著者
村脇 有吾
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

諸言語の系統的な関係を解明するための計算集約的な統計手法を開発した。この問題は長年言語学者が人手によって取り組んできたが、過去に復元する問題は本質的に不確実であり、統計的推論が適していると考えている。成果は多岐に及ぶが、特に言語類型論の特徴列を潜在空間に写像するベイズ統計の手法は、複数の特徴が連鎖的に変化し得るという類型論的特徴の特性を捉えることを可能にしたという点で重要である。
著者
遠海 友紀
出版者
京都外国語大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では初年次教育の授業において、学生の自己調整学習を促すこと目的とし、課題に取り組む際の評価基準表を学生自身が作成する過程を取り入れた授業のデザインと評価を行った。学生が自分たちで評価基準表を作成する授業デザインを検討する際に必要となる要素を明らかにするために、授業を複数回実施し、(1)学生が作成した評価基準の妥当性を検証した。また、学生が自分たちで課題の評価基準表を作成することの効果を明らかにするために、(2)教員評価と学生の自己評価の関連の検証、(3)学生が自分たちで評価基準表を作成した際にどのように捉えたのかについての評価、(4)学生の自己調整学習に関する意識の変化の検証を行った。
著者
熊野 智之 花村 克悟
出版者
神戸市立工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

熱光起電力発電への展開を念頭に置き、セラミックスの近赤外領域における放射率を希土類元素を用いて選択的に向上させる実用的な技術の開発を行った。具体的には、多結晶アルミナ基板上に、エルビウムをドープした釉薬を形成させ、1000℃での放射特性を実験的に明らかにした。本研究は、釉薬を応用し、また塗布方法として基板埋没法を提案し、かつ釉薬の薄膜化について検討したという点で独自性に富んでおり、従来にない興味深い結果が数多く得られた。
著者
熊野 智之
出版者
神戸市立工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、製鉄プロセス等で排出される熱ふく射から電力を得る波長変換/発電モジュールの開発を目的とし、波長変換ふく射輸送を担う希土類酸化物膜エミッターについて構造の最適化を検討した。具体的には、アルミナ表面に石灰釉をベースとするEr酸化物膜をコーティングし、膜の組成と1000℃における近赤外放射率との関係を調べた。その結果、Er2O3の割合が50wt%の場合にバルクの石灰釉中に含まれるEr量が最大となり、Erの放射ピークである1.55μmにおける放射率が最大となることが明らかとなった。また、希土類元素をYbに変更した場合には、反応生成物の違いから最適な組成条件が異なることが示唆された。
著者
小木曽 真樹
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

グリシルグリシンと脂肪酸が結合した簡易なペプチド脂質は水中でアルカリ金属以外のほぼ全ての金属イオンを捕捉して、ファイバー状やチューブ状などのナノ構造体を形成することがわかった。金属を捕捉したファイバーやチューブの還元処理や焼成処理により金属ナノ構造体へ変換できることも明らかにした。アルカリ土類金属存在下で希少金属のみが補足できることを明らかにし、油田の随伴水処理や海水資源化などへの応用可能性を見出した。
著者
横山 斉理
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

研究成果は、大きくは以下の4点にまとめられる。第1は、スーパー業態のマクロ指標の整理により、日本の流通構造における中小商業者の位置づけを確認することができた。第2は、事例研究により、小売業の店頭従業員においては、店頭従業員特有の知識構造プロセスが存在することを確認した。第3は、小売店舗への来店客から得られたデータを顧客満足度モデルを用いて分析した結果、一見不利に思われる価格において優位性がみられることが確認された。第4は、小売店頭の従業員から得られたデータの分析結果から、店頭従業員の能力獲得には外部環境のプレッシャーがポジティブに働く場合とネガティブに働く場合があることが確認された。
著者
中西 竜也
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

近代に活躍した著名な中国ムスリム学者、王静斎が著した、コーラン(クルアーン)の漢語注釈、『古蘭経訳解』の内容を、その典拠となったアラビア語・ペルシア語のコーラン注釈と比較しつつ検討し、とくに次の二つの点を明らかにした。第一に、当該漢語注釈書においてその中国ムスリム学者は、聖戦や、それによって防衛すべきウンマ(ムスリム共同体)についての教説を、近代の中国社会やイスラーム世界の歴史的諸状況に応じて、どのように表現したか。第二に、近代イスラーム世界でしばしば批判にさらされた、スーフィズム(イスラーム神秘主義)、とくに聖者崇拝をめぐる問題を、どのように語ったか。
著者
鍵 直樹
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

フタル酸ジエチルヘキシルのような準揮発性有機化合物(SVOC)は,喘息だけでなく化学物質過敏症の原因になっている。室内空気中のSVOCは,蒸気圧が低いために単体の分子(ガス相)あるいは,浮遊粉じん上(粒子相)の双方に存在する。しかし,これらの分配係数の測定法が必ずしも確立されているとは言い難い。そこで本研究では,超音波アトマイザで関東ロームの試験浮遊粉じんを発生させて,拡散チューブを用いてガス相および粒子相のDEHPの分離測定を行うことを試みた。その結果の1つとして,特定の条件下においてガス状DEHPの試験浮遊粉じんへの吸着特性はラングミユア型を示すことが示唆された。
著者
天野 真輝
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究ではマルチホップ・メッシュネットワークの具体的な事例として,ノードに音響センサを搭載したセンサーネットワークを取り上げ,アプリケーションをベースとして通信や情報処理の手法を解析および提案した.平成19年度の主要な研究成果としては1.平成18年度に開発したセンサーノード間の無線通信プログラムライブリを作成することで,拠点ノードへ情報を集中転送させるスター型の通信構造を可能とした.この通信プログラムを用いることで,センサーノードを空間的に複数配置して広範囲の音声情報計測を可能とした.2.単一のセンサーノードによって計測された足音情報に対して,3つの特徴量を提案し歩行者数の推定との関係を解析した.提案した特徴量はそれぞれ・計測時間内パルス数:計測時間8[s]内において,一定のしきい値を超えた信号の総数・1パルス信号の強度平均:時間0.125[s]内に含まれる一定のしきい値を超えた信号列を1パルスとして考え,1パルスに含まれる信号強度の平均を取ったもの・全信号平均強度:一定のしきい値を超えた信号に関する平均強度を考えた.計測時間内パルス数および1パルス信号の強度平均は歩行人数に対して比例関係があり,全信号平均強度は無相関であった.このため前者2つの特徴力が歩行者数の推定の指標となる.結果として単一のセンサーノードで得られる局所的な足音情報によって歩行者数の推定が可能となった.さらに局所的な処理手法の提案によって通信負荷を増加させることないシステムの構築ができた.
著者
柏原 稔也
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

唾液は円滑な咀囑,嚥下を行うために必須なものであり,生体防御においても,重要な役割を果たしている.しかし,加齢,投薬の副作用などによる唾液分泌量の減少や唾液性状の変化は,口腔内の自浄性を低下させ,細菌叢だけでなく,摂食・嚥下機能にも大きく影響すると考えられる.さらに,これらのことが誤嚥性肺炎などの呼吸器疾患や,消化器疾患の誘因や増悪要因になることが予想される。そのため,高齢者の唾液の性状を評価することは重要な課題であると考えた.今回,高齢者,要介護高齢者では,若年者と比較して,ムチン,アルブミン濃度が有意に高く,カンジダの検出数も有意に多かった.また,カンジダの検出数が多い群では,検出されない群と比較して,ムチン,アルブミン濃度が高い傾向にあった。これは,唾液中のムチン濃度の増加がカンジダの増殖を導き,誤嚥性肺炎のリスクの高い環境を作り出すというわれわれの仮説を証明する結果であった。一方,唾液中のアルブミン濃度は仮説とは逆に,高齢者,要介護高齢者で高くなった。唾液中のアルブミンは歯周組織や口腔粘膜の血管から漏出することより,栄養状態を反映するのではなく,口腔内の炎症により増加するのではないかと考えられる。そのため,唾液中のアルブミン濃度を測定することは,口腔内の感染や炎症を測るうえで重要であるといえる。以上のことより,カンジダ,ムチン,アルブミンに注目した唾液評価によって,誤嚥性肺炎のリスクファクターや,高齢者の口腔の健康状態を評価できる可能性があり,臨床的に重要な応用性をもつものであるといえる.
著者
赤松 友成
出版者
独立行政法人水産総合研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

超音波聴覚を有する魚類が近年発見され,水産資源探査用の超音波が,魚群を威嚇し,資源量の過小推定を引き起こす可能性が指摘されていた。そこで,我が国沿岸に生息する水産有用魚種の超音波聴覚を音刺激に対する魚類頭頂部への誘発電位(聴性脳幹反応)を利用して計測し,音響資源計測における魚類行動への潜在的な影響を調べた。超音波領域における聴覚の確認実験を行うため,低周波音の再生に適した現有の聴性脳幹反応計測システムに,超音波対応の小型のトランスデューサーを加え,水中で超音波の再生ができるよう改造した。また,大型魚での実験を容易にするため,電極を魚類頭部に接着し絶縁して,水中においても聴性脳幹反応の記録ができる技術を開発した。さらに,超音波領域まで良好な増幅特性を有するパワーアンプと,超音波再生用のトランスデューサーを組み合わせて,超音波暴露実験が可能なシステムを構築した。このシステムを用いて,マイワシ,カタクチイワシ,イカナゴ,マコガレイで超音波聴覚を計測した。いずれの種類も,低周波音に感度があったが,超音波は感受しなかった。このため,超音波聴覚はニシン科魚類のなかでも限定的な種に存在する可能性が示唆された。なお,マコガレイを除く上記の魚種においては,これまで聴覚感度そのものが未計測であったため,新しい知見を得た。すなわち,マイワシは海産魚のなかでは比較的高い1kHzで感度が良く,音波を鰾で感受していた。イカナゴは,数百Hzの低周波領域を聴くことができるが,聴覚感度は低いことが明らかになった。この研究の副産物として,水中における聴性脳幹反応の計測手法が確立された。この手法を応用すれば,稚魚から大型魚までの様々な魚の聴覚感度を,船上の水槽や生け簀などの現場環境で計測できると期待される。
著者
永井 伸幸
出版者
宮城教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、画面表示と印刷物における弱視者の読書の特徴について調べ、電子教科書を弱視児が使うという観点から考察することを目的とした。画面では顔を近づけても読む面が暗くならないことの影響について検討し、また、印刷物とタブレット端末の読書における視距離や頭、眼や手の動き、動かし方について比較検討した。その結果、弱視児者のタブレット端末による読書行動は、印刷物の場合と変わらないこと、つまり電子教科書でも従来の教科書同じように読書を行えると考えられた。さらに、読む面が暗くならないことにより、負担感無くより小さな文字サイズで読書を行えること、簡単に白黒反転できることの利点が考えられた。
著者
堂満 華子
出版者
滋賀県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

地球深部探査船「ちきゅう」の下北半島沖慣熟航海コア試料C9001Cコアの古地磁気層序・火山灰層序・微化石層序・酸素同位体層序にもとづく年代モデルを構築し,C9001Cコアが海洋酸素同位体ステージ1~18までの過去74万年間をほぼ連続的に記録することを明らかにした.また,北太平洋における中期更新世の重要な浮遊性有孔虫化石基準面であるNeogloboquadrina ingleiの終産出層準がステージ16の後期あるいはステージ16と15の境界付近に位置することを示した.
著者
中尾 友紀
出版者
椙山女学園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本の社会保険は議論が開始された1880年代から、特に公的年金には巨額の国庫負担の必要が認識されていた。保険という形式だったが、公的年金はあくまで労働者あるいは「少額所得者」を救済する防貧政策だったからである。このような理念で1941年に創設された労働者年金保険は被保険者の適用範囲を「少額所得者」に制限し、その上で保険給付に要する費用にも国庫負担を規定した。したがって、国庫負担は「少額所得者」の救済を意図したものだったと考えられる。
著者
渡邉 浩崇
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究プロジェクトは、日本宇宙政策の始まりの1950年代後半から冷戦終結の1980年代後半までの展開を、当時の政治・経済・安全保障・科学技術をめぐる日本外交との関連に注目しながら、歴史的に検証したものである。国内外での資料収集、国際的な研究会やシンポジウムの開催、資料集(原稿レベル)の作成、そして日本語と英語による雑誌論文・学会発表・図書などの研究発表を行うことができた。総じて、日本宇宙政策史における今後の研究課題を残しつつも、ほぼ予想通りの成果を収めることができた。
著者
林 克洋
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、星形成領域のX線やガンマ線観測から、宇宙線の加速/伝播についての観測的制限を目指した。「ひとみ」衛星の喪失により、X線や軟ガンマ線の観測データを用いた研究はできなかったが、Fermi衛星によるGeVガンマ線と、Planck衛星によって取得されたダストの光学的厚さをベースとする星間ガスの分布をと詳細に比較することで、カメレオン分子雲領域についてガスの柱密度を精密に測定しすることに成功した。そして原子ガスの柱密度が、場所によって従来の1.3-1.5倍程度に大きくなる可能性を明らかにした。その結果得られた宇宙線スペクトルは、太陽系近傍において概ね一様であることを示した。
著者
武村 知子
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1980年にバンド「アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン」を結成し、現在、音楽・文芸・舞台・映画等様々な分野で活躍中のドイツのアーティスト、ブリクサ・バーゲルトの二十年にわたる活動の全容をあきらかにすること。日本ではかろうじて、ごく一部の「音楽」活動しか知られていない彼の多岐にわたる営為、ことに言語芸術的営為に焦点をあてて紹介することで、彼とそのバンドに対する従来の一般的評価に新しい視点をくわえ、彼の作品に新しい位置づけを与えること、いわば、「音楽」という狭い領域のなかから彼とその営為とを、人間の言語的営為一般のなかへ放り出し、広々した混迷の歴史のなかに位置づけようとしては失敗することによって、彼の営為に接近すること。そのようにしてしか接近しえないものとして彼の営為をとらえることによって、彼の作品、および、それらの作品が生まれるに至った現代文化のある深層にスポットを当てることが可能になるということを明らかにすること。15年にわたって蓄積した膨大な資料にもとづいて、上記のような意図に沿ってこころみた集大成は、したがって、研究成果の集大成というよりは、集大成することの失敗の集大成という様相を呈する。レコード、CDどころかインターネットで音楽を聞く、聞くことを反復するとはどういうことなのか?歌詞の翻訳とは何か、あるいは、音楽の記憶とは何か、そこで生じるメランコリーはなにゆえのものか。そうしたことを言語をもって考察し、その考察が文字として印刷される、あるいはされないとはどういうことなのか、音楽と言語とがこもごもにめざすユートピアは、書字文化からデータ文化への移行期にあって、その非在の様相をどのように変えるのか、「研究成果」としての「書物」は、その変化のなかでどのような立ち位置を見出すことができるのか?そうした複合的な問いに対するひとつの解答のこころみ、あるいはその確信的失敗の例証として、この研究報告書としての「書物」は成立するだろう。
著者
相澤 直樹
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

ラット膀胱における伸展受容一次求心性神経活動測定を行った。検討の結果、TRPV1とTRPV4はそれぞれ別の経路を介して膀胱伸展受容求心性神経活動を促進することを明らかにした。さらには、化学的膀胱炎を誘発する物質でありTRPA1受容体刺激薬にも分類されるacrolein(cyclophosphamideの主要代謝物)の膀胱内注入では、Aδ線維とC線維の両方の神経活動が促進され、内因性NO産生を増加させるNO基質であるL-arginineおよびPDE5阻害薬のtadalafilの投与によって、それらが抑制しうることを明らかにした。また近年、膀胱の微小収縮(microcontraction)が膀胱求心性神経活動の促進に関与することが示唆されている。この微小収縮による求心性神経活動の促進機構が、過活動膀胱の主症状である尿意切迫感発現の背景にある病態メカニズムの一つとする興味深い仮説がある。我々が行った検討の結果、新規過活動膀胱治療薬であるアドレナリンβ3受容体作動薬ミラベグロンが、ラットにおいて、膀胱微小収縮を抑制し、同時に伸展受容求心性神経活動のうち主にAδ線維を抑制し得ることを明らかにした。このことは、β3作動薬が過活動膀胱症状を改善する作用機序として、この微小収縮による求心性神経活動の促進機構に対する抑制作用が関与することを示唆するものと考えている。さらに、膀胱の微小収縮ではなく、脊髄反射を介した膀胱収縮(等容量性律動性膀胱収縮)とそれに同期する求心性神経活動の測定法を確立した。その結果、ラット膀胱の伸展受容求心性神経のうち、AδとC線維の両者が、"伸展"のみではなく"収縮"にも応答することが示された。
著者
奥本 素子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、東日本大震災の被災資料を展示し、その展示物に対する来館者の語りを収集したデータをテキストマイニングで分析し、資料に対する来館者の集りの傾向を明らかにした。その結果、被災資料に対して来館者は単に道具名や形式的な知識を語ることはなく、主語を伴った具体的な経験を語ることが多かった。展示物の解釈は一人称的語りによって展開されることが明らかになったという結果より、今後の鑑賞支援の在り方として知識の提供だけでなく体験に繋がる文脈の提供の重要性が示された。
著者
SLEVIN K.M
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

シンプレクティックな対称性をもった2次元系のアンダーソン転移の臨界指数を、いわゆるSU(2)モデルのシミュレーションにより正確に決定した。今まで数多くのシミュレーションが行われてきた安藤モデルと比べて、このSU(2)モデルではスケーリングの補正が特に小さい。この特徴によりスケーリング補正を無視することが可能となり、従来に比べて非常に正確な臨界指数の決定が可能となった。本研究はPhysical Review Letters誌の2002年12月号に載された。MacKinnon-Kramer法による局在長の計算を改良し、並列計算機を効率的に利用できるようにした。東京大学物性研究所の並列計算機を利用することにより、3次元系SU(2)モデルの臨界指数の決定を現在進めている。磁性不純物を含んだランダム系におけるdephasingの問題を研究するプログラムを、このプロジェクトの初年度に開発した。しかしながら期待したよりもはるかし小さいdephasingの効果しか得られなかった。この理由は今後の研究課題である。