著者
山本 政幸
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.B21, 2004 (Released:2005-06-15)

本考察は、ニュー・タイポグラフィ運動の中心的人物とされるヤン・チヒョルト(Jan Tschichold, 1902-74)が試みた実験的書体デザインについて、『タイポグラフィ通信』誌の1930年3月号に掲載された論文「もうひとつの新しい書体?書体の経済性の問題への提案」を参照しながら、その実態を把握することを目的としている。新書体は方眼紙の上に極細のペンで製図され、直線と円による幾何学的でシンプルな構造をもっている。小文字の「シングル・アルファベット」と、これを発音記号ともいえる「フォネティック・アルファベット」に変換した二種類の書体が提案されている。ゴシックではなくローマンのかたちを採用し、二つのアルファベットの混植を禁止、小文字の形態を基本とし、不要な文字を削除、表記できなかった音のために新しい文字を追加、母音の長短を補助記号で補い、ピリオドを肩つきで大きく示す、といった独特の改良を経て完成している。計画案は実用化を果たしていないが、アルファベット体系の根本的な改変をうながすという重要な使命を負い、機能主義の効果を書体デザインの領域で実証しようとする、果敢な試みであった。
著者
萩原 志周 小野 健太 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

近年、2020年東京オリンピックの追加種目に選出されるなどで、サーフィンが注目されている。日本のサーフィンにおいて四季の影響によりウェットスーツの着衣が必要な時期とそうでない時期がある。そして日本では、12 月~4 月と1 年間の約半分の時間をフルウェットのウェットスーツを着用している。 夏の暖かい時期に海への来場者が増える日本において、冬の海では、海の家やシャワー室などの設備がほとんどないのが現状である。そこで本研究では冬場の海におけるサーファーのウェットスーツ脱衣時にどのようなデザインであるべきなのかを調査を通して抽出された課題を踏まえて提案するものである。本研究の最終提案として、冬の海におけるサーファー対象者から見たフ ルウェットスーツ脱衣時の課題改善製品の提案を行う。
著者
井田 志乃 山中 敏正
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

本研究では、製品開発のデザインプロセスにおけるデザイナーの役割や必要とされる能力を探るために、実際のデザインプロセスからデザインプロセスタスクを抽出しその特徴を分析した。これまでの研究では、製品ごとにデザインプロセスを分断してデザインプロセスタスクを抽出し特徴を導出していたが、今回はタスク特徴をより明確に比較するために3種類の製品のデザインプロセスタスクを一括して分析した。デザインプロセスを分断して分析した場合と同様に2分法及び数量化理論3類・クラスター分析を用いて分析した結果、プロダクトデザインとGUI系デザインのデザインタスクでは情報収集・分析カテゴリのタスクにおいて特徴的な違いが導出された。
著者
安齋 利典 大矢 富保 粕谷 俊彦 磯西 徹明
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.7, 2011

「企業ウェブサイトにおけるデザイン最適化に関する研究-その2、3」(日本デザイン学会 第57回研究発表大会2010.07.04)でHCD:Human Centered Design(人間中心設計プロセス)と.ISMS:Information Security Management System(情報セキュリティマネジメントシステム)をオフィシャルサイト構築の基本方針であることを述べた。 本報告では、コンテンツ配信の基礎基盤となるデザインされたコンテンツを支えるのがシステム・インフラであり、それを、安定、安全、安心に運用するために、PMO: Project Management Officeによるシステム・インフラ管理とCMSによるコンテンツ/デザインの管理、質の向上等について述べる。
著者
中川 麻子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

「美術染織」とは、明治から大正時代にかけて制作された絵画的な染織作品であり、近代染織を語る上で重要な存在である。本稿では明治時代初期から1893年(明治26年)頃を対象にし、国内外の博覧会に出品された染織作品について検討を行った。1876年(明治9年)フィラデルフィア万博出品の成功を受けて、内国勧業博には多くの絵画的な染織作品が出品された。また業者によって積極的に新しい技術の開発が行われ、1882年(明治15年)前後にはますますこの傾向が強まった。1886年(明治19年)京都色染織物繍纈共進会の出品分類に現れた「美術色染」「美術織物」の語は、染織分野に初めて「美術」の語が持ち込まれた例であり、はじめて《美術染織》概念が誕生した。1889年(明治22年)パリ万博では染織作品が「美術」とは認められなかった。しかし1893年(明治26年)シカゴ万博において、平面的かつ大型で、観賞用の性質が強い作品が美術部出品を果たし「美術的織物」と呼ばれ絶賛された。このシカゴ万博を機会に《美術染織》の概念と「平面」、「大型」、「鑑賞用」という作品形式が確立した。
著者
石井 成郎 鈴木 裕利 鈴木 滉人 澤野 弘明 伊藤 誠 原 崇
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

本研究ではオープンデータを検索対象とした、汎用的な想定外検索システムを構築した。想定外検索とは、利用者が欲しいと思っていた情報だけでなく、利用者があまり気付かないような関連情報を提供する検索のことを指す。たとえば、利用者が「ルシアン・フロイド」という人名を検索した場合に、ルシアン・フロイド自身に関するリソースだけでなく、リソースを分析することにより「人名」という事象に関連する「生誕地」、「最終学歴」と事象を導き出し、それらの事象に関してリソースを検索することにより、ルシアン・フロイドと生誕地が同じ画家の「ジョージ・クロス」やルシアン・フロイドと同じ学校を卒業した画家の「アレキサンダー・マックイーン」に関するリソースが提供されるような検索である。システムの試行結果から、実際に公開されているオープンデータを用いて有用な情報の関連性を可視化できたことを確認した。
著者
宮前 翔一 池田 朋弘 橋田 規子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>プラモデルに施される加工によって生まれる感性的な効果を調査することで、プラモデルのより良い表現方法を探る。また、架空のロボットの「らしさ」を解明することを目的とする。</p><p>それぞれ表面加工が違うプラモデル(ガンプラ)を5点用意し、それぞれの加工の全体的な印象について感性評価を行なった。</p><p>次に新たに2点用意し、それぞれに対し加工の全体的な印象、部分的な印象について感性評価を行なった。</p>
著者
大橋 美弘 安村 透 小川 さくら 朱 克 須永 剛司
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

今日では、メガネを作成する工程がシステム化され、短時間でメガネの購入が可能になった。しかし、受け取りまでの待ち時間が短くなったとはいえ、あまり上手く活用されていない場合が多い。本稿は、待ち時間を利用した新しいサービスについての提案である。メガネは視界をクリアにする道具であるが「新たな視界を手に入れる」感動を与えてくれる装置でもある。私たちは、メガネを使う人にしか分からないこの感覚を、日常生活の中でも味わえないかと考えた。そこで、日常的な景色であっても、高い場所から遠くを見渡すと、視野が広がり、新しい発見を行うことが出来ることに着目した。メガネを購入する待ち時間で気楽に旅をするように、都市を循環し観光を楽しむことの出来る体験型のサービス「視覚たび」の提案である。<br>
著者
篠崎 広和 工藤 芳彰 古屋 繁 竹末 俊昭 小出 昌二 菊池 司 永見 豊 小幡 真也
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.199-199, 2006

本提案は今年で3回目となる拓殖大学工学部工業デザイン学科と株式会社バッファロー社との産学協同プロジェクトの一部であり、PC周辺機器を対象に新しいユーザ層のための商品展開のあり方やブランド展開について提案したものである。ここでは、バッファロー製品の特徴や強みを生かしつつ新しいブランドアイデンティティを確立するため、コーポレートカラーである赤を基調にデータをつなぐ・ためる=赤モノとし、ターゲット別に3つのブランドを展開した。_丸1_私立小学校に通う子供をターゲットにしたBUFFALO KIDS。_丸2_モテ服世代と呼ばれる20代OLをターゲットにしたBUFFA LOVE。_丸3_エグゼクティブシルバーと呼ばれるおしゃれなおじさんをターゲットにしたBUFFALO SOLIDである。各ブランドにはテイストやイメージをより伝えやすくするため、ゲーム・思い出・チェスといったユーザと関わりがあるもので形成された世界観を設定した。販売場所も従来の量販店ではなく、それぞれのユーザが好むショップで販売することで、PC周辺機器に対する興味の拡大を目指した。
著者
吉原 直彦 東島 真弓 西田 麻希子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.208-208, 2006

『表象文化とデザインの研究誌REPRE』(第5号)の制作、発行を通じた研究は当初、前回研究の成果を受け継ぎ、下記領域を接続する方向で進められた。_(1)_実務系から実学系へとデザイン分野を発展的にとらえた場合、より一層必要とされる知とデザインを繋ぐ領域横断的視点_(2)_地域におけるデザインあり方やそこにみられる課題を追究しようとする視点_(3)_取材・編集・デザイン制作の場を教員・学生を問わず学びの場とする視点_(4)_大学発の研究誌としての情報発信的視点 一方、平成17年度研究の過程で平成16年度コンテンツ研究部分にて成果のみられた「地域デザイン」関連領域を重点化し、ここに「知とデザイン」の要素を含み込むようにして新たなコンテンツ制作を進めるよう、改めることとなった。 ポスターセッションでは、REPRE第5号発行に至るまでの編集、デザイン、制作における具体的な取り組み及びその結果について述べる。
著者
遠藤 潤一
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.169, 2014 (Released:2014-07-04)

本研究では,適切な視覚的抽象化の範囲を明らかにするために,視覚的抽象化を行った映像を対象に,人物の知覚について調査する。これにより,視覚的抽象化の違いが人物の知覚にどのような影響を与えるのか,という点を明らかにする。被験者に視覚的抽象化を行った映像を呈示し,「プライバシーが保護されていると感じるか」「人の動きを感じるか」という点について評価してもらった。実験結果から,プライバシーを感じる抽象化と人の動きを感じる抽象化に差があることがわかった。
著者
福田 大年 小宮 加容子
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.180, 2013 (Released:2013-06-20)

本稿は、2013年3月9、10日の2日間、キッズデザイン協議会の主催により福島市で開催されたイベント「キッズワークショップカーニバル in ふくしま」内で、札幌市立大学デザイン学部の学生有志が実施した「コネキッド in ふくしま」の1日目の企画「ハコマチ ―マチを作って電車で走ろう―」の報告である。 「コネキッド」とは、「アタマ・カラダ・ハートがつながった(CONNEct)子ども(KID)になろう!」を目標に、札幌市立大学デザイン学部の学生有志が遊びや玩具をデザインし、札幌市地下歩行空間で2011年と2012年の2回開催したイベントである。なお「キッズワークショップカーニバル in ふくしま」の出展対象者は、2012年度(第6回)キッズデザイン賞受賞が条件であり、コネキッドは2011年度の活動で第6回キッズデザイン賞を受賞している。
著者
鉄矢 悦朗 中井 初実 小林 健一郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.B11, 2007

本稿は、東京学芸大学の学生有志(美術・美術教育を学ぶ学生)が、後輩へ参加の機会を引き継ぎながら200km 以上離れた場所で開催されている「掛川ひかりのオブジェ展」とその関連の「工作教室」に参画してきた3年間の活動の中から、デザイントレーニングの可能性を考察したものである。 掛川ひかりのオブジェ展は、静岡県の掛川駅北口から掛川城に延びる道路(歩車道境界の植栽枡などを使って)両側を会場に開催される。期間は、おおむね12 月1週目から1月の3週目程度の2ヶ月弱である。参加者は年々増えていると聞く。主催は、好きです!かけがわのまち実行委員会。掛川おかみさん会、掛川市役所、NPOスローライフ掛川など多様な顔ぶれで構成。作品は、すべて出品者が搬入し、撤収していく。来訪者の人気投票で大賞は決まる。出品者は、個人、親子、小学校のクラス、中・高校の美術部、静岡芸術文化大学のサークル、地元建築家のグループ、地元企業の有志など様々である。
著者
Yang Shiuan-Ruei Huang Yu-Hua
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.25-25, 2011

本研究は小売業者がファッション衣装を仕入れる際に用いられた選択項目を調査するのが目的であり、2011年3~4月に、大台北地域にある10軒の小売業者をインタビュー調査した。調査結果からファッション衣装は「ファッション型」と「基本型」の二種類に分けられ、ファッション型が販売の主力と見られた。キーワードを分類した結果から、「素材」、「色彩」、「アイテム」、「ファッション」など十一つの選択項目を抽出し、これらの選択項目に基付き、ファッション型と基本型の衣装を提案した。ファッション型のポイントは、「素材」は綿、「色彩」は黒色、「アイテム」は丈長Tシャツとレギンス,「ファッション」はイタリアの流行傾向、「造形」はシャープライン、「スタイル」は雅致である。基本型のポイントは、「素材」は綿、「色彩」は黒色、「アイテム」はタートルネックセーター、「ファッション」はイタリアの流行傾向、「造形」はシンプルなラインと柄、「スタイル」は素朴である。研究結果からファッション型では、流行傾向と体のラインの修正効果が重要であり、基本型では、簡単なラインとコンビネーションのやすさが重要であることを発見した。そのほか、多くの小売業者は価格、サービスなどの項目も提出した、これら問題はの今後の課題となる。
著者
水田 圭
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

本研究では、「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」(旧カンヌ国際広告祭)における評価軸の変遷を分類する。 この広告賞は1954年映画館における劇場CM振興のために創設された。当初は1つのグランプリ作品を選んでいたが、現在では13の部門に分け評価をおこなっている。「カンヌ」の最大の特徴は評論家や研究者ではなく制作者が広告作品へ評価していることである。その歴史は、表現メディアの変化への対応ばかりではなく、「あるべき評価」を実現しようと試行錯誤する姿である。文献を追うと「カンヌ」のクリエイティビティの評価に対する真摯な姿勢を確認することが出来る。 現存する各部門は表現メディアの違いによってのみ分けられているのではない。評価対象は、アイデア、革新性、営業活動、表現技術、理論の実行、ターゲットの絞れたコミュニケーションのように多彩である。評価の観点として、対象とする課題、表現技術と理論の実行、広告効果、クリエイティビティ等と整理することが出来る。 「評価」を整理・理解することで制作側と顧客の間にある情報を整理し、事業に貢献することが研究の目的であり、本稿はその基礎研究となる。
著者
八里 大介 小野 健太 渡邉 誠
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.246, 2015 (Released:2015-06-11)

近年、経済状況の悪化や住民の価値観の多様化によって、行政主導でなく住民による地域活動が求められている。しかし、同じような経済状況・自然環境の2つの地域でも活動の成否が分かれることがある。その要因の一つは人的資源の差である。地域活動の先導役となる人材と、それに続く住民の有無が重要であり、彼らがうまく役割を分担できるような仕組みが求められている。本研究では、具体的な状況を把握するため京成稲毛駅近くで毎年11月に行われている灯篭祭り「夜灯祭」を事例に調査を行った。夜灯祭の運営では、リーダーが作業を細分化できなかったために、後手後手の運営に陥ったケースが見られた。不足が出ればその都度対応していくような現場調整的な運営の特徴があり、調整は立ち話の中で行われていた。そこで立ち話というスタッフ間のチェック機能を用いて、スタッフ会議中に作業の優先順位を決定できるツールを提案することで、リーダーの資質によらない運営を築く一助になると考えた。作業の優先順位をつけるにあたり、予想されるタスク同士のつながりを分類し、これを元に立ち話で抽出したタスクをスタッフ会議中に構造化できるツールを制作した。
著者
土屋 伸夫
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.171-171, 2006

<B>研究意義</B>_-_デザイン史においては、1953(昭和28)年における多くの建築家が創立に関わった国際デザインコミッティーの結成や1961(昭和36)年におけるグッドデザインコミッティーが「グッドデザイン」展開始というような日本デザインコミッティーの前身に関わる事象を取り上げている。しかし、デザインギャラリーそのものについては、その系譜となるものが充分研究されていない。つまり、先行研究がほとんど見あたらない。<B>研究目的</B>_-_デザインギャラリーを通じて、特にその企画展からデザイン史を俯瞰しようとするものである。<B>研究方法</B>_-_文献や企画展案内状などの資料などを活用して行う。<B>研究結果</B>_-_戦後期においては、デザインギャラリー銀座・松屋がデザインギャラリーとして位置づけることができる。<B>研究考察</B>_-_戦前は資生堂ギャラリー(昨年の第52回日本デザイン学会春季大会口頭発表)、戦後はデザインギャラリー銀座・松屋がデザインギャラリーの存在を公に認知させてきたということが言える。つまり、資生堂ギャラリーとデザインギャラリー銀座・松屋の企画展により、デザイン文化の形成およびデザイン文化の向上に大いに貢献してきた。特に、デザインギャラリー銀座・松屋は、デザイン啓蒙支援・デザイン流通支援をもとに展開されてきたことが明らかになった。
著者
加藤 健太
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.H08, 2010

国土交通省が公的に使用している乗用車の平均乗車人数の値は1.3人である。これは現在市販されている乗用車の多くが4人以上の乗車定員だということを考えると、乗車定員数削減による小型化が大いに可能なように思われる。そこで本研究では、乗用車の定員数と生活者の意識の変遷を文献調査から分析し、現在の乗車人数と利用実態をアンケート調査によって明らかにした。それをもとに乗用車の乗車人数を適正化する手段の一つとして少人数乗りの乗用車の可能性を考察した。その結果、2人乗りのパーソナルモビリティが今後普及する可能性があると分かった。また、5人乗り以上の乗用車は非所有化し、レンタカーなどを利用することが望ましい。しかし、少人数乗り乗用車を購入する事による利点が消費者にとって少ないのが現状である。今後はこの利点を明白にし、実現の可能性のための解決策を具体的な数字で明らかにしすることが課題であると言える。
著者
金 釗立 木本 晴夫
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.78, 2013 (Released:2013-06-20)

イタリック体は欧文書体の一つとして、引用、強調など様様な場所で活用されている。しかしながら、漢字ではイタリック体が無いため、欧文イタリック体に対応する書体がない。本稿はイタリック体の有用性に気づき、欧文イタリック体と伝統漢字書体を比較し、考察を行った:合計22書体の漢字書体と欧文書体の印象アンケートを行った。アンケートの結果い基づいて更にSD法で分析を行った。結果として、欧文イタリック体の印象特徴を得た上、その印象に近い伝統漢字書体も知った。また、書体の主の三つの因子も得て、書体の座標地図を作ることもできた。最後に漢字イタリック体の試作を挙げてみた。
著者
羽渕 琢哉 橋本 隆志 中野 聡 古屋 繁
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

本研究は,1960年から2013年までに発売された国産乗用車(軽自動車・商用車を除く)の車体形状の変化を時系列で追うことで,変化の主要な傾向をマクロ的な視点で把握するとともに,その要因について考察した。 327台の車種(3BOXのみ)の諸元や基本寸法をもとに,それらを22の比で表したものをデータとして,主成分分析を行い,変化の主たる因子を7つ抽出した。 因子は大きく ①キャビンの大きさ、形、位置などつまり室内空間を空力などとどう折り合いをつけていくかを考えるもの ②前後のオーバーハング、つまりFFとFRという駆動方式の関係を示すもの ③空力特性の向上 の3つに分類できた。 またクラスター分析を行い得られた樹形図からは,一時は車体形状の多様化が見られたが,近年は車体形状の収束が見られる。現状の車体形状は,①大きなキャビンをもつFFのスモールカー,②中サイズのFF,③スモールキャビンのFRの大型車の大きく3つのグループがある。