- 著者
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甲斐 広文
- 出版者
- 熊本大学
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2011
温熱療法関連の研究から, 電流刺激が生体に与える作用についての研究に着手し, パルス幅(持続時間: 0.1ms) を有する短形波の微弱電流には, PI3K-AKT 経路の活性増強効果が認められること,さらに微弱電流がユビキチン/プロテアソーム経路の阻害効果を有していることを見出した(PLoS ONE 2008, 2012; J. Pharmacol. Sci. 2008,2010;Int.J.Hyperthermia 2009; J.Surg.Res. 2009 等で発表). 一般に,細胞膜は電気的抵抗が高いために,細胞内のシグナル分子に影響することはあり得ないことから,細胞の表層を流れる電流がどのようにして細胞内に刺激を伝えるのか, これまでの細胞生物学的アプローチの経験から(EMBO J. 2007; J.Biol.Chem. 2009; Mol.Cell.Biol. 2008; Mol.Cell 2012 など), 様々な角度から微弱電流が生体に与える効果を科学的に検証してきた. その結果, 持続パルス時間が0.1 ミリ秒の電流に対して何らかの受容体が存在すること, ラフトの関与があること等を明らかにした.