著者
夏目 佳子
出版者
岡崎女子大学・岡崎女子短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:09168400)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.89-99, 2004-03-25

本論文は、短い集中力を持ち合わせている子どもに、その特性をいかした、ピアノ奏法のための効率の良いテクニックの学習方法を見出すため、実際に子どもが教則本を練習している様子を描いたドビュッシーの作品「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」から、ドビュッシーが曲の中で表現している練習方法と練習曲に取り組む子どもの姿(心情)を検討し、子ども心の特性をいかした、より良い練習方法を見つけ出すための検討である。
著者
中溝 一恵
出版者
国立音楽大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.61-72, 2006

江戸時代の錦絵などに木琴が描かれていた。歌舞伎の演目『天竺徳兵衛韓噺』で木琴が舞台上で奏された場面に始まり、ほぼ19世紀を通じて描かれ続けた。描かれた木琴の中には現在の木琴に存在しない部品が描かれている場合があり、どのように解釈すべきかという点に絞って検証した結果、当時のインドネシアのガンバンと呼ばれる木琴に同様の部品が付けられていたことが判明した。描かれた木琴とガンバンは構造上も際立った類似性を持つ。18世紀末の資料にオランダ人と木琴の関係に触れた記述が既に見られることから、描かれた木琴はオランダの植民地インドネシアのガンバンを模したものである可能性が高い。従来日本の木琴は中国に由来するとされており、描かれた木琴と中国由来の木琴に関する課題が浮かび上がってきた。
著者
津田 ひろみ
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.31, pp.105-122, 2001

本稿は英語科3年分割授業のひとつ,レギュラーコースにおけるここ数年の実践に関する報告である。本コースのねらいは学習指導要領にも書かれている「実践的コミュニケーション能力の伸長」である。歌や英字新聞などを教材として取り上げ,「生きた」英語をインプットすることにより,英語圏の文化や習慣に触れる機会を提供してきた。同時にコース内での生徒の発表を通じて,お互いの考えを「伝え合う」という姿勢を育ててきた。一年間の授業のまとめとして「英語新聞作り」に取り組ませたが,苦労しながらも自分の考えを英語で表現し新聞の形に完成させたとき,生徒は満足感を味わい,英語に積極的に取り組む姿勢をみせた。英語学習に対する生徒の心理的側面に焦点を当てて工夫をしてきた結果,英語によるコミュニケーションに対する生徒の動機付けという点において,レギュラーコースは大きな成果を上げたと確信している。今後は,英語母語話者との話し合いの機会を設定するなど,いくつかの課題を検討していきたい。
著者
深沢 徹
出版者
プール学院大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:09110690)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.33-50, 1985-03-01
著者
安川 あけみ
出版者
奈良佐保短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13485911)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.103-110, 2006

サポニンを含有する植物, ムクロジの界面活性を調べるために, 採取した天然ムクロジ果皮(Mukuroji natural)ならびに市販のムクロジエキスパウダー(Mukuroji powder)の水溶液を調製し, その表面張力, 分散安定性, 乳化安定性について, SDS水溶液と比較した. その結果, いずれのムクロジ水溶液も水溶液の表面張力を42 mN m-1まで低下させ, これはSDS(41 mN m-1)と同程度であった. ムクロジ水溶液の分散安定性は, 1時間以内ではSDS水溶液とほとんど同等であり, 乳化安定性は, SDSよりも少し劣るものの, SDSと同様に長時間保たれることがわかった. さらに, 洗浄力試験により汚れの付着量から洗浄力を評価したところ, ムクロジ粉末には洗浄効果および再汚染抑制効果があり, とくにポリエステルなどの疎水性繊維への再汚染効果は, SDSよりも高かった. しかし, 綿布では天然のムクロジ果皮に含まれる色素が染着し, 洗浄効果を低下させることがわかった.
著者
松井 三枝
出版者
[富山大学杉谷キャンパス一般教育]
雑誌
研究紀要 (ISSN:1882045X)
巻号頁・発行日
no.41, pp.115-157, 2013-12

医療の分野における心理職のニーズは昨今ますます大きくなってきているといえるが、そのためのコアとなる教育が実際には各大学でどこまでなされているかが必ずしも明らかとはいえない。本研究では、臨床心理専門家養成のための医療実習の実態を明らかにすることを目的として、全国の大学病院にアンケート調査を行なったので、その結果を報告し、大学院における専門家教育のためのカリキュラムの充実に向けての資料を提供したいと考える。
著者
大竹 尚之
出版者
東京音楽大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02861518)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.61-78, 2001-12-20
著者
中山 ハルノ
出版者
中村学園大学
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.119-130, 1964-12-30

Japanese eat Chimaki, rice-dumpling wrapped in leaves of Chigaya (a species of reed), and Kashiwamochi, the other rice-dumpling covered with leaves of Kashiwa (a tree of oak family), on the day of Tango-no-Sekku, namely May 5th. It is said that Chimaki was introduced from the main land of China. In this paper, the author described the results of historical investigation of the festivals and these two special foods. And the relation betwean the festival and the foods was considered.
著者
横井 志保
出版者
名古屋柳城短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13427997)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.97-103, 2012-12-20

保育現場では、日常のごっこ遊びから、発表会等で披露する、劇やミュージカル、オペレッタといった、役になりきって表現することは盛んに行われている。しかし現状では、そのような身体的な表現活動に対しての評価尺度が明確に示されていないことで、活動への保育者の援助の視点が不明瞭な状態にあると指摘されている。 本研究では、8つのグループ全てが同じ作品を演じ、それを評価した。同一のシナリオ、歌、曲を、いかに工夫して演じ、アレンジを加え、それぞれのグループのオリジナルとするのかが試された。発表の後、自己評価と他者評価の両方をした。そこでの学生らの評価の観点を明らかにすることで、今後の表現活動における評価の対象を明確にすることができ、保育においては、子どもに対して的確な援助ができるようになる。また、演じる際(園における発表会等での指導においても)の適切な`見せるポイント'を掴んだ表現ができるようになると考える。 学生のオペレッタ発表の自己評価と他者評価の結果から、評価の観点として演技に集中し、他者評価より自己評価の方が、よりマイナス面を強調して評価することが明らかになった。また、技能に関する評価は肯定的な評価より、否定的や矯正的な評価の方が目立って多くなされる傾向にあることがわかった。