著者
谷 徹也
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、京都・伏見・大坂(さらには淀・名護屋、江戸・駿府)を複数の首都として捉え、それぞれの役割と関係性を検討することによって、近世初期における首都の多元性、江戸時代の三都との継承関係を解明することを目指す。その具体的な作業としては、京都の国家的位置づけ、伏見における武家統合と廃城の歴史的意義、軍事要塞としての大坂の重要性について検討を行い、比較のうえで総括・提言をする予定である。
著者
松木 太郎
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

1.文献検討および解析プロトコルの検討:本研究では、①母親がマインドフルネス・トレーニングを実践することにより、母親および発達障害児(ASD、ADHD)においてどのような効果が生じるかについて検討すること、②ペアレント・トレーニングおよびマインドフルネス・トレーニングが有するそれぞれの特徴の違いに着目し、両トレーニングの長所を生かした育児支援方策のあり方を検討すること、の2点を主な目的として、文献検討および解析プロトコルの検討を行った。母親のアウトカムとして、育児ストレスの変化をはじめ、養育スタイルや主観的幸福感の変化にも着目すること、子のアウトカムとして、行動面および情緒面の変化を捉える必要性があることが示唆された。また、母親の既往歴、母親以外の者(父親など)の育児関与の有無、母親・子のストレスを生じさせるライフイベントの有無、子の投薬変更の有無、などを調整因子として含める必要性があることが示唆された。2.各アプリケーションの開発:文献検討および解析プロトコルの検討を行った上で、本研究で使用するペアレント・トレーニングおよびマインドフルネス・トレーニングのスマートフォン用アプリケーションを作成した。作成の際は、①各トレーニングの動機づけの維持、②各トレーニングの日々の達成度の記録、の2点が可能なように工夫を行った。なお、広く研究参加者を募集するために、スマートフォンはiPhoneおよびアンドロイドで実施できるようにしている。
著者
永井 涼子
出版者
山口大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、場面や状況がある程度固定されている医療系談話を対象に、談話の持つ定型表現について明らかにする。その上で談話における定型表現とは何かについて考察を行い、専門日本語教育に応用する形について検討する。具体的には、各談話の定型表現をもとに「定型談話」を作成する。そして「定型談話」と実際の談話を比較し、それが専門日本語教育に応用できるのかを検証する。
著者
大知 正直
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究ではSNSデータを用いた早期の社会課題検出のための人工知能を開発する.現状では社会課題は社会全体の大きな問題となってから認識され,解決に膨大な資源を費やし持続的成長を大きく阻害している.本研究ではSNSのデータにネットワーク分析や機械学習の技術を用い,特定の集団では課題となっているが,社会全体では認識されていないような社会課題の芽を明らかにする.そして社会課題を早期に発見し,解決のための研究,施策の検討を開始することを可能にする.本研究の成果によって社会の持続的発展を促進できるだろう.
著者
高田 佳輔
出版者
中京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究の目的は,集団形態が複雑で流動的であり,かつ,課題の難易度が高いオンラインゲームのプレイヤーの,集団を維持する「チームワーク」や目標達成のための「合理的問題解決」といった能力を,ゲーム場面ならびに現実場面において縦断的に調査し,得られたデータを潜在方程式モデルによって分析することを通じて,ゲーム世界において獲得したソーシャルスキルが現実世界の対人関係スキルに及ぼす因果的影響を明らかにすることである。以上の目的を遂行するべく,平成30年度に実施した研究の成果は次の通りである。第1に,継続して行なっていたパネル調査に関して3時点目の調査を実施した。第2に,2時点目までのパネルデータを用いて,1時点目の仮想世界における「合理的問題解決能力」が2時点目の現実世界における「合理的問題解決能力」に及ぼす影響について明らかにするために,交差遅れ効果モデルを用いた分析を行なった。第3に,パネル調査において新たに作成したオンラインゲームプレイ動機尺度に関して,その因子構造の妥当性について検証を行なうため,インタビュー調査によって資料を収集した。具体的には,大規模多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)をプレイする動機の時期による遷移について検討を行なった。上記の研究成果は,学会報告および学術講演という形態でまとめることができた(研究発表欄参照)。
著者
ムサジャノワ ジャンナ
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

甲状腺乳頭癌は一般的には予後良好な疾患であるが、一部の症例に再発、転移をきたすため、そのポテンシャルを有する症例の拾い上げが重要である。予後を規定する有力な因子としてBRAF変異とTERT promoter変異を二つ持つ腫瘍は予後が悪いことが報告された。本研究ではこれらの分子マーカーと形態学的形質との関係を明らかにし、日常の甲状腺がん病理診断学に汎用できる高悪性度の組織像を明らかにする。日本人とカザフスタン人の甲状腺がんを同一基準で比較することで、ヨード摂取量や人種の違いによる甲状腺がんの組織像の多様性による影響も評価する。分子異常をエビデンスとした高リスク乳頭がんの形態学的特徴を定義づける。
著者
太田 香
出版者
室蘭工業大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、災害発生後の電力が極端に不足する状況において、長期間持続でき、かつ安定性が高く、さらに広域で利用可能な情報通信ネットワークの構築に関する研究を行う。提案する耐災害ネットワークは三層から成り、第一層であるD2Dネットワークはユーザの携帯端末で構成され、基地局を介さずに近隣の端末間で通信を行う。第二層であるドローンなどのUAVを利用したWiFiは、UAVがD2DネットワークとLPWAN基地局との橋渡しを担う。第三層であるLPWANは省エネな長距離無線通信を可能にし、D2Dネットワークにインターネット接続を提供する。各層の長所を活かし互いに密接に連携させ、安定したネットワークを構築する。
著者
横田 明美
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、実世界とサイバー空間との相互連関が進み、データの利活用が現実世界を実際に動かしていく「データ駆動社会」が進展していくことを前提に、行政法学における情報の取扱いを横断的・総論的に捉え直す試みである。行政機関における情報加工過程(収集・形成・利用・ 公表)全体について、① 全ての参照領域・個別法領域を包含した総論的な視点における、行政における情報取扱いについてのルール(概念や法の一般原則に相当する原理)は何か、そして②データ駆動社会で生起するリスクに対応するために必要な視点は何かを考察する。
著者
福森 良
出版者
長崎国際大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

Δ9-THCを親マウスに反復投与して、この親マウスより産まれたΔ9-THCを直接摂取していない仔マウス(第二世代マウス)における影響を明らかにする。行動生物学的手法を用いて、特に大麻の使用者で多く認められる精神病様症状と認知機能障害に着目して第二世代マウスの行動評価を行う。また、分子生物学的手法を用いて、脳組織における内因性カンナビノイド関連因子の発現変動を解析する。さらに、CB1受容体ノックアウトマウスを用いることで、大麻の第二世代マウスにおける影響について、CB1受容体の関与を検討する。
著者
佐々木 郁子
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

Wordsworthの自然観がエコロジーの先駆であることは、1990年代以降多くのエコクリティックにより論じられてきたが、そうした議論で農業や農地の描写はほとんど取り上げられることはない。産業革命下で環境悪化を経験したイギリス・ロマン主義の時代には、農業革命も推進されていたが、その農業は自然の喪失に拍車をかけるものでしかなかったのか、それとも持続可能な農業を予感させるものでもあったのか。本研究では、Wordsworthらロマン派の作品からそれを読み解き、農地といった人工的環境を研究対象とするための理論的枠組みを構築する。文学と農学をエコクリティシズムを用いて接続する、文理融合型研究を目指す。