著者
是澤 範三 毛利 正守 蜂矢 真郷 山口 真輝
出版者
京都精華大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

日本統治時代、台湾に多くの日本古典籍が渡った。その中でも、国立台湾大学(旧台北帝国大学)には『日本書紀』の多くの貴重な写本がある。本研究では、国立台湾大学における『日本書紀』の収蔵状況について調査し、特に貴重な三本を選び出版する。第一弾として圓威本『日本書紀』が2012年に台湾大学図書館より出版される。
著者
野崎 達生 鈴木 勝彦 加藤 泰浩 松岡 篤
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究では,古海洋・古気候変動の原因解明に有用なRe-Os同位体の迅速測定方法を開発した.Re,Osは濃度が非常に薄いためにTIMSでの測定が一般的であるが,MC-ICP-MSと気化法を組合せた分析手法を開発し,従来よりも数倍サンプル処理能力を向上させることに成功した.本手法を美濃帯坂祝地域のチャート試料に適用し,三畳紀の約40 Myrにわたる長期の古海洋Os同位体比経年変動曲線を復元した.本結果から,チャート試料が古海洋のOs同位体比を復元する記録媒体として有効であることが初めて明らかになった.また,三畳紀前期に今まで確認されていなかった還元的海洋環境が広がっていたことが解明された.
著者
富張 瑞樹
出版者
帯広畜産大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究では、犬の悪性黒色腫における免疫寛容誘導因子Gpnmbに関して、その遺伝子配列を解析するとともに、Gpnmb mRNA発現量が著しく高い犬悪性黒色腫細胞株が存在することを明らかにした。また、悪性黒色腫の自然発症犬では、GpnmbのmRNA発現量がすべての症例(n=4)において増加しており、他の免疫寛容誘導因子と比較して最も高い発現量を認めた。これにより、Gpnmbの犬悪性黒色腫における発現動態が初めて明らかにされるとともに、免疫寛容誘導因子として主要な役割を果たしていることが示唆された。
著者
下川 倫子
出版者
摂南大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

粉体に加えた外力がある臨界値を越えると粉体は動き出す。これを粉体の集団運動としてみると、静止した固体から流動化した液体に相転移が起こっているとみなすことができる。粉体の相転移現象を理解することを目指し、斜めに傾いた容器に粉体を入れ、振動加える実験を行った。この実験で粉体は重力に逆らって,斜面を登る。斜面上部に輸送される過程の中で、粉体は容器表面に様々なパターンを自発的に形成する。外力が大きくなるにつれ、表面には縞パターン,クラスターパターン,バブルパターン,無秩序パターンが出現する。また、独立に鉛直方向と水平方向に振動をかける実験から、鉛直方向だけのときよりも、水平方向の振動モードを加えたときのほうが斜面上部に粉体が輸送しやすくなることから、水平方向の振動モードは粉体を輸送する上で重要であることがわかった。さらに、高速度カメラの観察から、粉同士の衝突による相互作用が表面パターンを形成する上で重要であることもわかった。
著者
吉田 健
出版者
徳島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

膜中でのコレステロールの動態は、動脈硬化をはじめとする疾病との関連から重要である。本研究では、脂質膜中の疎水的モデル分子の溶媒和と、膜と水相の界面近傍の水和のダイナミクスに注目し、観測対象とする現象の研究に適った膜のモデル実験系の確立したうえで、溶液NMRと分子動力学シミュレーションにより、コレステロールが膜のダイナミクスにおよぼす効果を明らかにした。
著者
奥村 真紀
出版者
京都教育大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究は、現代の批評動向を踏まえた上で、ブロンテ姉妹の作品の文化史・社会史的位置づけを再検証するために、個々の小説の何がどのように異なる文化の中で受容されてきたかを明らかにすることを目的とした。具体的には19世紀から21世紀にかけてのJane Eyre、Wuthering Heightsの舞台化、映画化、テレビドラマ作品の代表的なものを検証し、学会発表、講演、学会誌への投稿を通じて作品を文化的受容史の中でとらえなおす試みを行った。
著者
横山 栄
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究は、環境騒音に含まれる衝撃性騒音に着目し、騒音影響評価法を確立するために、実験的検討によって聴覚心理的な立場からエネルギーベースの評価量の適用範囲および限界を把握し、また、各種聴感物理量との対応を検討することで、学術的基礎資料を得ることを目的として実施した。フィールド調査および実験室実験による心理的影響評価の結果から、衝撃性騒音を含む環境騒音についてもエネルギーベースの評価量の適用可能性が示された。
著者
村上 龍
出版者
山口大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

フランスの美学者ヴィクトール・バッシュ(一八六三‐一九四四年)を一つの軸として、一九世紀末から二〇世紀前半にかけてのフランス美学を、近代ドイツ哲学との関係という視角から検証した。またそれに付随して、世紀転換期のヨーロッパで盛り上がりをみせた心霊研究などについて併せて調査することにより、当該時期のフランスの思想的環境をいっそう広い視野から検討した。
著者
小武内 清貴
出版者
岡山県立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は曲げ損傷を受けた炭素繊維強化熱可塑複合材料(以下CFRTP)の修繕性を明らかにすることである.強化材を平織炭素繊維布,母材を PA6 とするCFRTP を作製し, 4 点曲げを行うことによって曲げ負荷に伴う CFRTP の損傷形態を調査した.その結果,作製した CFRTP では 2.0%程度の曲げひずみを与えた時に圧縮側で初期層間はく離が発生した. また 2.5%程度の曲げひずみを与えた時,試験片の圧縮側に局所的な座屈の発生が確認できた.本研究では 2.0%の曲げひずみ負荷を与えた試験片を軽損傷材,2.5%の曲げひずみ負荷を与えた試験片を重損傷材とし,これらの損傷材のパッチ貼付に伴う曲げ特性回復様相を調査した.その結果,圧縮側に適切な枚数のパッチを貼付することにより,軽損傷材,重損傷材共に処女材の曲げ特性と同程度まで回復させることが可能であった.次に,ニードルパンチ処理が CFRTP の曲げ特性に与える影響を調査した.その結果,ニードルパンチ処理によって層間強度が向上し,曲げ負荷初期に発生する層間はく離を抑制できることがわかった.そこで損傷材の修繕にパッチ貼付とニードルパンチ処理を併用したところ,修繕材の曲げ特性はパッチ貼付のみによって修繕したもののそれよりも向上した.
著者
遠藤 ゆり子
出版者
弘前学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

近年の村落成立論を踏まえ、戦国時代から江戸時代にかけて、東北地方に展開していた村落の関係史料を収集した。その上で、従来、東北地方は小百姓層の経営が未発達な後進的地域であるため、村落が成立していないとされてきた研究に再検討を加えた。また、大名の滅亡・改易といった戦争状態における村の動向を考察することで、大名の滅亡・改易の実態を明らかにするとともに、その際に様々な問題が生じていた意義を追究した。
著者
岩松 俊哉
出版者
(財)電力中央研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究では、自宅における居住者の室内温熱環境や内発的な熱環境調整行動と温熱快適感の許容限界との関係を明らかにすることを試みた。日頃の温熱環境、熱環境調整行動、温熱感覚の三者には深く関わりがあり、熱環境の調整を冷暖房の使用に依存している被験者と依存していない被験者で、快適とする許容限界温度に1~4℃程度の差があることが明らかになった。冷暖房を極度に使用せずに、快適と感じる温熱感覚が培われる生理的なメカニズムの解明と、個々人の温熱感を考慮した熱環境計画の重要性が示唆された。
著者
松永 京子
出版者
神戸市外国語大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、サイモン・オーティーズやシャーマン・アレクシーといった北米先住民作家の作品における核の言説を、ポストコロニアリズムやエコクリティシズムの視点から分析した。また、日韓の文学作品との接点を探りつつ、グローバルでマルチカルチュラルな核・原爆文学の広がりを示唆した。
著者
ソジエ内田 恵美
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

モーリシャス共和国は植民と移民の歴史から成り立ち、インド・中国・アフリカ・ヨーロッパ・ミックス系と多民族・多言語社会である。モーリシャス共和国は1968年の独立以来、砂糖黍の単一産業による植民型経済から、繊維・観光・ITなどからなる複合型経済へと変革を成功させ、アフリカ圏随一の高い経済発展を経ている。グローバル経済への参加は、英語・仏語といった旧宗主国言語を国際共通語として促進する傾向が強いが、各政党はその動きとは逆に、支持基盤確保を狙い、モーリシャス独自の言語であるクレオール、祖先の言語にあたるインド系や中国系言語を優遇する政策を掲げてきた。本研究では、社会的特徴が異なる中学校六校の生徒562名と教員45名にアンケート・インタヴューを行い、その言語状況を調査した。参加者は全員多言語話者であり、典型的な例として、家族や友達とはクレオール、学校の教員とは英語・仏語、宗教儀式はヒンディー、アラビア語、仏語、Eメールでは英語・クレオールと、使い分けることが多い。学校で使用される教授言語は、英語のみが一番多く、英語・仏語・クレオールの混合型が続いた。都市校よりも田舎校の教員はクレオールを含む多言語を使用し、生徒の満足度も高い。クレオールに対する態度にも都市・田舎での差異がみられ、田舎校ではクレオールにより好意的な意見が多い。田舎校では、クレオールは指導言語として使用されるべきと考え、またクレオールの綴りが標準化されるべきと考える生徒の割合が高い。言語に対するイメージとしては、英語・仏語は概ね、社会・経済的成功をもたらす権威ある国際語として認識されており、歴史上植民宗主国から強制された言語との見方はほとんどない。祖先の言語は年配者や祖先の文化への尊敬の念を示すものとして捉えられるが、実用的でないとの意見も顕著である。クレオールはモーリシャス人としてのアイデンティティを形成すると考えられるが、学習意義に対する意見は多岐に渡る。モーリシャスの若い世代は植民地としての過去に囚われることなく、その独自の多文化性を誇り、国際社会における経済的成功を重視する傾向が強い。母語(日本語)における教育が基盤となっている日本は、植民地としての過去を持つモーリシャス共和国とは社会・歴史・経済的状況が大きく異なる。しかし、グローバル化が進みにつれ、英語などの目標言語を指導言語とするイマージョン教育は、その重要性を増してきた。そのため、モーリシャスの教育制度に見られるようなアプローチで、初期から外国語を使った教育を導入する必要があるだろう。しかし、本研究で田舎校の教員がクレオールの使用で示唆したように、生徒に外国語で学問の本質を学ばせるため、そしてそれを確かめるためには、母語による教育は不可欠である。
著者
根岸 理子
出版者
国文学研究資料館
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究は、マダム花子(1868-1945)の活動を明らかにすることを目的として実施した。マダム花子は、20世紀初頭、20年近くにわたって欧米を巡演した日本女優であり、彫刻家オーギュスト・ロダン(1840-1917)の唯一の日本人モデルでもある。花子に関する資料は、海外に点在している。それらを現地調査し、花子一座の活動の実態を一部明らかにすることができた。特に、アメリカ議会図書館やニューヨーク公共図書館で、花子の写真や図版入りの記事や劇評を新たに収集できたことは、学界への大きな貢献であった。この成果は、2013年6月22日に開催される日本演劇学会において発表する。
著者
村上 明日香
出版者
昭和大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

チタンインプラント埋入後の創傷治癒における酸化ストレスは,骨結合を妨げる重要な因子であり,これを抑制することがひつようである.チタンは表面処理により骨との親和性を向上させることができる一方で,酸化ストレスの抑制については検討されていない.本研究では放電陽極酸化によって表面処理したチタンの骨芽細胞に対する酸化ストレス抑制効果を検討した.放電陽極酸化チタンでは骨芽細胞の石灰化関連遺伝子の上昇が見られた.また,表面に析出した骨様石灰化物の物理的性質が向上した.放電陽極酸化チタン表面から発生する活性酸素が分解され,接着細胞に対して酸素を持続的に徐放することにより,酸化ストレスを抑制することが可能になった.放電陽極酸化処理チタンは,骨結合能と創傷治癒の促進により,チタンインプラントの表面処理として有効であると考えられる.
著者
秋山 佳丈
出版者
東京農工大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究では、昆虫の心臓である背脈管組織を駆動源するマイクロロボットの創成およびその制御法に関する検討を行った。シリコーンゴム製のマイクロ構造体へ背脈管組織をアセンブリすることで、自律的に一定方向に移動するマイクロロボットの創成に成功した。また、オプティカルフローにより背脈管の拍動を数値化し、その値に基づき電気刺激を行うことで、背脈管の拍動を一定に維持できることを示した。
著者
梅澤 秋久
出版者
帝京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究は,ステイクホルダーと教員の双方向コミュニケーションが体育授業改善およびアカウンタビリティにどのような影響を与えるのかを検討した.その結果,次のような知見が得られた.授業改善に資する要因としては,同僚性に基づく学び合いや研究者からのアドバイス,専門書による高度な知識の獲得に加え,自身の実践を省察する力量形成が挙げられる.また,教員がステイクホルダーの要望に応じる姿勢を有し,専門性を生かしたインフォームドコンセントを行うことで,ステイクホルダーとの合意調達と協働関係を構築した民主的アカウンタビリティに繋げることが可能になる.
著者
チョルパン アスリ
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

ビジネス・グループは、特に開発途上市場において、巨大企業の競争力の向上に大きな役割を果たし、それを通じて当該国の長期の経済成長に多大な貢献をしてきた。このビジネス・グループは非関連多角化を製品戦略として追求し、持株会社と子会社という組織構造を維持してきた。従来のビジネス・グループに関する研究が経済環境をその重要性の主要因と見なしてきたのとは異なり、本研究は企業内に蓄積された競争資源とその資源を動的に活用する能力に注目して、その要素がビジネス・グループを国際市場においても競争可能な経済主体に引き上げたことを議論した。これらの資源あるいは能力は、成熟工業経済における大企業が保有する製品に固有のものとは異なり、製品のカテゴリーを越えた、より機能的な要素、例えば金融・財務、人的資源、マーケティング、とりわけ組織マネジメントといった要素に関連するものであった。
著者
守時 由起
出版者
秋田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

炎症抑制機能を有する可能性が示唆されているCD5陽性B細胞の局在を免疫組織化学的にCD20, CD5の二重染色を行い原発性胆汁性肝硬変患者およびC型慢性肝炎患者の肝臓組織にて検討した。両疾患において門脈域内の濾胞様細胞集簇におけるB細胞にはCD20CD5共陽性B細胞を認める一方、原発性胆汁性肝硬変患者にて見られる胆管浸潤B細胞にはCD20CD5陽性B細胞を認めなかったことから、原発性胆汁性肝硬変患者肝臓組織において胆管上皮傷害へのCD5陽性B細胞の直接的関与は否定的と考えられる結果を得た。
著者
山口 弘誠
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

豪雨災害の軽減を目指して、様々な雲微物理量の推定による降雨予測精度の向上を目的に、偏波レーダーから推定される降水粒子種類情報、および水蒸気量をデータ同化することで、降雨予測手法の高度化を実現した。また、偏波レーダーを用いて降水粒子の形成過程を通して水蒸気量を推定できる可能性があるという概念を示した。