著者
菅 靖子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.B02-B02, 2007

イギリスでは早くから広告の視覚的効果が認識され、1871年のフレドリック・ウォーカーによる劇場ポスター『白い服の女』の登場以降、芸術性の高いポスターが大いに注目された。しかし、その結果「絵画的(pictorial)」なデザインが主流となったために、写真の広告への導入は、大陸ヨーロッパの動向と比較するとやや遅れ気味であった。 こうした状況を徐々に変えていったのは、1930年代初頭にイギリスを訪れたり移住あるいは帰化したりした越境のデザイナーたちの存在、そしてデザイナーの活躍の場を与えた企業や団体である。本発表では、グラフィックデザイナーのエドワード・マクナイト・コーファーとハンス・シュレーガーが逓信省のために行ったポスターの仕事を事例として、イギリスにおけるモダン・グラフィックデザインがどのように写真を取り込んで展開したのか、その一側面を検証する。
著者
片山 勢津子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.10, 2005

NYチェアXがMOMAの永久収蔵品に選定されるなど,NYチェアは名作椅子として知られる。しかし他と違い,廉価で雑貨店等でも手軽に購入できるため,作者の新居猛やその作品,制作姿勢についてあまり知られていないのが実情である。本稿では,椅子制作に至った経緯や折り畳み椅子の系譜,コピー製品を廻る裁判からNYチェアの制作思想を探る。新居の家業は剣道具屋であったが,戦後,GHQによって剣道が禁止になったため,彼は木工技術を学ぶ。作品で詳細が分かる椅子は24脚で,特徴のあるのはNYチェアシリーズ9脚と試作2脚の計11脚である。その変遷を見ると,折り畳み形式,安定性,軽量化,使用場所等を考慮して改良していることがわかる。自社工場で製作するため,自ら使用して改善,試作を重ね,大衆向けに拘りコスト削減を図る。こうした新居の椅子への思いを踏みにじったのが,コピー商品の出現である。著作権の侵害を一人訴えたが,最高裁でも棄却された。それ以降,彼は真似のできないオリジナル製品を強く指向する。他にない椅子を作ろうと考え,洋の椅子を和の伝統技術で作り上げた職人気質をNYチェアには認めることができる。
著者
齋藤 学
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

2011 年度から新しい学習指導要による学校教育がスタートしているが、小学校図画工作科において「デザイン」という用語が使用されなくなったことをはじめ、普通教育における「デザイン」の取り扱いは大きな転換点にある。そうした中で、鑑賞による学習の充実が求められており、中学校美術科の教科書においては、身近な生活用品が図版に用いられた鑑賞教材が多数掲載されている。この学習をより有効なものとするためには、実際に手で触れ使うことができる鑑賞の機会の提供が必要であり、「体感型」の鑑賞学習プログラムの開発を試みた。<br> 名作椅子を用いた「体感型」鑑賞プログラムは、一般的な「見る」鑑賞に比べ、生活におけるデザインの働き(形状・素材・色・機能など造形の諸要素の関係性)について理解が得やすく、その学習効果の優れた特性が認められた。また、本プログラムをシステム化し効果的に運用(教材の管理とアウトリーチ)していくためには、今後、地域における学校間の連携と、自治体、公共施設、非営利団体、企業等の支援体制の整備が必要である。
著者
飛田 真理子 藤戸 幹雄 木谷 庸二
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

本研究では、近年急増する訪日外客を対象とし、鉄道駅券売機の問題点と券売機の造形に対する印象を明らかにし、券売機および周辺表示のデザイン提案を行う事を目的とする。訪日外客の鉄道駅券売機利用時の問題点を明らかにするために、京都駅中央口において、券売機およびみどりの窓口を利用する訪日外客に対し、券売機の利用状況や問題点についてのヒアリングを行った。得られた問題点を分析し、抽出された問題点をもとに、訪日外客の券売機利用時に経験する問題のエクスペリエンスマップを作成した。また、券売機の機器と画面に対する印象を明らかにするために日本人と外国人を対象に海外の券売機の印象評価を行った。これにより、日本人・外国人それぞれにおける、印象の良い機器および画面に共通するデザイン要素の傾向が明らかになった。最後に、得られた問題点と造形に対する印象の傾向をもとにきっぷ売り場の新たな周辺表示と券売機の機器・画面のデザイン提案を行った。
著者
樊 汝之 須永 剛司
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.65, pp.460-461, 2018

この研究は主に子どもが表現したくなるツール(「どうぶつカチャ」・スマホカメラアプリ)のデザインに着目する。「どうぶつカチャ」の使い方は、画面中動物の透明な顔を通して、現実世界の色や柄を用い、動物の顔を作りだすこと。「どうぶつカチャ」のデザインの振り返りから、子どもが表現したくなるツールデザインの原理を見つけようとしていた。
著者
佐々井 俊文 三橋 俊雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

本研究では、自立自存的な生き方とは何かを探求するに当たり、京都府北部の2地区において、民俗学的および道具学的な視点から聞き取り調査および行動の調査を行った。<br>宮津市の丹後由良地区では、調査対象者1名の生活技術や生活哲学が、自然の循環の中にあり、また物々交換に代表される人との関わりの中にあることが明らかとなった。そのことは特に消し炭の利用に明確に表れており、自立自存的な生き方の特徴的な生活技術の事例の1つを示唆していると考えられる。<br>福知山市雲原地区では、兼業で猟を行っている2名の対象者が、猟を通じた道具の加工技術や、害獣と対峙しながら生活していくための、幅広い知識と技術を持っていることが明らかとなった。<br>こうした対象者らの日常の生活や生活技術は、自然の中で自立自存的な生き方を実現するための、重要な知見であると考えられる。<br>
著者
小玉 一徳 桑原 宏明
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

本稿は、2015年10月10日(土)-11月23日(月)に開催されたのせでんアートライン妙見の森2015において、設計制作した鉄道沿線を舞台にした移動型インスタレーション作品の実施報告であった。設計制作のねらいとしては、「沿線を移動する」「場面を作る」「人を呼ぶ &minus;駅スタンプ&minus;」という3つのキーワードがあった。実際に設計制作したのは、キャスターのついた箱型のもので、内部に駅スタンプを設置させた装置であった。実際の運用においては、安全面の配慮から、電車の乗車や駅構内の設置場所に制限があったが、仮設の装置が場を変容させ人々に何らかの働きかけを促すことが確認された。 今後も、小さな建築・家具による仮設装置によって、人と空間の関係がどう変化し何を生むのか、設置される場所の力をどう引き出すのか、などその効果ついて実施・検証していきたい。<br>
著者
テンク イドラ イリヤニ 山﨑 和彦
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

本研究は文化差を活用したデザインアプローチの研究である。二つの異なる文化の共通と差異ポイントを明らかにして、デザインコンセプトに活用し、デザインを提案する。作品の制作と評価を繰り返し行い、制作作品が両方の文化に合えるかどうかを見出す。作品評価は評価シートとユーザーエクスペリエンスマップを使って、評価した。
著者
石村 真一 平田 由紀子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.286-287, 1999

In the lumber processing industry, the first priority is to secure the lumber resources to be supplied uninterruptedly. This study aims at using satoyama-rin(countryside coppices) not utilized so far as materials for lumber processing. We have tried to develop wooden saving boxes modeling a barrel using konara (small Japanese oaks) and kunugi (a kind of oaks) most common in countryside coppices. As a result we found that satoyama-rin can be utilized if processed products are small by paying due attention to drying, cutting and painting of wood. It is necessary to protection of resources for the utilization of satoyama-rin simultaneously, for which we are preparing materials.
著者
千鳥 泰岐 松崎 元
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.258, 2012 (Released:2012-06-11)

本研究では人とコミュニケーションをとることを想定したロボットにおいて、人格を感じるかという要素が重要であると捉え、形状や動きによる被験者の印象の変化を、簡易的なモデルを制作して調査する。これにより人とのコミュニケーションを円滑に行う為に必要な要素がどのようなものであるか、またそれが人格を感じるか否かという点とどのように関係しているかを分析する。
著者
栄久庵 祥二
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.51, 2006

道具は'動かせる''動かせない'の違いに対応し、対人コミュニケーションに関し二つの効果を持っていると考えられる。一つは'ソシオペタル'(人どうしを結びつける)な役割を果たす'動かない'、設備系の道具であり、他は'ソシオフューガル'(人どうしを引き離す)な効果を有する'動く'道具、即ち、動具である。前者の例として炬燵や火鉢など日本の伝統的な暖房道具は家庭内で'ソシオペタル'な役割を果たしていた。井戸はいわゆる井戸端会議の開催場所であった。一方、今日、設備としての'動かない'道具は、ポータブル化など動具へと変化し、しかも、個人使用化が顕著である。固定電話から携帯電話への大幅な移行はその代表例である。設備としての道具では共用されることが多く、そのことを通じ対人コミュニケーションを促したが、動具は豊かな社会の到来と共に一人に一台の個人所有或いは使用を促進し、結果的にソシオフューガルが効果を生んできた。本研究では、設備系の道具のソシオペタルな効果が生むコミュニケーションの二段の流れに注目すると同時に、拡大するソシオフューガル効果が一方でソシオペタルな人間同士の集合を促しているのではないか、それを可能にする設備と空間への社会的ニーズを生み出しているのではないか、との緩やかな仮説を想定した。
著者
瀧 知惠美 須永 剛司
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.65, pp.494-495, 2018

デザインリフレクションとは、チームメンバーで実践知を共有し、メンバー同士のより良い関係性構築につなげる活動である。良い関係性のチームになることで、よりユーザーに利用されるサービス開発につなげることがこの研究の目的である。デザインリフレクションでは主に以下の項目を語り合う。1)苦労を語り合う。2)工夫を語り合う。3)ものごとを判断するときに大事にしている考え方を語り合う。4)やってみてわかったことを語り合う。本研究で扱う実践知とは、サービス開発をするメンバーが開発を展開するために無意識に方略としている行為とその行為の背景にある感情である。本稿では、Yahoo!天気・災害サービスの「避難場所マップ」を開発したチームで行ったデザインリフレクションについて考察する。この事例から、デザインリフレクションを実施する意味を3点見出した。1)自分たちの実践知の素材を見出す。2)実践知の共有によってメンバーの相互理解が深まる。3)チームメンバーとのより良い関わり合い方がわかる。
著者
小川 峻右 山崎 和彦
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

近年キャラクターはテレビや漫画から生まれたものだけでなく、企業で開発されたもの、地方自治体で作られたものも多く存在する。日本人の生活の中で様々な世代から支持されるキャラクターには共通要因、パターンがみられる。共通要因とパターンをキャラクターから抽出し、それらを取り入れた新しいキャラクターの発想法を考案することを研究とする。
著者
青木 宏展 植田 憲
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

本研究は、潜在化の進む千葉県の歴史的造形物の3Dデータを優良な状態で取得・保存するための技術面での重要な要素を抽出し、地域造形の顕在化・共有化に資する3Dスキャンデータの利活用方法について考察を行い、当該地域でのデザイン支援の活動モデルを導出することを目的としたものである。結果、VIUScan使用時での優良データ取得の重要な要素として以下を抽出した。(a)マーカを貼付けた板の上に像を載せ、その上にシール台からはがさない状態のマーカを載せて撮影する、(b)データの取得領域拡張には透明梱包材が有効である、(c)テクスチャ取得にはレーザー照射量、シャッター速度調整が重要であり、取得対象に合わせての手動調整が重要である。また、歴史的造形物の3Dスキャンデータの利活用方法の可能性として以下が導出された。(a)彫刻復元と後代へ伝える造形資料、(b)仏像のミニチュアと地産材を利用したお守り、(c)彫金による製品展開、(d)地域資源としての歴史的造形物の顕在化と共有化に資する展示。最後に、本研究を通して得た知見から、デザイン支援のための歴史的地域造形物の3Dデータを用いた活動モデルを導出した。 <br>
著者
大竹 美緒 山田 博之 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.65, pp.444-445, 2018

他者からの視線は人に様々な影響をもたらすが、それは本物の人間の目に限ったことではない。イラストや作り物など、人工的な目をも人は他者からの視線だと認識する傾向がある。人工的に作られた目は状況や使い所によって、不快・恐怖などの負の印象から、愛らしさなどの正反対の印象を与えることも出来る。目単体に対する不快感を検証した例として、人間の目の写真を利用した研究は存在するものの、人工物の目を主題とした研究は今のところ見られない。また、実物・人工物に限らず、顔や身体全体の印象評価を行う為に目を主題として扱う研究は多数存在するが、目のみを対象とした研究は少ない。本研究の目的は、人工的な目が配置された空間が、そこに置かれた人々にどのような影響や効果をもたらすかを明らかにする事である。しかし本研究に関連する事象は未だ解明されていない事が多く、要因をひとつずつ検証していく必要がある。本実験では、先行研究である目の写真に対する不快感を検証した実験を、イラストの目に置き換えて実験を行った。その結果、実写の目とイラストの目が与える不快感には差があるという事が示された。
著者
三宅 宏明 松尾 武信 木下 武志
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.76, 2011

本研究では,PCと液晶ディスプレイを用いて,ディスプレイに表示される色に関する色記憶についての実験を行った.実験参加者は,画面に呈示された色を15秒間記憶し,15秒後にその色をPCで実現したカラーパレットを用いて自らが再現した.50色の呈示した色と再現した色の測色値より,色差を求めた.分析の結果,明度の高い色は低彩度に再現され,明度の低い色は高彩度に再現されるなどの知見が得られた.
著者
笹井 五月 木下 武志 山本 紀輝 長 篤志
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

デッサン教育は美術・デザイン教育において重要視されており、デザイン分野では主に静物デッサンが制作課題とされている。本研究では、アイマークレコーダを用いたデッサン制作時の視覚探索を行い、学習経験の長い場合と短い場合の視線行動にどのような差や特徴があるのか調べることを目的とする。これまでのデッサン教育は教育者の主観や経験則に頼って行われてきたが、視線行動の差や特徴を明らかにすることにより、科学的根拠に基づいた教育を可能にすることが期待できる。デッサンの学習経験の長さが異なる計5名を実験参加者とし、3時間の視線行動を記録した。その結果、学習経験の差によって視線の範囲や、視線の行き来の頻度に違いが見られた。
著者
廖 莎 蓮見 孝
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.P24, 2010

本研究では、入浴時の安全を高め、バスルームの機能向上に貢献するデザインの可能性について研究するとともに、新たな入浴スタイルについて考察を行う。特に、入浴のプロセス(脱衣、脱衣場からバスルームヘの移動、バスタブにつかる、バスタブから出る、バスルームから脱衣場までの移動、着衣)に着目し、入浴の問題点や危険性を調べ分析する。 安全な入浴のためには、入浴者の体温や血圧の急激な変化を避ける必要がある。そのために、体温や血圧を安定状態に保つ装置の開発が求められる。その装置の可能性の一つとして身につける入浴スタイルについて研究する。
著者
高山 翔矢 向井 志緒子 Norasakkunkit Vinai 小山 慎一 日比野 治雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

&nbsp;2020年の東京オリンピックに向けて、政府目標としてインバウンド(訪日外国人)数を2000万人と打ち立てる日本であるが、近年の観光事業の発展により目標達成はほぼ確実と言える。それに伴うインバウンド消費の増加のためにも、おみやげ事業は力を入れていくべき分野であり、更なる発展が望まれる。先行研究によると、アメリカ人は「同僚」へおみやげを買わない傾向にあることも示されており、ここに未開拓の市場が存在する。<br>本研究では、どのように日本人とアメリカ人の学生が同僚・クラスメート(以下 同僚)におみやげを選ぶのか検証した。9種のおみやげ(菓子類、雑貨類、食品類がそれぞれ3種)のうち1種をディスプレイ上で選ぶ実験を行った。その際、眼球運動測定も行った。結果として、日本人学生はどの試行においても同僚に対し菓子類を選択する傾向があり、またその選択に迷いは少なかった。アメリカ人学生は菓子類に加え雑貨類も選択する傾向が見られた。また日本人は選択肢を絞っているにもかかわらず菓子類の決定にアメリカ人よりも長い時間をかけることがわかった。
著者
橋田 規子 垣花 創 長尾 徹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

欧米人は週に1回以上浴槽入浴をする人は3割以下に対し,日本人は週平均5回浴槽入浴を行っている[注1].そして、日本人の9割以上が浴槽入浴の目的を「心身をリラックスさせるため」と考えており,浴槽入浴が日本人にとって大切な行為であることがわかる.また,広い空間が使われ掃除されることも考慮すると,水の使用量は多大であり,贅沢な入浴習慣である.しかし省エネルギーが重視される社会でこの入浴スタイルは今後も維持できるのだろうか.本研究は日本の入浴習慣及び空間を海外と比較し,節水性の優劣を探ることである.本研究は今後の日本の入浴方法を省エネルギー社会の中で維持していくために貢献できると考えられる. 本研究は日本の入浴習慣の実態を把握し,海外との比較を行うことによって,違いを明確にすることである.以下の点について研究を行った.<br>・日本の入浴の成り立ちについて,文献により調査する.また 海外(欧州)との比較により,入浴に対する考え方の違いを 把握する.<br>・現在の入浴スタイルについて,アンケート調査を行う.同様 に外国人にもアンケート調査を行い,日本と海外を比較する.<br><br>