著者
中 徹
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.131-133, 1999-03-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
宮原 謙一郎 若月 康次 坪島 功幸 太田 大樹 片野坂 公明 水村 和枝 西条 寿夫 田口 徹
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12243, (Released:2022-08-05)
参考文献数
25

【目的】線維筋痛症は広範囲の痛みを主訴とする慢性疾患であるが,痛みの主たる発生源である筋組織内の変化は十分に特徴づけられていない。本研究では,線維筋痛症モデルラットを用いた組織学的解析からこの点の解明を試みた。【方法】7~9週齢の雄性SDラットに,生体アミンの枯渇剤であるレセルピンを投与し線維筋痛症モデルを作製した。モデル動物の下腿筋標本において,壊死線維や中心核線維の有無,筋湿重量や筋線維横断面積の変化を観察・定量化した。【結果】モデル動物では,壊死線維や中心核線維は観察されなかったが,筋湿重量が顕著に低下し,筋線維横断面積が顕著に減少することがわかった。【結論】本研究ではレセルピン投与による線維筋痛症モデルラットの筋内に生じる組織学的変化を明らかにした。得られた結果は難治性疼痛である線維筋痛症のメカニズム解明に繋がる基礎的知見であり,同疾患に対する理学療法アプローチの確立に有用であると考えられる。
著者
太田 幸志 原田 和弘 増本 康平 岡田 修一
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12221, (Released:2022-08-05)
参考文献数
40

【目的】他者との運動実施が高齢者の運動継続に望ましい影響を与えるかと,この影響の強さは基本属性や外向性(性格の1側面)によって異なるかを検証した。【方法】神戸市灘区で計3回の質問紙調査(事前,1年後,3年後)を実施した。1年後の運動継続は434名を,3年後の運動継続は380名を分析対象とした。【結果】重回帰分析の結果,事前調査で他者と運動を実施していることは,1年後と3年後の運動継続へ有意に影響していなかった。他者との運動実施と基本属性や外向性との交互作用項のうち,仕事の有無との交互作用が3年後の運動継続へ有意に影響していた。層別解析の結果,統計的に有意でなかったが,仕事をしている者のほうが,他者との運動実施による好影響を受けやすい傾向にあった。【結論】本研究では,仕事状況によって影響の強さは異なる可能性があるものの,他者との運動実施が運動継続に及ぼす影響は限定的であることが示唆された。
著者
松下 健 田中 誠也 白川 絢日 宮本 聖也 岡田 麻央 辻本 昌史 鈴木 啓介 中島 浩敦
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12256, (Released:2022-08-09)
参考文献数
41

【目的】診療記録を用いて肩関節周囲炎における臨床症状および日常生活動作(以下,ADL)や手段的日常生活動作(以下,IADL)の特徴の性差について検討した。【方法】肩関節周囲炎と診断され理学療法を実施した片側罹患例45名(男性17名,女性28名)を対象として,理学療法開始時点での患者背景情報および身体機能検査,画像検査,Shoulder36(以下,Sh36)について解析した。【結果】夜間痛の有無,患側Range of Motion(ROM)の外転,握力,臼蓋上腕角,上腕骨頭径について男女間で有意差を認めた。Sh36においては,36項目中17項目で女性が有意に低値であった。Sh36のドメインでは,健康感を除いた5項目で女性が有意に低値であった。【結論】肩関節周囲炎の日常生活への影響に性差がある可能性が示唆された。肩関節周囲炎に起因するADL・IADL制限に対しては性別を考慮した評価が必要と考える。
著者
平尾 利行 山田 拓実 妹尾 賢和 白圡 英明
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12197, (Released:2022-08-09)
参考文献数
50

【目的】二次性変形性股関節症患者(以下,股OA)に対し理学療法を実施した際に病期によって疼痛,日常生活動作(以下,ADL),身体機能の経時変化に差があるかを明らかにすること。【方法】二次性股OA患者をKellgren/Lawrence分類Grade 1(以下,KL1)群14名,Grade 2(以下,KL2)群20名,Grade 3(以下,KL3)群16名に分類し理学療法を行った。疼痛,ADL, 身体機能を測定し3ヵ月の経過を分析した。【結果】3ヵ月を通じKL3群は疼痛が強く,ADLと身体機能は低下していたが,KL分類に関わらず3ヵ月間で改善を認めた。年齢調整後の屈曲,外転,内旋ROMはKL3群が低値を示し,このうち内旋ROMは3ヵ月間で有意な変化を認めなかった。【結論】二次性股OAに対し理学療法を実施した際,3ヵ月間の疼痛,ADL, 身体機能の経時変化は病期に関わらず改善を示す。
著者
河合 結実 橋立 博幸 太田 智裕 山根 佑典 中筋 祐輔
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12194, (Released:2022-08-09)
参考文献数
30

【目的】脊髄損傷後に両下肢の痙縮と歩行障害を認めた症例に対する振動療法を併用した運動療法の経過について記述することを目的とした。【症例】脊髄損傷受傷から12週後の回復期病院入院時,歩行に全介助を要し,両側足関節底屈筋の痙縮modified Ashworth scale(以下,mAs)2,足関節背屈の関節可動域(以下,ROM)右−10°,左−20°であった。【結果】足関節底屈筋の痙縮に対する振動療法を併用した運動療法を入院後16週間行った結果,足関節底屈筋mAs右1+,左1,両側足関節背屈ROM 5°へ改善し,補装具を用いた軽介助歩行が可能となった。入院16週後以降も運動療法を継続した結果,入院24週後の退院時では,両側足関節底屈筋mAs 1へ改善し,補装具を用いずに見守り歩行が可能となった。【結論】脊髄損傷後の本症例では,振動療法を併用した運動療法が痙縮,ROM,歩行能力を改善させるために有益であったと考えられた。
著者
竹中 裕人 杉浦 英志 西浜 かすり 鈴木 惇也 伊藤 敦貴 花村 俊太朗 神谷 光広
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.337-346, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
40
被引用文献数
1

【目的】腰部脊柱管狭窄症術後の患者立脚型アウトカムと運動機能の術後経過を明らかにすること。【方法】LSS 術後1,3,6 ヵ月で評価できた78 症例を対象とした(最大12 ヵ月追跡)。固定術37 例(68.4 ± 10.5 歳)と除圧術41 例(68.9 ± 7.8 歳)であった。JOABPEQ,腰痛・下肢痛・下肢しびれのVAS,6 分間歩行テストと体幹屈曲・伸展筋力を評価した。【結果】固定術,除圧術ともJOABPEQ の4 つの項目,腰痛,下肢痛,下肢しびれのVAS と6 分間歩行距離は,術後1 ヵ月から改善した。一方,JOABPEQ の腰椎機能障害は術後6 ヵ月から改善した。また,体幹筋力は,除圧術が術後3 ヵ月から改善した。【結論】本研究で明らかになったJOABPEQ と運動機能の経過は,手術の説明や術後経過の目標値として役立つと考えられる。
著者
中尾 聡志 上野 将之 野村 卓生 池田 幸雄 末廣 正 公文 義雄 杉浦 哲郎
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.116-117, 2010-04-20 (Released:2018-08-25)

本研究の目的は,有酸素運動が実施困難な糖尿病患者に対し実施可能,かつ糖代謝改善に有効な理学療法(物理療法)を検討することであり,その基礎的研究として,健常成人の安静時・神経筋電気刺激後の血糖値およびインスリン値を比較検討することである。対象は健常成人20名とした。方法は連続した2日間にて安静時・神経筋電気刺激時の2条件において75gのブドウ糖を経口摂取し糖負荷後0分・30分・60分・90分・120分時の血糖値・インスリン値を測定した。結果より神経筋電気刺激群は糖負荷後30分時の血糖値・60分時のインスリン値が安静群と比較し有意に低下しており,神経筋電気刺激による血糖上昇抑制効果が認められた。本研究結果より健常人において神経筋電気刺激により血糖上昇抑制効果が期待できることが示された。今後,糖尿病患者において有効性を検討する必要がある。
著者
今岡 信介 工藤 元輝 柳原 滉太 手老 泰介 古川 雅英
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12155, (Released:2022-01-19)
参考文献数
46

【目的】糖尿病足潰瘍に起因する足部の部分切断患者に対する退院後訪問指導が創傷再発に伴う再入院の抑制に及ぼす効果を検討すること。【方法】対象は,2019年8月~2020 年3 月に糖尿病足潰瘍の治療により足部の部分切断を施行した連続症例とした。退院後訪問指導を実施した者(以下,訪問群)と訪問指導を行わなかった者(以下,非訪問群)を2 群に分類し,退院後120 日以内の再入院率と退院前後の身体機能を比較検討した。【結果】退院後,120 日以内の再入院率は,訪問群13.6%(3/22 名)と比較して非訪問群25.0%(6/24 名)で有意に高かった。また訪問群では,退院後4 週時の膝関節伸展筋力と足部背屈可動域が有意に高値であった。【結論】糖尿病足潰瘍による足部の部分切断患者に対する退院後訪問指導は,再入院の抑制と退院後の身体機能を維持できる可能性が示唆された。
著者
池添 冬芽 浅川 康吉 島 浩人 市橋 則明
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.232-238, 2007-08-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
38
被引用文献数
14

加齢に伴い,ヒト骨格筋においては筋張力が低下するだけでなく,筋厚,羽状角など筋の形態的特徴も変化する。近年では超音波法により簡便に筋の形態的特徴を調べたり,固有筋力を推定することが可能になったものの,高齢者を対象とした研究は少ない。本研究では大腿四頭筋の形態的特徴や筋力の加齢による変化について明らかにすること,ならびに高齢者の筋力低下に影響を及ぼす因子について検討を行うことを目的とした。超音波診断装置を用いて,外側広筋部での大腿四頭筋の筋厚および羽状角の測定を行った。また,大腿四頭筋の筋厚と大腿周径から筋横断面積の推定値を求め,さらに膝伸展筋力をこの筋横断面積で除した固有筋力指数を求めた。その結果,高齢女性では若年女性と比較して大腿筋厚や筋横断面積で約1/2,膝伸展筋力では約1/3に有意に減少することが確認された。また高齢女性において,膝伸展筋力と年齢との間に有意な相関がみられ,筋厚や筋横断面積と年齢との問には相関がみられなかった。これらのことから,大腿四頭筋では筋量よりも筋力の方が相対的に加齢による低下の程度が大きいことが示された。固有筋力指数も高齢者では若年者より有意に低い値を示し,加齢による筋力低下は筋量以外に神経性因子の変化が関与していることが推察された。さらに,高齢者の固有筋力指数は変動係数が56%と高く,筋力発揮に関わる神経性因子は,高齢者では個人差が拡大することが示唆された。
著者
儀間 裕貴 渡辺 はま 木原 秀樹 中野 尚子 中村 友彦 多賀 厳太郎
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.115-123, 2017 (Released:2017-04-20)
参考文献数
29
被引用文献数
4

【目的】Fidgety movements(以下,FMs)が出現する修正2~5ヵ月時の自発運動特性を明らかにするため,観察評価と四肢運動指標の関連を検討する。【方法】修正49 ~60 週に撮影した極低出生体重児の自発運動を観察し,Prechtl らによるFMs の観察評定方法で3 群(normal,absent,abnormal)に分類した。また,動画から得た四肢運動座標データより平均速度,運動単位数,尖度,平均曲率,四肢運動の同時性などの運動特性指標を算出し,観察評価と各指標の関連を検討した。【結果】観察評価でFMs なしと判定された群は,FMs 正常と判定された群に比べて下肢の平均曲率が有意に低かった。また,FMs が異常と判定された児の多くは,6 歳時点で何らかの発達障害を認めた。【結論】下肢の平均曲率はFMs の微細な運動特徴を捉える有効な指標であり,FMs が出現する時期の自発運動特性の定量化につながる。
著者
小林 達矢 竹中 裕人 立松 典篤 井上 倫恵 白井 祐也 野口 泰司 野嶌 一平 杉浦 英志
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12154, (Released:2022-05-20)
参考文献数
34

【目的】ロコモ度1と判定された地域在住高齢者の身体機能評価の特徴を明らかにし,ロコモ度1以上に対する身体機能評価のカットオフ値を探索すること。【方法】2019年に名古屋大学近郊自治体で行われた健診事業に参加した65歳以上の高齢者182名を解析対象とした。対象者を非ロコモ群,ロコモ度1群に分け,2群間で身体機能評価との関連性を分析し,有意な関連がみられた因子についてロコモ度1以上に対するカットオフ値を検討した。【結果】ロジスティック回帰分析の結果,開眼片脚立位時間がロコモ度1と有意な関連を示した(p<0.01)。ロコモ度1以上に対する開眼片脚立位時間のカットオフ値として17.0秒が示唆された。(AUC=0.66, 感度:42%,特異度:88%)。【結論】ロコモ度1と最も関連する身体機能評価は開眼片脚立位時間であることが示唆された。ロコモ度1以上に対するカットオフ値として開眼片脚立位時間17.0秒が示唆された。
著者
生方 瞳 丸山 仁司 霍 明 黄 秋晨
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.301-305, 2014-08-20 (Released:2017-06-27)
被引用文献数
3

【目的】本研究は,超音波画像診断装置を用いて健常成人の多裂筋横断面積を測定し,男女差に影響を及ぼす因子をあきらかにし,多裂筋横断面積の男女差を補正する方法を検証することを目的とした。【方法】対象は腰痛の既往のない健常若年者63名(男性30名,女性33名)とし,超音波画像診断装置を用い腰部多裂筋横断面積を測定した。【結果】多裂筋横断面積は,男性が女性より有意に高い値を示した。しかし,多裂筋横断面積を身長および体重で除した値では,男女間に有意差は認められなかった。横断面積は身長および体重,BMIと有意な相関を示し,重回帰分析(ステップワイズ法)では,体重のみが採択された。【結論】体格に依存しない多裂筋横断面積を求めるためには,体重で除する必要があることが示唆された。さらに,多裂筋横断面積体重比は,男女差の影響が少ない筋横断面積の指標として有用であることが示唆された。
著者
鈴木 徹 伊東 元 江原 皓吉 齋藤 宏
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.409-413, 1986-10-10 (Released:2018-10-25)
被引用文献数
2

健常成人22名の利き手を対象に手関節測定肢位を掌背屈および橈尺屈の組み合わせで13肢位に定めて握力を測定し,手関節肢位と握力の関係について検討した。最大握力を発揮する手関節肢位は背屈20゜前後で,橈尺屈0゜より軽度尺屈位であった。この肢位を力の頂点とし,手関節をいずれの角度に偏位しても握力は減少し,とくに掌屈位では著明な減少を示した。手関節肢位の違いによって握力差が生じるということは,握力の測定や増強訓練時において,その点に十分留意する必要性を示唆している。