著者
荒木 陽子
出版者
北海道情報大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究により英語多読学習用の書籍群へYA文学やクロスオーヴァー文学を組み込み、その翻訳や関連書籍を日本語で読むことを奨励し、読書量の増加しようとする試みは容易ではないことがわかった。ただ2年間にわたり学生の読書傾向を追跡することにより、英語圏で人気のYA文学よりも、むしろなじみ深い「名作」や映画の原作の方が、学生の読書を増加させる傾向、さらには、1年次に多読専用図書以外に手が伸びた学生の多くが、大学入学以前より読書習慣を持っていること、さらには読書が好きでも「忙しさ」を理由に2年目には読書をしていないことなど、大学入学以前の読書習慣を生涯教育へとつなげていくために重要な情報を得ることができた。
著者
三浦 敦 寺戸 淳子
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

昨年度に引き続き、海外共同研究者の協力を得て、次の調査を行った。・カンボジアに海外ボランティアに行った学生について、ボランティア期間中およびボランティア期間終了後のその学生のSNS利用(特にLINE)と、彼らがとってLINEに載せた写真、およびLINE上の文字や画像による会話について、データ収集を行った(三浦)。そのデータについては現在、解析中である。・介護ボランティア活動を行う北海道の施設において、その活動の状況について参与観察調査を行った(寺戸)。この研究では、まだ彼らのSNS利用についての調査までには至っていないが、基礎的なデータはほぼ集まりつつある。・介護実習を行う大学生に関して、その学生の介護実習への関わりとSNS(LINE、インスタグラム、フェイスブックなど)利用の状況について、参与観察及びインタビュー調査を行った(デュテイユ=緒方)。また、埼玉大学および早稲田大学において、運動部(ダンス部および柔道部)に所属する学生たち、およびスポーツ実習に参加する学生を対象に、スポーツ活動とSNS利用およびSNS上の写真投稿の関連性について、参与観察調査およびインタビュー調査を行った(デュテイユ=緒方)。あわせて、早稲田大学スポーツ科学部のスポーツ人類学研究室において意見交換を行った。以上の諸研究については、現在、データをまとめているところであり、理論的考察も含めて、次年度においてその成果を、国際会議および国際ジャーナル上において公表する予定である。
著者
吉田 早悠里
出版者
南山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は、2017年8月6日~9月5日にかけての約1ヶ月間、エチオピア・オロミア州ジンマ県ゲラ郡に位置するムスリム聖者が暮らす一集落で現地調査を実施した。具体的には、主に以下の3点について調査を実施した。(1) 集落内外の個人・集団間関係:2016年度に調査を行った対象集落の住民74世帯に加えて、近隣集落に居住するムスリムとキリスト教徒、およびオロモ、アムハラ、カファといった民族にも調査対象拡大して世帯調査を実施した。これにより、調査対象集落の住民74世帯が、集落内外でどのような個人・集団間関係を構築し、生活しているのかを具体的に明らかにすることができた。(2) 集落における研究代表者の立場:研究代表者が同集落における重要なアクターとして位置づけられるようになった要因を明らかにするべく、研究代表者の存在がどのように集落の住民にとらえられているのかについて聞き取り、観察を行った。また、集落を拓いた聖者アルファキー・アフマド・ウマルはさまざまな予言を残しており、そのなかには「外国人」に関する予言もある。集落の住民がこうした予言をどのように解釈し、「外国人」と研究代表者をどのように関連づけているのかについても検討した。(3) 集落が置かれた現代的状況:調査対象の集落は、1940年代に宗教的実践を重視する集落として形成、維持されてきたが、特に1991年以降のEPRDF政権のもとで、さまざまな変化を経験している。そのひとつとして、外国政府やNGOによる援助がある。同集落が位置する郡では、JICAが2003年から参加型森林管理計画プロジェクトを実施してきた。こうしたプロジェクトが、集落にどのような影響を与えたのかについても検討し、コラムとして発表した。
著者
谷口 真人
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

地下温暖化が桜の開花にどのような影響を与えるかを明らかにするために、開花の変化トレンドと、地温の経年変化トレンドを明らかにした。桜の開花は日本の103箇所の平均で過去50年に5日開花が早まっており、特に大都市の東京、大阪、名古屋でその開花早期化の傾向は強く、都市化によるヒートアイランド現象が大きな要因であることが明らかになった。桜の開花変化トレンドに最も相関性が高いのは、深度50cmの地温であることが明らかになった。またその開花の違いにおよぼす土壌水分および土壌水質の違いについても調査した。
著者
西沢 義子 野戸 結花 北宮 千秋 會津 桂子
出版者
弘前大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

GM サーベイメータアラーム音はブザー音よりも不安・緊張感は強くないものの、防護服を着用すると不安・緊張感が増強すること、防護服から受けるイメージは一般的な医療者の服装よりも否定的感情状態が高かった。また、GM サーベイメータアラーム音から受けるイメージには性差が認められ、放射性物質の付着が少ない音の場合は不安感が少ないものの、女性の不安感が強かった。今後は作業者の活動性や機能性等を考慮し、放射線防護服については色やデザイン、GMサーベイメータについては被験者に緊張や不安感を与えない音の改良が必要である。
著者
神田 和幸 木村 勉
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

聾者の言語である手話は学校教育が始まる以前から存在した。手話の歴史は聾者の歴史と同じ長さである。現在から手話の源流を探るには未就学聾者の手話を採集し研究するしかないが、離島や僻地などに人知れず居住し高齢化により絶滅に近い状態にある。未就学聾者の手話は数手話、色名手話、親族名称がないなどの特徴があり、指さしが多いのが特徴的である。一方、生活に密着した語彙は現代の手話よりも描写力があることがわかった。個人方言性が強いが共通性もみられる。
著者
中村 和利 尾山 真理
出版者
新潟大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

今年度は、村松研究における血中高感度C-reactive protein(CRP)と骨折発生のデータ整理・解析を行った。また横越研究の調査を完了した。村松研究集団の3分位別CRPレベルは、低レベル群で0.25mg/L未満、中レベル群で0.25-0.58mg/L、高レベル群で0.59mg/L以上であった。村松研究6年間の平均の追跡は5.5人一年であった。骨折発生は51件あり、骨折部位の内訳は、前腕19件、上腕8件、大腿骨7件(そのうち近位部6件)、下腿3件、脊椎14件、手3件、肋骨8件、尾骨1件、膝蓋骨1件、足3件であった。骨粗鬆症性骨折が疑われる四肢骨または脊椎骨折をアウトカムとした場合、骨折の調整後ハザードリスクは、CRP低レベル群と比較して、中レベル群で2.2(95%信頼区間1.0-4.8)、高レベル群で2。4(95%信頼区間1.1-5.2)と有意に上昇していた。血中炎症マーカーと骨折の関連性を明らかにすることができ、そのメカニズムを今後探索する必要がある。横越研究の最終医学検査は2010年秋に終了し、血中CRP濃度も測定した。集団(n=523)の平均値および標準偏差は0.08mg/L(標準偏差0.23)であった。また、血中CRPと腰椎および大腿骨頸部骨密度のピアソン相関係数は、それぞれ0.099(p=0.024)および0.017(p=0.700)であった。横越研究における炎症マーカーと骨密度については、さらに分析を行い、最終報告を行う。
著者
鈴木 譲
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

感染の場であり,防御の最前線となる粘膜組織には,腸管におけるパイエル板のような特殊なリンパ組織の存在が哺乳類では知られているが,魚類では明確ではない.そうした中で,魚の鯛にリンパ球集塊が存在することを見出した.この組織がリンパ器官としての機能を持つのではないかとの仮説を立て,その検証を進めた.組織学的な観察によりリンパ球集塊の表皮内に存在することが明確になったことから,トラフグ上皮間隙白血球の単離を行った.メイギムザ染色観察の結果,リンパ球が多数を占め,次いでマクロファージ,そして少数の好中球,好塩基球が認められた.さらに,哺乳類の粘膜リンパ組織で抗原の取り込みに重要な働きをするM細胞をUEA-1染色により探索した.しかし、鰓のリンパ球集塊近傍のUEA-1陽性細胞は形態的には塩類細胞であった。魚類ではM細胞は存在しない、あるいは同じ系統の細胞が哺乳類とは異なる機能を持っているものと考えられる.鰓におけるRT-PCRの結果,B細胞のマーカーであるIgM,IgT,ヘルパーT細胞のCD4,細胞障害性T細胞のCD8の発現が認められたが,In situ Hybridizationの結果,IgT陽性細胞はリンパ球集塊に特に多く蓄積しており、防御の最前線である末梢でその役割を果たしているものと推測された.一方,IgM,CD4,CD8陽性の細胞は比較的少数であり,哺乳類腸管に見られる胸腺外T細胞分化を示す材料は認められなかった.組織特異的に発現するケモカインが,それぞれの部位に必要な白血球を誘導することが哺乳類では知られている.トラフグのケモカインを明らかにし,鰓で発現する種類から機能の推定を試みた.7種類のCCケモカインの発現をトラフグで調べたところいずれも鰓での発現が認められ,鰓のリンパ球集塊とヒトの各リンパ組織との相同性を類推することはできなかった.しかし、このように多くのケモカインが発現していることから,鰓が免疫系において重要な役割を担っているものと推測された。
著者
鈴木 慶子 三浦 和尚
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

急速かつ確実に「手書き離れ=PC依存」が進行している。手書き離れによる影響は「漢字が書けない」という現象を引き起こしていることに止まらない。学生は「読み」の力をも低下させている。同一問題を黙読して解答した群と視写して解答した群では総合点で視写群が高得点となった。視写することは、正確な「読み」に導く契機となる。 一方で、学生は、PC依存を自覚している。構想を練る時、全体と細部との関係を整合する時、及び立ち止まって自分の考えを吟味する時、PCでは不都合であると。同時に、下書き及び書き直しという概念が消失しつつある。両者の繰り返しによって鍛えられてきた、正確に「書く力」が危機的状況にある。
著者
大澤 範高 梅澤 猛
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

プログラミング学習に対する興味を喚起すると共に、プログラミング学習において重要な抽象化の概念の学習と利用を促進することを目的に、3次元プリンタによるプログラムの3次元実体化の方法を研究した。また、複合現実感技術を用いて、実体化された部品と仮想部品を統合して利用できるプログラミング環境を研究した。さらに、学習者の行動の分析に必要となる、屋内における位置推定技術として従来とは異なる方法での位置指紋法と自律航法を統合した方法を開発すると共に両手の動きによる行動判別技術の研究を進めた。
著者
山中 浩司 岩江 荘介 香取 久之 野島 那津子 樋口 麻里
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

研究期間中、希少疾患当事者53件(医療費公費負担対象疾患(インタビュー実施時)25件、2)その他希少疾患20件、3)未診断8件)に対して56回のインタビュー調査を実施した。うち、40件については、2017年3月に、病の経験と社会的認知に関係する11項目について中間報告書(162頁)をまとめ、関係者に送付し、概要を協力団体のウェブサイトに掲載した。40件の聞き取りデータ(のべ76時間)から、希少疾患患者における「社会的宙づり状態liminality」を明らかにし、成果の一部については、国内外の学会で報告を行った。また、こうした状態の中核をなす就労問題について、関係者から意見聴取も行った。
著者
大澤 義明
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

本年度実施した主たる研究内容は以下の2点である.1)少子高齢化を迎え社会構造が大きく変化しつつあり,将来の自治体が目指すべき将来像や,政策の方向性を定める総合計画や都市計画マスタープランにおいては,人口フレームが設定されるのが通常である.そこで,北関東3県(茨城県,栃木県,群馬県)の全112市町村の総合計画を冊子ベースで収集し,総合計画における目標人口と国立社会保障・人口問題研究所による趨勢人口を比較した.過大推計の度合いを数値的に把握し,どのような自治体が過大推計しているかといった要因分析を実施した.2)地方交付税額の算定には市町村面積に依存する要素があり,複数の市町村に跨る未定境界地域であった湖などで境界を設定する動きがみられる.境界確定の手法には近年「等距離線主義」手法が採用されるケースが多い.そこで,この手法により配分される地方交付税の推計を行い,市町村の現状や湖との関わり方を整理した.その上で湖境界の確定によって増加する地方交付税配分について考察した.等距離線主義の湖分割のみによる交付税配分では,湖に関連する費用負担を反映した配分を実現できないことを,霞ヶ浦・北浦を例に示した.湖分の増額交付税については湖境界の内側・外側に要する事業費用の拠出を算定した後,各市町村の一般財源として振り分けることが,環境保全・持続可能社会の形成に向けて必要であることを示した,水際線からの湖バッファー・陸バッファーという,湖への交付金の新たな再配分を提示した.
著者
大澤 義明 石川 竜一郎 小林 隆史
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

公共施設立地を巡る投票に参加する住民の影響を考察するため, 空間を取り込んだ基礎理論を構築した.住民アクセスという距離空間を明示的に取り込んだ単純な公共施設配置モデルを構築し,施設建設について各人の負担する費用(個別合理性)と行政が負担する全住民分の費用(全体合理性)についての比較を数式により明示し投票結果が経済的に最適となる必要十分条件を導出した。庁舎問題に関しては現地建て替えが有利となる2/3以上の同意要件(現在の地方自治法)の非効率性について明らかにした.加えて,実際の関東地域自治体庁舎建設に関して,GISを用いて可視化しながら投票結果の移動効率性の大きさや空間分布に関して分析した.
著者
田浦 康二朗
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

近年抗酸化活性剤として知られる水素水の肝線維化抑制効果を調べるために、C57BL/6マウスに水素水を飲用させながら、四塩化炭素、チオアセトアミド、胆管結紮により肝臓の線維化を誘導し、コントロール飲水群との比較を行った。その結果、四塩化炭素モデルとチオアセトアミドモデルでは水素水の飲用により肝線維化抑制効果が示されたが、胆管結紮モデルにおいてはその効果は見られなかった。次にそのメカニズムを調べるために、肝細胞および星細胞をマウスから分離し水素含有培地で培養することにより、活性酸素による肝細胞傷害、星細胞の活性化への影響について検討を行った。1μg/mLのアンチマイシンAを分離した肝細胞に投与することにより、肝細胞にヒドロキシルラジカルの発生を確認した。それらのヒドロキシルラジカルは水素含有培地において有意に発生が抑制され、肝細胞死の軽減も観察された。星細胞については水素含有培地においても明らかな活性抑制効果は観察されなかった。水素水は肝細胞でのヒドロキシルラジカルを抑制することで肝細胞死を軽減し、肝線維化抑制効果を呈することが示された。
著者
山本 和弘
出版者
栃木県立美術館
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

少子高齢化社会において芸術が高齢者や障害者、病人を治癒するのみならず、社会そのものをも治癒する「効能」をもっていることを1)ヨーゼフ・ボイスの社会彫刻2)アウトサイダー・アート3)環境倫理学の横断的かつ学際的研究によって明らかにし、《厚生芸術》という新しい概念が21世紀の芸術と社会において極めて有効な概念であることを理論と実践現場の双方から理論化、概念化する。平成22年度は1)ヨーゼフ・ボイスの思想を光学に偏向した旧来の芸術を批判した熱学的芸術としてとらえ直し、「社会彫刻」概念を創造的資本論として再解釈する研究を中心軸として2)芸術の社会的役割を「芸術の効用再考」、「厚生芸術=芸術(教育+医療・福祉+環境)」「芸術という労働市場」の三方向から文献によって定立し直すとともに、それらをアウトサイダー・アートと厚生(福祉)経済学との連関からも多層的研究を深めた。結果として、これらの背景になっている物理学における熱学が近代社会を駆動する基盤となったことを確認し、ボイスの芸術がまさにこの熱学の導入によって、芸術が社会的に有用なものであることを目指すものであることを解明するにいたった。少子高齢社会の厚生を創造性が支えることはすでにヨーゼフ・ボイスの芸術が示したとおりであるが、21世紀の社会では従来型とは異なる社会的意義を担った新たなタイプのアーティストの出現が望まれる環境になってきている。以上の理論的研究は堅冷化していない若い創造性へと接続される必要があるために、芸術系大学での実践プログラムとして大学が革新されるべきことを本研究の成果報告書としてまとめた。タイトルは以下のとおりである。「厚生芸術の萌芽的研究 少子高齢化社会における社会厚生のための熱学思想と創造的資本論の接続による実践美学試論」
著者
常田 聡 奥田 修二郎
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

代謝活性を止めている休止細菌は,抗生物質存在下において生存できるため,感染症難治化の原因となる。本研究では,細菌の細胞骨格であるFtsZに着目し,細胞分裂時のZ-ringの形成を蛍光共鳴エネルギー移動で検出する遺伝子組換え大腸菌株の開発を行った。その結果,セルソーターを用いることで休止細菌と分裂細菌の分離に成功し,休止細菌は抗生物質(オフロキサシン)に対して高い抵抗性を持つことがわかった。また,トランスクリプトーム解析の結果,休止細菌は乳酸デヒドロゲナーゼの遺伝子発現を亢進させていることがわかった。さらに,マイクロ流体デバイスを用いたシングルセル観察によっても上記の結果が支持された。
著者
水谷 雅彦 芦名 定道 出口 康夫 八代 嘉美 海田 大輔 伊勢田 哲治 児玉 聡
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、日本の教育・研究の風土をふまえた上で、研究倫理・研究公正について根本的な問いかけに基づく基本理念を検討し、不正の起きない研究の制度設計、効果的な研究公正教育の枠組みの提案を行った。具体的には、倫理学や宗教学などの価値論的側面および科学論的側面からみた関連分野のサーベイ研究、構築した研究ネットワークを基に、当該分野の研究者の招へい、国際学会への研究者派遣、定期的な研究討議を通じた共同研究体制の強化を図った。その研究成果として、国内外の研究者を交えたシンポジウムの開催、複数の学会発表、関連論文の出版を行った。
著者
山根 信二 玉木 欽也 権藤 俊彦 半田 純子 齋藤 長行 新目 真紀 長沼 将一 長沼 将一 新目 真紀
出版者
岡山理科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

多業種にまたがりソーシャルメディアを活用できる人材の育成プログラムを確立した.ソーシャルメディア/デジタルコンテンツの適切な利用環境をデザインしさらにアセスメントできる専門家を「ソーシャルコミュニティデザイナ」として定義し、平成26年度に(1)ソーシャルコミュニティデザイナに必要なコンピテンシの体系化を行い、平成27年度に(2)コンピテンシにもとづく人材育成プログラムの作成と領域横断型授業の試実装と(3)産学による成果の戦略的な共有と評価を実施した.
著者
浅井 史敏 加藤 行男 仲野 和彦 仲野 道代
出版者
麻布大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

我々は犬歯周病の人獣共通感染症としての可能性ならびに全身疾患との関連性を明らかにすることを本研究の目的とした。家庭内で飼育されている犬から口腔スワブサンプルを採取し、PCR法により10種の人歯周病菌および1種の犬歯周病菌の存在の有無を解析した。P. gulaeは解析した100頭以上の犬のほとんどで検出された。P. gulaeについて線毛遺伝子(fimA)の配列を解析したところ、3タイプに分かれ、これらをA, B, C型と命名した。C型の毒性はA型およびB型よりも強力であった。P. gulaeのC型とある種の循環器疾患との相関が見出された。
著者
中村 博昭
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

写像類群の重みフィルター付けから生じる次数加群やそれを包含する導分作用素のなす加群に生じる対称群の表現を既約分解する計算について考察を進め,とくに種数0の場合のJohnson準同形の安定像について進展をみた.有理数体上定義されるX字・Y字状の平面樹木型グロタンディークデッサンについて計算代数的アプローチを進め,Pakovich-Zapponi の手法で付随する種数1のグロタンディークデッサンを算出し,注目に値する実例の系列を明らかにした.