著者
堀場 充哉
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

脳卒中後の運動機能や高次脳機能障害に関連する脳領域を評価するとともに、これら関連領域に対して、非侵襲的刺激法の一つである経頭蓋交流電気刺激法(皮膚上から微弱な交流電気刺激を行う方法)を用いたリハビリテーションを実施する。脳卒中の一般的な機能評価およびMRIを用いた脳内のネットワークの変化を収集、解析し、経頭蓋交流電気刺激法を用いたリハビリテーションの効果、回復に寄与する神経基盤について検討する。
著者
栗原 伴佳
出版者
札幌医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

脳血管における側副血行路は、虚血性脳卒中発症時に順行性血流の不足に対して機能する重要な代償機構である。本研究は、脳血管画像から3Dプリンターを用いて作成した脳血管モデル、流体解析による血流シミュレーションなどの技術を用いて、血管閉塞時の側副血行路による脳血流代償機能を非侵襲的に検出するという点に着目したはじめての研究であり、仮想血管閉塞モデルを作成することで、ある特定の血管閉塞時に低灌流で脳梗塞となりうる範囲の予測を目的としている。この予測をもとに、塞栓症罹患時のリスクを定量化し、抗血栓薬使用の適応決定の1つの指標とすることで、介護負担や医療費を削減することを目的とした。
著者
茅根 裕司
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

次世代宇宙マイクロ波背景放射観測実験Simons Observatoryは、地上CMB観測における第3から3.5世代に位置付けられる実験である。昨年度出版したscience forecast paperでは、主に最初の5年間の観測を目的としたスタディを行った(normal plan)。同時に我々は、次の世代である第4世代地上CMB実験「CMB-S4」の準備を進めている。我々はSimons Observatory自体を容易に拡張できる様に設計しており、本年度はnormalの先として「enhanced plan」の検討を進め、様々なscience caseを前回から拡張した。CMB-S4に繋がるenhanced planでは、現在建設している望遠鏡群の数を増やすことで、sigma(r)=1e-3、ニュートリノ総質量は15 meVまで測定可能であることを示した。これらの検討成果を米国の「Astro2020 APC white paper」として報告した。データ解析の準備としては、Bモード測定時における系統誤差の検討、高性能計算機(High Performance computing)での使用を前提としたパイプラインフレームワークの開発を進めた。後者については、開発を主導しているローレンスバークレー国立研究所(LBNL)に併設されているNational Energy Research Scientific Computing Center(NERSC)の研究者の協力のもと、東京大学で開発に関するワークショップ・ハッカソンを開催した。日本国内の多くのCMB研究者に参加していただき、好評を博した。
著者
石山 雄貴
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究の特徴は、「受益者負担論」を打破し「社会教育の無償性」を実現する社会教育財政の骨格を提示することである。全ての住民に社会教育の自由を保障するためには、社会教育に関わる費用が無償であることが不可欠である。一方で、全国の公民館において、使用料の有料化が進められている現状がある。本研究では、そうした有料化の実態分析を行うとともに、教育法学や地方財政論、図書館情報学における「無償性」の議論を手がかりとする包括的視点から「社会教育の無償性」を検討する。それらの作業を通して、「社会教育の無償性」の実現には、どういった社会教育財政が求められるのかを明らかにする。
著者
大久保 倫子
出版者
東京農業大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

北海道ではエゾシカに対する農林業被害対策の1つとして、色や光を用いた鳥獣忌避装置が使用されている。しかし、色彩が動物にどのような影響を与えているかは解明されていない。解剖学的、および電気生理学的研究によれば、シカの網膜にはS錐体とM錐体の2種類の錐体細胞があり、シカは2色覚であることが示唆されている。そこで本研究では、シカの色覚特性を解明することを目的とし、行動学的アプローチに基づき、エゾシカが識別できる色の組み合わせを調査することとした。さらに得られた結果からエゾシカにおける混同色線を作製し、エゾシカが認識できる色が、シカに対して認識性や忌避性があるのかを検証する。
著者
高木 彩
出版者
千葉工業大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

2018年度に引き続き、2019年度も情報分野の4つの萌芽技術(人工知能(AI)、機械学習、自動運転、仮想現実(VR))を取り上げ、そのリスク認知を規定する要因について検討を行った。2019年度は、「萌芽技術のリスク認知と感情要因との関連」を明らかにすることを目的として、2つの調査研究を実施した。1つ目の調査では、大学生を対象に予備的検討を行った。この調査では、各萌芽技術に対するイメージ(連想語)と感情要因(ポジティブ感情、ネガティブ感情)等を測定し、萌芽技術のリスク認知との関連を検討した。その分析結果からは、萌芽技術に抱くポジティブ感情が弱く、ネガティブ感情が強いほど、萌芽技術に対するリスク認知が大きい傾向にあることが示唆された。それに加え、畏怖感情(dispositional awe)の得点が高い人ほど、萌芽技術のリスクを大きく認知する傾向にあることが示唆された。以上の予備的検討の結果を踏まえ、次の研究では、より幅広い年齢層の一般市民を対象としたWEB調査を実施した。この調査では、萌芽技術のリスク認知と感情要因との関連をさらに詳しく検討するために行った。主な調査項目として、4つの萌芽技術のリスク認知、ベネフィット認知、受容態度に加え、感情要因として、対象技術への感情(ポジティブ感情、ネガティブ感情)と、個別の感情経験(畏怖、嫌悪感情など)の個人差要因を測定した。現段階では、調査を実施しデータの収集まで完了しており、これから分析に着手する予定である。
著者
関根 一希
出版者
立正大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

オオシロカゲロウは同調的な一斉羽化をし, 大量発生に至ることもある河川棲の水生昆虫である。これまで, 本種はオスとメスからなる両性個体群とメスのみの雌性個体群が認められる地理的単為生殖種であること, また, 日本各地に分布する雌性個体群は, 西日本の個体群に起源する単為生殖系統によって維持されていることを明らかにしてきた。さらに, 両性個体群であったとしても, 両性生殖系統と単為生殖系統とが同一河川内に生息することもあり, このことは東日本である福島県・阿武隈川や埼玉県・荒川の個体群において明らかとなってきている。両系統が生息する河川内では, 一斉羽化の時間帯にずれが生じており, 単為生殖系統のメス個体は, 両性生殖系統のオスやメス個体よりも比較的早い時間に羽化することも明らかになってきた。これまで, カゲロウ類の一斉羽化の適応的意義としては, 仮説1. 交尾相手発見の容易さ説と仮説2. 捕食者の飽食説が挙げられていた。オオシロカゲロウの雌性個体群では, 交尾相手のオス個体はいないことから, 仮説1は当てはまらないが, 同調的な羽化は認められる。したがって, オオシロカゲロウの一斉羽化では, 捕食者による被食を頭打ち, つまり飽食させることで, 羽化個体の生存率および繁殖成功率を上げるといった仮説2が主な適応的意義であると考えられる。しかし, それではなぜ, 両性生殖系統と単為生殖系統とが同一河川内に生息する場合に, 一斉羽化の時間帯にずれが生じてしまうのか。本研究ではオオシロカゲロウを研究対象とし, カゲロウ類の一斉羽化はなぜ生じるのか, といった適応的意義について新たな解釈「繁殖干渉相手からの逃避説」を得ることを目的とする。
著者
荒木 良太
出版者
摂南大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

精神症状に使用される漢方薬である加味温胆湯は、マウスにおいて抗うつ様作用と細胞外セロトニン量増加作用を示した。こうした加味温胆湯の作用は構成生薬の竹ジョ*を除くことで消失した。しかしながら、竹ジョ*単体では細胞外セロトニン量増加作用が見られなかったことから、細胞外セロトニン量増加作用には、竹ジョ*と他の生薬との組み合わせが重要であることが示唆された。また、精神症状に対して用いられる多くの漢方薬においてセロトニン5-HT1A受容体刺激作用が認められた。以上の結果から、精神症状に用いられる漢方薬の多くは、セロトニン神経系を介して薬効を発揮している可能性が示された。(ジョ*は竹かんむりに如)
著者
河村 真人
出版者
東北医科薬科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

研究代表者は、消毒薬のクロルヘキシジンに抵抗性を獲得した緑膿菌がキノロン系抗菌薬にも耐性を示すことを見出している。抗菌薬の不適切使用が薬剤耐性菌(AMR)を出現させると考えられてきたが、消毒薬使用による抗菌薬耐性菌出現の可能性も示唆される。本研究の目的は、緑膿菌に対するクロルヘキシジンや塩化ベンザルコニウムなどの消毒薬使用が、抗菌薬の交差耐性獲得に関与するか否か検討し、そのメカニズムを解明することである。抗菌薬の適正使用のみだけではなく、生体や環境中に消毒薬を用いる看護師を中心とした全ての医療スタッフが、耐性菌問題に取り組む必要性がある。
著者
BUSTOS Itzel
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、抗PD-L1抗体を腫瘍溶解性ウイルス表面に発現させることにより、ウイルスにPD-L1発現細胞への指向性を付加するだけでなく、免疫チェックポイント阻害剤としての機能を付加した画期的な新規ウイルスを開発することを目的とした。抗PD-L1抗体遺伝子ベクターの構築に成功したが、目的のウイルス(HF10αPD-L1)の作成には至っていない。マウス扁平上皮癌SCCⅦの両側側腹部腫瘍に対するHF10と抗PD-L1抗体との併用により、両側の腫瘍に対して強い抗腫瘍効果を示した。この抗腫瘍効果の増強には腫瘍への免疫細胞の浸潤の関与が示唆された。
著者
佐藤 慶治
出版者
精華女子短期大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

研究2年目においては、「みんなのうた」初代チーフ・プロデューサーであった故後藤田純生氏に更に焦点を当て、国会図書館、後藤田氏遺族自宅での資料調査や論文執筆・学会発表を行った。また、申請書に記載していた六つの研究課題のうち、以下の二つの課題について掘り下げることができた。⑤「ゼッキーノ・ドーロ」の調査「みんなのうた」の楽曲には、1959年に始まったイタリアの児童音楽祭「ゼッキーノ・ドーロ」の入賞歌曲を原曲とするものが複数存在する。後藤田氏の資料より、後藤田氏が「ゼッキーノ・ドーロ」の楽曲を「みんなのうた」に輸入した経緯を検討し、また商業主義の強かった「ゼッキーノ・ドーロ」の楽曲が「みんなのうた」に入ることにより、その後のポピュラー路線につながる契機となったことを導き出した。⑥学校教育における楽曲使用の調査この課題については、まず保育現場や小学校で使用されている楽曲の実態を検討した。また「NHK番組アーカイブス学術利用トライアル」にも参加し、「ポピュラー性」をキーワードとして、特集番組等における「みんなのうた」各楽曲の使用頻度について調査を行い、各楽曲の認知度について分析を行った。また、5月3日に東京・晴海区民館で初期「みんなのうた」の関係者(当時のディレクター、演奏者、ファン会会員等)を招いての研究座談会を行った。これによって、1960年代の「みんなのうた」の制作背景や、当時の番組の受容についての情報を得ることができた。更に、9月17日に国際シンポジウム「近代の音と声のアーカイブズ」を熊本大学音楽学講座と共同開催した。そこで報告「戦後のNHK児童番組の資料保存についての現状と『みんなのうた』写真資料の発見」を行い、映像が失われてしまった1962年度版「大きな古時計」について、後藤田氏の資料よりセル画の写真資料を発掘したことと、再現映像を作成していることについての発表を行った。
著者
細見 晃司
出版者
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

腸内細菌を介した免疫制御は、アレルギーなどの免疫疾患や糖尿病などの生活習慣病など様々な疾患に関わっていることが分かり、健康科学における新潮流となっている。我々は、腸管管腔だけではなくパイエル板などの腸管リンパ組織の内部にも細菌が共生していることを明らかにし「組織内共生」という新概念を提唱してきた。本年度は、アルカリゲネスが宿主細胞である樹状細胞の内部に共生していることに着目し、樹状細胞とアルカリゲネスとの共生メカニズム、さらにそれに連動する免疫制御との関連について培養細胞を用いた解析を行った。昨年度の検討から、アルカリゲネスと樹状細胞の共培養系における樹状細胞の免疫学的な機能変化について大腸菌を比較対象として解析し、アルカリゲネスは大腸菌に比べて樹状細胞からのIL-6などの炎症性サイトカインの産生誘導能が低いこと、さらにそのメカニズムとして菌体成分であるLPSの活性が弱いことを見出している。本年度は、生理学的な観点から樹状細胞の機能変化について検討し、アルカリゲネスを取り込んだ樹状細胞では、ミトコンドリアの基礎呼吸量が上昇していることが明らかになった。ミトコンドリア活性は細胞死と関連することから、樹状細胞のアポトーシス細胞死について解析したところ、大腸菌を取り込んだ樹状細胞はアポトーシスが誘導されるのに対して、アルカリゲネスを取り込んだ樹状細胞ではアポトーシスがほとんど誘導されなかった。この結果はアルカリゲネスの樹状細胞内共生において重要な知見であると考えており、現在、その分子メカニズムの解明を進めている。
著者
野崎 康平
出版者
北里大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

心不全の特異的な病態のひとつに自律神経機能異常があり、自律神経機能を臨床で評価することは重要である。しかし、評価に用いられることが多い心拍変動解析は測定と解析が煩雑であり、自律神経機能の評価が蔑ろにされることが多い。そこで、本研究は、容易に測定が可能な瞳孔対光反応で得られる指標が、臨床における新たな自律神経機能の評価方法として応用が可能か否かを明らかにすることを目的として計画した。本研究では、心拍変動解析との整合性や、自律神経機能と関係することが明らかとなっている各指標との関連に加え、縦断的な変化を検証する予定である。
著者
傳法谷 郁乃
出版者
神奈川大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,熱中症が問題となっているわが国の夏季における高温多湿環境を考慮し,着物の和装肌着・補正小物類を含めた全体的な構成・着装方法を新しく提案することを目的とする.2020年の東京オリンピックを目前に,経済産業省では「和装振興研究会」を設置し,わが国の伝統的衣装である着物は海外からの注目も高まっている.しかし着物の保温性は高く,熱中症となる危険性が高い.本研究を通じて,着物着用による夏季の熱中症発生を予防し,着物を着用する人の快適性向上を目指す.
著者
尾崎 貴士
出版者
大分大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

研究代表者が所属する研究室では、SLEモデルマウスと野生型マウスの脾臓および血液中に含まれる脂質メディエーターの濃度を、計159種類の脂質メディエーター関連物質を解析対象とした液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)を用いて解析を行った結果、SLEモデルマウスではパルミトイルエタノールアミド(PEA)及びオレオイルエタノールアミド(OEA)の濃度が野生型マウスに比べて血中及び脾臓内で低値であることをこれまでに明らかにした。そこで、SLEの病態形成機序に関わっているToll様受容体9(TLR9)刺激に対するPEAの作用を解析することとし、これまでの研究においてPEAは骨髄由来樹状細胞におけるTLR9刺激による炎症性サイトカイン(IL-6, IL-12, IL-23)の産生をmRNAレベルおよびタンパクレベルの両者で抑制することを見出した。また、同様に脾臓B細胞やマクロファージ細胞株(Raw 264.7細胞)においても、PEAはTLR9刺激によるIL-6の産生をmRNAレベル、タンパクレベルで抑制した。さらにPEAは、骨髄由来樹状細胞においてTLR9刺激による細胞表面マーカー(CD86、CD40、MHC ClassII)の発現を抑制し、同様にB細胞においてもCD86とCD40の発現をPEAは抑制することを見出した。また、本年の研究により、PEAはTLR9刺激によるマウス脾臓B細胞の増殖を抑制すること、さらにB細胞におけるTLR9刺激によるIgM抗体産生も抑制することを明らかにした。in vivo においても、TLR9刺激薬であるCpG-ODNとDガラクトサミンを用いたseptic shock modelマウスにおいて、PEAを投与することにより血中IL-6濃度の上昇が抑制されることをすでに見出しており、一連の研究結果から、SLEをはじめとするTLR9刺激よる炎症病態の制御にPEAが有用である可能性が示唆される。
著者
中木 直子
出版者
京都光華女子大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

体重に関する女性特有の問題として、閉経後肥満や摂食障害による低体重、および月経前症候群による体重増加などがあげられるが、この背景には女性ホルモンであるエストロゲンの関与が考えられる。本研究では、エストロゲンの高脂肪食誘発性肥満抑制作用のメカニズム解明のために摂食亢進ペプチドであるグレリンに着目した。エストロゲンがグレリンのもつ摂食亢進作用のどこに・どのように影響するのかを明らかにする。本研究の実施により、一生涯に渡る女性の体重管理を通じた健康増進に、新たな知見を与えることが期待される。
著者
佐々木 朝子
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

旧制下での林学に関する高等教育は、農学部を設置する帝国大学及び高等農林学校が担っており、これらの高等教育機関では学生・生徒の実習を目的として演習林を設置していた。そして、卒業生の多くは、専門知識を活かして森林行政や林産業に従事した。本研究では、1880~1940年代における林学に関する高等教育の実態を明らかにするため、各高等教育機関のカリキュラムや演習林を利用した実習の内容に関する調査を行う。また、在学中の教育が卒業後の職業生活にどのような影響を与えたのか明らかにするため、学生・生徒が卒業後に従事した職務等を調査する。以上の調査に基づき、林業における教育と産業の連関を考察する。
著者
内田 麻理香
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、申請者が所属している東京大学・科学技術インタープリター養成部門において、1.アクティブ・ラーニング型の科学随筆ライティングの授業と、2.様々な研究分野の科学者による対談イベントの両方を実施することにより、グループ討論を通じた科学随筆ライティング教育プログラムを開発する。さらに、他の授業担当者もそれを実施可能にするために、その授業方法を取りまとめて公開することを目的とする。授業とイベントの企画を設計する際に、1950年代から科学随筆を継続的に発表し、日常生活の中で出会う科学の面白さを広く読者に伝えた物理学者の同人会、ロゲルギストの活動を調べ、その活動方法を参考にする。
著者
中山 祐次郎
出版者
福島県立医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

日本において、胃癌・大腸癌にかかる患者さんの数は増え続けているが、治療薬の開発や手術方法の向上により、癌の治療後に長期にわたり生存するいわゆる「がんサバイバー」と呼ばれる人が増えている。なかでも就労可能な年齢であるとされる65歳以下のがんサバイバーが多く、癌治療が就労に及ぼす影響が大きな問題となっている。しかし、就労を阻害する因子はいまだ不明な点が多く、対策が十分でない。そこで本研究では、福島県の全てのがん診療連携拠点病院(9病院)の胃癌・大腸癌の患者さんを調査し、どんな因子が就労を阻害するのか、臨床医学的因子と社会的因子の双方について検討する。