著者
杉本 俊介
出版者
大阪経済大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

ビジネス倫理の諸問題に対して「徳」と呼ばれる個人の性格特性に基づいた徳倫理学的アプローチを採る研究が登場している。功利主義や義務論など従来の倫理学理論では取りこぼされてしまいがちな経営者や従業員個人の動機や感情をすくい取れる点に注目が集まっている。しかし近年では、会計不正や検査不正など組織構造や企業文化に起因する企業不祥事が目立ってきている。この種の不祥事に対して、個人の性格特性に注目した従来の徳倫理学的アプローチをそのまま適用することは困難である。そこで本研究は、個人でなく企業組織の性格特性として徳を捉え直し、企業不祥事に関する組織的徳に基づいた評価枠組みの提案を目指す。
著者
松浦 弘明
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

再生医療等に欠かせない技術である細胞の凍結保存では, 致死的となる細胞内の氷晶生成を防ぐために凍結保護物質が用いられるが, その保護メカニズムについては未解明な点も多く, 凍結保存プロセスは最適化されていない. 本研究では, 細胞内凍結に関係していると考えられる細胞内の水分子ダイナミクスを誘電分光によって測定することで, 細胞凍結保護のメカニズム解明に役立つ知見を獲得し, 安全で環境親和性が高い保護物質を用いたグリーンな凍結保存技術のデザインに寄与することを目指す.
著者
貝谷 綾子
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

SLEや乾癬などの皮膚疾患の病態形成には、自己DNAと自己抗体や抗菌ペプチドの複合体を取り込みI型インターフェロンを大量に産生するプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)の関与が指摘されているが、その制御メカニ ズムの解明は不十分である。本研究は、pDCに発現するペア型受容体LMIR3とLMIR8に着目して皮膚疾患モデルを解析し、自己DNAによるpDCの活性化及び関連する皮膚疾患の病態の制御メカニズムを解明することを目指す。
著者
石川 雄樹
出版者
東京海洋大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では,草食性魚類の植物選択的な食嗜好性の発現機構について明らかにすることを目的として研究を行った.前年度の検討において,ゼブラフィッシュの味覚受容体発現である組織であるmaxillary barbel(ひげ組織)を摘出し培養用ウェルプレート上に接着させることで味質応答機能を有したまま培養維持できることを明らかにした.今年度はまずこの方法がソウギョにおいても適用可能か検討した.麻酔下のソウギョから味蕾を含む組織である口唇の一部を切り出し,次亜塩素酸ナトリウム溶液中で減菌後ゼブラフィッシュと同様の方法で培養を試みたところ,培養2-3日目に組織片から培養プレート底面への細胞の進展・接着が認められ,定着した細胞に対しカルシウムイメージング法による呈味成分への応答性を評価したところ,一部のアミノ酸で応答挙動を示す細胞が認められた.また草食選択性機構への関与が考えられる分子を網羅的に明らかにすることを目的として,口唇上皮組織と,舌から咽頭部分の上皮組織をそれぞれ剥離し,RNA-Seq解析に供しデータを取得した.今年度の期間中には残念ながらソウギョの植物認識成分を特定することができなかったものの,本課題内で確立したソウギョへの近赤外イメージング法による摂食選択性評価法に加え,カルシウムイメージング法による末梢レベルでの細胞応答測定を組み合わせることで,草食性に関わる成分を絞りこみ特定してゆくために必要な基盤を整えることができた.得られた発現データについても両組織間の発現差異およびデータベース上に登録されているソウギョ別組織との発現差異を比較することで特異的発現を示す遺伝子群を明らかにしていくことが今後の課題である.
著者
澤西 祐典
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

芥川龍之介・菊池寛共訳『アリス物語』および『ピーターパン』は、興文社と文藝春秋社による『小学生全集』シリーズの一環として刊行された。この<共訳>は、『不思議の国のアリス』の文豪訳などとして好事家の関心を引いてきたが、これまで芥川あるいは菊池の訳業として両作が取り上げられることはほとんどなかった。本研究では<共訳>の分担や翻訳の特徴について明らかにし、創作童話の発表や『小学生全集』を刊行など、児童文学の普及にも貢献してきた芥川・菊池の功績の中で、両作をどう捉えるべきか明らかにしたい。また、この二作を一般読者が親しめる形で普及したい。
著者
松岡 美里
出版者
帝京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

This project reveals the role of think tanks and other involving actors in forming policy recommendations that may exert their political influences informally on foreign and security policymaking. It closely examines think tanks' discursive contribution for shaping foreign and security policymaking.
著者
矢野 博之
出版者
大分大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

我々は、放射線誘発線維症(RIF)に関する遺伝子発現メカニズムを解析するために、細胞外マトリックスの主成分であるI型コラーゲンの転写レベルでの発現調整を調べてきた。また、非コードRNAの一種であるmiRNAについて、miR-29及びmiR-26がRIFにおける転写後の遺伝子発現調節に関与することを報告した。転写後のRIF発現メカニズムについてさらに調べるために、本研究は、miRNAと競合して転写後の遺伝子発現調節に関与するlncRNAに着目し、昨年度までにRIFに関与するlncRNAとして、lncRNA-Xを見出した。今年度は、lncRNA-Xと相互作用しうるmiRNAを見出し、RIFにおけるmiRNA及びlncRNA-Xの機能的役割について調べ、以下の結論を得た。in silico解析により、lncRNAと結合が予測されるmiRNAとしてmiR-Aを見出した。また、lncRNA-X及びmiR-Aが標的としうる遺伝子を調べた結果、抑制型smadであるSmad7を見出し、ルシフェラーゼアッセイの結果、Smad7の3'UTR配列において、miR-A及びlncRNA-Xが結合することが分かった。さらに、miR-Aを過剰発現させた場合、lncRNA-X及びSmad7の発現が抑制された一方、I型コラーゲンの発現が上昇した。これらの結果により、lncRNA-XがmiR-Aと相互作用してSmad7の発現を調整し、放射線によるI型コラーゲン発現増加に関与することが示唆される。
著者
伊藤 英之
出版者
京都市動物園
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

動物園は生息域外保全の重要な拠点である。動物園における個体群管理では、家系情報と分子遺伝学的情報との統合が重要な課題ある。また、有害形質の回避や飼育環境への適応の回避など取り組むべき課題は多い。本研究では、希少動物を対象に、ゲノムワイド解析を実施し、遺伝子解析と従来の家系解析との統合モデルの確立、有害形質・適応関連遺伝子特定を目指す。得られたデータをもとに個体群の将来予測を実施し、適切な遺伝管理を含んだ繁殖計画を立案する。また、ドラフトゲノムの作製、エピゲノム解析を実施し、新たな遺伝的管理の指標となりうるエピゲノム修飾を集積し、希少動物の遺伝管理への応用の検討し、域内保全への貢献を目的とする
著者
金子 雄太
出版者
同志社女子大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、顧客動線データなどのパスデータをオンライン/オフライン環境の視座から体系化し、購買に関する消費者行動モデルを組むことでマーケティング変数の有効性を評価する。顧客の購買行動に着目し、売場訪問や購買意欲、購買行為にマーケティング変数が与える影響について調べていく。
著者
細野 敦之
出版者
福島県立医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

プロポフォールの長期投与によりその麻酔・鎮静作用に対して耐性が生じると示唆されているが、その機序は明らかではない。カンナビノイド受容体はプロポフォールの麻酔・鎮静作用に対する耐性形成にもCB1受容体の変化が関与している可能性がある。本研究は、ラットを用いてプロポフォールの長時間投与によりCB1受容体のmRNA転写物量、タンパク発現量、ならびに受容体の細胞内局在が変化するか否かをそれぞれreal-time PCR法、ウェスタンブロット法、免疫染色法を用いて明らかにすることが目的である。これらによって、プロポフォールの麻酔・鎮静作用に対する耐性形成の機序を明らかにする。
著者
相澤 風花
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

がん化学療法に伴う副作用のうち、しびれや痛覚過敏を生じる末梢神経障害は、難治性であり、既存の鎮痛薬等をもってしても十分な効果は得られていないのが現状である。これまでに、化学療法施行時に生じる末梢神経障害の標的分子も複数報告されているものの、その有効性は基礎的検討のみにとどまり、臨床応用には至っていない。本研究は、実臨床データである大規模医療情報データベースを用い、既承認薬から新たに化学療法誘発末梢神経障害の予防薬を探索する。加えて、遺伝子発現データベース解析やモデルマウスを用いた基礎薬理学的検討から、有効性ならびに作用機序を明らかにすることで、エビデンスに基づいた予防戦略の確立を目指す。
著者
齋藤 竹生
出版者
藤田医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

クロザピンは無顆粒球・顆粒球減少症を引き起こす。本研究の目的は、未だ解明されていないこの副作用の発症機序の解明である。この副作用に免疫学的機序が関与することを検証するため、クロザピン誘発性無顆粒球症(CIA)群の末梢血単核細胞を用いた、クロザピンによるリンパ球刺激試験を行なった。対照群として、クロザピンを服用しても顆粒球の減少をきたさなかった投与コントロール群を用いて、CIA群とのリンパ球増殖の差を確かめた。増殖活性を比較したところ、CIA群がトレラントコントロール群よりも増殖活性が強い傾向を認めた。この傾向をより確かなものにするため、今後さらにサンプル数を拡大した検討を行う必要がある。
著者
佐々木 三和
出版者
日本赤十字秋田看護大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

パーソナリティ障害は精神障害の主要なひとつの様式であり、自傷行為や自殺企図、暴力やひきこもり、嗜癖行動など多彩な問題行動と深く関連がある。入院医療から地域生活中心へと精神障害者の地域移行支援が進むなか、特にかかわりが難しいとされる境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder:以下、BPD)者への訪問看護に関する困難な状況が予測される。そこで、地域でBPD者を支えるための訪問看護師への支援プログラムを開発することを試みることとした。
著者
後藤 和也
出版者
京都大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

アルツハイマー型認知症患者に対しては音楽療法が有効という報告は多くあるが、パーキンソン病(Parkinson disease、以下PD)患者における非運動症状(認知機能低下、抑うつなど)に対して音楽療法が有効であるという報告は少ない。また、現時点ではPD患者の非運動症状に対する根本的治療法はない。本研究では認知機能の低下を伴うPD患者へ音楽療法を行い、その有効性を検証することを目的とする。具体的に、音楽療法士による小グループでの音楽療法を一定期間行い、評価スコアを用いて非運動症状が改善したかを評価する。また、介護者へのインタビューも行い、負担の軽減がみられたかを評価する。
著者
Guido Fabiola
出版者
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

数種類のきのこが生産する有機酸を同定したところ、それらは既知の数種類の有機酸を生産し、共通する有機酸も生産することがわかった。それらと同じ有機酸試薬水溶液に予め137Csを吸着させた粘土鉱物を入れたところ、Csはほとんど溶出しなかった。次に土壌からシデロフォアという鉄キレート化物質生産性を持つバクテリアを単離した。その内の細菌一種類及びきのこ菌糸一種類を懸濁した水溶液中に黒雲母の粉末を投入したところ、きのこ菌糸からより多くの鉄とケイ素が黒雲母から溶出した。この結果は、用いたきのこから鉱物溶解力の高い有機物が分泌されている可能性を示唆する。
著者
藤代 有絵子
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では、電子スピンが固体中で作る非共面的な構造(立体角を張る)とその揺らぎを制御し、新たな電気輸送特性の探索を行う。特に、螺旋スピン構造の電流駆動がもたらすインダクタンス効果や、磁性が外部パラメーター(圧力など)の制御によってゼロ温度で消失する量子相転移近傍での輸送特性に着目する。従来の研究で着目されてきた静的な長距離秩序の枠組みを超えて、スピン構造のダイナミクスがもたらす新規現象についての学術的理解を深めることを目指す。
著者
砂川 芽吹
出版者
東北大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-02-01

自閉スペクトラム症(ASD)の女性は,表面的には対人コミュニケーションスキルを獲得し,社会生活において一見問題がないように見えることも少なくない。しかしながら,日々の生活に目を移すと,女性に対する社会的期待や社会的要請について障害特性から困難に直面することが多いと考えられる。よって,本研究ではASDの女性の「社会適応」に着目し,女性として生きる日々の生活に即した困難を明らかにしたうえで,ASDの女性のライフサイクルに沿った具体的な支援のあり方を検討することを目的とする。
著者
小川 亜希子
出版者
東北大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

眼房水に含まれる生理活性物質は、緑内障の病型、あるいは眼手術などの外的環境要因によってその組成が変化し、緑内障病態や術後成績に影響を与えることが知られている。申請者は新しいオミクス解析技術を用いて、眼房水・硝子体中に含まれ緑内障病態によって組成が変化する、RNA由来の液性因子を見出した。この液性因子は従来にないカテゴリーの内在性分子群であり、その中には強力な生理活性を有しているものが存在する。本研究ではこの新規液性因子群の作用機序解析を行い、緑内障を制御する新たな分子標的を明らかにする。
著者
祖父江 顕
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究はアルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)の中核病理の1つであるアミロイドβのクリアランスや神経炎症の調節に寄与し、AD病態に関わるミクログリアというグリア細胞の一種に着目して、神経細胞を取り巻く環境からAD病因・病態関連シグナルを明らかにしていくことを目的としている。AD患者脳およびADマウスから単離したミクログリアの遺伝子発現変化を比較し、疾患ミクログリアにおける炎症関連遺伝子プロファイルの作製および新規治療ターゲットを絞り込み、細胞レベル・動物レベルで炎症発現変化とその制御を解析していく研究である。
著者
上田 幹子
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

インターネット等では科学的根拠に乏しい健康情報が氾濫しているため、高齢化が進む我が国では、正しい健康情報を、最も必要としている人に、最も適したタイミングで、最も適した方法で発信・共有できる体系の整備が急務である。本研究では、大阪府豊中市の薬局にICTを駆使した双方向性の情報発信・共有体系を構築し、薬局が発信する健康情報が地域住民の健康維持・増進にどのように貢献できるのかを明らかにする。