- 著者
-
清川 清
竹村 治雄
横矢 直和
- 出版者
- THE VIRTUAL REALITY SOCIETY OF JAPAN
- 雑誌
- 日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.4, pp.657-664, 1999-12-31 (Released:2017-02-01)
- 参考文献数
- 13
視点の設定などの自由度が高い共有仮想環境(SVE)と,アウェアネスの伝達に優れる共有拡張環境(SAE)の双方の利点を活かすために,両者をシームレスに切替える新しい協調作業支援手法を提案する.本手法では,作業者は透過型ヘッドマウントディスプレイ(STHMD)を装着する.初期状態ではSAEが選択され,互いの様子を直接観察しながら協調作業が行なえる.各作業者はナビゲーション用の3次元ウィジェットを操作して,それぞれの局所座標系を自在に変更できるが,この時,各作業者のSTHMDの液晶シャッタが遮蔽してSAEからSVEへ自動的に移行し,共同作業者に代わってCGのアバタが表示される.作業者がウィジェットを用いてSAEへの移行を選択すると,座標系の並進・回転・拡大率の各成分が共同作業者の値に自動的に遷移する.遷移のアニメーションが完了して座標系が一致すると,液晶シャッタが開いて再び実際の共同作業者を観察できる.さらに,このビューモードの切替えに加えて,アウェアネス向上のために作業者の顔の正面方向を直線で示す手法や,ルックアップテーブルおよびカルマンフィルタを用いて位置ずれの少ない仮想環境を提示する手法を併用し,協調作業が円滑に行なえる作業支援環境を実際に構築した.また,実験を通して共同作業者の座標系が一致する場合のSAEのSVEに対する優位性を検証し,提案手法の妥当性を確認した.