著者
只石 朋仁 鈴木 英樹
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11628, (Released:2019-09-30)
参考文献数
46
被引用文献数
1

【目的】高齢在宅パーキンソン病(以下,PD)患者45 名を対象に,生活空間の評価と関連する因子を検証した。【方法】評価項目はLSA,MDS-UPDRS part Ⅲ,転倒予防自己効力感尺度(以下,FPSE),10 m 歩行テスト,Timed up & go test とした。MDS-UPDRS part Ⅲの下位項目を振戦,固縮,無動,軸症状にそれぞれ割りあてた。LSA と各項目の関連性をスピアマンの相関係数で検討し,LSA を従属変数とする階層的重回帰分析を行った。【結果】LSA に関連したのはFPSE(β = 0.39, p < 0.01)と軸症状(β = –0.54, p < 0.01)であり,自由度調整済み決定係数は0.66 であった。【結論】軽症から中等症のPD 患者において生活空間の狭小化にはFPSE と軸症状が関係していた。PD 患者の活動支援には軸症状に対する理学療法と,運動能力に見合った自己効力感を保つための心理的支援が必要と考える。
著者
深田 亮 古矢 丈雄 竹内 弥彦 金 勤東 赤坂 朋代 村田 淳
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11907, (Released:2021-01-23)
参考文献数
29

【目的】脊髄後索障害により,脊髄性運動失調を呈した歩行障害に対する理学療法について報告する。【対象】胸椎黄色靭帯骨化症でロンベルグ徴候と歩行障害を呈した73 歳男性である。第10/11 胸椎高位において,胸椎黄色靭帯骨化症に伴う硬膜管の圧排および同部位の脊髄圧排が確認された。不全対麻痺で立位保持,歩行が困難となり,第10/11 胸椎椎弓切除術,12 胸椎頭側1/2 部分椎弓切除術,黄色靱帯骨化切除術が施行された。【方法】術後5 日目から,歩行動作の獲得を目的に自転車エルゴメーター,トレッドミル歩行練習を中心に実施した。【結果】術後13 日目,ロンベルグ徴候は陰性となり,独歩が可能となった。【結語】術後急性期から自転車エルゴメーターやトレッドミル歩行練習を施行したことで,転倒なく独歩で日常生活に復帰できた。
著者
久保 祐子 山口 光國 大野 範夫 福井 勉
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.112-117, 2006-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
6
被引用文献数
6

姿勢・動作において身体重心位置を把握することは重要であるものの,実際には重心位置は不可視的であり,経験的に推測されていることが多い。身体重心は身体各部の重さの中心であることから,おおよそであるものの観察可能である上半身と下半身重心点の中点が身体重心に近似するものと推察される。今回我々は身体を上半身と下半身に分け,それぞれ算出した重心点の中点と3次元動作解析装置から得られる身体重心位置との差異を,前額面,矢状面上の姿勢ならびに動作について調査した。その結果,身体重心点と上半身と下半身重心点の中点とは近似しており,臨床上の観察点としての有用性が示唆された。
著者
林 祐介 吉原 聡 吉田 久雄 見川 彩子 林 明人 藤原 俊之
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.417-422, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
28

【目的】人工膝関節置換術(以下,TKA)術後患者における術後早期膝関節可動域が自立歩行獲得期間および在院日数に及ぼす影響を検討した。【方法】TKA 術後患者78 例を対象とした。年齢とBody Mass Index,術後4 日時点の膝関節可動域(自動・他動屈曲,自動・他動伸展),運動時痛と歩行時痛(Visual analogue scale),炎症所見(血清C 反応性蛋白)と術後7 日時点の膝関節伸展筋力(ハンドヘルドダイナモメーター)を評価し,在院日数および自立歩行獲得期間に与える影響を重回帰分析(ステップワイズ法)にて検討した。【結果】重回帰分析の結果,在院日数および自立歩行獲得期間に有意に影響する因子は,それぞれ自動膝屈曲可動域と年齢,および自動膝屈曲可動域と自動膝伸展可動域が抽出された。【結論】TKA 術後患者において,術後早期の自動膝関節可動域の拡大は,自立歩行獲得期間および在院日数の短縮に影響を与える可能性がある。
著者
牧迫 飛雄馬 阿部 勉 島田 裕之 阿部 恵一郎 小林 聖美 小口 理恵 大沼 剛 木村 英生 中村 好男
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.81-88, 2008-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
25
被引用文献数
7

本研究では,重度要介護者を対象としたベッド上,ベッド周囲,居室内での動作および移動能力を定量的に評価する指標を開発し,その信頼性と妥当性を検証した。内容妥当性を満たした10項目からなるBedside Mobility Scale(BMS)を作成し,在宅にて理学療法士または作業療法士の訪問によるリハビリテーションを実施している163名(男性83名,女性80名,平均年齢76.4歳)を対象として,BMSによる動作・移動能力評価を行った。分析の結果,BMSには高い検者内および検者間信頼性が得られた。また,BMSは日常生活活動能力や日常生活自立度と有意な関連を持ち,特に重度要介護者および日常生活自立度の重度低下者の動作能力評価に適しており,臨床的意義が高いと考えられた。
著者
相本 啓太 太田 進 上田 誠 鈴木 康雄 元田 英一 木村 宏樹
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.90-96, 2011-04-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2

【目的】膝歩きは臨床で骨盤に対するアプローチとして使われることがあるものの,その動作特性の解析に関する報告は少ない。そのため本研究は骨盤に着目し,膝歩きを歩行と比較することで,膝歩きの運動特性を解析することを目的とした。【方法】対象の健常者24名(22 ± 2歳)に三次元動作解析装置用マーカーを貼付し,歩行と膝歩きの1歩行周期における骨盤可動域の平均変化量,重心移動を解析し,比較を行った。また,体幹・骨盤近位の7筋での立脚期,遊脚期における% MVC(% Maximum Voluntary Contraction:最大随意収縮に対する割合)を求め,歩行と膝歩きの比較を行った。【結果】骨盤前後傾・水平回旋可動域の平均変化量において,膝歩きの方が有意に高値を示した。筋活動量は立脚期,遊脚期において計測した多くの筋で歩行と比較し,膝歩きの方が有意に高値を示した。【結論】膝歩きは,骨盤の可動性・近位筋の活動性を高める運動療法として有用である可能性があると考えられた。
著者
近藤 美緒 岩田 康弘 飯田 有輝 古閑 寛 高橋 徹至
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11091, (Released:2016-11-22)
参考文献数
38

【目的】本研究の目的は,軽症から中等症までのPD 患者のバランス障害の関連因子を検討すること。【方法】対象は修正版Hoehn&Yahr 重症度分類1 -3 のPD 患者32 名。評価項目はBerg Balance Scale(以下,BBS),MMSE,UPDRS 合計点,UPDRS part Ⅱ13–15,Ⅲ27–30(振戦,固縮,動作緩慢,軸症状),BMI,握力,等尺性膝伸展筋力,過去1 ヵ月転倒頻度,レボドパ一日換算量とし,重回帰分析にて検討した。【結果】重回帰分析の結果,BBS の得点と握力,UPDRS part Ⅲ–28(姿勢異常)との関連を認めた(R2 =0.30,p <0.05)。【結論】軽症から中等症までのPD のBBS には全身筋量を表す握力と姿勢異常の関与が示唆された。この結果は早期から予防的に運動介入することでPD のバランス障害を予防できる可能性があることを示しているのかもしれない。
著者
山本 洋司 渡辺 広希 高田 祐輔 梅本 安則
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.615-623, 2020 (Released:2020-12-18)
参考文献数
38

【目的】脳卒中患者に対する早期離床を発症後48 時間以内の起立と定義し,有効性および安全性について検証すること。【方法】対象は脳卒中患者とし,早期離床導入前群(以下,導入前群)と早期離床導入後群(以下,導入後群)に分けた。主要アウトカムは退院時のBarthel Index ならびにmRS とした。副次項目は不動関連の合併症ならびに神経学的有害事象とした。【結果】導入前群110 名,導入後群93 名であった。Barthel Index は導入前群と比較して導入後群で有意に高かった。mRS(0–1) に該当する者は導入前群と比較して導入後群で有意に多かった。不動関連の合併症は導入前群と比較して導入後群で有意に少なかった。神経学的有害事象は両群間で有意差を認めなかった。【結論】発症後48 時間以内の起立と定義した早期離床は,脳卒中患者においてテント上病変ならびに保存的治療例で安全に実施可能で機能的予後を良好にし,不動関連の合併症を減少させる。
著者
古本 太希 浜田 大輔 片山 綾音 松井 祐 川村 由佳 友成 健 加藤 真介 西良 浩一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.531-539, 2020 (Released:2020-12-18)
参考文献数
31

【目的】人工膝関節全置換術(以下,TKA)後患者の階段降段動作では,同年代健常者の遠心性膝関節伸展モーメントを再現できているのかを明らかにすること。【方法】対象は,術後1 年以上経過し降段動作が1 足1 段様式で可能なTKA 群8 例と同年代高齢者である健常群10 例とした。降段動作解析は,三次元動作解析装置と床反力計を用いて矢状面の関節角度,関節モーメント,関節パワーと表面筋電図にて下肢筋活動を計測した。主要な計測項目である膝関節伸展モーメントの第1 ピークの立脚前期(20%)と第2 ピークの立脚後期(80%)ですべての計測データを比較した。【結果】TKA 群の降段動作時の遠心性膝関節伸展モーメントは,立脚前期および立脚後期のいずれも健常群よりも有意に低かった。【結論】TKA 後1 年経過しても階段降段動作では,同年代健常者の遠心性膝関節伸展モーメントを再現できていなかった。
著者
福尾 実人 村木 里志
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.515-522, 2020 (Released:2020-12-18)
参考文献数
55

【目的】本研究の目的は,要介護高齢者の身体機能と身体各部位筋量の特徴を検討することである。【方法】対象は65 歳以上の地域在住男性高齢者53 名とし,健常高齢者(以下,健常群)と要介護高齢者(以下,要介護群)に分類した。身体機能の評価には,基本チェックリスト下位項目のNo.6 ~10 の質問を用いた。超音波B モード法を用いて身体8 部位の筋厚の測定に加え,身長,体重,BMI を測定した。【結果】要介護群は健常群よりも身体機能の総得点およびそれぞれの項目の得点が高かった。下腿前部および後部の筋厚のみ健常群よりも要介護群が有意に小さかった。【結論】要介護男性高齢者の場合,特に下腿前部と後部の筋量は低下することが示唆された。
著者
阿部 千恵 吉原 真紀 真鍋 祐子 村上 賢一 藤澤 宏幸
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.130-134, 2004-04-20 (Released:2018-09-25)
参考文献数
6
被引用文献数
3

今回我々は,片麻痺患者を対象(n = 33)に,端坐位において体幹側屈による速い側方への重心移動動作時の圧中心点(center of pressure ; COP)の変化量を測定し,体幹運動機能(頸・体幹・骨盤運動機能検査 ; N.T.P.)との関係を検討した。COP変化量の指標は,動作関始直後にみられる重心移動をしようとする方向と逆方向の振幅(A1)・COP最大移動速度(Vmax),重心移動距離(Dcog)とした。また,独歩可能な患者の10m最大歩行速度を計測し,COP変化量との関係を併せて検討した。結果,側方重心移動時のA1とN.T.P.ステージには有意な相関関係があり,N.T.P.ステージが良好であった患者のA1は麻痺側・非麻痺側への重心移動動作共に大きかった。これより,体幹運動機能が良好な片麻痺患者では速い動作を遂行する為の重力のモーメントを作り出すことが可能であると思われた。最大歩行速度とDcogの関係は麻痺側方向と非麻痺側方向共に有意な相関があり,A1においては非麻痺側へ重心移動を行った場合,相関が認められた。これより,歩行時の体幹機能は骨盤掌上の要素に比べ骨盤帯や下肢の支特性がより影響するものと思われた。本研究より,端坐位における側方重心移動動作時のCOPの解析は,体幹運動機能評価に有用であり歩行能力に関連していることが考えられた。
著者
延本 尚也 岡野 生也 篠山 潤一 山本 直樹 安田 孝司 代田 琴子 安尾 仁志 相見 真吾 橋本 奈実 太田 徹 深津 陽子 鳥井 千瑛 田村 晃司 山口 達也 陳 隆明
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11247, (Released:2017-05-01)
参考文献数
27

【目的】本研究の目的は在宅脊髄損傷者の退院後の褥瘡発生の有無を調査し,在宅脊髄損傷者の褥瘡発生危険因子を明らかにすることである。【方法】1996 年1 月~2005 年12 月までの10 年間に,当院を退院した脊髄損傷者310 名を対象に,郵送法による自記式アンケートを実施した。アンケート回答結果とカルテ診療録の情報を基に,後方視的に検討した。【結果】アンケート回収率は51.0%であり,約半数の対象者は退院後に褥瘡を経験していた。損傷の程度,入院中の褥瘡既往の有無,調査時の介助量,介助量の変化,外出頻度,自家用車の運転の有無が有意な因子として認められた。【結論】在宅脊髄損傷者において,完全損傷であること,入院中の褥瘡の既往があること,介助量が多いこと,活動性が低いことが褥瘡発生危険因子となることが明らかとなった。一方で,同居人の存在や在宅サービス利用の有無については褥瘡予防に有効に作用していない可能性が示唆された。
著者
生方 瞳 丸山仁司 霍 明
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.348-356, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
35
被引用文献数
1

【目的】本研究は,中高年女性における腹圧性尿失禁とインナーユニットの関係について検討した。さらに,動作課題の妥当性について,骨盤底拳上量による腹圧性尿失禁検出度を比較した。【対象と方法】中高年女性101 名を対象とした。質問紙表にて尿失禁群と非尿失禁群に群分けした。握力,CS-30 テストに加え超音波画像診断装置を用いて腹横筋厚,多裂筋横断面積,骨盤底拳上量を測定した。【結果】尿失禁群はすべての筋で,同時収縮および抵抗運動で非尿失禁に比べ有意に低値を示した。尿失禁を従属変数としたロジスティック回帰分析で選択された因子は,抵抗運動時の骨盤底挙上量であった。【考察】インナーユニットは協同運動しており,特に抵抗運動時の骨盤底挙上量の低下は腹圧性尿失禁のリスクファクターであることが示唆された。さらに,抵抗運動時の骨盤底挙上量が4.88 mm 以下である場合は腹圧性尿失禁の可能性が著しく高いことが示唆された。
著者
入谷 誠 山嵜 勉 大野 範夫 山口 光国 内田 俊彦 筒井 廣明 黒木 良克
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.35-40, 1991-01-10 (Released:2018-10-25)
被引用文献数
3

今回,我々は足位,すなわちFOOT ANGLEの変化が,骨盤の側方安定性に関与する中殿筋活動の動態と距骨下関節の内外反角度にどの様に影響をするかをX線学的及び筋電図学的に検索した。その結果,X線学的には,TOE-OUTで距骨下関節は内反し,TOE-INで距骨下関節は外反した。筋電図学的分析では,中殿筋の活動はTOE-OUTからTOE-INに向かって,明らかに増加した。さらに中殿筋の活動量が最も大きかったTOE-IN 30°でアーチサポートを挿入すると,中殿筋の活動量が明らかに低下したことから,中殿筋の活動量はFOOT ANGLEの変化のみならず,足部アーチの状態も大きく影響を及ぼしていることを示唆した。
著者
小澤 和夫 白石 久富 大野 恭子 西川 隆 田伏 薫
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.21-25, 1990-01-10 (Released:2018-10-25)

顔面運動においてMotor Impersistence(MI)が認められる患者では,車椅子駆動のような複合的な動作に関して,健側上下肢いずれかの肢における連続動作や上下肢の同時動作においても障害が認められる。この病態をより要素的に分析する目的で,手足の等尺性運動の維持能力を検討した。MI陽性左片麻痺群(6例)と対照群であるMI陰性右・左片麻痺群(各7例)の3群について,指腹つまみ単一動作,踏みつけ単一動作,指腹つまみと踏みつけの同時動作,の3種類の動作を各20秒間行わせ,圧力とその変動および保持時間を調べ各群を比較検討した。その結果,顔面運動でみられるような動作の中断はみられなかったが,上肢ではMI陽性左片麻痺群の圧力が他の群に比べ,時間の経過とともに有意に減衰していた。このことは,顔面と上肢および下肢の運動制御の水準の段階的な差を反映しており,より意図的な努力を要する動作において,定常的な運動の維持が困難になるものと考えられる。