著者
大串 智美 金 尚泰
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.92, 2012 (Released:2012-06-11)

近年の地下鉄路線図の多くは,駅や路線の物理的な位置情報を取り払い,限られた角度の線で乗換駅を強調している.この手法は1933年にBeckによって考案され,世界中の路線図に浸透した.しかし,その発展形であるロンドン地下鉄路線図を対象とした調査研究では,利用者の約30%が路線図のデザインのために遠回りとなる経路を選んでいたことが示された.同様の問題はその他の路線図でも発生していると考えられる.そこで本研究では,東京の公式地下鉄路線図を対象とし,利用実態調査に基づいて選出した区間について経路選択の傾向を調査する実験を行った.その結果,実験を行った23区間中12区間において,遠回り経路の選択が30%を超えた.さらに,路線図上の駅間距離が実際の距離と比べどの程度変更されているか,基準となる指標を定義して考察を行った.その結果,遠回りの傾向がみられた12区間のうち7区間において,最短経路の路線図上の距離が比較的長く伸ばされていた.これらのことから,路線図上の距離が経路ごとに異なった比率で伸縮されていることが誤った経路選択行動の原因となっていることが分かった.
著者
野口 尚孝
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.136, 2012 (Released:2012-06-11)

デザイン論においては、経済的価値と個人的価値観とを区別することが少ない。しかし、付加価値とは何かを分析するためには、この区別が必要である。マルクスの労働価値説によれば、ある生産物の価値とは、それを作るために要した、社会的に平均的な労働時間で示される。しかし、商品経済社会においては、商品の価格は直接価値に基づいて設定されるのではなく、需要と供給の関係で決まる。したがって市場価格は買い手の主観的価値観に依拠して売り手が決めるといえる。付加価値とは、実際の価値より遥かに高い価格を買い手の主観的価値観に訴えて設定することを可能にする方法であるといえる。 現在の資本主義経済体制では、経済恐慌の要因である過剰資本の蓄積を過剰消費によって処理するシステムが確立されており、デザインによる付加価値もそのための消費拡大の手段として用いられている。しかし、消費を拡大させないと成り立たない現在の資本主義経済体制は、その必然的帰結として他方で資源エネルギーの無駄遣いや深刻な環境破壊を起こしている。今後こうした事実を直視した新たなデザイン論が必要であろう。
著者
陳 郁佳
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.49, 2012 (Released:2012-06-11)

本研究では、デザイン過程において指導式創造思考教育行うと、学生の創造力における天賦の才能を促進し、更に豊かなデザイン表現を導くと先ず仮定している。そして、中学生を実験グループと比較対照グループの各14人に分け、両グループに「トーランスの創造的思考テスト」 (Torrance tests of Creative Thinking、 TTCT)の実験前テストを実施した。これは両グループの学生の元々の創造力を知ることを目的としている。その後、創造思考教育実験を行い、創造力心理過程の四段階を基礎として、その変化を創造思考教育のための手順に使用する。 実験グループと比較対照グループの両者は4週間の創作時間をかけて「個人形象デザイン」作品の創作実験を分かれて行った。実験グループには創造思考教育手順に従って創作指導を行い、 比較対照グループには自由に創作させた。続いて再度TTCTの実験後テストを実施し、両グループの学生の創造力の流暢性・独創性・綿密性・柔軟性等の能力について実験前後で違いがあるか比較した。同時に両グループ作品に対する中学校の教師と学生の評価を調査した。 最後に、以上の実験と調査の結果を基に、デザイン表現に対して創造思考教育は良い影響を与えるのか検討した。
著者
新井 竜治
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

明治・大正・昭和戦前期の東京市芝区の「家具の図面屋の草分け的存在」であった木村貞は、東京家具之友社から発行された『西洋家具圖案カタログ』(1929・30年)において、顧客・家具商・家具職人の間の意思疎通を図るための家具図として、投影図の三面図を使用している。その主なものは「正面図・側面図」であり、台物家具等のみ三面図全部(正面図・側面図・平面図)を用いている。更に印影を施すことによって、正面図・側面図を立体的に見せている。そしてこの作画法は、東京市芝区の後久洋家具店や三越百貨店家具加工部においても見られた。それから木村貞は、東京家具之友社発行の『新國風家具圖案カタログ』(1936・37年)において、その約半数に印影を施した擬似2消点透視図を新たに導入している。それ以外については、印影が施された投影図の「正面図・側面図」又は「正面図のみ」を使用している。これらは顧客が洋家具の概観をより理解し易いようにするための対応であった。
著者
平瀬 亜由美 坂本 星 木谷 庸二
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>この研究は、SNSアプリのデフォルトプロフィールアイコンからユーザーが受ける印象とデザイン要素の関係を、定量的に研究したものである。SNSの普及に伴い、ユーザーの年齢、人種、ジェンダーといった属性は多様化している。UIデザインにおいても、ユーザーの多様性を考慮したインクルーシブなデザインの発展が見受けられる。既存のデフォルトプロフィールアイコンは、モチーフとして中性や男性が多く使われているが、性自認を男性と女性のどちらにも当てはめないXジェンダーは、性別を感じさせるアイコンをどのように捉えているかに着目した。既存アイコンをサンプルとし、男性、女性、Xジェンダーに対してアンケート調査を行った。既存アイコンに対するイメージとデザイン要素の関係を、ラフ集合を用いて分析した。そして、それを元にXジェンダーにとっても、そうでない人にとっても魅力的なアイコンを制作し、認知構造の妥当性を検証した。</p>
著者
横山 稔 横山 陽子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

このAwaseru 結婚指輪は、2つの指輪を重ね合わせることで、2人のココロを1つにすることを象徴化したものである。二つのリングはそれぞれが少しづつ欠けていて、1人の人間では不完全であることを暗示し、合わせることで永遠の愛の成就を表現するデザインとした。多くのカップルが結婚する時にイメージするのは、幸福な時間、幸福な空間やキモチだろう。それを求めて結婚をするのだが、結婚式というハレの場から日常生活のケの日々が始まると、大方あのハレの日に誓ったコトバやキモチを忘れてしまう。指輪を合わせ、キモチを合わせる。また幸福な気分で二人の関係を新たに確認する。そのような幸せを感じるきっかけや時間をデザインした。またこの合わせる技術は、日本の伝統的木造建築の、精緻な<継ぎ手>からインスパイアーされたもので、釘や接着剤を使わない継ぎ手は、古来から多くの寺社建築に使われてきた、日本が世界に誇る建築文化である。結果として、世界的なデザイン賞の一つであるドイツの「iF design award 2014」をプロダクトデザイン部門で受賞した。
著者
木村 和寛 山崎 和彦
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

本研究では人間中心設計(HCD)を基本としたデザインプロセスを活用して、映画をあまり観に行かない日本の20代女性をターゲットユーザにした映画を楽しく観に行くことをサポートするサービスデザインを提案する。現状調査、ユーザ調査、コンセプト抽出、アイデア展開、簡易プロトタイプの制作、詳細プロトタイプの制作、ユーザ評価のプロセスを踏み、最終成果物として、俳優で映画を楽しむタブレット向けアプリケーションを制作した。このアプリケーションは、日本の20代女性が映画の情報の中でも出演俳優を重要に考えていることや、1人では映画を観ない傾向にあることがインタビュー調査でわかったので、そのヒントをもとにアイデアを出した。好きな俳優のコミュニティを友達同士でつくり、映画に誘いあって観に行くことを促すSNSとなっている。ユーザは好きな俳優を探して、友達と盛り上がっているうちに映画の情報を得て、無理なく友達と映画を観に行くことができる。このサービスを通して若者の映画離れの問題を解決し、映画産業を活発にすることができると考える。
著者
竹末 俊昭 永見 豊
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.P18, 2009

デザインの対象が「モノ」から「コト」、そして「サービス」にまで領域展開するに従い、デザイナーは目に見えない課題をも取り扱うようになった。しかし、大学におけるデザイン教育としての明確な取り組みについてはまだ十分に整備されていないのが現状である。そこで、大学のデザイン学科にてプロダクトデザインの基礎を断片的に履修した学生が、システムやサービスといった目に見えない課題に取り組むにあたって、どのような視点に着目しソリューションデザインを行っているかを観察することで、今後の演習課題への取り組みの方向性を見いだしたいと考え、「コンビニエンスストアのサービスビジネスの展開」というテーマで授業を試行した。 その結果、断片的に学んできたユニバーサルデザインやエコロジーデザイン、ITシステム、地域開発、ブランドデザインなどの知識を総合的に駆使してアイデアをまとめようとしている姿に改めて感心した。学生のアイデアであり、提案内容のレベルは素人の域を脱し得ないが、幅広い視点に立って課題に取り組み、解決案を整理させる目的を達成できたものと考える。
著者
根本 藍 藤代 裕之 野々山 正章
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>電車内には車内広告をはじめとして多くの情報が存在し、ビーコンなどを用いた情報提供の方法も実験されているが、心地よい情報行動をもたらしているわけではない。</p><p>そこで本研究では、スマートフォンと電車の時間的・空間的制約に注目し、電車移動における心地よい情報行動の要因を明らかにすることを目指す。乗車時間という電車の時間的制約と、混雑率や立ちか座りかという電車の空間的制約によって電車内の情報行動が異なるのではないかという仮説のもと、電車内の情報行動についてアンケート調査を行った。</p><p>調査の結果、乗車時間が短い場合は断片的な情報行動が多く、スマホから目を離すのは乗車後10分弱であった。立っている場合は車窓や車内広告を見るなど車内に目を向けやすいことも明らかになった。さらに、目的地の違いによっても情報行動が異なった。</p><p>これらの結果から、スマホと電車の時間的・空間的制約と目的地が電車移動における情報行動のデザインの要因であるといえる。具体的には、乗車後10分と目的地ごとの情報行動の違いを踏まえてデザインする必要がある。</p>
著者
浅野 志帆 安藤 昌也 赤澤 智津子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

デザイン領域が経験や価値までに広がった今日において、ユーザーエクスペリエンスデザインに対する理解は、デザイナーは勿論のこと、企画職やマーケティング職に従事するデザイナー以外の人々にとっても必要なスキルといえる。本研究の目的はKA法を題材に、入門者がエキスパートからの指導を受けることがなくても手法を理解・実践する方法を検討し、明確化することである。KA法が用いられるワークショップの見学を通し、得た気づきより、KA法自体に関する理解&rarr;KAカードの構造理解&rarr;KA法の実践&rarr;実践結果のフィードバックという4ステップをで最低限の理解・実践ができるパターンとした。今後は体系化したパターンが有効であるかを検討、考察し、必要に応じてパターンの再検討を行う。
著者
中島 永晶
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.A12-A12, 2007

本報告は2005年度前期に倉敷市立短期大学専攻科服飾美術専攻で開講した、ブランディングワークに関する授業の概要である。その対象は倉敷市児島を本社とするジーンズアパレルメーカー、株式会社ベティスミスによって商標登録されているブランド、「白壁」である。教育プログラムは、「製品ブランドデザイン企画ステップ」と、「製品プロモーションデザイン企画ステップ」の2つのフェイズに分けて構築し、授業を進捗させた。前者のステップでは関連データの分析結果を背景とし、知的財産権上の制約を踏まえて、ブランドロゴ、マーク、キャラクターなどのデザインを企画し、それらをレザーパッチ、フラッシャー、製品タグ、プライスタグ、バックポケットのステッチワーク、ボタン、リベットなどのメディアへと展開した。後者のステップではプロモーションメディアをリアル、ペーパー、電子の3メディア領域に分け、各メディアを通じてより効果が上がるプロモーション展開の可能性を検討していった。最終的にこの授業は地域産品に関するメディアデザインや、ファッションビジネスにおけるメディアデザインを考察するための教育事例の一つとなった。
著者
山下 晋吾 岡本 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.F03-F03, 2007

近年の情報技術の発達により、ユーザを取り巻くウェブコンテンツは急速に変化してきた。ウェブコンテンツを記録するブックマークは、その多くがディレクトリ構造による整理を行なっている。ディレクトリ構造は、非日常的で、論理的な整理を強いられるため、ひとたび編成されたディレクトリ構造は、再編成に手間がかかり、日々変わりゆくユーザの状況や視点に柔軟に対応できない。新たに登場したソーシャルブックマークは共有目的で、私的なブックマークとのシームレスな連携が必要であると考えた。 この問題を解決するために、本研究では「使用頻度による分類」と「位置による特徴付け」という実世界の整理法を用いたソーシャルブックマーク"Drawers"を提案した。日常的に使うものは机の上に、滅多に使わないものは押し入れの中に入れておくような感覚で操作することができる。また、Drawersはユーザの関心を表したデジタルダイアグラム"BookmarkStatus"を生成する。BookmarkStatusは全てのユーザで共通の関心領域の指標であり、これはユーザのソーシャルブックマークとしての用途をサポートすることができる。 評価実験の結果、個人のブックマークは良い評価を受けることができた。しかしBookmarkStatusが不完全であり、各ユーザの関心領域を示すパラメータの解析等、改良の余地が見られた。
著者
岩藤 百香 松本 正富
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

小児医療においては,子どもに対する分かりやすい説明と自発的な賛意を求めるインフォームド・アセント(Informed assent)が必要とされている.本稿は,サンパウロのカマルゴがんセンターが映画配給会社ワーナー・ブラザースとの協力により行っている,小児がん患者の治療に対するやる気を引き出すプロジェクト『Super Formula Project(スーパーヒーローによる処方)』について取り上げる.現地調査,プロジェクト担当医師へのインタビュー調査に基づいて,インフォームド・アセントにおける視覚的要素の重要性に着目しつつ,プロジェクト導入のプロセスについて報告する.<br>インタビュー調査では,①プロジェクト実現までのプロセス,②プロジェクト運営チームについて,③実施後の効果,④プロジェクトの現状の4カテゴリについて,18項目の質問を行った.その結果,ヒーローキャラクターが子どものやる気を引き出すだけでなく,自らのアイデンティティ理解の向上につながること,医療者および家族といった大人とのコミュニケーション円滑化にも役立つといった意見が得られた.
著者
赤井 愛 上野 志歩 佐野 大貴 白髪 誠一 田上 貴久美
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

盲導犬ユーザーと盲導犬との歩行時には綿密な意思疎通が必要不可欠であり、その際に重要なツールがハーネスである。ユーザーはハーネスから盲導犬の様々な挙動を感じ取り、安全な歩行を実現する事が出来る。しかし現行のハーネスはユーザー、盲導犬双方への身体的負担がかかる形態であることが指摘されている。そこで前稿「楕円型ハーネスの形態最適化-盲導犬とユーザーの快適な歩行の実現に関する研究(その1)」では盲導犬と盲導犬ユーザーがより快適な歩行を実現し得るハーネスプロトタイプ(GH2014-OV)の検討を行った。本稿では特にハーネスのグリップ部分に注目し、歩行実験やヒアリング調査からGTA及びKJ法による分析を行い、快適な歩行を実現する為のグリップの課題①握りやすさ②手からの抜けにくさ ③ポジションチェンジのしやすさ ④持ち直しやすさ、を明らかにした。また、これらの課題を実現するため、スタイロフォームによる簡易モックアップ、3Dプリンタによるモックアップを制作、それぞれ階層分析法(AHP)及びヒアリング調査により形状の検討とブラッシュアップを重ね、GH2014-OVのグリップの形状面での機能向上を図った。
著者
赤山 仁
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

「3D文字クイズ」はEテレ(NHK教育テレビ)の番組「シャキーン!」のコーナーのひとつである。「3D文字クイズ」は画面上に現れる数字、ひらがな、カタカナの文字を用いたクイズ映像である。番組を見る子供は画面内にある文字を探すことで、文字を覚えたり、文字に親しみを感じることができる。「3D文字クイズ」は2007年から2012年現在まで放送されている。本稿は2011年度に制作された「3D文字クイズ」の演出手法について述べる。2011年度版の「3D文字クイズ」は、カメラの視線や背景の選択など従来の演出からいくつかの変更を行った。本稿ではそうした変更点に関して2010年度以前の演出手法と比較を行い、視覚的な表現効果や完成に至る制作プロセスの違いについて考察する。
著者
矢野 悠久子 上田 愼治エジウソン 寺内 文雄 青木 弘行
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

牛乳を原料としたプラスチックを家庭でも楽しめる造形材料として、生成方法と造形表現の可能性を検討した。牛乳に含まれるタンパク質であるカゼインを原料としたカゼイン樹脂は一般家庭でも作ることができる。同じく牛乳に含まれるタンパク質であるホエイプロテインからもプラスチックの生成が可能である。2つのプラスチックは食べられるもののみでできることから子供でも安心して扱える。まずこれらのプラスチックについて文献に基づいた生成実験を行い、さらに材料の混合比や加熱方法、膨張剤・食用色素の添加など条件を変えた実験を行った。カゼイン樹脂は皺ができ凸凹した見ためと感触が、ホエイプロテインを使ったプラスチックはツヤがありなめらかな感触が特徴的なものになった。また小学生に制作を体験してもらい、フィードバックを得た。これを基にそれぞれのプラスチックの特徴を活かした造形作品例を制作した。小学生を対象にしたワークショップや上級生が難しい作業をサポートできる縦割り活動などへの取り入れが期待できる。
著者
星野 浩司 井上 友子 佐藤 佳代 青木 幹太 佐藤 慈 荒巻 大樹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

本研究では、本学の美術学科と福岡県八女市が取り組む江戸時代より八女市にて伝統的に継承される「八女福島燈籠人形」舞台背景幕の修復・制作事業を準備段階から取材・撮影し、ドキュメンタリー番組として制作する産学連携型のキャリア教育・専門教育を目的とした人材育成教育プログラムの開発を行った。さらに、470年余の歴史と伝統を持つ、家具生産高日本一を誇る木工の産地である大川の家具制作会社と本学のデザイン学科との産学連携を企画段階から取材し、ドキュメンタリー映像と完成製品のプロモーション映像制作を行った。これらの取組みの中で、学生はドキュメンタリー番組の制作やプロモーション映像制作を通して、地域の人々が古来より守り続ける伝統文化と、永きに渡り引き継がれる職人文化を取材することで、地域の人々が持ち続ける精神性と誇りを深く理解する。また、授業で学んだ知識や技術の応用として学外での映像制作過程の中で、問題の解決や渉外交渉を通し、主体性を持った行動力とコミュニケーション能力の育成を促す。
著者
崔 智英 源田 悦夫
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.G11, 2009

本研究は、カンボジアの伝統舞踊であるアプサラダンスのデジタル記録を目的とする。そこで、アプサラダンスがもつ独特な身体動作の「わざ」をわかりやすく理解できるようにするために身体動作のメカニズム(身体関節運動範囲や重心移動、床反力の作用点)を分析し、三次元コンピュータグラフィックスによる舞踊動作の視覚化を試みる。
著者
高橋 純平 閔 庚錫 伊藤 孝紀
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

本研究は、今後の開発が予定される名古屋駅周辺地区南エリアと、前稿において「演出装置」として抽出されたナナちゃん人形を対象とし、異なった属性にグループインタビュー調査を行うことにより、地区と演出装置の現状把握と将来の活用方法の抽出を目的とする。<br>基礎調査において名駅南エリアの施設群、ナナちゃん人形を高く評価していた20代の来街者14名を被験者とし、属性の異なる3グループに分類し、各グループ1時間のインタビュー調査を行った。得られた回答を表1に示す空間資源の分類に基づいて集計することで、地区と演出装置の現状把握と将来の活用方法の抽出を行った。<br>異なった属性に対するグループインタビュー調査から、地区と演出装置の現状把握と将来の活用方法の抽出を行った。今後は、本研究の知見を踏まえた提案に対する評価調査を行うなど、名駅地区におけるプレイス&bull;ブランディングの構築へ向け調査を進めていく。<br>
著者
吉村 典子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.48-49, 1998

Tiles were one of the most signifrcant art forms in the Victorian period for middle-class houses. The contemporary tile-makers can be categorized into 5 types (putting A-E on each production). The tiles produced by large manufacturers (A) or William De Morgan Pottery (C) tend to have ornate patterns, and are mainly used in upper-middle-class houses, particularly those of large employers' and big merchants'. They wanted to create their houses like an aristocrat's. Therefore, these tiles could be adopted to enrich their interior decorations. Meanwhile, Dutch tiles companies (E) or Morris & Co. (D) supplied Dutch or Dutch style tiles. They are mainly used in mid-middle-class houses, particularly those of artists'. The feature of these tiles is simple and delicate decorations. Therefore, these tiles could be adopted to visualize their favorite rustic atmosphere in their houses.