- 著者
-
坪川 恒久
- 出版者
- 日本臨床麻酔学会
- 雑誌
- 日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.5, pp.497-507, 2006 (Released:2006-10-25)
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
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Awake OPCABは, 高位胸部硬膜外麻酔を用いて挿管せずに, 自発呼吸と意識を維持したままOPCABを行う周術期管理方法である. 高位胸部硬膜外麻酔は, 交感神経遮断により心仕事量を抑え, 限局性の冠動脈拡張作用をもち, 心筋保護的に作用するなど, 虚血性心疾患を有する患者には有益な面を多くもつ. 一方で, ヘパリンを使用した手術のため硬膜外血腫形成が懸念され, 硬膜外膿瘍や局所麻酔薬中毒にも注意する必要がある. 自発呼吸を維持することの利点は, 挿管を必要としないことと, 心拍出量および脳血流量の維持が期待されることである. 逆に欠点としては, 気胸や誤嚥の可能性があり, 経食道エコーを使うことができないことがある. 意識を維持することの利点は, 脳灌流および神経学的合併症のモニターとして優れていることである. いずれの要素に関してもエビデンスの蓄積はまだ不十分であり, 今後の検討が必要である.