著者
高清水 康博
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による津波は,沿岸低地を数km に渡って遡上する巨大なものであった.この研究では,宮城県仙台市,岩手県陸前高田市,および北海道日高町で採取した砂丘を越えて沿岸低地を遡上する津波堆積物の定方位不撹乱試料の層相,粒度分布,磁気ファブリックから津波挙動の復元を試みた.その結果,仙台市と陸前高田市の津波堆積物の解析からは詳細な津波の流れ変化を読み取ることができた.すなわち,津波堆積物の詳細な堆積学的解析から過去の津波挙動の復元が有効であることを示すことができた.
著者
小林 慎吾 田中 賢
出版者
山形大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

Regio選択的な開環メタセシス重合法を適用可能なモノマー構造の拡張と、得られた高分子の血液適合性材料への応用を目指した研究を行った。アリル位に官能基を導入したシクロアルケン類を合成し、Grubbs触媒を用いた開環メタセシス重合を行った結果、重合はregio選択的に進行し、側鎖の配列が制御された新規定序性高分子が得られた。得られた高分子の含水試料について、DSC測定を用いた水和構造の解析を行った結果、ポリマー構造の変更により、発現する中間水量が変化することがわかった。得られた高分子のヒト血小板粘着試験を行った結果、中間水発現量の増加に伴って発現する血液適合性が向上することが分かった。
著者
日野 愛郎
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、政党マニフェストを時系列に収集・テキスト化することにより、様々なコーディング方法を用いて政党の政策位置を推定することを試みるものである。政党マニフェストは、政党の政策やイデオロギー的な立ち位置を知る上で重要な資料となる。本研究は、過去の政党マニフェストのテキストをデータベース化することにより、ヒューマン・コーディングとコンピュータ・コーディングの両面から発展的な分析を行うことを目指す。
著者
池辺 忠義
出版者
国立感染症研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

劇症型溶連菌感染症(STSS)は、発病からの病状の進行が急激かつ劇的で、いったん発病すると数十時間以内に、死に至る可能性の高いことが知られている。本研究において、劇症型溶連菌感染症臨床分離株で、新たにrgg遺伝子に変異があることを見出した。マウスモデルにおいて、このrgg変異株は、致死性が高く、様々な臓器に障害を与え、ヒトの好中球を殺傷することが明らかとなった。STSS株と非侵襲性感染株におけるrgg遺伝子の変異頻度を調べた結果、劇症型溶連菌感染症臨床分離株の約25%を占めていた。また、咽頭炎などの非劇症型感染臨床分離株では、1.7%しかこの遺伝子に変異が見られず、有意に劇症型感染症臨床分離株においてrgg遺伝子に変異がみられることが判明した。このことから、このrgg遺伝子の変異は、劇症型感染症に重要な役割をしていることが考えられた。
著者
宮 紀子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

13-15世紀にペルシア語、漢語等で著された文献を収集、当時の多言語辞書を利用して分析し、以下の新事実が判明。(1)モンケがフレグ大王のもとに常徳を派遣した目的は東西の薬草の名前の統一にあった(2)Nasira1-dinT丘siに中国の歴史と天文学を教えた医師の名は傅野(3)14世紀初頭にペルシア語に翻訳された中国の医学書Tanksuq namahの原本は李駒の『日希萢子脈訣集解』十二巻(4)和算の発展はモンゴル初期における東西学術交流の延長(5)ケシク制度の原型は旬奴に遡る(6)ブラルグチの重要性(7)クビライの宰相アフマドもブラルグチの長官(8)アフマド暗殺は江南の富の掌握をめぐる皇太子チンキムとの権力闘争の結果。
著者
井上 正也
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は 1950 年代から 1970 年代初頭にかけての中ソ関係の変遷を分析し、日本政府がいかに中ソ対立を認識し、日中国交正常化に至る日中関係において、「ソ連要因」がいかなる影響をもたらしたかを解明すると同時に日本外交の戦略性を明らかにする。
著者
佐竹 真幸
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

和歌山県串本で分離されたGymnodinium mikimotoi(karenia mikimotoi)をT1培地中25℃で28日間培養した。また、ギムノシン類の分子内^<13>C濃度を上昇させるため、NaH^<13>CO_3添加培養を行った。定常期に達した藻体を遠心分離によって収穫後、藻体をヘキサンで脱脂し、80%PrOHで抽出した。抽出物を溶媒分画に供した後、イオン交換,逆相系カラムを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製した。溶出位置の確認は、細胞毒性試験とフォトダイオードアレイ検出器を用いて行い、ギムノシン-Bの単離に成功した。単離したギムノシン-BをMSおよびNMR測定に供し、化学構造の決定を行った。約2300Lの培養から、ギムノシン-Bを2.5mg単離した。ギムノシン-Bは、メタノール等の極性溶媒に対する溶解性が極端に悪く、使用可能なカラム、溶媒の種類が限定されたため、その精製は困難であった。MSおよびNMR分析よりギムノシン-Bの分子式は、C_<62>H_<90>O_<20>と推定された。NMRスペクトルとCID FAB MS/MSスペクトルの詳細な解析から、ギムノシン-Bの構造は、分子末端に2-メチル-ブテナール構造を有し、5〜7員環の15個のエーテル環が梯子状に連結した新規ポリエーテル化合物と推定した。連続したエーテル環数15は、これまで構造決定されたポリエーテル化合物の中で最大であった。ギムノシン-Bのマウスリンパ腫細胞P388に対する細胞毒性は、1.5μg/mlであった。
著者
田中 一裕
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

クモのSCPを決定する要因として、餌虫が保持する氷核活性物質の関与が示唆されている(Tanaka 2001)。この点を明らかにするため、氷核活性バクテリアをもちいた操作実験をおこなった。氷核活性バクテリアを摂食した虫をクモに与えたところ、体組織の凍結開始温度である過冷却点(SCP)が上昇したのに対し、バクテリアを摂食していない虫を食べたクモのSCPは低いまま保たれた。このことは、氷核物質が摂食を通して餌虫から捕食者に伝わり、そのSCPに影響をおよぼすことを意味している(投稿中)。本種の凍結回避戦略を理解するうえで、この餌虫由来の氷核活性物質の同定は不可欠であろう。オオヒメグモは休眠という特殊な生理状態で冬を越す。休眠の誘導にともない、貯蔵栄養物質である脂質の蓄積が起きるか否かについて検討した。材料としては、冷温帯個体群(札幌)と亜熱帯個体群(沖縄)を用いた。両者ともに、休眠誘導にともなってTGの蓄積がおきた。このことは、(1)冷温帯でも亜熱帯でも、脂質が越冬時の主要な貯蔵栄養であること、(2)亜熱帯であっても冬季に飢餓の危険性が存在している可能性、を示唆している。貯蔵栄養をじゅうぶんに蓄えたクモは長期の絶食が可能であり、結果として捕食を介した氷核物質のとりこみを回避できる可能性がある。この点を明らかにするために、野外越冬個体の脂質含量とSCPの関連を調べた。まだ、解析は終わっていないが、暖温帯個体群(福岡、宮崎)では両者の間に弱い相関が見出された。飢えた個体は、冬のあいだも積極的に捕食するので、結果としてSCPが高まるのだろう。日本各地で越冬個体の捕食頻度を調査した。捕食頻度は南で高く、北で低かった。この傾向は、越冬個体のSCPの地理的傾向と一致していた。今後、冬季に活動する虫たちが氷核物質を保持しているか否かについての検討が必要だろう。
著者
西條 剛央
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、多様なタイプの研究を妥当に評価可能な質的研究の一般評価法の構築を行うことを研究課題とした。この目的を達成するために、以下の3つを柱に研究を行った。まず、質的研究の評価に関する先行研究をレビューすることで従来の方法論の限界や問題点を確認した。次に、多種多様な質的研究を用いた論文を妥当に評価可能な「質的研究論文の一般評価法」を構築した。第三に、質的研究のワークショップなどのアウトリーチ活動や,研究報告書作成,他の研究報告書を吟味する際にこの評価法を適用することで,それらの有効性と限界を明らかにした。
著者
渕田 孝康
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

離散ボロノイ分割を利用したフラクタル画像圧縮においては、一般にレンジの形状が多角形となるためドメインからレンジへの最適なアフィン変換を求めるための計算に膨大な時間がかかり、この時間が、画像圧縮における時間短縮のボトルネックとなっている。この問題を回避するために、我々は昨年度に引き続いて縮小画像を利用したドメイン探索についての研究を行った。昨年度の研究結果より、母点数(=レンジ数)が10000を越えたあたりから急激に所要時間が増えてしまうという問題が指摘されていたが、この点を、アルゴリズムを見直すことによって改善し、すべての母点数範囲において従来の方法よりも1/2〜1/4に高速化された圧縮を実現できた。さらに、これまでのレンジ分割は、最適ドメインとの誤差値の大きいレンジに対してランダムに2つの母点を生成することによって行っていたが、これに代わる新しい方法として、レンジの重心座標を利用する2種類の方法を提案し、計算機シミュレーションによってその有効性を確認した。その結果、重心を利用した方法が、従来法と比較して高速なレンジ分割を行えることが示された。さらに、分割後の後処理として誤差値の標準偏差を利用した分割を行うことで、圧縮時間をほとんど増やすことなく画質、圧縮率の両方を改善できることも示した。しかし、この分割法は圧縮時間の短縮は実現できたが、復元画像の画質の改善にはならないことも同時に判明し、原画像情報を利用したレンジ分割の方法の必要性も指摘された。
著者
稲上 誠
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、枯山水庭園の魅力を科学的に解明するため、全体的な空間構成と鑑賞者の印象評価との関係を調べた。始めに、京都にある18の庭園を対象として、3Dレーザースキャナーによる実測調査を行った。続いて、バーチャルリアリティ装置を用いて、それらの庭園の評価実験を行った。その結果、周囲の環境による包囲が、鑑賞者が感じる印象を向上させることが明らかになった。この結果は、庭自体のデザインだけでなく、庭園全体のデザインも、その空間の魅力に寄与していることを示唆している。
著者
小沢 登高
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

今年度は引き続き、離散群に関連する作用素環の研究を行った。作用素環には大別してC*環とフォンノイマン環の二種類あり、多くの研究者はどちらか一方を専門にしているが、私は両方の分野で活発に研究している。離散群Gの複素係数群環CGはヒルベルト空間1_2(G)に畳み込み積で作用している。このCGを作用素ノルム位相のもと完備化したものを既約群C*環と言い、C*_r(G)と表す。一方、畳み込み積で作用する作用素全体のなす環のことを群フォンノイマン環と言い、L(G)で表す。群が可換の場合、Gのポントリャーギン双対をXと書けば、フーリエ変換によって、C*_r(G)とコンパクト空間X上の連続函数のなす環C(X)は自然に同型になる。また、X上のプランシェレル測度をμと書けば、L(G)はL^∞(X,μ)と自然に同型になる。これらのことから、一般の非可換群Gに対する既約群C*環や群フォンノイマン環の研究は非可換位相空間論や非可換測度空間論であると捉えることが出来る。私は離散群Gの「幾何学」がこの非可換空間の構造に反映されることを示した。これは通常の測度空間が原子を除けば一意であることと非常に対照的である。今年度は特に、Kazhdanの性質(T)と作用素環の関連について研究した。
著者
東野 正幸
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は分散環境におけるモバイルエージェントの動的なデバッグ手法を開発することであるが、本年度の研究過程において、分散環境のパラダイムにおいては、高い独立性を持つ低粒度のサービスを組み合わせて情報システムを実現する、マイクロサービスアーキテクチャと呼ばれる構築方法が急速に普及しつつあり、マイクロサービスは、モバイルエージェントに類似した性質をいくつか持っており、分散環境におけるモバイルエージェントの動的なデバッグ手法を開発・適用する上で、重要な意味を持つ応用対象の1つになると考えられることが新たに判明した。本年度では、研究課題全体の最終的な目標として分散環境におけるモバイルエージェントの動的デバッグ手法を実アプリケーションに適用することを見据え、モバイルエージェント技術をマイクロサービスアーキテクチャへ導入するための課題の整理及び解決するためのアプローチの提案を行った。マイクロサービスを分割・統合する処理は、モバイルエージェントにおけるエージェントの分割・統合と共通点がある。しかし、モバイルエージェントは自律的にホスト間を移動することやホストも自律的に生成・消滅する可能性も考慮する必要があり、マイクロサービスにおけるサービスメッシュなどのインフラ及びデプロイ環境は、モバイルエージェント環境が持つ副作用を強く抑制し選択的に緩和した環境として扱うことが可能であると考えられる。これはマイクロサービスなどの普及が進みつつあるアーキテクチャが次世代のアーキテクチャへ発展する際において、モバイルエージェント技術が寄与する知見として重要な意義を持つと考えられる。
著者
藤田 卓仙
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究においては、ゲノム情報を中心とする医療ビッグデータの3つの特殊性(1.対象情報 2.取得状況 3.情報の活用方法)に着目し、改正個人情報保護法を中心とした現行法制度下での医療情報の取り扱い及び必要な立法政策等に関する検討を行った。医療情報に関しては、匿名化のあり方や、情報取得の際の、利用目的の示し方と、同意のとり方に関して課題があること等が明らかとなり、医療情報を取り扱う特別法の立法の必要性が示唆された。
著者
武井 寛
出版者
岐阜聖徳学園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、20世紀中頃のアメリカ合衆国における公正な住宅を求めた黒人の活動を、住宅改革家との関係に注目しながら考察することを目的とした。連邦住宅局(FHA)と全国黒人向上協会(NAACP)の住宅問題に関する一次史料の収集は、ほぼ予定通りに実現した。それらの史料を用いて、制限的不動産約款を廃止した連邦最高裁判所による1948年の「シェリー対クレーマー判決」の重要性を検証し、黒人の社会生活にとって転機となっていたことを明らかにした。そして公民権運動時代の都市住宅問題に取り組んだ1966年シカゴ自由運動を再考することで、本研究では都市住宅問題は公民権運動と密接な関連性があることを示した。
著者
木村 有寿
出版者
近畿大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

ネットワークを通して業者と利用者,あるいは利用者間で座席の取引をリアルタイムに行うことを想定した座席予約に関する新たなビジネスモデルを提案し,その提案モデルに対する最適な取引を行うための座席予約システムの構築と運用を行った.具体的には,提案ビジネスモデルに基づく座席取引を想定した座席予約システムの運用シミュレーションにより,座席割当システムで使用する個体分裂アルゴリズムのチューニングを行った.チューニングは,個体分裂アルゴリズムにおける座席割当に関する部分を中心に行い,座席割当の最適解を求めつつ,座席割当の速度を上げることを可能にした.この過程において,個体分裂アルゴリズムは従来の手法に較べて規模の大きな組み合わせ最適化問題に使用することができるものの,適用する個々の問題に応じて行われるヒューリスティックな設定が計算の精度や速度を決定する大きな要因となり,その使用に関しては適用する問題への十分な理解が要求されることが再確認された.システムのチューニング終了後,学内ネットワーク上の40台のコンピュータを用いた運用試験を行った.ただし,今回のシステムでは,システムの安全性確保や利ざやによる利益の確保のみを目的とした不健全な座席の取引を排除する目的から,サーバ間の座席予約情報の受け渡しを一部人的な対応により行った.運用試験の結果,システムの安定的な運用に問題は生じず,小規模システムにおいては,十分に実用化が可能であることを示した.
著者
根岸 淳二郎
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

第一に、絶滅危惧種であるイシガイ類二枚貝は下流河川との連続性が高い農業用水路に高い確率で生息し、同所的に豊かな魚類相の生息が確認された。また、そのような生息地は、開発地割合の低い景観構造を有する地域に存在した。第二に、河跡湖における水草種数は水草繁茂面積と正の相関を持ち、生息地の質は、人工的にショートカットされた水域で最も低かった。第三に、湧水河川には特徴的な水生昆虫相が確認され、流域スケールでの分類群多様性に貢献していた。これらより、地形や湧水に着目して景観スケールで流水環境をタイプ分けすることで効率的な水生生物多様性保全が行える可能性が示唆された。
著者
増田 光弘 南 清和 庄司 邦昭
出版者
東京海洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

荒天錨泊中の走錨による船舶の事故は、錨の研究が進んだ現在においても絶えることがない。原因の一つとして、現在使用されているJIS型錨やAC-14型錨はそれぞれ最大把駐力や姿勢安定性など構造的に課題点を抱えていることが挙げられる。本研究の目的は高性能な新型錨を開発することである。そのために、既存の錨の性能を再評価し、まとめた錨性能評価表を作成した。そして、錨性能評価表に基づいて高性能新型錨を設計・開発し、新型錨がどのような状況においても安定して性能を発揮することができる錨であることを確認した。
著者
木内 邦明
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

健忘型軽度認知障害(aMCI)はアルツハイマー型認知症(AD)の前駆段階とされている。aMCIでは拡散テンソル画像(DTI)を用いた研究で認知症発症以前からの白質の異常が報告されている。今回の研究ではaMCIのさらに前駆段階と考えられる主観的認知障害(SCI)についてDTIを用いて検討した。今回対象とした各群は年齢、性別や学歴などをマッチさせたSCI群22例、aMCI群28名、早期AD群27名、コントロール(NC)群27名であった。結果はSCI群においてNC群と比較して後部帯状束で有意なFA低下を認めた。認知症につながるかもしれない早期の変化をSCIにおいて認めた可能性がある。
著者
杉崎 範英
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、発達度が疾走パフォーマンスにおける個人差に関与する下肢筋を特定すること、およびその筋のトレーニング法を検討することを目的とした。下肢各筋群の筋体積を測定し、疾走タイムとの関係を検討したところ、相対的に大殿筋およびハムストリングが大きい選手ほど疾走タイムに優れることが明らかとなった。またスクワットトレーニングを行う場合、バーベルを用いた低速度で行う場合よりも、自体重のみによる全力での跳躍を行う方が、大殿筋の大きな活動を引き出すことができることが示された。