著者
前川 哲也
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.34, pp.47-64, 2005

気象教育に限らず,科学教育,あるいは教育そのものが,その本質的な重要性にもかかわらず,他の重要なこと(強者)におされ,重要性に見合った教育活動やそれを支えるものが十分ではないという「弱者」の立場に甘んじている。しかし,大多数の国民にとって,気象について系統だった学習を最後に行えるのは中学校の理科の単元「天気とその変化」である。したがって,この単元で学習内容をどこまで扱うかは国民の気象に関する知識・理解(国民の常識)のレベルをそのまま規定するものであり,気象教育の要になる部分である。そこで現行の小・中学校の学習指導要領から気象教育に関する部分を教科書の章立てと並べて,小学校では「なぜ」に関する部分が欠けている点を,中学校では学習内容が日常の気象現象にストレートに生かせそうで案外生かせない点を指摘する。さらに昭和22年,26年に試案として発表され,33年,43年,52年,平成元年,10年に改訂された学習指導要領から気象教育に関する学習内容を項目別に具体的に整理し,それぞれの学習指導要領に基づく教科書で気象単元に割り当てられているページ数が減ってきていることを明らかにすることで,気象教育が「弱者」へ転落してきたかを示す。このような現状の中で,今後の気象教育のあり方として「弱者の連携」を提言する。気象教育と同様に,重要であるにもかかわらず,実際には軽視されている「弱者」は多く存在する。それらとの連携の形を提案し,気象教育だけでなく連携相手のメリットも示す。われわれは気象教育の生き残りをかけて,「弱者」同士の連携により,それぞれの領域の重要性を,子どもをはじめとする国民にしっかりと知らしめ,理解者を増やしていく,すなわち「強者」を目指していくべきではないだろうか。
著者
山藤 佑太 才木 常正 林 昭博
出版者
神戸市立工業高等専門学校
雑誌
研究紀要 (ISSN:09101160)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.55-60, 2007-03-01

Recently, personal computers are widely used, and the opportunities for keyboard typing have been increasing. There may be features in human characteristics of keyboard typing. So we construct the system for measuring the time and the force when the key is pushed. Human characteristics of keyboard typing are investigated in terms of the typing time and the typing force for persons with different typing skills. It is shown that characteristics of keyboard typing strongly depend on the typing skills for the typing time, and do not depend on the typing skills for the typing force.
著者
山崎 清男 K. Yamasaki
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.16, pp.9-16, 1979-03-31
著者
広瀬 通秀
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02869756)
巻号頁・発行日
vol.15, 1978-03-31
著者
菊地 伸二
出版者
名古屋柳城短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13427997)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.213-224, 2013-12-20

ここに翻訳されたのは、ラテン四大教父の一人であり、6世紀から7世紀初頭にかけて活躍した大グレゴリウス(教皇グレゴリウス1世)が執筆した『牧会規定』全体の序の部分と第1部である。 第1部は、11の章から構成されており、そこでは、人を指導し、教える立場にある牧会者(聖職者)を目指そうとする人は、それ相応の学と経験を積んでいることが必要であるとともに、上に立ちたいという欲求に駆られて軽率に志すべきではないことが再三論じられている。
著者
吉田 幸雄
出版者
大阪成蹊大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13489208)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.81-93, 2003

電子自治体構築の最重要基幹システムはGIS(地理情報システム)であるといってよい。GIS構築で重要なのは自然言語で表現された位置情報(住所や地番等)を空間言語で表現された位置情報(座標)に変換するジオコーディングの導入である。なかでも最も頻度高く利用される住所を座標変換するアドレスジオコーディングの効率化・精度向上のためには「住居表示」制度の普及が重要である。京都市では中心4区において伝統的な住所表示方法(交差点方式と町名地番方式の二重構造)が今も利用されているため、市域全体に住居表示が実施されていない特異な都市である。ところが、京都市の住所表示方法にふさわしい住居表示メニューが「住居表示に関する法律」では実際には用意されていることを明らかにし、次いで若干の改良を行えば京都の伝統を残したままの住居表示が実施可能であることを明らかにする。
著者
槌谷 智子
出版者
国立音楽大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.81-92, 2014

パプアニューギニアに暮らすフォイでは、多くの昔話、寓話、神話、歴史的出来事が口頭で伝承されてきた。フォイの伝承には、結末で人間が動物や植物に変身するものが多いが、本論では人間が鳥に姿を変える伝承を集めた。伝承を通して、フォイにおける、善と悪、美と醜、強者と弱者への視点と価値観、社会的規範、超自然的力や存在に対する信仰、悲しみと怒りといった感性を知ることができる。伝承の中で、人間は動物に変身し、霊的存在は動物にも人間にも化身する。結末での動物への変身は、人間としての死と動物世界での再生が暗示されている。そこには絶対的価値の対立があるのではない。絶対的善や悪が存在するのではなく、美と醜、弱者と強者は時に逆転する。超自然的存在は現実世界に包含され、あるいは超自然的世界に人間は包含される。超自然的存在と人間は相互に交流し、相互に転換しうる。フォイにおいて人間と動物、現実世界と超自然的世界は断絶したものではなく、連続的なものである。