著者
長塩 真也 山崎 和彦
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

交通量が少ない空港では、空港の交通情報や気象情報を提供する運航情報官が配置されていない。他空港にいる運航情報官は、遠隔操作できるカメラや気象情報などを利用して運航情報官が配置されていない空港の状況を確認し、パイロットへ情報を提供する他飛行場援助業務を行っている。今後、航空機の交通量が増加することを考慮すると、インタフェースの使用者である運航情報官にとって使いやすいデザインにすることが求められている。そのために、業務の分析を行い、問題点や改善のポイントを見つけ出した。その結果を基に、ディスプレイのレイアウト検討のための簡易的なプロトタイプを制作し、ユーザー評価からデザインの方向性を探ろうとしている。今後はそのユーザー評価の結果を基に、レイアウトを定めてより具体的なデザイン提案へと進めていく。
著者
石川 雄仁
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>2016年から筆者は新宿区障害者福祉センターで、聴覚、身体、軽度知的障害を持つ人々が、簡単に参加し創造性を発揮できるワークショップを開催している。その関わりから、新宿区立障害者福祉センター、スターバックスコーヒージャパン新宿東口地区、宝塚大学の3者で、新宿区内で障害についての理解を進めるためのイベントを企画、開催している。この障害理解のイベントは少しずつ規模を大きくしながら、2018年まで1年に1度開催することが出来ている。またこれからも持続的にイベントを開催していくという流れが出来ている。本稿では3年間で障害についての理解を進めるイベントがどのように変化していったのかと、今度の展望について報告する。</p>
著者
池田 岳史
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.82, 2005 (Released:2005-07-20)

国内においての伝統的建造物群保存地区2地区における住民意識に関する調査との比較を目的とし,海外での伝統的建造物群保存とそれらの建築物での生活に関する実態調査を行うこととした。調査の対象としたドイツ連邦共和国ローテンブルグ市は,12世紀_から_14世紀に築かれた城壁に囲まれた旧市街地を中心にファッハヴェルクと呼ばれる木組みの家屋が数多く残る街である。今回の調査では,現地での街並み景観調査及びローテンブルグ市建設局長ハンス・ミューレック氏への取材を中心に調査を行った。 調査の結果日本国内での調査と異なる印象を受けた点については,観光客との関係であり,住人の生活環境への侵入やトラブルといった面について,エリアが比較的広いという条件はあるもののほとんど聴かれなかった。観光地としての歴史とそれに関連する文化がローテンブルグ市には根付いているものと考えられる。伝統的な建造物やそれによって構成される街自体を文化と捉え保存し,かつ生活空間としていくことは容易な事ではないが,資金や材料,方法といったハード面での支援に加え,ソフト面での充実,つまり文化を育てるという方向での支援や活動が求められるように思われる。
著者
久保 倫太郎 吉岡 聖美 蓮見 孝 五十嵐 浩也
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

この活動は、病院の環境をより快適にするためのアート展示とワークショップである。 患者、病院スタッフ、患者の家族、ボランティアの人々が参加できるワークショップを開催した。ワークショップの参加者は葉っぱを模ったオブジェとメッセージカードを制作した。我々学生スタッフは、それらの作品を展示に付け加えた。それはまるで森が成長するように見える。そして、病院の中に森をイメージした展示を造り出した。 この活動は、病院の療養環境を改善し、患者のQOLを向上させることができると考えられる。
著者
趙 採沃 三井 秀樹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.39, 2005

「Art to Wear」はファッションとアートが融合した独自なアートジャンルとして、現在、その発祥地であるアメリカでは、「Wearables」、「Wearable Art」、「Art Wear」などいくつの名称で呼ばれている。 筆者は、論文「韓国の『Art to Wear』の研究-概念と変遷を中心に」において、アメリカの「Art to Wear」は韓国の「Art to Wear」の直接的な契機となっていることを明らかにした。従って、アメリカの「Art to Wear」の考察は、韓国や日本などの「Art to Wear」の諸状況の理解や、その本質を把握する上で、有意義であると考えられる。 本稿は、1960年代後半から1980年代初めまでのアメリカの「Art to Wear Movement」に該当する時期における、その造形的な特徴をそれのリーダであった5人の作家(後出)に焦点を当って考察を行った。
著者
河阪 雅之 中本 和宏 横内 恭人 渡辺 慎二 杉山 和雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.177, 2005

携帯電話を製造する際、メーカーはデザイン戦略に応じてコンセプトを立ち上げ、コンセプトに基づきアピアランス・インタフェースのデザイン作業を行う。アピアランスのデザインと比較して、インタフェースデザインに関してコンセプトとの適合度を議論されることは非常に少ない。しかし、メインメニュー画面は操作時に最も頻繁に目にする画面であり、他メーカーとの差別化を図る上でも重要な要素である。そこで本研究では、AHPを用いたメニュー画面のアイコンに対してコンセプトがどの程度適合しているかを評価する評価方法を提案することを目的とした。
著者
黄 珊
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.207, 2013 (Released:2013-06-20)

製品機能の差別化が困難になった今日、製品のデザインは重要なツールとして消費者の購買行動に影響を与える。グローバル化にあたって、競争優位を築くため、企業はデザインの重要性を認識しなければならず、効率的にこのツールを使うことが非常に大事であると考えられる。また、文化は消費者の価値観、購買行動、および美意識に影響する。各国の消費者は外界の刺激を解釈するときは自らの文化、価値観に左右されるので、ほかの国の消費者と比べると、製品に対する解釈も違うであろう。グローバル環境で、異文化の消費者のニーズを満たすために、異文化の美意識を理解できることは企業には大きな意味があると考えられる。本研究は、具体的に中国人消費者が思う「日本らしさ」の特徴を明らかにする。こういう特徴を明らかにすることで、デザインの動向を把握することを可能にし、より客観的な提案を行うことができる、中国市場むけの「日本らしさ」もった製品の開発マーケティングのための施策を提案する。
著者
名塚 ちひろ 岡本 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.C04, 2009

買い物には生活に必要な行為の他に,娯楽的な側面もある.買い物の娯楽的側面の要素は視覚情報からもたらされる場合が多い.しかし視覚障害者は買い物の娯楽的側面を楽しむことは困難である.本研究では,シナリオベースドデザイン手法を用いて,視覚障害者の買い物に置ける現状や潜在的なニーズを明らかにした.抽出したニーズの中でも特に「店内で買い物しながら使えるものであるべき」「思わぬ発見をしたい」「目の前に何があるのかを知りたい」の3点に着目した.そして,視覚障害者が能動的に商品を探せたり,知らない商品に気付くことのできる「COMPASS」という機器を提案した.評価では,モックアップとMoving Prototype,オーディオドラマを用いた.実験の結果,COMPASSを使用することで「欲しいものを見つけられる楽しみが生まれる」「その場で欲しいものを決められる」という結果が得られた.このことからCOMPASSが買い物を楽しくし,意欲をわかせる機器として有効であったことが確認できた.今後の展開として,形状や仕様の改良,様々な売り場における買い物への応用方法を考える必要がある.
著者
木村 南
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.36, 2003

自転車の軽量化のために1985年以降、日本の東レで開発された炭素繊維が自転車フレームとして採用され、オリンピックで東ドイツチームが金メダルを取り、その後ツールドフランスでの活躍もあり、自転車用素材として炭素繊維は広く受け入れられてきた。また、チタン合金もTig溶接の進歩に伴って徐々に拡大されている。またAlパイプも大径化により、ヤング率の低さをカバーして広く用いられるようになってきた。当初は接着構造が主体であったが、Tig溶接に置き換わってきている。これらの自転車における新素材の応用について過去30年間の日本で入手できる自転車、自転車部品を雑誌広告の中から抽出し、材料開発、接合技術開発の観点から整理した。結論として材料開発から約3_から_10年後に実用化がなされ、コスト的に従来材のCr-Mo鋼パイプのろう付け構造と同一コストになるまでにはさらに5_から_10年を要した。そこで著者が開発したオートクレーブを使用しないゴム型を利用する簡易成形法により、炭素繊維の応用例が少ない自転車ペダル等(Vf=25_から_40%)への応用を試みた。この技術を将来的には車椅子の軽量化に応用することを目的としている。
著者
高山 詩穂子 田中 隆充
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

筆者は、ビニールやレジンなど透ける素材によって有機物を保存した作品を制作してきた。同様の素材を使用した先行研究として深堀隆介とダミアン・ハーストの作品を取り上げている。レジンは無色透明であるため人に見せられない部分を作ってはならない。そのため本稿で示す制作で特に留意したのが内容物の配置である。こうした視点から日常よく使用する製品について考えてみると、入れ物、つまりカバーや裏側、底が大きな役割を果たしていることに気付いた。デザインとは問題を解決するための手段であり、本研究ではカバーによって隠されてしまった本質的な問題を創作活動から発見し、可視化することで、デザイン行為を解決することが今後の課題であると考えている。
著者
上野 直樹 古沢 剛 松村 飛志 澤田 浩二
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.C16, 2007

グラフィティとは、ビルの壁や地下鉄へ不法に描かれた壁画もしくは文字のことである。日本では最近、渋谷地区で合法なグラフィティを支援する活動がNPO 法人Kompositionによって行われ始めている。Kompositionの活動は、ビルや公園の壁にグラフィティを描かせてもらうために渋谷区役所やビルオーナーと交渉を行うといったことである。今回私たちはKompositionの活動を支援するためにGoogle Maps APIを利用して渋谷グラフィティマップをデザインした。渋谷グラフィティマップはKompositionの人々とグラフィティ文化のファンたちを繋ぎ、渋谷地区に描かれたグラフィティへのアクセスを容易にするツールとして見なすことができるだろう。
著者
藤村 諒 佐藤 浩一郎 寺内 文雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.65, pp.450-451, 2018

本研究では疎水性シリカを使用した撥水剤を作成し、天然繊維や再生繊維、合成繊維の種類を問わずに高い撥水性を付与することを可能にした。疎水性シリカとはそれ自体が非常に水と混ざりづらい性質を持っており、また非常に粒子が小さいというものである。本研究ではこの疎水性シリカにエタノールを溶媒にして懸濁液とした。懸濁液をゲル状になる割合で配合することで塗り込む事ができる撥水剤を作成した。撥水性の測定を接触角によって定量化した。接触角とは液滴の接線と固体表面とのなす角度である。この接触角の値が大きいほど撥水性であると言える。本研究では、市販のフッ素系の撥水スプレーと作成したゲル状の疎水性シリカの撥水剤とで接触角の比較検証を行った。サンプルは天然繊維及び再生繊維、合成繊維の布地で合計6種類使用した。結果は市販の撥水スプレーを塗布したサンプルでは6種類の布地の接触角はほぼ110から120度の値を示していた。作成した疎水性シリカの撥水剤を塗布したサンプルでは、再生繊維のキュプラを除く5種類で150度を超える接触角を示していた。しかし水滴と共に、疎水性シリカの一部が流れ落ちることが今後の課題である。
著者
濱口 萌子 久保 雅義
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

平成25年度より、文部科学省は「地(知)の拠点整備事業」(以下、COC事業)を実施している。地域の課題と大学の資源の効果的なマッチングによる地域の課題解決策の立案・実施を目的としている。COC事業は「産学連携」の取り組みのひとつであるが、大学発プロダクトアウト型商品開発・事業創出は大きな問題を抱えている。大学との連携企業や地方公共団体は、大学からの成果物を継続的な経営資源として捉えている。一方、消費者生活者視線の販売を意識した開発等がなされないまま市場導入されニーズとのギャップに驚かされることも珍しくないと聞く。本研究は、「藤布の里」産品プロジェクトであり、大学側が自然の藤の花から酵母や乳酸菌等を取り出し、それらを用いて京丹後市の多数の製造業ともに商品を開発した。しかし市場に臨むと話題性はあるものの支持はされず、「モノづくりと販売を分離して考えてはいけない」ことや市場の消費者や生活者の検証やその後の展開までも考えることが改めて必要ということが分かった。
著者
松田 基 竹末 俊昭 阿部 真理 藤盛 啓冶
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.374-375, 2001

Many subject exist in the Wheelchair, for example, the Wheelchair being used in the advanced-age home at present.Mainly it is used that the bad designed one made of metals.Using the lumber is the better for a wheelchair, because of its sensory characteristic.It's also necessary for designing as the furniture.In this case of study, it has proposes of combination of the limber to the wheelchair designed as keeping basic operation.
著者
井上 友子 佐藤 佳代 青木 幹太 坂本 浩 星野 浩司 佐藤 慈 荒巻 大樹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.119, 2011

2008年から継続している博多織プロモーション計画は、2010年に3年目を迎えた。本年度の3学科共通テーマは「社会貢献」である。これは、「ものづくり」という行為を通して若者に地場産業への関心を抱かせ、「地域社会に貢献」する「人材を育成」するために計画された。本件は美術学科の染織工芸、油彩画、日本画の学生が社会との関わりを通じた体験についての発表である。
著者
島澤 全 田中 みなみ
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>シャンパンタワーには中央のグラスへシャンパンが偏る問題があり、この問題を克服するためグラスの形状を工夫した。グラスの形状を3DCADモデルにして、それを3Dプリンターを使い1/2の大きさで造形した。これを使って実験を行い、形状の検討を行った。</p>
著者
杉松 献理 上田 慎治 寺内 文雄 青木 弘行
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.267, 2012 (Released:2012-06-11)

人は物体の形を見た際に様々な感情を抱きます。たとえば不安感や緊張感が感じられる物体からは同時に魅力が感じられます。本研究では,人が全体重をかけて 乗る自転車を不安感や緊張感の感じられる形にすることで日常では味わえない乗り心地が得られると考え,このことからワイヤーの柔軟性を利用したステアリン グ構造およびサスペンション機能を備えた,乗車可能な強度ある自転車フレームについて提案します。
著者
田場 直也 工藤 芳彰
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.P12-P12, 2009

本研究は、八王子の山車文化継承のための教材として、小学教育用の映像コンテンツを制作した。制作にあたっては、「八王子まつり」での南町の山車巡行と、小学教育用の映像コンテンツを調査、および小学校での試写とアンケート調査をおこなった。調査の成果を踏まえ、映像コンテンツを制作した。その内容は、お面の世界から人間界へやってきた「ひょっとこ」と「きつね」が、山車まつりに関して質疑応答するというものである。質疑内容は、小学生と南町関係者の意見を踏まえたものである。今後、制作物を市内小学校に提供していきたいと考えている。
著者
佐藤 直木
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>「津田三省堂(つださんせいどう)」は、1909 年(明治42 年)に、津田伊三郎(つだ・いさぶろう)によって名古屋の地に創業された活字製造・販売会社である。かつて日本には、宋朝体の国産鋳造活字は存在しなかった。中国の宋朝体活字に源流を求め、苦心のうえ、津田三省堂により宋朝体活字がはじめて国産化されることとなった。筆者は「文字と書体のデザイン」を研究テーマに掲げて大学研究室を運営している。研究を進める中で、ふとした機会から古書を入手した。津田三省堂発行の「宋朝 各号 長体・方体 略見本 /二号 長体 総見本」である。書体見本帖を手にしてその内容に触れたときの衝撃は大きなものであった。その書体は「雄健にして典雅、活字面の鮮鋭明確なるは無比」とかつて称されたと伝えられるように、独特の風格と気品を漂わせる書体であった。文字をデザインする人間のひとりとして、偉大な先駆者である津田三省堂へのリスペクトを込めて、津田三省堂宋朝体のデジタル復刻に取り組むことを決意した。今回はその取り組みにおける成果のごく一部を紹介するものである。</p>