7種の超集積植物の根の内皮細胞でプロアントシアニジン集積が共有されることを同定した。一方、調査対象の中の唯一の非アルミニウム集積種であるモッコク(Ternstroemia gymnanthera)では、ほとんどの通導木部においてプロアントシアニジン集積が認められなかった。葉の表現型と季節性の多様性にも関わらず、通導木部におけるプロアントシアニジン集積がこれらのアルミニウム超集積種間で共通の作用モードを持つ可能性が見いだされたことから、おそらくアルミニウムの長距離輸送がプロアントシアニジン輸送を伴うことが示唆された。しかしながら、アルミニウム集積性種の表現型の間の木部プロアントシアニジン含量にアルミニウム誘導パターンもアルミニウムとの分子化学量論のいずれも認められなかったことから、プロアントシアニジン以外の追加構成要素が木部のアルミニウム輸送に含まれる可能性があることがわかった。本成果は、定量的に木本植物種の特定科のアルミニウムおよびプロアントシアニジン集積パターンを分析した最初の包括的な研究となる。近縁種のアルミニウム集積の主要な生理学的プロセスに関するこれらの知見は、重金属、水と物質の長距離輸送、および葉の防御機構における有害金属超集積の分子進化と機能のより良い理解につながる可能性
著者
松井 秀彰
出版者
宮崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では超短命の脊椎動物であるアフリカメダカにおいて加齢以外になんら特別な処置なしに、ヒトパーキンソン病に酷似した病変が進んでいくことを見いだしました。すなわちアフリカメダカは加齢依存性に神経変性およびαシヌクレイン陽性の凝集体の進展を示しました。これはまさにヒトパーキンソン病病理に瓜二つと言えます。
著者
高橋 良輔 芝崎 厚士 山崎 望 大庭 弘継 川名 晋史 今井 宏平 伊藤 丈人 佐藤 史郎 中内 政貴
出版者
青山学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

当初の研究計画では最終年度となる平成29年度は、総括的研究を実施した。そのため共同研究の焦点は、”政治的資源としての時間”の位相の解明/時政学の構築に置かれている。研究推進の具体的方法としては、基礎的研究段階で各研究者が提示した研究構想に沿って課題を追究する個別研究と、その研究の進捗状況について報告・討議を行う研究会という二つの側面から実施された。まず平成29年8月24日(木)13:00-18:00 青山学院大学で開催された第5回研究会では、前半で研究アプローチについて検討したうえで、個別の研究状況を報告・討議を行い、時政学研究の成果公開の方法について協議をしている。当日のプログラムは以下の通り。1.前回までの研究会の振り返り&時政学研究のアプローチについての確認、2.個別研究(事例班)からのご報告:大庭先生/今井先生/八木先生(各自20分程度で個別の時政学研究についてご報告いただき、20分程度の議論)、3.時政学研究の成果についての検討、4.共著書刊行の検討、5.今後のスケジュールについて、6.その他。また平成30年1月28日(日)13:00―18:00に青山学院大学で開催された第6回研究会では、個別研究の報告を踏まえて、共著書企画案の共有・執筆者アンケートの共有、研究アプローチの類型化を行っている。当日のプログラムは以下の通り。1.個別研究からのご報告と討論(佐藤先生、伊藤先生 各20分報告+質疑応答)、2.共著書企画案のご説明、3.執筆者アンケ―トの共有、4.共著書構成および研究アプローチの検討、5.その他(今後のスケジュール・研究会開催など)。上記2回の研究会の結果、共同研究の成果を4つの類型に整理したうえで、ミネルヴァ書房からの共著書刊行を目指すことが合意された。
著者
鈴木 徹 宇治 督 横井 勇人
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

魚類でiPS細胞を開発できれば、凍結細胞での養殖優良系統の保存技術の開発が期待できる。本研究では、魚類iPS細胞の開発に向けて基盤技術の開発をめざした。Oct4プロモーターでGFPを発現するメダカとゼブラフィシュのトランスジェニックフィシュ系統を作製し、iPS化をGFPの緑色蛍光でモニターできる培養系を開発した。胚細胞にMini-CircleDNAを導入することにより、iPS細胞を開発できる可能性、再生ヒレに出現する多能性細胞を利用することに、効率的に体細胞をiPS細化できる可能性が示唆された。
著者
宮澤 陽夫 仲川 清隆 木村 ふみ子
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究はプラズマローゲン(Pls)の脳神経細胞死抑制作用について、細胞実験、機器分析、動物実験を用いて解明することを目的として実施した。細胞実験によりPlsの脳神経細胞アポトーシス抑制作用の証明を行うとともに、LC-MS/MSによるPls分子種の生体組織と食品中の分析法を検討し、最も抗アポトーシス効果の強いDHA含有Plsのスクリーニングを行った。また、アルツハイマーモデルラットを作成し、海産物由来Plsの投与試験を行い記憶学習能維持効果を確認した。
著者
飯田 元
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

広汎性発達障害(しょうがい)をはじめとする様々な障害レベルにある、いわゆる自閉症スペクトラムを有する未成年児を対象に、メールやブログ、SNS(ソーシャルネットワーキングシステム)といった電子的コミュニケーション手段に対するリテラシを障害レベルに応じて適切に教育し、また、実践を支援・補完する専用SNSプラットフォームを試作し、模擬的な療育プログラムの思考を通じて評価した結果、発達障害児の療育と社会参画支援のためのSNSプラットフォームが有するべき具体的機能要件および非機能要件をあきらかにした
著者
黒木 雅子
出版者
京都学園大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

平成24年、日本の複合マイノリティである在日韓国・朝鮮人女性との出会いを通して、キリスト教会での活動や問題などインフォーマルな情報収集を行い、ジェンダー、エスニシティ、キリスト教というカテゴリーだけでは括れない経験の多様性を確認した。平成25年3月に「エスニシティ・ジェンダー・キリスト教と宗教」研究会をたちあげ、研究者による研究と社会変革のための実践の両者を視野に入れ、11回の発表を行った。その結果、新たな問題として経済格差があげられる。これら研究成果の一部は、京都学園大学出版助成を得て平成27年12月に出版予定。また研究会ではミクロネシアとアメリカから日系人研究者を招いて講演を行なった。
著者
秋山 真志
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

Thymic stromal lymphopoietin(TSLP)は表皮角化細胞 KC 由来の ADの病態を形成する最も重要なケモカインの一つとして位置づけられているが、どのような刺激が TSLP を誘導するかについては未解明であった。本研究ではAD の KC において小胞体ストレス応答が起こり、TSLP が産生されていることが示唆された。
著者
木森 佳子 須釜 淳子 宮地 利明 中山 和也
出版者
石川県立看護大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、失敗する可能性の高い目視困難な末梢静脈を可視化する装置開発を最終目的に、近赤外光を用いた静脈透視技術と画像処理技術の課題を解決することである。これらの共通課題は深層静脈の可視化である。静脈透視技術について可視性に影響する光源とカメラと皮膚の位置関係、ナローバンドの効果、偏光フィルターの角度について検討した。その結果、これらの角度等により静脈の見え方は違いがあり最適値付近が明らかになった。画像処理技術の改良によってこれまでのプロトタイプより静脈可視化率が向上した。静脈の深さではなくコントラストの向上が功を奏した。臨床の意見を基に穿刺に有用な画像処理技術も向上した。
著者
原田 静香 櫻井 しのぶ 中山 久子 岡本 美代子 齋藤 尚子 南 唯公
出版者
順天堂大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、保健師教育における学生の学習プロセスをディープラーニングへと導くためのコースデザインの開発を行い、その効果を測定するものである。コースデザイン案に関しては、公衆衛生看護学の保健師活動方法において基本的な内容である「地域診断」を選択した。それは、支援の対象者や担当地域を把握するために始めに求められる基礎的な学習内容であることに加え、地域診断は、多角的な情報を集め、対象の特徴を縦断的に解析するプロセスを踏むうえで、学んだ知識を関連付けて理解したり、情報を精査したり、問題を見出して解決策を考えたり、自身の考えを創造したりといった学び方が必要であり、学生がディープラーニングを行うことが必要不可欠であると考えたからである。開発したコースデザイン案は、協働学習技法・ポートフォリオ・ICEモデル等を導入している。平成29年度の実績としては、開発したコースデザイン案を実際に用いて講義と演習を実施した。開発したコースデザインがディープラーニングを導くものとなっているかを評価するために、コース終了後に受講生への調査を実施した。開発したコースデザインによる学習プロセスの中で、学生がどのような学びの認知プロセスがあったのかを明らかにし、ディープラーニングを踏襲した学習経験を経ているかを確認するものである。調査対象者は本研究にて開発したコースデザイン案による地域診断演習を受講し、本調査への協力に同意が得られた者とした。調査期間は平成29年8月~。調査方法は半構成的インタビュー調査法を実施し、対象者は15名であった。分析方法はグラウンデッドセオリー法を用いている。現在分析を進めているところであるが、抽出されたコードの中には「学んだ内容のつながりに気づく」や「浅い認識に気づく」「住民の立場で解決策を考える」といったディープラーニングを踏まえたkey wordsが散見されている。