著者
大川 智子
出版者
横浜市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、アトピー性皮膚炎におけるコラーゲントリペプチドの効果を検討した。申請者はこれまで、乾燥肌モデルマウスにおいてコラーゲントリペプチドが真皮のヒアルロン酸のヒアルロン酸産生を促し、乾燥にともなう痒みを改善することを明らかにした。その機序を明らかにするために本研究では、炎症性サイトカインであるIL-13、TNF-α、IFN-γを添加したヒト表皮角化細胞にコラーゲントリペプチドを添加し、TARC、TSLPの産生を測定することにより、コラーゲントリペプチドが炎症時の表皮角化細胞に与える影響について解析を行った。TARCの産生をRT-PCRで測定した結果、コラーゲントリペプチドを添加していない表皮角化細胞と比べて、TARCの産生が抑制されていた。また、TSLPについても同様の結果が得られた。ELISA法でTARCの蛋白定量を行った結果、コラーゲントリペプチドにより表皮角化細胞のTARCが低下する傾向がみられたが、有意差はみられなかった。同様に、TSLPをウエスタンブロット法で確認したところ、コラーゲントリペプチドの添加によりTSLPのタンパク量が減少することが明らかになった。さらに、13人のアトピー性皮膚炎患者に対して、コラーゲントリペプチド(7人)、コラーゲンペプチド(6人)を12週間投与し、SCORAD、角質水分量、痒みの評価、血清中のTARC、IgE、LDHおよび好酸球数を測定した。その結果、コラーゲントリペプチド投与群でのみ、内服投与開始前と比べて皮疹面積、SCORAD、TEWLが改善していた。コラーゲントリペプチド群では投与前と比べてTARCの減少がみられた。血清中のIgE、LDHおよび好酸球数についてはいずれの群でも投与前後で有意差は認めなかった。
著者
新川 智佳子 欠畑 誠治 伊藤 吏 小泉 優
出版者
山形大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

4~8kHzのバンドノイズを130dBの大きさで3時間モルモットに暴露することにより、持続的な高度難聴を示す内耳障害モデルの作製した。この内耳障害モデルに、障害翌日にマイクロカテーテルを用いてMuse細胞の移植を行った。10,000細胞移植した群では、移植後6週から12週まで、4kHzと8kHzにおいて、コントロール群に比べて、有意に聴力の回復を認めた。また移植後12週の時点で外有毛細胞の消失率を検討したところ、8kHzの担当周波数領域において、対象群ではコントロールに比べ有意に外有毛細胞の消失率が低いことが判明した。現在はMuse細胞のコルチ器への遊走や生着について検討中である。
著者
三戸 太郎
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

コオロギの初期胚発生メカニズムを,遺伝子機能解析により解明することを目的として研究を行った.昨年度確立した親導入RNAi法による遺伝子機能の系を用い,コオロギ初期胚発生に関与する遺伝子の機能解析を行った.その結果ショウジョウバエのギャップ遺伝子Kruppelのホモログがコオロギでもギャップ遺伝子として働くこと,ペア・ルール遺伝子even-skippedホモログがペア・ルール様の機能に加えてギャップ遺伝子の発現調節に関与することを見出した、また,コオロギのextradenticle遺伝子が,ショウジョウバエとは異なり顎領域の形成に必要であることを発見した.さらに,orthodenticle遺伝子がコオロギ胚の前方(頭部から胸部にかけて)の領域の形成に必要であることが明らかになった.加えて、これらの遺伝子の発現パターンについてもin situ hybridizationにより明らかにした.これらの成果と昨年度までの成果から,コオロギ前後軸パターン形成を司る遺伝子ネットワークのモデルを提唱するに至った.コオロギでは,ショウジョウバエのピコイドの代わりにcaudalとorthodenticleが前後軸パターン形成の初期に主要な役割を担っており,extradenticle, hunchback, Kruppelの順にギャップ遺伝子が活性化され,even-skippedもこの過程に関与していると考えられる.
著者
上田 隆一
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,複数のカメラ・センサから得られる情報を統合する演算方法の設計と,その演算を実行するソフトウェアの実装を目的とした.存在しているカメラの互いの相対姿勢(6パラメータ×カメラの台数)をパーティクルフィルタで推定するアルゴリズムを実装した.これにより,複数台のカメラが協調して物体位置をロバストに計測することを可能とした.
著者
上田 隆一
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究課題は,最適制御問題を動的計画法で解いた解「状態行動地図」のメモリ容量を不可逆圧縮の代表的な手法であるベクトル量子化で圧縮するというものである.本年度は,申請者らの既発表のアルゴリズムの応用と評価を中心に研究を行い,成果を国内外の学会において発表し,今後雑誌論文として発表できる様々なデータを得た.本年度は,開発したアルゴリズムを大規模な問題へ適用し,評価を行った.その一つとして,ロボットサッカーでのマルチエージェント系となるタスク(パス)に本手法を適用した.状態行動地図の要素数は6億程度となったが,これを3.0GHz CPU,3.0GBのRAMを搭載した計算機で10日間計算することで,パスや互いに衝突を回避するなどの協調行動が見られる状態行動地図を得ることができた.また,この状態行動地図を同計算機で1日で圧縮することに成功し,結果的に実装するロボットのメモリ量(16MB)を下回る,8.2MBのベクトル量子化地図を得ることができた.また,シミュレーションではあるが,圧縮による地図でもロボットが協調して効率よく作業できることを示すことで,提案手法が,複雑なタスク用の地図を破綻させないで小さく圧縮できることを示せた.さらに,非常に非線形な制御問題であるアクロボットの振りあがりタスク,上記のロボットサッカーのタスク,人工知能の標準問題の一つである水たまりタスクにおいて,本手法と競合する手法との比較を行った.評価指標として,圧縮率と圧縮による性能劣化を計測した.結果,本手法で得られるベクトル量子化地図は,タスクの種類にかかわらず,他手法よりも安定して低消費メモリで性能劣化の小さい行動決定手法を記憶できることが示せた。
著者
柳原 崇男
出版者
近畿大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ロービジョン者および視力や認知機能が低下した高齢者にとって、サインの視認性(文字サイズや掲出位置等)は重要な課題であった。路面サインは通常の吊り下げ型のサインに比べ、歩行者との距離も近く、大型化も可能なことより、低視力者にはその有効性が高いと考えられる。しかし、まだ歴史も浅く、整備ガイドライン等も未だ検討の段階であるため、サイズや配色、および配置は現場裁量で設置されている例が多い。そこで、本研究では、ロービジョン者や高齢者等にも読みやすい路面サインの文字サイズを検討をした。その結果、床面サインの最適文字は、少なくとも120mm程度必要であることがわかった。
著者
原 むつ子
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、マスト細胞が“かゆみ"惹起分子の1つであるIL-31を産生し、アトピー性皮膚炎の“かゆみ"症状の発現に関与するのか否かについて検証した。その結果、抗菌ペプチドによる刺激はマスト細胞にIL-31を誘導すること、かゆみ症状がある皮膚炎の病変部位においてマスト細胞がIL-31を産生していることを見出した。これらの知見は、マスト細胞由来のIL-31がかゆみに関与していることを強く示唆した。
著者
藤野 和典
出版者
滋賀医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

過大侵襲術後や多発外傷後、重症感染症等の重症患者は集中治療を必要とし、現代の医学をもってしても未だに高い死亡率を呈している。近年Intensive insulin therapyと呼ばれる治療法が集中治療領域にて注目を浴びており、血糖値を80mg/dl以上、110mg/dl以下にコントロールすることにより、重症患者の予後を改善させると報告されている。その成因について我々は、高血糖状態においてはインスリン産生細胞が骨髄、肝臓、脂肪細胞に認められ、これらの細胞は骨髄細胞に由来することをマウスにて観察した。(Kojima H, et. al. PNAS;101(8):2458-63,2004)、重症患者においても、骨髄細胞よりの異常な細胞の各臓器細胞への融合が関連しているとの仮説が成り立つと考えられた。そこで本研究では、多臓器不全にて死亡された患者において、病理解剖を行い、当院に臓器が保存されているケースにて病歴を調べ、血糖値が上昇している(空腹時血糖が110mg/dlが超えている)患者の主要臓器(心臓、肺、肝臓、腎臓)内に、インスリンの免疫染色を行った。糖尿病の既往のある多臓器不全死亡患者にては、マウスの実験と同様に各臓器にインスリン陽性細胞が認められた。糖尿病の既往のない多臓器不全死亡患者においては、3日以内に死亡されるような経過が急な場合ではインスリン陽性細胞は殆ど見られなかったが、3日以上経過し、死亡した場合には殆どの場合、特に肝臓、腎臓においてインスリン陽性細胞が認められ、その陽性細胞は抗TNF抗体による染色にても陽性であった。本研究により侵襲下の高血糖は、肝臓、腎臓にインスリン陽性細胞を誘導し、その細胞よりTNF-αが産生され、SIRS(systemic inflammatory response syndrome)の遷延、ひいてはMODS(multiple organdysfunction syndrome)への進行を導いている可能性が示唆された。
著者
岡寺 良 山本 義孝 吉田 扶希子 藤岡 英礼
出版者
九州歴史資料館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、背振山の山岳信仰を考古学的な証拠を元に、その信仰の実態を明らかにするというものである。本研究における学術的成果としては①背振山系を領域とした山中修行(峰入り)の存在を示した②背振山系における主要霊山の実態解明のデータを提示した③山岳信仰・霊場遺跡としての二丈岳の実態について、経塚の発見により新たなデータを提示した、という3点が挙げられる。本研究の調査成果については、学会発表、展示、展示図録作成、シンポジウム発表、報告書作成などにより広く公表することができた。
著者
本田 直樹
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

動物は状況に応じて、より多くの報酬が期待できる行動戦略を獲得することで、環境に適応する。しかしながら、自由行動下の動物が持つ行動戦略を定量化する手法は確立していなかった。そこで本研究では、動物の行動時系列データの背後にある行動戦略を価値関数として推定する逆強化学習法を考案した。そして、線虫の温度走性行動へと適用することで、線虫が持つ行動戦略を明らかにすることに成功した。本手法は神経活動とその表現形である行動戦略をつなぐ基盤技術を提供するもので、今後、動物の行動戦略を司る神経メカニズムの解明に大きく貢献することが期待される。
著者
西廣 淳
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

霞ヶ浦を主なフィールドとした平成16年度までの研究により、湖岸や湖底の土砂中には、現在地上植生から消失した種も含めて多様な水生植物の土壌シードバンク(埋土種子集団)が残存していることが明らかにされた。また、湖岸植生帯を構成する植物種の多くが自然の水位変動に適応した発芽戦略をもつが現在の人為的な水位管理条件下では種子からの更新の機会が大幅に抑制されていることが示された。平成17年度は、これまでに明らかにされた湖岸の植物の発芽特性、特に発芽季節と発芽や実生定着に対する冠水の影響に関する知見を活用し、湖沼の水位管理のパターンに対する湖岸の植物の発芽・定着適地(発芽セーフサイト)の動態を予測するモデルを構築し、予測・検討を行った。この研究では、先行研究の結果を踏まえ、湖岸の植物の発芽セーフサイトの定着条件を定義し、この条件をみたす場所の面積を、霞ヶ浦をモデル湖沼として湖岸の微地形(国土交通省による横断測量調査結果を活用)のデータと湖の水位データ(国土交通省による日平均水位記録を活用)から算出した。その結果、霞ヶ浦の場合では、現在の「管理目標水位」(水門による水位管理の目標とする水位で、長期を対象にした場合の平均値と一致)を現在よりも10cm上昇させると湖岸の植物のセーフサイトは50%程度まで減少すること、15cm低下させると2倍程度に増加することなどが予測された。水生・湿地生植物の発芽に対する水文環境の重要性は多くの研究からも示されているが、具体的な湖沼管理のプランが湖岸の植物に及ぼす影響を定量的に予測した研究はほとんど存在しない。植物の発芽・定着特性、湖岸地形、水位から植物のセーフサイトを予測する本モデルは、霞ヶ浦以外の湖沼でも適用が可能であると考えられる。
著者
市川 哲
出版者
立教大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

マレーシア、サラワク州における主にエスニック・ツーリズムに関する観光の特徴を、複数の民族集団や地域集団同士の関係といった、在地の社会関係の中に位置づけて把握することを試みた。特にサラワク州における先住民による手工芸品の制作や、都市部における販売、エキゾチックなイメージを消費する外国人ツーリストによるそれらの購入や、それとは異なる脈絡での現地の住民による手工芸品の利用といった様々な状況に関する現地調査を行った。さらにこのようにして得た知見を東南アジアの他地域の事例と比較し、その特徴の把握を目指した。
著者
木下 英明
出版者
東京歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

歯科インプラント治療において神経や血管の損傷などの手術手技関連の偶発症の発生の防止と、インプラントの診断基準の一つである「骨質」の定量化はともにインプラント治療を行う上で重要な課題である。本研究では、申請者がこれまで「力覚体感型インプラントシミュレーター」を通じて培ってきたヒト顎骨の三次元的な構造解析のノウハウを応用させ、海綿骨領域における骨梁構造の個体差および固体内分布に起因する生体力学的な特性の一部が明らかとなった。さらには解剖学的な構造の理解に加えて定量的な骨質の診断を可能にする「骨質反映型インプラント実習用模型」を作製し、インプラント学教育の一端を構築することができた。
著者
奥山 聡
出版者
松山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

C57BL/6マウスの総頸動脈流を一時的に止め、再灌流することで作製した全脳虚血モデルに対し、河内晩柑果皮乾燥粉末を投与したところ、脳海馬においてミクログリアならびにアストロサイトの活性化、および神経細胞死を抑制することができた。また、近年増加が懸念されている糖尿病と脳疾患の合併症に注目し、河内晩柑果皮、およびその果皮に多く含まれているオーラプテンとナリンギンが高血糖誘発脳機能障害を改善できるか、C57BL/6マウスにストレプトゾトシンを単回投与して作製した高血糖モデルで検討したところ、高血糖による誘発される神経細胞に発現するタウタンパク質の過剰なリン酸化が、サンプルの投与により抑制された。
著者
泉 友則
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

トランスグルタミナーゼを介したβ_2-グリコプロテインI(β_2GPI)の架橋反応について、β_2GPI分子に存在する4つのグルタミン残基について各々を含む4種のペプチドを合成し試験管内での二量体化反応に対する阻害効果を検討した。過剰量の5-ビオチンアミドペンチルアミン(BAPA)存在下ではTGおよびFXIII、両酵素による二量体化が抑制されたのに対して、合成ペプチドは4種のうち、1つのみが組織トランスグルタミナーゼ(TG)による二量体化を選択的に抑制した。次に無血清条件下で24時間培養したヒト血管内皮細胞(HUVEC)におけるβ_2GPIの架橋反応を培地、付着細胞、浮遊細胞/リポソームの3画分それぞれについてウエスタンブロットにより解析した。浮遊細胞/リポソーム画分に分子量100kDaのバンドが強く認められ、このバンドの生成はトランスグルタミナーゼの阻害剤(シスタミン)の添加、また過剰量のBAPA存在下で強く抑制された。さらに、HUVECでの架橋反応における抗リン脂質抗体の効果を解析した。健常人由来IgGは架橋反応に影響を与えなかったが、これまでに特徴づけを行った抗リン脂質抗体患者由来のIgGの添加により、浮遊細胞/リポソーム画分中の架橋生成物量は顕著に増加した。以上の結果から、以下の可能性が示唆された。(1)β_2GPIはTGの特異的な基質の1つで、(2)その架橋反応は例えば内皮細胞の損傷や修復にともなって進行する。(3)抗リン脂質抗体は架橋反応、あるいは架橋生成物の膜上への結合を増強することでその生理的な機能を撹乱する。
著者
小関 由美
出版者
東京女子医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

関節リウマチ(RA)に合併する続発性(AA)アミロイドーシスでは、血清アミロイドA(SAA)に由来するアミロイドA蛋白が臓器に沈着するSAAはCRPと同様にIL-1、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカイン刺激により主に肝細胞で産生されるが、RA患者や培養肝細胞においてステロイドに対するSAAとCRP産生には違いがあることが示唆されている。より有効にSAA産生を抑制する薬剤を検討するため、各薬剤で治療中のRA患者でSAAとCRPを測定し、培養肝細胞を用いてSAAとCRP産生に与えるステロイド薬および免疫抑制薬の影響を蛋白レベル、mRNAレベルで解析した。CRP遺伝子には多型はなくSAA/CRP比は一定の炎症刺激に対するSAA産生を示すと考えられる。283例のRA患者でSAA/CRP比と薬剤の関係をみると、SAA/CRP比はステロイド投与群で有意に高く(7.8±7.2 vs 3.3±2.8,P<0.001)、ステロイド投与量と正の相関を示した。ステロイド非使用患者で、抗リウマチ薬(メトトレキサート、スルファサラジン、SH基剤)服用の有無とSAA/CRP比を検討したところ、いずれも有意差はみられなかったが、メトトレキサート使用患者で低い傾向があった。サイトカイン刺激HepG2細胞に薬剤を添加し採取した培養上清のCRP濃度は、ステロイド、MTX、シクロフォスファミド添加にて、いずれも薬剤無添加に比べ低くなり、SAA濃度はMTX、シクロフォスファミド単独の添加とステロイドとの併用では薬剤無添加に比べ低かったが、ステロイド単独の添加では高値となった。HepG2細胞より抽出したSAA1mRNAの発現はサイトカイン刺激前はみられず、刺激にて発現を認めた。またステロイドの添加でmRNAの発現は増加したが、免疫抑制薬(特にMTX)の添加では発現は低下した。
著者
川島 亜紀子 中澤 潤 久留島 太郎
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では子どもを含めた家族のウェルビーイングを,多面的,縦断的な研究デザインを用いて検証することを目的とし,共同養育と夫婦間コーピング,両親間関係と子どもの情動反応に焦点を当て,家族全体のウェルビーイングにどのように関連するのか,検証してきた。本研究の結果から,発達精神病理学的研究の一般的傾向と同様,関係性の否定的な側面のほうが,子どものメンタルヘルスを予測しうること,また両親間葛藤に子どもが関与することは子どものメンタルヘルスにネガティブな影響を及ぼすとされてきたが,一概にネガティブな要素を持つのではなく,子どもの気質や両親の関係性によって関連が異なることが示唆された。
著者
橘 篤導 J ADAM Noah SHAW Bronner 小野塚 實 小野 弓絵
出版者
星城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究でリハビリテーションに用いるダンスビデオゲームは、小脳大脳皮質の運動調節系のネットワークを強化させることにより、パーキンソン病によって不全のある大脳基底核-大脳皮質の運動調節系を補う有効性があることが示唆された。また、ダンスビデオゲームのようなマルチモダリティのある課題をトレーニングに導入することは前頭前野・側頭葉・頭頂葉などの大脳皮質における賦活化を促進(スキルの程度によっては抑制)することが示唆された。
著者
小暮 紀行
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、ヒカゲノカズラ科リコポジウム属植物とヒガンバナ科植物に含有されるアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有するアルカロイドにターゲットを絞り、その単離・構造決定と全合成研究を行なった。その結果、数多くの新規アルカロイドを単離・構造決定するとともに、これまでに当研究室にて単離された数種の新規アルカロイドの全合成を達成した。
著者
伊藤 直樹 花輪 壽彦 及川 哲郎 山田 陽城 矢部 武士 永井 隆之
出版者
北里大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題で我々は、新たな生理的な活性として、OX-Aに海馬神経系前駆細胞の増殖促進作用を介した抗うつ様作用が存在する可能性を初めて示唆した。このことは新たな作用機序を有する抗うつ薬の開発に役立つものと考えられる。またこれまでに、漢方方剤である香蘇散が脳内OX-A発現挙動に対して作用を示した結果が得られていることから、本研究課題で得られた結果は、香蘇散の抗うつ様作用メカニズムの探索に役立つと考えられた。