著者
馬路 智仁
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、近代イギリスの政治思想(19世紀前半から20世紀初頭)において半ば忘却されてきた、きわめて独特な知的系譜、すなわち殖民主義からグレーター・ブリテン構想、そしてブリティッシュ・コモンウェルス構想へ至る帝国的系譜を描き出そうとする点にある。その最大の目的は、ポスト・ブレグジット時代を睨む今日のイギリスにおける「コモンウェルスへの回帰」言説を歴史的文脈の中に位置づけ、相対化するパースペクティヴを提供することである。
著者
松本 悠貴
出版者
アニコム先進医療研究所株式会社(研究開発課)
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

近交弱勢は遺伝的に近い個体から生まれた子の死亡リスクが上昇したり、生殖能力が低下する現象である。この現象の遺伝的な理解は、ウシやブタなどの畜産分野での生産性の向上や、個体数が減少した希少動物の保護に有用であるが、その機構については遺伝子のレベルではほとんどわかっていない。本研究では、弊社グループ企業であるアニコム損害保険株式会社が独自にもつ2,000万件を超えるイヌの医療情報データと、数百個体規模のゲノム解析を用いることで、近交弱勢に関わる遺伝子を探索する。
著者
佐藤 健太郎
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、教科書の編纂や検定とそれを規定した政治状況に注目し、1930年代から1950年代における学校教育での政治教育の展開を、日本政治外交史的手法により実証的に解明することを目的とする。主として、①この間の政治教育をめぐる過程を、政治教育の発展・変質・再興の過程として長期的視野から分析すること ② 検定教科書を、知識人の言論と、国家の規制との対立が集約されるものと位置づけ、教科書の内容や検定の状況を分析すること、等を通して、55年体制下における「教育と政治」の淵源を明らかにし、戦後民主主義の基盤を問いたい。
著者
恵谷 玲央
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

頭部X線CT 検査の回数に依存して白血病や脳腫瘍の発症リスクが増加することが報告されているが、頭部への低線量の放射線繰り返し部分照射が発がんリスクを増加させることを示した実験データは少ない。本研究では、動物用X線CT検査装置を使用して、マウスの頭部あるいは全身に臨床レベルの放射線を繰り返し照射して、白血病の起因となることが知られている造血幹細胞中の染色体異常(遺伝子異常)の有無とその蓄積の程度の経時変化について多角的に検討する。さらに、これまでに報告されている研究結果と対比することで低線量の放射線の部分照射と白血病リスクとの関係について解析を行う。
著者
阪東 勇輝
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

神経細胞は多様なイオンチャネルを発現しており、それらが協調して活動依存的神経回路形成に寄与すると考えられる。申請者はこれまでに、静止膜電位制御に重要な漏洩K+チャネルが神経細胞移動を制御することを発見した(Bando et al., Cereb. Cortex, 2014)。漏洩Na+チャネル・NALCNも静止膜電位制御に重要で、ヒト神経疾患との関連も報告されているが、神経回路形成における役割は不明である。そこで、NALCNの機能阻害および亢進を行い、NALCNによる神経活動依存的神経回路形成機構を分子、形態、生理の視点から統合的に解明する。
著者
長山 洋史
出版者
神奈川県立保健福祉大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は,脳卒中患者に対する回復期リハビリテーション(以下,リハ)における適切なリハ密度(リハ時間/日:1日のリハ時間)を費用効果の視点から検討することであった.第1フェーズとして,レセプトデータを用いて,高密度リハ(1日6単位以上,1単位20分)の退院後医療費や再入院率への影響を回帰不連続デザイン,自然実験にて検討した.その結果,回復期リハ病棟における高密度リハは,低密度リハと比較し,医療費や再入院率の減少には影響しないことが明らかとなった(長山ら.2019,Nagayama et al. 2021).患者特性に応じたリハ密度の検討が重要であることが,今後の課題として明らかとなった.
著者
滝沢 翼
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

片頭痛は若年者に好発する慢性頭痛疾患であり、有病率(約10%)、生活支障度ともに高い。片頭痛患者の一部ではストレス、生活習慣、天候の変化など何らかの頭痛発作の誘発因子を有している。本研究では片頭痛の誘発因子の実態について調査を行い、科学的な検討を試みる。最終的には片頭痛患者のQOL向上を目指す。
著者
土屋 壮登
出版者
防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

研究では、生体適合性に優れ、止血作用と血管の組織修復が可能なバイオマテリアルを開発し、実験動物を用いた止血作用と組織再生評価に関する研究を行う。具体的には、光照射によってハイドロゲルを形成する光応答架橋剤を含有するゼラチン水溶液を用い、その化学反応性や物理化学的性質を評価し、マウス体内における分解性を確認した後、血管吻合部に適用し、止血作用や血管組織の再生の評価を行う。本研究は医工連携による材料開発と治療方法の開発という革新的な研究内容である。
著者
久保田 静香
出版者
日本女子大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

デカルトおよびデカルト主義者は、近代以降のフランスにおいて「レトリック」が「弁論術・説得術」から「修辞学・美辞学」へと変容するにあたり大きな役割を果たした。この歴史的事情を、デカルト主義の先駆ともいわれる16世紀のペトルス・ラムスから、デカルト思想の洗礼を受けた17世紀後半のカルテジアン(とりわけポール=ロワイヤル派とベルナール・ラミ)へと至る、学芸(litterae, lettres)の改革の系譜を辿ることで、その内実を明らかにする。これにより、近代修辞学―18世紀のデュマルセや19世紀のフォンタニエに代表される「文彩(figures)」研究―へと至る前景を描き出す。
著者
中沢 大悟
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

MPO-ANCA関連血管炎モデルを用いてNETsに関連する分子をターゲットに治療としてリコンビナントトロンボモジュリンに着目した。本疾患の病態は、病原性自己抗体であるANCAが,好中球を活性化し全身の微小血管を傷害するが、好中球プログラム細胞死の1つであるNeutrophil Extracellular Traps(NETs)の制御異常が本疾患の病態の中心をなす。in vitroでリコンビナントトロンボモジュリンが直接好中球に作用してNETsを抑制し、また血管内皮傷害も抑制することを示した。モデル動物に投与することで血管炎病態を改善することを示した。
著者
榛葉 旭恒
出版者
京都大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

精神的ストレスはインターロイキン17産生型ヘルパーT細胞(TH17細胞)の働きを介して炎症性腸疾患を誘引すると考えられているが、その機構は明らかではない。申請者はストレス感知により腎臓から産生されるプロレニンの受容体(PRR)がTH17細胞で発現することに着目し、PRRがTH17細胞の発生を促進すること、ストレスと免疫応答が腸管のTH17細胞を増加させることを見出した。そこで本研究は、PRRがTH17細胞の分化や維持、働きを促進する分子機構と、ストレス時に産生されるプロレニンがTH17細胞を介して炎症性腸疾患の発症と増悪に寄与する可能性を、PRR遺伝子破壊マウスを用いた解析から明らかにする。
著者
井上 佳祐
出版者
横浜市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

我が国の自殺率は、低下傾向ではあるものの、諸外国に比べて依然として高いままである。自殺は、世界的にみても主要な死因の一つであり、メンタルへルス問題を基盤にした「防ぎ得る死」である。自殺予防のためには、精神科疾患に罹患した者を見つけ・適切な治療を行うことが重要である。しかし、精神疾患に罹患した者は、精神科以外の診療科を受診し、精神科を受診しないことが多く、精神科医以外の医師であっても、精神科疾患についての知識を有していること、さらに、自殺リスクの評価ができることが重要である。精神科以外の医師を対象とした、自殺予防に関する研修会は、全国各地で行われてきたが、その効果測定は不十分なものが多い。さらに、臨床研修医に限ると、自殺予防について体系だって学ぶ機会はほとんどなく、またどのような教育内容が効果的かすらわかっていない。本研究では、臨床研修医が自殺予防について必要な知識が習得でき、自殺リスクを評価できるようになるための、教育プログラムを開発し、その効果測定を行うことを目的とする。2018年度は、国内外の自殺予防の教材・資料を元に、講義資料を作成した。2019年11月より、初期研修医に対しての講義を行い、その前後で、評価尺度を用いた、自殺の危険性が高い者に対する態度や対応技術の測定を開始した。2020年1月で講義は終了となった(3月より、新型コロナウイルスの影響により講義が中止となったため)。講義は合計2回実施し、計15名が参加した。2020年度に研究結果の解析を進めた。
著者
山中 美潮
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、20世紀初頭の西原清東によるアメリカ合衆国テキサス州稲作移民運動を中心に、日本人のアメリカ南部移住・人種経験から越境的なアメリカ史を検証する。日系アメリカ人史はこれまでアメリカ西海岸地域研究に偏りが見られ、またアメリカ南部史では、白人・黒人という二分的な人種関係を自明とし、移民や他地域との関係性を軽視してきた。そこで本研究は単なる地域・移民研究を超えた新しいアメリカ史像を提示するため、日本人の歴史的経験からアメリカ南部と環太平洋世界の相互作用を明らかにする。本研究により多様化の進む日米社会双方の人種関係の理解と促進に貢献したい。
著者
宇井 睦人
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

医療におけるデジタルテクノロジー関連の補完代替療法についてはその研究が少なく、「仮想現実(Virtual Reality;VR)」が臨床現場における患者・家族に及ぼす影響は不明である。本研究は緩和ケア対象患者とその家族のより良い心のケアの発展を目的に「実際に旅をしているようなVR;VRトラベルが患者・家族ケアに有用である」との仮説の実証を行う。具体的には既存の映像視聴を比較対象として、VRトラベルを同時視聴した患者とその家族に対して、主観的質問紙に加え、唾液中のストレス関連ホルモンを測定することで客観的かつ生理学的な分析で実証する。本研究によりVRトラベルの患者と“家族ケア”の効果を証明する。
著者
冨菜 雄介
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

神経回路を構成するニューロンが複数の行動や知覚において機能する場合、これを 多機能性ニューロン(multifunctional neuron)と呼ぶ。本研究では「生理学的知見と解剖学的知見の“直接的”な融合」という視点に立ち、多機能性神経回路の機能 を支えるメカニズムを生物学的に理解を目指す。そのため、これまでに取得した大規模なヒル神経系の機能的コネクトームデータをモデルとして、 多機能性神経回路網が多様な行動を生成するための神経基盤の解明を目指す。具体的には、「多機能性ニュ ーロン群は各行動に対応したシナプス電位統合部位を有する」という仮説を検証する。